WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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オリジナルキャラ(モデルはある)出たりやたら物騒だったり。
主人公がアラン回。


第19話:シークレット・ミッション

 翌日早朝、セダン基地の前にはジープとシムカ8が用意されジープには邦佳、カーラ、スペード、そして貫二郎が、シムカに紺のスーツを着たアランと黒のスーツを着たトニーが乗り込んでいた。

 

アラン「準備は出来たか?」

 

トニー「ああ、人数分のサプレッサー付きステン、グリースガン、ウェルロッド、拳銃は持った。

    荷物と偽の身分証明書も。

    これがお前の分」

 

 トニーは運転席に座るアランに身分証明書を渡した。

 そこにはアラン・ド・メーストルではなくフランコ・レスコヴァーと書かれていた。

 

アラン「フランコ・レスコヴァー?

    俺はセルビア人か?」

 

トニー「セルビア系ガリア人って設定だそうだ。

    お前セルビア語できるか?」

 

アラン「セルビア語は少しだけ、スロベニア語なら得意だが」

 

トニー「そ、俺なんてロマーニャ系リベリオン人のルイジ・ヴェルコッティだぞ。

    肩書はウィッゾチョコレート株式会社副社長。」

 

 トニーの持つ身分証にはルイジ・ヴェルコッティと書かれていた。

 これはこの任務が連合軍の極秘であるため軍の身分証の代わりに連合軍司令部が作った偽物を用意したのだ。

 更に軍服の代わりにスーツと帽子を着ていた。

 

アラン「じゃあ出発だ」

 

 一行はパリを目指して出発した。

 

 

---------

 

 

 数時間後、セダンでは式典の準備が進められていた。

 基地の外ではホスバッハと警備部隊の兵士達が軍楽隊と共に行進の訓練中だった。

 

ホスバッハ「かしらー右!敬礼!」

 

 軍旗を先頭にホスバッハ、第1中隊長のモザンドル中尉と第1中隊、ムグラー第2中隊長と第2中隊、ファウルミュラー中尉と第3中隊、アウプケ中尉と降下猟兵中隊、最後にベゲマン中尉の戦車中隊がゆっくりと行進していた。

 

 それを見下ろす基地内ではイザベルがピアノを弾き、それに合わせてカーロイがバイオリンを弾いていた。

 そして一曲終わると手を止めた。

 

イザベル「黒田さんたちそろそろパリに到着したかな?」

 

ハインリーケ「恐らくな」

 

 イザベルの独り言にハインリーケが答えた。

 ハインリーケは備品の剣を拭いていた。

 

ハインリーケ「しかし、こう暇では腕が鈍るわい。

       いっそ景気よく大型ネウロイでも現れて…」

 

アドリアーナ「ふぁぁ、不謹慎だぞ姫様」

 

 すると彼女の向かいのソファーで寝ていたアドリアーナが起きた。

 

ハインリーケ「いざネウロイが出たとなれば嬉々として飛び出してゆく者のセリフとは思えぬな。」

 

アドリアーナ「久々にやるか?」

 

 アドリアーナがハインリーケを挑発するとその奥で書類作業中だったロザリーが叫んだ。

 

ロザリー「嘘でしょ!?

     3週間も前に発注したのに今更キャンセル!?

     設営部品のレンタル料が7%アップ!?

     というか何このガソリンの予定支出量!?

     これじゃ発足式に間に合わないわ!」

 

 業者からの突然の連絡に驚いていた。

 

イザベル「黒田さんたちがブランク大尉を連れ戻す以前にお披露目の場が無いかもね」

 

カーロイ「ああ…そうならないように祈らないと…」

 

ハインリーケ「まあ、そもそもあやつらが順調に捜査を進めている姿が想像できんが…な」

 

 ロザリーを見ながら不吉な事が頭をよぎった。

 

 

---------

 

 

 その頃、パリ市内ではカーラ達がカフェでお茶している頃、そのカフェの傍ではアランとトニーが車に乗っていた。

 通りには諜報部の人間らしく怪しい人物だけでなく多数の兵士もいた。

 

「「O du schöner Westerwald~♪

  Über deine Höhen pfeift der Wind so kalt~♪」」

 

アラン「Jedoch der kleinste Sonnenschein~♪」

 

 車の横をヴェスターヴァルトの歌を歌いながら行進するカールスラント兵の歌を助手席に座るアランが口ずさむ。

 そして腕時計を確認した。

 

アラン「ここで間違いないんだな?」

 

トニー「ああ、ペルピニャン通り54番地の前で停車して待っていろって指示だ。

    ここに協力者が情報を持ってくるはずだ」

 

 二人は連合軍の協力者、つまるところスパイが情報を持ってくるのを待っていた。

 煙草を吸いながら腕時計を確認するが周りにはそれらしき人がいなかった。

 さらに言えばこの通りは駐車禁止であるため何時警察が来るか分からなかった。

 すると突然誰かが車を叩いた。

 

アラン「ん?誰だ!今叩いた奴は!」

 

男「お前ら!ここは駐車禁止だ!さっさと行け!」

 

 アランが窓から頭を出して周りを見るとコートを着て新聞を持った50代くらいの男がいた。

 彼が車を蹴って音を出していた。

 

アラン「済まねえ旦那、今人を待ってるんだ」

 

男「人を待ってるだって!?俺の家の前で女と会うんじゃねえ!」

 

 男はアランの傍まで来ると持っていた新聞をアランに投げつけた。

 

アラン「分かったよ旦那、車を移動させるよ。

    行こう」

 

トニー「ああ」

 

 二人は文句を言いながら車を移動させ近くの別の通りに車を止めた。

 するとアランが気がついた。

 

アラン「おい、この新聞の中に何か入ってるぞ」

 

トニー「え?」

 

 アランが新聞を捨てようと持つと新聞の中に何かが入っていた。

 急いで新聞を開けると中にはA4サイズの紙十数枚が入ったファイルが入っていた。

 

アラン「ファイルだ」

 

トニー「中身はなんだ?」

 

 アランはファイルの中の書類を取り出すと確認した。

 中身は王党派の主だった動きと更なる情報提供者との接触方法だった。

 

アラン「スパイのファイルと情報だ。

    連中、今後二日以内にパリのどこかで爆弾テロを起こす気だ。」

 

トニー「は?本当か?」

 

アラン「ああ。場所は分からんがな」

 

 その内容はパリ市内での何かしらのテロの可能性を示唆していた。

 

アラン「更なる情報を得るには、今日の14時からエポック劇場で行われる映画天井桟敷の人々のF列の13番のチケットを買って入場しろだそうだ」

 

 もう一つは情報提供者との接触法だった。

 公開されたばかりの映画の指定された席を買って入場しろというものだった。

 

トニー「14時ってことは1時間半後か。

    エポック劇場ってどこだ?」

 

 腕時計を確認したトニーが場所を土地勘のあるアランに指定された場所を聞いた。

 

アラン「確かミミュー通り825番地だ。

    ここからなら大体20分か30分ぐらいだ。」

 

トニー「じゃああのバカたちを呼びに行ってくる」

 

アラン「気をつけろよ」

 

 トニーは車から降りると邦佳達がいるカフェに向かった。

 だがカフェには彼女達はおらず周囲を探し回り少し離れた公園で3人を見つけた。

 

トニー「おい!お前ら!どこ行ってるんだ!」

 

邦佳「あ!トニーさん!」

 

 邦佳がトニーに気がつきを手を振った。

 

スペード「どうした?」

 

トニー「情報が手に入った、移動するぞ。

    14時からエポック劇場だ。それと、彼奴」

 

 彼女達に今後の行動を伝えるとトニーは顎で近くのベンチに座る怪しい男を示す。

 

トニー「銃を持ってる、所属は知らねえがな。

    あんまり実名を使うな、ルイジかヴェルコッティって言え」

 

貫二郎「分かりました、ヴェルコッティさん」

 

 貫二郎が返事をする。

 

邦佳「じゃあ私達はなんて呼べばいいの?

   映画のスパイみたいにコードネーム?」

 

貫二郎「いや、そこは下の名前でいいのでは?」

 

カーラ「じゃあ私はカーラで、こっちも邦佳って呼ぶから」

 

スペード「俺はサムだな、親しい連中はそう呼ぶ」

 

カーラ「よろしく、サム」

 

トニー「じゃあ急ぐぞ、適当に飯を食ってから劇場だ。」

 

 トニーは邦佳達を連れて車に戻った。

 

 

---------

 

 

 それから1時間後、ミミュー通りの映画館は大盛況だった。

 封切られたばかりの映画である天井桟敷の人々が大盛況でありこの日もたくさんの人が見に来ていた。

 

邦佳「映画館だ!映画観ていいの!?」

 

貫二郎「仕事だから多分駄目だと思うけどな…それにフランス語はさっぱり」

 

 映画が観れると思い邦佳は興奮するがフランス語がさっぱりできない貫二郎は不安だった。

 

アラン「席採れるか?」

 

トニー「さあ?」

 

 アランがその大盛況ぶりを見て隣でサンドイッチを食べ終わったトニーに聞いた。

 

スペード「ここで情報提供者と会うんだろ?」

 

アラン「ああ。」

 

 アランはチケットの列に並び店員に注文した。

 

アラン「14時からの天井桟敷の人々のF列の10から16番ってあるか?」

 

店員「F列ですね。

   残念ながらF10とF14が。

   代わりにF9とF17番があります」

 

アラン「分かった、それで。子供2枚と大人4枚。」

 

店員「かしこまりました」

 

 アランはチケットを買うと邦佳達に渡し入場した。

 劇場は暗く天井桟敷の人々は大ヒットしていることもあり多数の人が来ていた。

 その人の波に揉まれながら座席についた。

 F13とF15番にはそれぞれアランとトニーが座った。

 F14番にはポップコーンを持った男が座っていた。

 

「あんたらがハイドリヒのパシリか?」

 

アラン「ああ、あんたは?」

 

フーゴ「俺はフーゴ・シュティグリッツ。

    あんたらとは大して変わんない連中だ。

    違うとすればゲシュタポ将校を13人やってレジスタンスに協力して殺されたぐらいか?」

 

アラン「俺もレジスタンスだ」

 

 アランは情報提供者のドイツ人フーゴ・シュティグリッツのポップコーンを掴んで食べる。

 そうしていると映画が始まった。

 

フーゴ「だろうな。お前の噂を聞いたことがある。

    元ヴィシー空軍のパイロットがレジスタンスをやって殺した将校を夜な夜な街灯に吊るしているって」

 

アラン「俺も有名になったぜ。

    で、本題は?」

 

 フーゴがアランの噂を話しアランが本題を聞いた。

 周りの人々は映画に夢中で二人の会話に一切気がついていなかった。

 

フーゴ「王党派の連中だ、奴らの狙いはリベリオンのウィッチを一人確保してブリタニアに連れて行くことだ。

    奴らのネットワークは我々が思っている以上に広大だ。

    噂ではガリア海軍が喪失したとしている潜水艦や空軍が喪失したとした航空機を保有しているらしい。

    他にも政府内に多数のシンパがいるとかド・ゴールの側近にもいるとか洗脳の専門家を雇ったとか孤児を駆り集めてるって噂もある。」

 

 フーゴは王党派のいくつかの噂を伝えた。

 だがそれにアランは不満だった。

 彼が欲しいのは事実だけだ、不確定な憶測や眉唾物の噂など一切必要なかった。

 

アラン「噂はいい、欲しいのは事実だ」

 

フーゴ「噂は素晴らしいものだ。

    物事の真実は噂の中に隠れてる、時には噂自体が本当だってある。

    情報の半分は噂と憶測だ。

    奇妙だが情報と映画というのはある点で似ている。

    映画もフィクションだが真実で嘘を塗り固めたものだ。

    嘘だがまるで真実だ。

    噂だって噂と憶測で塗り固めればもっともらしい真実になる。

    その真実が実際に真実として目の前に顕現するかどうかは別だがね。」

 

 フーゴが微笑みながら言う。

 その言葉にアランは目つきを鋭くしこの怪しい男の一挙手一投足を注視する。

 

アラン「何が言いたい?」

 

フーゴ「ここからが重要だ。

    噂と憶測と伝聞で塗り固めた事だが連中は何かをする気だ、この街でな。

    それも派手な何かを。」

 

 王党派が何か派手な事をしようとしている、その言葉にアランの頭には最悪の可能性がよぎった。

 

アラン「クーデターかテロ、それも大規模なテロの可能性…」

 

フーゴ「ビンゴだ、中々頭が切れるじゃないか。

    じゃあどこで起きるかね?ここか?フェナンビュール座のパントマイム劇か?」

 

アラン「人が集まるところだろうな、それも警察や軍の管理が行いにくい場所…

    公共交通機関?鉄道か?」

 

フーゴ「エクセレント、その通りだ。

    パリの中にいくつもある鉄道のターミナル駅か特に乗降客数の多い駅のどこかで…ボム!」

 

 右手で爆発のジェスチャーをする。

 

アラン「どの駅だ?」

 

フーゴ「さあ?それは俺の知らないところだ。

    ここからは自分のおつむで考えろ。」

 

 フーゴに言われアランは映画を見ながら考えた。

 

アラン「ブリタニアに行くならば北のシェルブールかカレーに向かうのが一番だろうな。

    勿論上もそれを理解して北を中心に警備の網を張っているだろうが。

    そうなると南か?いや、北で騒ぎを起こせば南からも人が集まる…

    ありがとう、フーゴ・シュティグリッツ、ナチブッチャー」

 

フーゴ「俺も有名になったもんだぜ。」

 

アラン「お前ら行くぞ」

 

 アランは立ち上がりトニー達に小声で声をかけた。

 

邦佳「ちょ、ちょっと!

   映画始まったばっかりなのにー!」

 

 映画を楽しみにしていた邦佳が言う。

 まだ映画が始まって20分も経っていなかった。

 そんな邦佳を引っ張り一行は外に出た。

 アランはシムカのボンネットにパリの地図を広げた。

 

トニー「で、次は何処だ?」

 

カーラ「ジェニファー達は何処にいるんだよ?」

 

アラン「ここの可能性がある。」

 

 アランは地図の中のある駅を指した。

 

「「ノール駅?」」

 

アラン「ああ、連中が騒ぎを起こした時、一番効果的なのがこの駅だ。

    まずここで連中は騒ぎを起こす、その騒ぎに乗じて南から脱出する。

    それなら辻褄が合う。

    それに南ならばヘロイン密輸ルート関連も使える、更にはヒスパニアに逃げ込まれたらこっちの管轄外だ。」

 

 アランが推理を披露した。

 アランの推理はパリ北駅で王党派が騒ぎを起こし、その混乱と警備の手薄になった隙に南に脱出、南部からブリタニアに密航するという案だった。

 ガリア南部は有名なヘロインの密輸ルートで、ユニオン・コルスなどの犯罪シンジゲートにとっては二人の女性をブリタニアに密航させることなど造作もない事だ。

 それにヒスパニアに逃げれば連合軍の管轄から外れヒスパニア政府とヒスパニア駐屯連合軍の管轄になる、そうなれば例え目の前にいようとも手出しは出来ない。

 

邦佳「それじゃあノール駅に行こう!」

 

トニー「ああ、急ぐぞ」

 

 ウィッチ達は急いで車に飛び乗るとノール駅を目指した。

 

 

---------

 

 

 その頃、ノール駅は軍の警備が強化され近郊都市路線と長距離路線のホームでは身分証の確認が行われ兵士達が動き回っていた。

 その近くの公衆電話ではキーラが電話を切った。

 そしてすぐ傍のカフェの椅子に座った、向かいにはジェニファーがいた。

 

ジェニファー「逃走したことが発覚する前にパリを脱出するべきでしたね」

 

キーラ「我らはチェス盤上の駒、上の命令通りに動くだけさ。」

 

 ジェニファーに座りながら言う。

 彼女も組織の駒であり所詮は彼女は王党派と連合軍のチェスの盤上の駒に過ぎなかった。

 

ジェニファー「今の電話はその上の方ですか?」

 

 ジェニファーが訊いた。

 するとキーラは何とも思わずにティーカップの紅茶を飲む。

 

キーラ「10分後、祭りを始める。」

 

ジェニファー「え?」

 

キーラ「季節外れのパリ祭さ」

 

 

---------

 

 

トニー「兎に角、連中が騒ぎを起こす前に行けばいいんだな?」

 

アラン「ああ。騒ぎを起こすには爆弾か何か仕掛けなけりゃいかん。

    それに逃げる群衆に紛れれば簡単に逃げられる。

    騒ぎを起こされたらどこに逃げたか分からなくなる!」

 

 アランとトニーはパリの道路をかっ飛ばしていた。

 アランはタバコを吸いながら拳銃とサプレッサー付きのステンガンに弾を込める。

 

アラン「最悪の場合は銃撃戦だ。」

 

トニー「やるのか?」

 

アラン「文字通り最悪の場合だ。

    最悪の…」

 

 二人が話していると、突如、大きな爆発音が聞こえた。

 前を見ると大きな黒い煙が立ち上っていた。

 そして叫んだ。

 

アラン「メルド!やられた!飛ばせ!交通ルールは無視しろ!」

 

トニー「OK、しっかり捕まってろ!」

 

 トニーは車のシフトを変えアクセルを最大限に踏み込んだ。

 車は急加速し信号、歩行者、車を無視し、避けながらノール駅へ全速力で向かった。

 




フーゴ・シュティグリッツのモデルは映画イングロリアス・バスターズのヒューゴ・シュティーグリッツ曹長です。
多分バスターズもいるかも。


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最近ドルフロ始めたらMP40がかわいい
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