キーラ達を逃したアラン達だったがキーラが市内にいるという事を実際に確認したマルセイユでは新たな動きに出ていた。
シュミット「これより72時間以内にマルセイユ港を出港する全船舶を臨検する。
いいな?」
「「は!」」
シュミット少将はマルセイユ港を出港する全船舶の臨検を決定した。
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一方、市内中心部に戻ったアラン達だったが情報が無く手詰まりに陥っていた。
既に日が落ちていた。
一行は市内のあるレストランで夕食を摂っていた。
邦佳「もう夜になっちゃったね」
アラン「軍が動いているとはいえ情報が無さすぎるからな。
王党派筋の情報網じゃ引っかからねえ」
貫二郎「一匹狼は捕まえにくいですからね…」
スペード「いよいよ手詰まりだな…そういえばトニーどうした?」
するとスペードがアランにトニーの行方を聞いた。
トニーは市内に戻ってすぐに別行動で離れていた。
アラン「ああ。なんでも“シケたフランス料理より上手い飯が食いたい”って言ってどっか行っちまった。
まあこのレストランにいるってことは伝えてあるからそのうち来るだろ?」
トニーは別行動をとっていた。
それにアランは特に気にしていなかった。
トニー一人でも十分身を守れるし闇社会に詳しいのでそちらの情報を集めてる可能性もあった。
すると突然カーラが頭をテーブルに打ち付けた。
カーラ「ああもう!506の発足式典は明後日だっていうのに…!
どうしたらいいんだよ!?
やっぱりマリアンに任せた方がよかったのかも…
私じゃ無理だよ…ジェニファー見つけんの…」
邦佳「カーラ…」
貫二郎「カーラさん…」
カーラが弱音を吐く。
その背中をアランは優しくたたいた。
アラン「一人じゃないんだ、必ず見つかるさ」
するとドアが開いてトニーが入ってきた。
トニー「お前ら、急いだ方が良い」
アラン「え?何があった?」
入ってきたトニーは開口一番に言う。
その口調からかなり焦ってるようだった。
トニー「諜報部だ。諜報部が先にキーラ達が乗っているらしい船の情報を掴んだらしい。
港に大勢集まってるらしいぞ」
アラン「何だって!」
アランが椅子から立ち上がり驚く。
貫二郎「これを逃したら…」
トニー「これがラストチャンスかもしれない。
マルセイユ港を出るところで全ての船が臨検を受けてる。
そこで追いつくぞ」
急いで5人は走って車に戻ると港に向かって飛ばした。
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カーラ「見つけた!あれだ!」
15分か20分後、トニー達は港に着くとハーバーの出口に繋がる水路を航行するモーターボートを見つけた。
トニー達はハーバーの出口に繋がる水路沿いの道路を突っ走る。
すると前方に怪しい集団を見つけた。
スペード「あの船を追ってるのか!?」
アラン「ってことはあの中にいる可能性が高い。
奥を見ろ!海軍だ!」
アランが前を指さす、そこには武装したトロール船がいた。
それはカールスラント海軍第10駆潜艇隊所属の元トロール漁船で88ミリ高射砲と20ミリ高射機関砲で武装した特設駆潜艇UJ1404だった。
UJ1404が発光信号と無線でモーターボートに停船を要求し、モーターボートに横付けした。
その間にアラン達は諜報部に先回りする。
アランの乗ったシムカはカーラ達を援護するために諜報部の一団の横を通り過ぎると前に立ちはだかる。
アラン「武器を捨てて両手を上げろ」
トニー「死にたいならそのままでも構わんがね」
アランとトニーはステンガンとコルトモニターを構えて諜報部員に警告する。
二人の警告の返答はなかった。
アラン「ならいい」
次の瞬間二人は一斉に発砲、諜報部員を文字通り一掃した。
その音を後目にカーラ達は岸壁の端に辿り着いた。
スペード「よし!先回りした…」
貫二郎「邦佳!?」
辿り着いた瞬間、カーラと邦佳は海に飛び込んだ。
邦佳「ジェニファーさん!」
カーラ「必ず助け出す!」
二人は使い魔を出して停船中の2隻に向かった。
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水兵A「カールスラント海軍だ、この船を臨検する」
船長「へえ、構いませんが。」
海軍士官「徹底的に探せ!」
その頃、モーターボートではUJ1404の乗員がモーターボートの臨検を行っていた。
水兵A「キャビン異常なし。」
水兵B「船底部異常なし。」
だが何も見つからない様子だった。
しかし、突如海軍士官があることに気がつき叫んだ。
海軍士官「おい!あいつら何をしている!」
水兵A「え?」
海軍士官は岸壁を指さした。
見ると二人の少女がこちらに泳いで向かって来ていた。
海軍士官「溺者救助用意!」
だが次の瞬間、発射音が聞こえるとモーターボートが爆発し海軍兵士達と乗員は海に投げ出された。
その様子は邦佳とカーラからもよく見えていた。
発射音が聞こえた方を見るとアラン達が一掃した諜報部員とは別の一団がパンツァーシュレックを構えていた。
邦佳「パンツァーシュレック…」
カーラ「う…嘘だろ…?ジェニ…ジェニファーが…死ん…」
邦佳「カーラ?カーラ!?」
カーラはショックを受ける。
そして気を失い溺れてしまう。
急いで邦佳は海に潜るとカーラを助ける。
一方UJ1404では攻撃を受けて混乱が発生していた。
ヴェンケ「何が起きた!」
乗員「は!な、何者かが攻撃したようです!」
一部始終を見ていた艇長のクラウス・ヴェンケは大声で叫んだ。
ヴェンケ「総員戦闘配置!司令部に打電!
こちらUJ1404!S09地区にて何者かによるロケット弾による攻撃を受け交戦中!
臨検班に被害!」
乗員「は!」
乗員は臨検班の救助と同時に武器を用意する。
そして射撃準備が完了するとヴェンケが叫んだ。
ヴェンケ「撃て!」
その声と共にUJ1404の20ミリ機関砲と88ミリ高射砲が火を噴き岸壁にいた男たちが纏めて吹き飛ばされる。
当たり前だが本来飛行機やネウロイ、船相手に使う火力を人間に向けたため岸壁にいた諜報部員たちは一撃で消え去った。
更に乗員は備え付けの救命ボートを下ろして海に投げ出された臨検班や邦佳の下に向かいボートに引き上げた。
水兵C「大丈夫か?怪我はないか?」
邦佳「は、はい、それよりもカーラが…
意識が無くて水飲んでる!」
水兵C「分かった、負傷者一名!急いで船に戻るぞ!」
「「アイアイサー!」」
水兵達は急いでオールを漕いで船に向かう。
邦佳はボートの上でカーラに人工呼吸をする。
邦佳「まだ何にもはっきりしてないんだから!
しっかりして!目を覚まして!」
カーラ「ゴホ!」
すると水を吐いてカーラは意識を取り戻した。
邦佳「カーラ!良かった!」
水兵C「大丈夫そうだが意識はまだ混濁してる。
急いで軍医に見せた方が良い」
カーラは意識を取り戻したがまだ不安定だった。
水兵達は急いで母艦に戻った。
カーラ「こんなのって…ないよ…ジェニ…ジェニファー…」
カーラは途切れ途切れにうわごとのように言った。
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数時間後、マルセイユ港湾司令部にアラン達が来ていた。
それは勿論UJ1404に収容された邦佳とカーラの身柄の引き取りもあったがもう一つはあのモーターボートに関する情報だった。
アラン「では、あの船に女性は乗ってなかったのですね?」
ナウ「ええ。報告ではそうです。
乗っていたのは船長だけです」
アランの質問に第10駆潜艇隊司令のヘルベルト・ナウ少佐が答える。
ナウもこの件で部下数名を失っていたためなぜただのモーターボートが諜報部に攻撃されたか不思議で仕方なかった。
この襲撃でマルセイユ港は厳戒態勢となりキーラ達ではなく諜報部の人間を徹底的に探していた。
そしてナウの受けた報告では臨検をしていた船にキーラ達は乗っていなかった。
アラン「では船の船籍は分かりますか?」
ナウ「ええ。マルセイユのこの会社の物です」
ナウはマルセイユの会社リストからある会社を指さした。
するとそこに邦佳とカーラが水兵に連れられてやってきた。
水兵D「司令官、黒田中尉とルクシック中尉を連れてまいりました」
ナウ「ご苦労、下がってよろしい」
ナウは水兵を下がらせた。
水兵が去ると貫二郎が邦佳に抱き着く。
貫二郎「邦佳!無事でよかった!」
邦佳「うん、でも…」
邦佳は言葉を濁した。
するとアランが朗報を伝える。
アラン「お前ら、朗報だぞ。
ジェニファーは死んでない」
「「え!」」
カーラ「じゃあまだジェニファーは無事かもしんないんだな!?」
朗報に二人は大喜びする。
アラン「ああ。二人はあの船に乗ってない。
恐らくあれは囮だ。
その囮の船を持ってた会社も突き止めた。
この会社の連中が関わってるのは確かだ」
アランが状況を説明する。
そしてテーブルの上に置かれていた電話を手に取った。
アラン「マルセイユ港湾司令部財務調整室。
私だ、今すぐ次の会社の情報をくれ。」
暫く電話で話すと彼は電話を切った。
アラン「よしお前ら、30分後にガサ入れだ。
一緒に乗り込むぞ」
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30分後、マルセイユのある倉庫では数人のギャングがカールスラント陸海軍の兵士に囲まれていた。
倉庫の外にはトラックや乗用車だけでなくパナール178装甲車やシュタイヤーADGZ装甲車まで集まっていた。
アラン「さてと、答えてもらおうかボスさんよ?」
トニー「こっちだって裏社会の人間でね。
腹を割って話そうじゃないか。
それとも?実際に腹を割って話すか?」
その兵士達を率いてアランとトニーはギャングのボスの髭面の男を尋問していた。
彼は倉庫内の椅子に座らされ周りを完全武装の兵士達に囲まれていた。
トニーはナイフを取り出して男の首に当てる。
ボス「分かったよ、話すが一つ条件を付けさせろ。
逮捕はするなよ?」
アラン「分かってる。言っておくが俺達に逮捕権はない。
だから拘束は出来ても逮捕は出来ないね」
ボス「そうかなら話そう。
あの二人はトゥールーズ経由でブレストに向かった。
そこから潜水艦に乗ってブリタニアに向かうそうだ」
ボスは条件を付けた上でキーラとの件を話した。
そして立ち上がる。
アラン「そうか、メルシー、旦那さん。
少尉!」
少尉「は」
アラン「こいつらは頼んだ」
アランは軍部隊を率いていた警察上がりらしい少尉にギャングの一団の事を頼んだ。
少尉「は。
貴様らを密輸、密航、違法な武器売買、窃盗、恐喝、脱税、反政府勢力への協力の容疑で逮捕する」
ボス「お、おい!逮捕はしない約束じゃなかったのか!」
アラン「大変済まないね。俺達とそこの兵士達は所属が違うもんでね。
あくまで俺達が逮捕できないだけで彼らは逮捕できるのだよ、悪く思わないでくれ。
ではアデュー」
アランは凶悪な笑みを浮かべてボスに話す。
そしてボスに手を振って出て行った。
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キーラ達の情報を知ったパリでは大騒ぎになっていた。
ボック「潜水艦だと!一大事だ!」
ハイドリヒ「地上で捕まえますか?」
ボックとハイドリヒはこの計画が彼らの安全保障体制への影響を警戒していた。
何せ彼らが受け持っていると言ってもいいガリア領海に
ボック「バカ言うな、地上で捕まえても逃げられる可能性が高い。
確実に逮捕しろ」
ハイドリヒ「では洋上でですか?」
ボック「ああ。アルノー提督に連絡。
至急ブレスト周辺部の対潜警戒を厳とし国籍不明の潜水艦を発見次第報告せよ」
ボックは連合軍海軍西ガリア艦隊司令長官ロタール・フォン・アルノー・ド・ラ・ぺリエール提督に至急の命令を出した。
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連合軍海軍西ガリア艦隊司令部はブレストのブレスト城にあった。
ブレスト艦隊はUボートや沿岸警備隊、各種雑多な艦艇の他に数十隻の駆逐艦やフリゲートを有する艦隊でありブレスト以外にもシェルブールやサンナゼール、ロリアンなどに各国の艦艇などが集まり合計数百隻の艦艇を有する艦隊だった。
その司令官たるアルノーはかつては第一次世界大戦で多数の輸送船を撃沈合計194隻、453716トンのスコアを上げ史上最大の戦果を挙げた潜水艦艦長という輝かしい記録を持った男だった。
アルノー「成程な。国籍不明の潜水艦か」
参謀「どうしますか?
警戒を上げましょうか?」
参謀が意見具申する。
だが彼はゆったりと椅子に腰かけながら少し考える。
アルノー「上げるのは明日の日没後からだ。
まだパーティには少し早い。
いいかね?狐狩りをするにはまず狐がいるのだよ」
参謀「は」
アルノーは冷静に策を廻らせる。
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王党派がブレストからブリタニアを目指しているという情報は506にも届いた。
ホスバッハ「ブリタニアか…」
ロザリー「どうしてブリタニアなのかしら?」
ブリタニアに向かう情報にロザリーは疑問を持っていた。
プレッツ「大方ブリタニアに介入させて混乱させるか再編成を強いるかのどちらかでしょう。
残念ながらブリタニアの王立海軍は我々の指揮下にある。
ブリタニア領海に侵入すればその時点でRNは撃沈するという判断を下したそうだ。」
ロザリー「撃沈!?」
ロザリーが驚く。
撃沈という最悪の事態は絶対に避けなければならない。
ロザリー「何としても撃沈される前に助けるのよ!
急いでル・アーブルにユニットを送って!」
ホスバッハ「了解、整備班は緊急でル・アーブル分遣隊を緊急編成。
輸送機中隊は緊急出動態勢。
ル・アーブル空港に連絡、明日の朝一で輸送機を出す。
受け入れ態勢を整えさせろ!」
ホスバッハは即座に指示を出す。
翌朝、セダンとディジョンから5機のC-47が飛び立ちル・アーブルに向かった。
折しもアラン達もマルセイユからパリを経由しル・アーブルに飛行機を乗り継ぎ向かった。
(解説)
・クラウス・ヴェンケ
史実ドイツ海軍駆潜艇UJ208艇長
1944年に戦死して飛ばされる。
現駆潜艇UJ1404艇長
・ヘルベルト・ナウ
史実ドイツ海軍第10機動掃海艇戦隊司令。
44年に自動車事故死して飛ばされる。
現マルセイユを根拠地とする第10駆潜艇隊司令官
登場した駆潜艇UJ1404は史実では42年のディエップ上陸作戦で英軍の上陸部隊に遭遇してしまい撃沈された可哀想な船です(その際周りの船めがけて大混乱を引き起こした戦果もあるけど)