WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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復活!ノーブル編全部終わらせてやらあ!


第26話:新たなる陰謀の始まり

 ガリア・ロマーニャ国境上空高度3200メートル

 眼下ではガリアとロマーニャが一触即発の状態地域をそんなことを気にせず飛んでいるのはヴェネチア空軍から払い下げられヴェネチア国籍の民間機となったフィアットBR20チコーニャ爆撃機だった。

 その機内の一人のヴェネチア空軍将校は周りの慌ただしく動いている民間人を後目に新聞を読みながらこれからどうしようかなどと考えていた。

 すると彼に一人の民間人が耳打ちした。

 

「そろそろガリアか、準備は?」

 

「ええ、できてます。」

 

 新聞を閉じると訊ねる。

 そして一言予定通りにやれと言うと機長からの報告が飛んだ。

 

機長「大尉、前方にウィッチ3名確認、506Aと思われます」

 

「迎えだろうな。ウィッチにバレないようにやれ。

 ネガは帰りにトリノでロマーニャ軍に引き渡しておいてくれ。」

 

 そう指示するとまた新聞を読み始めた。

 新聞の一面には『ロマーニャ政府、ガリア政府を非難!ミラノのテロはガリア政府の支援を受けたガリア人テロリストによるもの!』と書かれていた。

 それから数十分、フランスアルプス上空を何事もなく飛行した彼らだが、セダン基地への着陸直前に無線連絡を受けた。

 

機長「何!?了解した」

 

「どうした?」

 

 大声で驚く機長にコックピットに将校が入って尋ねる。

 

機長「はい、セダンの北方からネウロイが接近しているようです。

   護衛のウィッチも迎撃に向かわせるそうです。」

 

副操縦士「ウィッチ、離れていきます!」

 

通信士「早く基地に着陸しますか?」

 

 コックピットの窓からはウィッチが旋回して離れていく様子が見える。

 

「そうか、旋回して戦闘を観測できる位置に移動できるか?」

 

機長「はい!?無理です。こいつは非武装ですよ!?」

 

「分かった。基地へ直行だ。」

 

 機体はセダン基地へと直行した。

 一方で迎撃に向かったウィッチの間で騒動が起きているとは彼らは着陸して暫くするまで露程も知らなかった。

 

 

---------

 

 

 数時間後、基地の食堂では着任した新任のウィッチと元々のウィッチたちが交流していた。

 

ホスバッハ「というわけだ、この度着任した」

 

カルヴィ「ヴェネツィア空軍所属、カルヴィ大尉です。よろしく。」

 

ホスバッハ「原隊は空軍参謀本部と聞くが事実か?」

 

カルヴィ「ええ。空軍次官の副官を」

 

 カルヴィが原隊の話をする。

 彼は以前はヴェネツィア空軍の参謀本部で空軍次官の副官をしていた。

 しかし、彼がトラヤヌス作戦反対派に属していたことから506に左遷も同然に流されてきた。

 すると邦佳が質問してきた。

 

邦佳「あの!今日乗ってきた爆撃機って…」

 

カルヴィ「私の私物だが?フィアットに発注した」

 

邦佳「私物!?今幾らぐらい持ってるんですか!?」

 

 驚きのあまり立ち上がって聞いてくる。

 明らかに目の色を変えていた。

 

貫二郎「邦佳!それは失礼だよ!」

 

邦佳「あっ!すいません…つい気になって」

 

カーロイ「ハハ、金の事になると目の色が変わるのは変わらんな」

 

カルヴィ「ハハハ、気にしてないのでお構いなく。

     まあ、銀行を所有しているぐらいには。」

 

邦佳「えっ!?銀行!?」

 

カルヴィ「ええ。銀行と言ってもヴェネツィアを中心に支店が20個程の銀行ですよ。

     それに後は真空管製造会社、銃器メーカー、繊維会社に植民地での製塩事業と石油事業ぐらいですかな、最近は。」

 

 カルヴィはこの世界でも銀行家として名を馳せていた。

 彼は資産家としてローマの銀行を所有し、その他に真空管製造会社、銃器メーカー、繊維会社を所有して戦時経済に乗っていた他、ソマリアの塩田とリビアでの石油探査に出資していた。

 だが、明らかに戦時だけでなく戦後経済も見据えた投資を行っていた。

 何せ、真空管産業は史実では戦後、やがて世界経済を支配する半導体製造業に変化し、繊維会社はイタリア経済を支え、リビアからは巨大な油田が発見される。

 

邦佳「カルヴィさん!養女にしてください!養ってください!」

 

 思わず養女入りを志願する邦佳。

 

カルヴィ「ハハ、面白い子だな。妻なら少しは考えてもいいぞ」

 

貫二郎「それは困ります。」

 

カルヴィ「成程、フィアンセがいるとは。では養女だな」

 

 即座に反応した貫二郎を笑うカルヴィ。

 そこへ医務室に行っていたハインリーケが戻って来た。

 

邦佳「大尉!」

 

ハインリーケ「中尉…起きたのか?」

 

 ハインリーケはわざと窓の方を見ながら訪ねる。

 それに元気よく答える邦佳。

 

邦佳「はい、もう大丈夫ですよ!次は失敗しないできちんと稼ぎますね!

   それよりも!カルヴィさん凄いんですよ!銀行持ってて!飛行機も!」

 

 いつものように元気な邦佳を見てさっきまでの心配が無駄だったかのように感じる。

 昼間、カルヴィの護衛中に現れたネウロイを基地から別途迎撃に向かった邦佳は、突如魔法力が消失するトラブルを起こしていた。

 幸い貫二郎やカーロイらが何とかして邦佳を助けて撃墜したお陰で死傷者は出なかったが今後について心配になる出来事だった。

 その原因は心的な物というのが軍医の見立てだ。

 だが、当の本人がケロリとして、元気そうなのを見れば…

 

ハインリーケ「馬鹿らしい心配事じゃな」

 

 コーヒーを取ると彼女は出て行った。

 

邦佳「大尉?」

 

カーロイ「あいつもアイツなりにお前さんが心配だったんだな」

 

 イザベルの残した野菜をまるで嫌いな物を代わりに食べてあげる父親のように食べるカーロイが呟いた。

 

アドリアーナ「黒田」

 

邦佳「はい?」

 

アドリアーナ「次は姫様を見返してやれよ」

 

邦佳「うん、頑張る!」

 

 アドリアーナの応援に食事の手を止めてVサインで答える。

 だが症状がこれからどんどんと悪化していくことを彼女は知らない。

 

---------

 

 その頃、トリノではヴェネツィアに戻る途中のカルヴィの機が着陸して撮影したネガをロマーニャ軍の情報部に渡していた。

 その中にはニースとサヴォイア地方のガリアの重要施設、駅やダム、トンネル、都市、基地、港、国道、交差点などの情報が含まれていた。

 

 

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「射撃開始!」

 

 

 翌朝、銃声と共に射撃場に並べられた的が次々と倒れていく。

 基地の外れにある小さな射撃場では第506統合戦闘航空団の警備部隊の兵士達が射撃訓練を行っていた。

 何度もテロや誘拐といった事件に巻き込まれてきた関係から、他の統合戦闘航空団よりも警備を重視して訓練は積極的に行われていた。

 

カルヴィ「噂にたがわぬ重武装ぶりだな」

 

ロザリー「ロマーニャにまで噂が?」

 

 その様子を見学していたカルヴィの感想にロザリーが聞き返す。

 カルヴィの感想も最もであった。

 なにせ警備部隊の編成が相も変わらず戦車一個中隊を含んだ5個中隊に高射砲兵一個大隊、120トンの補給段列、戦闘機1個中隊等々である。

 その5個中隊の警備部隊も3個山岳猟兵と1個降下猟兵だからだ。

 

ホスバッハ「この周辺は山岳地も多い。

      緊急時には山岳地帯での抵抗を想定して山岳猟兵が多めだ」

 

カルヴィ「その割に各中隊長は騎士鉄十字賞受勲者ばかりだ。

     警備部隊の人選にはかなり拘ったのだろう。」

 

 カルヴィの予想は当たっている。

 本格的な警備部隊編成の際には人選にかなり拘って編成した結果、全ての中隊長が騎士鉄十字賞受勲者となった。

 部下の兵士もベテランが多く、彼らの戦闘力はかなり高い。

 

ロザリー「まあ、でも、そのせいで忙しそうなのよね…」

 

 その戦闘力の高さと装備の質はセダン都市司令部から羨ましがられていた。

 そして何より王党派追討の大号令がかかっている現在、警察部隊や再編中、編成中、信頼できないガリア軍と比較すれば規模は小さくとも優秀な指揮官と装備を有した独立部隊である彼らは度々追討任務に駆り出されていた。

 そのため、補給部隊とその他部隊から警戒戦闘団″ホスバッハ″を編成しなければならない程だった。

 数日後、彼らが別の理由で大忙しになるとは誰も思っていなかった。

 

------

 

 

「ですので、我がリベリオンの優秀な国力をこのクソったれた国の国民共に披露すべきなのです」

 

ボック「言いたいことは理解できますが…閣下、我々も暇じゃないんですよ」

 

 同じ頃、ガリア軍行政司令部ではボックが頭を抱えながら客の応対をしていた。

 ボックが慣れない英語を使っている事から相手はリベリオン大使だと分かる。

 なぜ彼がここに来ているかはボックが見せられたガリアの新聞にあった。

 

リベリオン大使「我が国が欧州にどれだけの国力とボーイズの血を流しているが彼らは全く理解していない!

        だからこそ我が国を裏工作に励む薄汚い連中だと言い張るのだ!」

 

ボック「そのパフォーマンスに協力しろと?」

 

 大使の言いたいことを何となく理解したボックは心の中でため息を吐く。

 

ボック「全くヤンキーはいつもこれだ」(ドイツ語)

 

リベリオン大使「何かね!?軍は私に不満でもあるのか!?」

 

ボック「リベリオンの支援に我々は頭が上がらないのは事実です。

    我が国もそのおこぼれを頂戴して大量の物資、兵器、食料、船舶の供与を受けています。

    おかげで兵士達も窮乏とは無縁で喜んでいる。

    その点では感謝してもしきれるものでありません。」

 

 史実での圧倒的な物量を思い出しながら彼らの莫大な支援に感謝の気持ちを述べる。

 明らかにはぐらかそうとする会話だが内心ではボックはこの大使の傲慢さに辟易していた。

 彼もまた欧州の事は欧州で決めたいというスタンスであり、それ故に軍事行動や政治活動を行っている。

 

大使「では少しぐらいその感謝の意の代わりに協力するのはいかがかね?

   最新鋭のウィッチとその装備のデモンストレーションだ。

   これでナイトウィッチの不足も少しは補えると思うのだが?」

 

 大使は今回見せつけたい装備の概要に関する書類を見せながらボックに言う。

 が、ボックは陸軍軍人であり、ウィッチについても門外漢である。

 

ボック「まあ、この書類の言う事をそのまま鵜呑みにすれば確かに便利そうではありますが…」

 

大使「それに、506健在のアピールにもなる。

   それは君達にもメリットだろ?」

 

ボック「ええ。これでは我々に拒否権がない。」

 

大使「初めからあったとでも?」

 

ボック「はあ、まあ、微塵も思ってはいなかったが。」

 

 ボックは完全に折れた。

 数十分後満足そうな顔で帰っていくリベリオン大使を窓から見下ろしながらボックは苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。

 

ボック「クソ、従兵!玄関に塩でも撒いとけ!

    二度と来るな!」

 

 彼は荒っぽく机に書類を叩きつけた。

 

ボック「はぁ、このデリケートな時期に…」

 

 彼が叩きつけた書類の表紙には『アッティラ作戦要綱 ニース・サヴォイア併合に関するガリア駐在連合軍の行動に関する事項』と書かれていた。

 

 

---------

 

 

 数日後、ニース地方。

 この地域に駐屯するガリア軍兵舎に大量のトラックと満載された″民兵″が接近していた。

 

民兵「動くな!武器を捨てろ!」

 

ガリア兵「なんだ!?」

 

 突然の事にベッドから寝間着姿で起きた兵士達は呆気に取られてそのまま武装解除された。

 そのようなことがニースとサヴォイア地方各地で起きた。

 更に、それらは各地の役所、駅、港、発電所、ダム、その他重要施設でも発生した。

 

ガリア兵「くっ、貴様らは一体何なんだ」

 

 両手を頭の後ろに回して跪いたガリア兵たちが問いかける。

 視線の先には最新鋭のロマーニャ軍装備を持った民兵たちがいた。

 

 この日、ロマーニャ系住人の保護を大義名分としてロマーニャがニースとサヴォイアに侵攻し、併合した。

 ガリア政府は何もできず、連合軍は事実上黙認した。

 ロマーニャはさらに大規模な民兵や陸軍、空軍をこの地域に駐屯、ガリアに対抗した。

 この事件の影響はすぐに出た。

 まず、この地域からネウロイが副次効果で一掃された。

 何せ、重砲など多数を装備したロマーニャ軍の攻撃に殆どが成すすべなく叩き潰された。

 次に難民の発生、大量の難民が北ロマーニャと南ガリアに流入した。

 再び発生した難民にガリアは頭を抱えた。

 そして何より、ガリア政府内部の派閥抗争の激化だった。

 それは共和派の中でもガリア中心主義的なド・ゴール派に共和派が統合されることとロマーニャへの対抗として海軍力とカールスラント、延いては連合軍の支援を得ようというガリア海軍のダルラン提督・ラヴァル派に分裂した。

 

 

 

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ダルラン「我々もド・ゴールに対抗せねばならない。」

 

 数日後、ダルランはパリ中心部のホテルで行われたパーティでガリア軍行政司令部の面々に直接メッセージを伝えていた。

 反ブリタニア感情が極めて強く、史実の自沈したフランス艦隊を戦力とした戦艦5隻、巡洋艦7隻などからなる南ガリア艦隊を指揮しているダルランは陸軍を指揮するド・ゴールと並んだ最もガリアで軍事力を持った男だった。

 この南ガリア艦隊は事実上西地中海の王であり、ロマーニャ海軍も警戒していた。

 だが、ダルランはド・ゴールに対抗するためにニースとサヴォイア地方を引き換えにロマーニャとカールスラントの支援を得ていた。

 

ボック「ああ。そのためにも506は重要だと思うが」

 

ダルラン「それには同意する。ド・ゴールに彼女達を渡してはならない。

     リベリオンにもだ」

 

ホスバッハ「それでこの訓練を?」

 

 パーティに唯一506から招かれたホスバッハは内密に耳打ちされた合同訓練について口にする。

 それは506の両部隊による夜間演習だった。

 

ボック「元を辿れば大使が反リベリオン感情に怒って最新鋭ストライカーユニットの供与と引き換えにB部隊の方が優れているというイメージを作りたくてやりたがっている演習だ。

    先方がそうならこちらも利用できるだけ利用させていただく算段だ。」

 

ダルラン「A部隊とB部隊の協同をアピールできるのならばそれはそれでよく、この計画を我々の派閥である君が主導できるなら506を取り込んだ実績となる。

     実際警備部隊は我々の勢力だろう?」

 

ホスバッハ「ええ。」

 

ボック「カルヴィもヴェネツィア空軍の我々の勢力だからな。」

 

 B部隊の預かり知らぬところで陰謀が進んでいた。




南ガリア艦隊はトゥーロン港自沈で自沈した艦艇群です。
まあダンケルク、ストラスブールの最新鋭ダンケルク級とプロヴァンスとブルターニュに混ざって準ド級戦艦コンドルセとド級戦艦オセアン混ざってる艦隊だけど。
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