WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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今回は薬物関連の表現あり。
当時薬物って規制緩かったし軍の装備品にも入っていたから仕方ない。
あと独自設定あり。


第13話:亡国の悲哀

 ティータイム後、宮藤、リーネ、ミラー、ノヴァクの三人はハインツの部屋の前にいた。

 

宮藤「失礼しま…ひゃ!」

 

 その瞬間宮藤の右をペーパーナイフが飛んできて内開きのドアに突き刺さった。ドアにはナイフが突き刺さった跡が沢山付いていた。

 

ハインツ「宮藤か…エイラが手伝いもしないのに来たのかと思った。

     で、何の用だ?給料なら中佐が持ってるぞ。俺は忙しいんだ。」

 

 部屋の隅と真ん中の左右にソファーが置かれたテーブルの上に山のように酒の空ビンが置かれ、座ってるイスの前の別のテーブルは書類で埋もれて隅に置かれた灰皿はタバコの吸い殻で山になっていた。

 その部屋の真ん中に置かれたテーブルに足を乗せながらハインツが言った。

 ハインツは仲のいいエイラがよく手伝いもしないのに来ては適当に話して帰っていくという仕事の邪魔してるとしか思えないことをよくしてたせいで仕事が忙しい時期になると部屋に入ってきた途端、ペーパーナイフや銃剣やトマホーク(斧の方。整備士から巻き上げた品らしい)やハサミを投げるクセがついていた。

 そしてその忙しい時期がちょうど今日だった。

 給料日前後は税金や補助金、手当やらの計算で忙しかった。

 なにせこの部隊で使われる通貨はスターリング・ポンド、だが税金制度はカールスラント、リベリオン、ブリタニア、ロマーニャ、扶桑、スオムス、オラーシャ、ガリア。

 これだけの国の税金制度で毎月所得税、住民税、各種地方税、その他税金、各種控除、給付金、年金その他諸々の計算をしなければならないのである。

 めんどくさくて仕方ない。だがそうしないと脱税で捕まるので毎月気が遠くなるほどの計算をして給料を払っている。

 特にまだ固定レートだからいいが毎月各国通貨に一旦ポンドを変換してどれだけ給料を天引きするか計算するのは面倒である。

 通貨だけでリベリオンドル、ライヒスマルク、リラ、旧円、マルッカ、ルーブル、ガリアフラン。各レートは大体割り切れない。

 さらにこの部隊の公用語はブリタニア語(英語)なのだが彼の英語力は当時のドイツ人の中ではパイロットという頭脳職だったので比較的マシだったがそれでも壊滅的であり、普段からかなりキツイ訛りで話してた上に書類でもたまに綴り間違いして、読むにかけてはさらにヒドイレベルだった。

 最もこれでも結構マシになった方なのだが…

 そのため毎月この時期は山のようなの書類仕事にさらにたまの夜間哨戒(だいたい週一)に戦闘で労災申請レベルの仕事量だった。

 

宮藤「あの、バルクホルンさんのことについて知りたいんですけど。」

 

ハインツ「まあ、いいぞ。ただし条件がある。それでいいなら話すぞ。」

 

 ハインツはそう言うとテーブルに引き出しからファイルを一つ取り出した。

 そのファイルを開くと読み始めた。

 

ハインツ「ゲルトルート・バルクホルン、18歳、1926年3月20日生まれ。

     階級は大尉、ただし本国では少佐扱いだ。

     所属は第52戦闘航空団第2飛行隊隊長。

     出身はカールスラントの東プロイセンカイザーベルク。

     剣付騎士鉄十字章受勲者。撃墜スコアは250以上。

     品行方正、質実剛健、目立った規律違反のない優秀かつ模範的軍人。

     家族は両親がいたが40年に行方不明になり一昨年裁判所により死亡扱いに。

     そのため戦死者遺族給付金が給付中。

     今年の3月まではさらに戦災孤児特別給付金が支給されていた。

     また妹がいるがこちらは40年に戦災で負傷、現在ロンドンにて入院中。

     これにより戦傷病者特別給付金が給付されてる。こんなもんだな。」

 

 それはバルクホルンの履歴書だった。

 

ノヴァク「妹がいるのか…まさかとは思うが見舞いには…」

 

ハインツ「記録によると…行ってないな。まずここ最近休暇を取った記録がない。」

 

 バルクホルンの休暇関連の書類を確認する。そこにはここ数ヶ月休暇の申請に関する書類がないことが記されていた。

 

ハインツ「で、取引って言ったな。それじゃあお前ら全員、この書類の山を処理するの手伝え。

     それかアンフェタミンかペルビチン、メタンフェタミン持ってこい。」

 

 だいたい聞きたいことが終わったと感じたハインツは4人に仕事を手伝うかある物を持って来いと言った。

 だがその物がわからない宮藤が首をかしげる。

 

宮藤「アンフェタミン?ペルビチン?メタンフェタミン?」

 

ミラー「それ確か覚醒剤ですよね?」

 

宮藤「かっ覚醒剤ってダメですよ!」

 

 それは全て覚醒剤の一種、この物質は全て大戦中実際に使用された物だった。

 大戦中両陣営において覚醒剤は積極的に使用された。

 有名なのがドイツのペルビチン。もともと鎮静剤であり当時ドイツ国内では薬局で手軽に買える品だった。

 実際の使用例ではエバン・エマール要塞攻撃時のドイツ兵に投与された記録があり、43年に起きたレロス島上陸作戦「タイフーン」において降下した降下猟兵がイタリア軍がストックしていたアンフェタミンを発見、それを投与して夜襲してきてイタリア兵を撃退したという例がある。

 戦後も各国軍では薬物が装備品の一つに数えられ、ベトナム戦争では米兵の薬物乱用が問題化、東西ドイツ軍は再統一まで覚醒剤を秘密裏にストックしていたことで知られている。

 あまりに仕事量が多いためハインツはこれを要求したのだ。

 

ハインツ「うるせえ!過労死するよりマシだー!」

 

ノヴァク「それじゃあ俺は用事あるから失礼するぞ。」

 

 宮藤・リーネ・ミラーとハインツが言い争っているとノヴァクは部屋を出て行った。

 

ミラー「逃げた…」

 

ハインツ「逃げられた…喜べお前ら一人分の仕事が増えたぞ。」

 

 この後4人は山のような書類相手に地獄の戦争を夕食時まで繰り広げた。

 

---------

 

 ノヴァクがハインツの部屋を出てしばらくして。

 ノヴァクはバルクホルンの姿を見つけた。

 

ノヴァク「バルクホルン、ちょっといいか?」

 

バルクホルン「なんだ?」

 

 ノヴァクはすぐに声をかけた。

 

ノヴァク「ああ、少しお茶でもどうだ?」

 

バルクホルン「お茶?こんな時間にか?」

 

ノヴァク「悪いか?」

 

 すでに日は傾き始め綺麗な夕日が見えていた。

 

バルクホルン「まあ別に構わないが…」

 

ノヴァク「ならよかった。」

 

 バルクホルンがそう返答すると自分の部屋まで案内した。

 ノヴァクの部屋はドアを開けると左手にベッド隣に小さな祭壇が、目の前に小さなテーブルと椅子が二脚、その奥にはラジオが置かれた小さな棚、テーブルの右手には上に片付けられたティーセットが置かれたタンスがあった。

 

ノヴァク「どうぞ座ってくれ。俺はお茶の用意をするから。」

 

 バルクホルンに着席を促し、ノヴァクはタンスの上のティーセットを慣れた手つきで準備した。

 しばらくして出されたのはブリタニアで言うところのレモンティーとジャムだった。

 

バルクホルン「ノヴァク、なんでレモンティーなんだ?レモンティーは子供の飲み物だ。」

 

ノヴァク「バルクホルン、ポーランドじゃレモンティーが主流。むしろミルクティーの方が子供の飲み物だよ。」

 

 バルクホルンがなぜレモンティーを出したか聞くとミルクティーの方が子供の飲み物だと言う。

 ポーランドではイギリスとは真逆にレモンティーが大人の飲み物、ミルクティーが子供の飲み物だった。

 

バルクホルン「それと、なんでジャムがあるんだ?」

 

ノヴァク「そりゃあこうして飲むからだよ。」

 

 バルクホルンの質問にノヴァクはスプーンでジャムを一掬いするとそれを紅茶の中に入れて飲んだ。

 

ノヴァク「ポーランドじゃあこういう飲み方が主流だからな。」

 

バルクホルン「そうなのか?」

 

 バルクホルンも真似して飲んで見る。

 

バルクホルン「美味いな。なかなかいいな。ところでノヴァク、なんで呼んだ。」

 

 バルクホルンがノヴァクに本題を聞く。

 すると、

 

ノヴァク「バルクホルン、ヴァレンシュタインから聞いたぞ。お前妹の見舞いに行ってないみたいだな。

     怪我したんだ、一度ぐらい見に行ってやれ。」

 

バルクホルン「そんなことしてクリスが目を覚ますと思うか?だったら一体でも多くネウロイを撃墜したほうが…」

 

ノヴァク「唯一残った血の繋がった家族にそれか?それじゃあクリスちゃんが可哀想だ。

     せっかく唯一生き残った家族が自分の元にこないなんて。」

 

バルクホルン「…まれ…」

 

ノヴァク「たとえ目が覚めても自分を抱きしめる人がいない。」

 

バルクホルン「黙れ…」

 

ノヴァク「まだ生きてたらたまにニュースに載るだけいいだろう、死ねばある朝起きたら先生に『あなたのお姉さんは二階級特進なさいました』と言われたらどう思う、起きたら自分一人でこの世界に孤児として放り出されるんだぞ。」

 

バルクホルン「黙れ!貴様に何がわかる!家族を!祖国を!故郷を失った何がわかる!」

 

 そう言うとバルクホルンはカップをテーブルに叩きつけて割って出て行ってしまった。

 その反応にノヴァクは暫く呆然とすると、

 

ノヴァク「祖国を、家族を、故郷を、友人を、なにもかも失ってるから分かるんだよ…」

 

 その呟きは夜の闇に消えていった。

 

---------

 

 翌日、リーネとミラーは格納庫にいた。

 

リーネ「ミラーさん今日はなんで一緒に飛ぶんですか?」

 

ミラー「ああ、ユニットの修理が昨日終わったからそのテストに。

    訓練の邪魔はしないから安心して。」

 

リーネ「大丈夫なんですか?」

 

トゥルーヒン「大丈夫だと思いますよ。

       全く、少尉がトカイワイン2本くれるって約束しなかったらあと二週間かかるんですから。」

 

 リーネの疑問に目に隈をつけた整備士のトゥルーヒンが答える。どうやらワインの王様目当てに徹夜したらしい。

 

ミラー「すいません。約束のブツは昨日主任に渡したんでいいですよね。」

 

トゥルーヒン「まあいいですけど。僕はこれから寝るんで失礼するよ。」

 

 トゥルーヒンが大きな欠伸をして格納庫から出て行くとそれと入れ替わって坂本たちがが入ってきた。

 

坂本「今日は編隊飛行の訓練を行う!

   私の2番機にリーネ!」

 

リーネ「はい!」

 

坂本「バルクホルンの2番機に宮藤が入れ。」

 

 坂本の指示に宮藤はバルクホルンを見る。バルクホルンは坂本を見ていた。

 

坂本「宮藤、返事はどうした。」

 

宮藤「はい!」

 

坂本「それとミラーもユニットのテスト一緒に飛ぶ予定だ。そうだな?」

 

ミラー「ええ、ある程度機動性テストしてから空中射撃テストもする予定です。もし落ちたらすぐに助けてください。」

 

 4人が離陸するとリーネ達は編隊飛行の訓練を始めた。ミラーはその後ろで戦闘機動に耐えられるかのテストをしていた。

 ミラーのテストがひと段落して基地の端にある専用射撃場上空について下で高射砲部隊の観測要員が砲兵用のカニ眼鏡を用意して待機していた。

 いつもならハインツが手伝うのだがこの時彼は部屋で風呂にも入らず爆睡していた。

 

砲兵『ミラー少尉。観測用意完了。いつでもどうぞ。』

 

ミラー「それじゃあ今から訓練弾を三連射する。」

 

 無線で観測班に連絡すると通常の銃とは比べものにならない重い発砲音が3回なった。

 ミラーから見ると500メートル先に100メートル下に置かれた目標のドラム缶に全弾命中した。

 

砲兵『全弾命中!全く羨ましい精度…』

 

 命中の報告をした砲兵が何か続けようとした時サイレンが鳴り信号弾が打ち上げられた。

 

砲兵『ミラー少尉。ネウロイです。』

 

ミラー「ああ、そうみたいだ。」

 

---------

 

ハインツ「ふぁ!?ネウロイ?」

 

 部屋で爆睡していたハインツは急いで部屋を飛び出すとミーナやノヴァクと出会いユニットを履いて出撃した。

 上空で坂本たちとミラーに合流するとハインツは即座に敵の位置を聞いた。

 

ハインツ「敵は?」

 

坂本「グリッド東07地区、高度15000に侵入した。」

 

ハインツ「グリッド東07、レベル150ね。最近連中出撃サイクルのブレが激しいな。」

 

ミーナ「カールスラント領で動きがあったらしいけど、詳しくは…」

 

バルクホルン「カールスラント!」

 

 ミーナのカールスラントという言葉にバルクホルンが反応する。

 実はこの時そこから数百キロ離れたユトランド半島とバルト海諸島地域では連合軍による大規模反攻作戦が行われていた。

 この作戦は秘密裏であったためミーナの耳には何かが行われているとしか入ってなかった。

 

ハインツ「どうかしたか?」

 

バルクホルン「いや、なんでもない。」

 

 ハインツがに聞くがバルクホルンは否定する。

 だがその態度や表情は明らかに異常だった。

 

坂本「よし、隊列変更だ。ペリーヌはバルクホルンの2番機に、宮藤は私のところに入れ。

   ミラーとハインツは狙撃用意。ノヴァクは遊撃だ。」

 

ハインツ「了解!ミラー射撃用意!」

 

ノヴァク「了解!さてと、ショータイムだ!」

 

 坂本の指示でハインツはいつも通りミラーと組んで、ノヴァクはその特異性からいつも通り遊撃だった。

 ノヴァクの固有魔法である加速はシャーリーと比べると伸び幅が一回り劣っていた。だがその一方で加速力とエネルギー維持に優れドッグファイトや旋回戦闘ではノヴァクの方が有利だった。

 さらにスピットファイアの高い旋回性能と上昇性能も組み合わさり1対1では坂本でさえ苦戦するほどのドッグファイトの名手になっていた。

 しばらくすると坂本の魔眼とハインツの双眼鏡がネウロイを捉えた。

 

ハインツ「目標発見!射撃用意!中佐援護してくれ。」

 

坂本「バルクホルン隊突入!」

 

バルクホルン「了解!」

 

 敵を発見するとハインツはミーナに援護を要請。坂本の指示でバルクホルンは突入する。

 さらにその後ろからノヴァクがネウロイを攻撃する。

 するとミラーの射撃を観測していたハインツが叫んだ。

 

ハインツ「クソ!バルクホルンが邪魔だ!」

 

ミーナ「やっぱりおかしいわ。」

 

リーネ「え?」

 

 ハインツが叫んだのに続いてミーナが言い出した言葉にリーネはミーナの方を向く。

 

ミーナ「バルクホルンよ!あの子はいつも視界に二番機を入れているのよ。

    なのに今日は一人で突っ込みすぎる!」

 

ハインツ「その上近づきすぎだ。誤射の可能性がある。今すぐそこを退け!」

 

ノヴァク「わかった。俺が回収する!」

 

 ハインツのネウロイから離れろと言う指示にノヴァクは足の速い自分が回収すると言い出した。

 だがそれを全く聞いていないバルクホルンは相変わらずネウロイの一部を攻撃し続ける。

 

ミーナ「あそこを狙って!」

 

リーネ「はい!」

 

 リーネが攻撃し始めるとバルクホルンは離脱し始めるがそこをネウロイが攻撃し始めた。

 バルクホルンは回避しようとするがその先でペリーヌと衝突、さらにそこにネウロイが攻撃を集中させた。

 バルクホルンはシールドを張るが不完全だったためすぐに抜かれ持っていた銃が誘爆、墜落し始めた。

 

ノヴァク「クルヴァ!バルクホルンは俺がどうにかする!」

 

 ノヴァクは固有魔法を使い加速して急降下、バルクホルンをキャッチするとポッケからハンカチを出して胸の傷を止血しようとした。

 

ペリーヌ「大尉!」

 

宮藤「バルクホルンさん!」

 

 ペリーヌと宮藤も続いてやって来る。

 ノヴァクは近くの森で開けたところを見つけるとそこに降りた。

 

ノヴァク「クソ!出血がひどい。ハンカチじゃ一時凌ぎにもならんぞ!」

 

宮藤「ノヴァクさん!私がやります!」

 

ノヴァク「ああ分かった。宮藤頼んだぞ。」

 

宮藤「はい!」

 

ノヴァク「ペリーヌは援護してくれ。俺のシールドはそんなに強くない。」

 

 宮藤と応急処置を交代すると隣で宮藤をサポートし始めた。

 ノヴァクのシールドは自分一人を守るのが精一杯レベルのものだったためペリーヌに援護させた。

 しばらくすると宮藤の治癒魔法が効いたのかバルクホルンが目を開けた。

 

ノヴァク「すごい…マルコの書5章25節のようだ…」

 

 ノヴァクは宮藤の治癒魔法に聖書に書かれていたイエスの奇跡を思い出した。

 マルコの書第5章第25節にはイエスが出血が止まらない女性の出血を触っただけで治した奇跡が書かれていた。

 

宮藤「今、治しますから!」

 

バルクホルン「私に張り付いていてはお前たちも危険だ…

       離れろ…私なんかにかまわず……その力を敵に使え…」

 

 バルクホルンがうわ言のように言い始めるがノヴァクはポッケからチューブを取り出すとそれをバルクホルンの足に刺した。

 

バルクホルン「う!ノヴァク、何した。」

 

宮藤「ノヴァクさん!何したんですか!」

 

ノヴァク「まさかこいつをお前に使うとはな。安心しろモルヒネだ。こいつは効くぞ。

     時期に痛みはマシになるはずだ。」

 

 刺したのは鎮痛剤のモルヒネだった。

 

バルクホルン「敵を倒せ…私の命など…捨て駒で良いんだ…」

 

ノヴァク「捨て駒ねえ…残念ながら世の中には捨て駒にしていい命とダメな命ってものがあるんだ。

     そしてあんたはその捨て駒にしてはいけない命に入るんだよ。

     それにあんたには帰りを待ってる家族ってもんがあるだろ?違うか?」

 

 バルクホルンのうわごとにノヴァクが答える。

 その話し方はまるで自分に言い聞かせてるようだった。

 

バルクホルン「帰りを待ってる家族か…」

 

ノヴァク「ああ、“家族がある”兵士は家族にために祖国に帰らなきゃいかんだろ?違うか?」

 

ペリーヌ「宮藤さん!ノヴァクさん!早くしてください!」

 

 ペリーヌがネウロイの攻撃になんとか耐えていた。だがシールドが破られるのは時間の問題だった。

 それを上空でネウロイの攻撃から逃げてなんとかひと段落して体制を立て直して再度攻撃しようとしていたハインツが見ていた。

 

ハインツ「ミラー!下が結構ヤバそうだ!攻撃できるか?」

 

ミラー「いつでもやれますよ。」

 

ハインツ「ならやれ!遠慮するな慈悲も要らん!」

 

 ハインツはミラーに射撃を指示した。

 彼にとって救護中の仲間を攻撃する者には慈悲も情けも無用だった。

 次の瞬間、ミラーが50ミリ砲弾を連射。明らかにオーバーキルな攻撃にネウロイは一瞬で消えた。

 

ノヴァク「バルクホルン、あいつら俺たちに手柄をやる気は無いみたいだ。」

 

 50ミリの独特の飛翔音を聞いて見上げたノヴァクが見たのはネウロイが一瞬で撃破される光景だった。

 それを見たノヴァクは軽くジョークを言うと攻撃が無くなったのもあって4人の顔に笑みが浮かんだ。

 

バルクホルン「手柄なんて次があれば取れるぞ。まあその時は私が貰うが。」

 

ノヴァク「お前ジョークなんて言うんだな。」

 

 ノヴァクのジョークに触発されたか、バルクホルンも傷が治ったのか銃をとって立ち上がりながら慣れないジョークで返した。

 4人は敵がいないのでのんびりと上昇しながら上空に戻った。

 上空に戻るとミーナがバルクホルンに近づいていった。

 

バルクホルン「ミーナ」

 

 それに気づいたバルクホルンがミーナの方を向くとミーナはその顔を平手打ちした。

 

ミーナ「何をやっているの!貴女まで失ったら私達はどうしたらいいの!

    故郷も何もかも失ったけれど、私たちはチーム、いえ家族でしょ!

    この部隊の皆がそうなのよ!あなたの妹のクリスだって、きっと元気になるわ!

    だから、妹の為にも新しい仲間の為にも死に急いじゃダメ!

    みんなを守れるのは私達ウィッチーズだけなんだから!」

 

 ミーナがバルクホルンに抱きついていつもの冷静さを失った感情的な声で言った。

 その後ろではハインツが「まあ一部は本当に家族になりそうなんだけどねぇ」と言いながら某ウィッチ達を見た。向けられた2人はすぐに目を逸らした。

 

バルクホルン「すまない、私達は家族だったんだよな。」

 

ハインツ「それに世の中死に金って言う面倒なものと各種死ぬほどめんどくさい手続きもあるんだ。

     勝手に死なれたらてめえの遺産から残業代しょっ引くぞ。」

 

 ハインツがいつものような軽口を叩くとウィッチ達は笑って基地に戻った。




501って絶対給料の支払いとか面倒だよね…
バルクホルンの書類も独自設定。

薬物関連ネタはたまたまテレビでナチスと薬物の話やってたから出した。
当時のまともな薬物規制ってアヘンぐらいでペルビチンはかなり簡単に手に入ったみたいで装備品リストの中には覚醒剤が混ぜられたチョコレートがあったぐらいだし。

ユトランド半島方面で反攻作戦をさせたのはこの地域って海峡あってもかなり近いし冬場とか凍るんですよね。(実際そのせいでデンスカはスヴェリア何度もコペンハーゲンまで侵攻されてる。)
ついでに守りにくくて攻めやすい。(第二次世界大戦ではデンスカが2時間で負けた伝説持ち)
本来ならストパン世界で一番ヤバい戦区なのになんの設定もないから勝手に作った。

次回はノヴァクの過去回の予定。
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