ナイトストーカーズ(米陸軍第160特殊作戦航空連隊)が有名かな?
ドーバー、その街にあるとあるバー。
「エクストラドライマティーニ。」
1人の男がマティーニを頼んだ。
その男は喋りからはカールスラント訛りが感じられ、立ち振る舞いから貴族又はかなり恵まれた環境で育った事が分かる。
また、スーツを着ているが所々に軍人の癖が見受けられる。
この男は自らが信頼する部下と会うために来ていた。
暫くすると別の男が入ってきた。
それに気がつくとその男に合図した。その男は彼の隣の席に座った。
「久しぶりだな、フェルカーザム。調子はどうだ?」
フェルカーザムと呼ばれた男が答える。
フェルカーザム「ウォッカマティーニ。ステアではなくシェイクで。
まあ上々だ。相変わらずキツイが。そっちはどうだケーネン?」
ケーネンと呼ばれた男が返す。
ケーネン「こっちもサッパリだ。あいつは尻尾を見せねえしこちらを潰そうとする。
それどころか狼の巣の予算を減らしたよ。」
フェルカーザム「全くあの野郎は何を考えてるんだか?」
そう言って彼は出されたマティーニを飲んだ。
男たちのこの会話を別の男が後ろで聞いていたがその男はこの数日後、ロンドンで“自殺”した。
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1944/8/16
ブリタニア南部、ケント州上空。
史実ではユーママという愛称で呼ばれ各地で物資輸送や輸送に活躍し、オランダに降下猟兵を降下させ、クレタから英軍を叩き出し、ホルムやデミャンスクの包囲陣内のドイツ兵を救い、終戦直後にはクールラントから負傷兵を救出しようとした(助かったのは35機中3機だけだったが)名機ユンカースJu52が飛んでいる。
この稀代の名機の機内では坂本が不機嫌さを露わにした顔で座っていた。
ミーナ「不機嫌さが顔に出てるわよ、坂本少佐」
それを見てミーナが話しかける。それに不機嫌な顔のまま答える。
坂本「わざわざ呼び出されて何かと思えば…予算の削減なんて聞かされたんだ。顔にも出るさ」
この日、2人はブリタニア上層部に直接呼び出され予算削減を告げられたのだ。
この原因は実際はブリタニアの5年物短期戦時国債を支払うため軍の開発費を削った結果、その補填の為501が犠牲になっただけだった。
さらに開発費をどうしても補填したい理由がリベリオンがパワーバランスを左右する兵器を開発中という情報を入手した空軍の一派が対抗のためある兵器の開発をスピードアップさせたい事情があった。
ミーナ「彼らも焦っているのよ。いつも私達ばかりに戦果を挙げられてはね」
坂本「連中が見てるのは自分たちの足元だけだ」
ミーナ「戦争屋なんてあんなものよ…」
少なくとも平均以上の優秀な軍人の2人だが完璧な軍人としての資質を持ち合わせてはいなかった。
即ち国際感覚、政治感覚が壊滅的だった。
この二つは軍人には絶対に必要な資質だったが、時として目的のため数十万の生命を犠牲にするような世界の資質を彼女らが持ち合わせているはずがなかった。
軍隊は政治に関わるなと言う考え方があるがそれを後生守った結果、日本では陸軍が政治方面への関与を強める中対抗勢力の海軍は沈黙を貫いたため戦争を止められなかった。
関わらなければ止められるものも止められない事があるのだ。
そしてブリタニアの苦しい台所事情を知らない彼女たちは原因を誤解していた。
ミーナ「ネウロイが居なかったら、私たちは人間を相手に戦い合う羽目になっていたかもしれないわね。
ハインツさん達のように。」
坂本「ああ、その点は奴らに感謝しないとな。」
そう言って二人は言葉を失う。二人はハインツ達が語った戦争、第二次大戦の惨劇を思い出した。
すると坂本は窓の外を見ていた宮藤に声をかける。
坂本「悪かったな宮藤、せっかくだからブリタニアの街でも見せてやろうと思ったのに。」
宮藤「いえ…私は軍にもいろんな人がいるんだなって…」
宮藤はミーナの話したハインツさん達のようにという言葉が気になり聞こうとすると機内に声が響いた。
サーニャ『~♪』
歌声だった。宮藤は坂本たちに質問した。
宮藤「あの、何か聞こえませんか?」
坂本「ん?ああ、これはサーニャの唄だ。基地に近づいたな」
ミーナ「私達を迎えに来てくれたのよ」
坂本が答えミーナが補足した。それを聞くと宮藤は輸送機の外を飛ぶサーニャに手を振った。
宮藤「ありがとう」
それを見たサーニャは恥ずかしいのか雲の中に隠れてしまった。
宮藤「サーニャちゃんって、なんか照れ屋さんですよね」
ミーナ「うふふ、とってもいい子よ。唄も上手でしょ?」
ミーナと宮藤が会話していると流れていた歌が止まった。
ミーナ「…あら?」
坂本「どうしたサーニャ」
異常を感じた坂本が聞く。
サーニャ『…誰かこっちを見ています』
坂本「報告は明瞭に、後大きな声でな。」
サーニャ『すみません。シリウスの方角に所属不明の飛行体、高速で接近しています。』
ミーナ「…ネウロイかしら?」
サーニャ「はい、間違いないと思います。通常の航空機の速度ではありません」
サーニャの報告を聞いて坂本は魔眼で探す。
坂本「…私には何も見えないが」
サーニャ『雲の中です。目標を肉眼で確認できません。』
雲の中、その上夜間では確認は困難だった。
宮藤「ど、どうすればいいんですか?」
坂本「どうしようもないなあ」
ミーナ「悔しいけど、ストライカーが無いから仕方がないわ」
宮藤「そ、そんなぁ…」
それを聞いた宮藤が慌てるがそれをミーナと坂本が落ち着いた声で答える。
ミーナ「!、まさかそれを狙って?」
坂本「ネウロイがそんな回りくどいことなどしないさ」
サーニャ『目標は依然、高速で近づいています』
ミーナの推測を坂本が否定する。
ネウロイに知性がないと言うのはある種の偏見であり上層部の一部はある程度の思考能力を持った連中と考えていたが。
ミーナ「サーニャさん、援護が来るまで時間を稼げればいいわ。交戦は出来るだけ避けて」
サーニャ『はい。目標を引き離します』
ミーナ「無理しないでね」
ミーナからの指示に武器の安全装置を解除すると輸送機から離れていった。
宮藤「サーニャちゃんにはネウロイが何処に居るかわかるんですか?」
坂本「ああ、あいつには地平線の向こう側にある物だって見えているはずだ」
宮藤「へぇ~」
ミーナ「それで何時も、夜間の哨戒任務に就いてもらっているのよ」
坂本「お前の治癒魔法みたいなもんさ。さっき唄を聞いただろ?あれもその魔法の一つだ」
ミーナ「唄声でこの輸送機を誘導していたのよ」
宮藤の質問に坂本とミーナが答える。
その間外からは時折爆発音が聞こえていた。サーニャがネウロイを攻撃していた。
サーニャ「反撃してこない…?」
ネウロイにロケット弾は確実に当たっていたが反撃がないことに違和感を感じていた。
その間に輸送機はネウロイから安全な距離まで離れていた。
坂本「サーニャ、もういい。戻ってくれ」
サーニャ『でも、また…』
ミーナ「ありがとう、一人でよく守ってくれたわ」
坂本の指示にまだ戦えると主張したがミーナの言葉を聞いて戦闘を終了した。
その頃雲の下ではオートバイ兵用ゴム引オーバーコートを着用したハインツと陸軍のスプリンターパターンの迷彩ポンチョを着たミラー、バルクホルン、ハルトマン、エイラ、ペリーヌがいた。
ハルトマン「ひどい雨だね。何も見えない」
ハインツ「ああ全くだ。なんとか輸送機を捉えてるが戦闘は終わったみたいだぞ。
そろそろ肉眼で確認できる筈だ。どうだ?」
ハルトマンの言葉に続いて魔導針で輸送機とネウロイを確認していたハインツが目視できるか聞く。
バルクホルン「あそこだ。」
すると雲の間に隙間ができているのをバルクホルンが見つけそこから輸送機とサーニャが降りてきた。
エイラ「サーニャ!」
ペリーヌ「ちょっとエイラさん!勝手なことを…」
ハインツ「まあ良いじゃないかペリーヌ。愛しのサーニャちゃんのことを心配してるってことだよ。
お前だってサーニャが坂本少佐ならああしてるだろ?」
ペリーヌ「なっ私がそんな訳が…」
エイラが編隊から飛び出してサーニャを迎えに行く。それにペリーヌは憤慨するがハインツが煽る。
それをミラーが嫌悪感丸出しの顔で見ていることに気がついたのはハルトマンだけだった。
サーニャと合流した7人はそのまま輸送機をエスコートして基地に戻っていった。
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バルクホルン「それじゃあ、今回のネウロイはサーニャ以外誰も見ていないのか?」
インナー姿のバルクホルンが言った。
基地に戻ると全員がシャワーを浴びたが規定違反で傘をさしたまま(多くの軍で軍服着用時の傘の使用は禁止されてる。割と無視されてる写真があるが。)待機していたノヴァクは全く濡れずタオルで軽く拭いただけでありハインツに至ってはタオルで拭いた後体を温めるとか言ってウォッカのボトルを出して一人飲み始めていた。
坂本「ずっと雲に隠れて出てこなかったからな」
ハインツ「一応俺も確認したぞ〜誰か話聞けよなあ。」
坂本とハインツが話すがすでにウォッカの瓶を丸一本飲んでアイリッシュウィスキーを飲み始めて完全にできていたハインツの話を聞くものはいなかった。
ハルトマン「けど、何も反撃してこなかったって言うけど、そんな事あるのかな? それ本当にネウロイだったのか?」
ソファの肘掛にもたれながらハルトマンが疑問を口にする。
ノヴァク「どちみちUFOだからな。何だろうがどちみち不届き者なのは変わりない。」
それにノヴァクが意見する。
UFOは軍事用語で未確認飛行物体のことを指す。決して宇宙船のことではなく「確認されてない空飛ぶ何か」というものである。要はそれが鳥かもしれないし飛行機かもしれないし違う星から来たスーパーヒーローかもしれないという程度の話。
別にこのノヴァクはサーニャを疑ってる訳ではなく勝手に好き勝手飛んでる不届き者が気にくわないだけである。
リーネ「恥ずかしがり屋のネウロイ!」
「「…」」
ハインツ「もうちょっとうまいジョークはなかったのか?ないよりマシだけど。」
リーネ「…ごめんなさい…」
リーネが慣れないジョークで場を和ませようとするが派手にスベリ縮こまった。
ペリーヌ「だとしたら、ちょうど似た者同士気でも合ったんじゃなくて?」
ミラー「ペリーヌ、あとで話がある。」
その言葉にエイラは舌を出し、ミラーは怒りを込めた落ち着いた声でペリーヌに声をかけた。
この後ペリーヌがミラーに怒られたのは言うまでもない。
ミーナ「ネウロイとは何か。それが明確になっていない以上、この先どんなネウロイが現れても不思議ではないわ」
ミーナが手に持ったマグカップを回しながら話す。
バルクホルン「仕損じたネウロイが連続して出現する確率は極めて高い…」
バルクホルンも経験から話す。
ミーナ「そうね。そこでしばらくは夜間戦闘を想定したシフトを敷こうと思うの。サーニャさん!」
サーニャ「はい」
ミーナ「芳佳さん!」
宮藤「は、はい!」
ミーナ「ハインツさん!」
ハインツ「うぃ?」
ミーナに指名された3人が答える。酒を飲みながら聞いていたハインツは完全に出来上がっていた。
ミーナ「当面の間、貴方達を夜間専従班に任命します」
宮藤「えっ!?私もですか!?」
ハインツ「は?」
宮藤とハインツが指名されたことに驚く。
坂本「今回の戦闘の経験者だからな」
宮藤「私はただ見ていただけ……うわっ!?」
宮藤は自信がないことを伝えようとすると突然エイラが宮藤の頭に手を乗せてのしかかってきた。
エイラ「はいはいはいはい!私もやる!」
エイラは自主的に志願した。
ミーナ「いいわ。ハインツさん、指揮をお願いできるかしら?」
ハインツ「てめー俺の仕事量わかって言ってんのか!
この部隊給料25日払いだろ!俺がこの時期どれだけ仕事に忙殺されてんのかお前ら知ってんのか!え?
お前らが毎日下できゃっきゃうふふしてる間、俺は毎日30時間紙とネウロイ相手に戦争してんだよ!
俺を殺す気か!この悪魔!鬼!クソババア!」
ハインツがキレた。ちょうどこれから仕事が忙しくなる時期であったためとてもじゃないが毎日夜飛んだ後12時間紙と戦争するなど訓練された社畜でも無理だ。それに酒も入っていたこともあってキレた。
この後散々罵倒合戦が繰り広げられ仕事は全部ミーナに丸投げする形で決着がついたとかどうとか。
ケーネンとフェルカーザムの正体がわかる方は相当な通ですね。
501の予算が削られた理由を国債の支払いにしてみた。
史実でもイギリス政府の財布ってこの時期から破綻し始めてますし…
レンドリース法の支払いとか2006年に終わったし…
オートバイ兵用オーバーコートはドイツ軍の中では最も人気の軍服で他の兵科の将校がこぞって使ってたぐらい人気。(フィギュアでも結構いる)