案が多すぎて迷った。
罵倒語が結構多い回です。
ミラー「ねえリーネ、なんで呼ばれたと思う?」
リーネ「さあ?ミラーさんこそ何かやったんじゃないんですか?」
ミラー「思い当たることがリリー・マルレーンのサビのところでミスったことぐらいなんだよなぁ…」
その日の夜、何故かリーネとミラーはミーナの執務室の前にいた。
というのもミーナがリリー・マルレーンを歌った後、二人は執務室に行くように言われたのだ。
二人ともなんで呼ばれるのかわからず執務室の前で顔を見合わせて首を傾げていた。
すると中から話し声が聞こえてきた。二人は何のことかわからず悪いとは思いながらも耳をそばだてる。
ミーナ「こんな思いをするくらいなら、好きになんてならなければ良かった…てね。
でも…そうじゃなかった」
ミラー「(これ中佐の声ですよね)」
リーネ「(誰かと話してるんでしょうか?)」
二人は耳をドアにつけながら小声で話す。
中にいる一人がミーナであることはすぐに分かった。
ミーナ「でも、失うのは今でも恐ろしいわ。
それなら…失わない努力をすべきなの!約束して。もう二度とストライカーを履かないって」
坂本「それは命令か? そんな格好で言われても、説得力がないぞ」
ミーナ「私は本気よ!今度戦いに出たら、きっと貴方は帰ってこない」
話しているもう一人が坂本であることも分かった。だが話してる内容が不穏だった。
ミーナの口調がいつもの冷静で落ち着いた声とは違う取り乱した、著しく冷静さに欠いたものだった。
ミラー「(もしかして結構ヤバい?)」
リーネ「(え?え?どうしますか?)」
ミラー「(とりあえず拳銃の用意はしておこう。あといつでも突入できるように)」
この平穏ではない会話に最悪の場合、つまりミーナが坂本に発砲する、またはその逆に備えて二人は拳銃を取り出し弾を薬室に装填する。多くの軍の規定では拳銃はいざ発砲するという時まで薬室に弾を入れない規定になっている場合が多い。二人はそれを順守していた。
坂本「だったらいっそ、自分の手でというわけか…矛盾だらけだな。お前らしくもない」
ミーナ「違う!違うわ!」
坂本「私は、まだ飛ばねばならないんだ」
そう言うと坂本はドアの方に歩いて行った。
それに気がついたミラーとリーネはドアから離れ拳銃を急いでホルスターに戻して不自然にならない位置に戻った。
坂本「ミラーとリーネか。」
出てきた坂本は二人は二人に気がつく。
それに二人は敬礼する。
坂本が去ると二人は部屋に入った。
ミラー「中佐、ミラー少尉です。」
入ると二人はミーナに敬礼する。
次の瞬間、ミラーはリーネをかばうように抱き着きホルスターからルガーを取り出しミーナに向ける。
そこには二人にPPKを向けるミーナがいた。
ミラー「銃を下ろせ、武器を捨てろ。両手は頭の後ろだ。」
そしてミラーも今までの優しい人間ではなく冷酷な軍人の口調でミーナに言った。
ミーナ「ミラーさん、あなたのことを信用するべきではなかったわ。」
ミラー「それはこっちのセリフですよ。部下に向かって銃を向けるクズを信じたこっちがバカだった。」
ミーナの言葉にミラーはクズといい今までに聞いたことがないほど乱暴な口調で返した。
ミーナ「リーネさん、あなたとミラーさんの関係よ。」
ミラー「軍機違反ですか。だからと言って銃を向ける理由にはならないそれぐらい分かれゴミが。」
ミラーの拳銃はミーナの頭を狙っていた。
ミーナ「わかってるわ。でもこれぐらいしないとあなたたちは別れないでしょ。」
ミラー「まさかあなたがこれほどまでに無能だったとは。」
ミラーが呆れたように言う。
ミラー「逆ですよ。むしろこちらのほうが有利だ。
少しは脳みそ使って考えろ。
貴様がこちらに明らかな殺意をもって銃を向けたんだ、こっちがそっちを撃っても正当防衛だ。
この距離ならあんたの脳みそを吹き飛ばされるぞ。」
ミラーはミーナの頭に照準していた。ルガーは非常に精度のいい拳銃として知られている。
そのため僅か2、3メートルでは簡単に狙える距離だ。
ミーナ「これはあなたたちのためよ。あなたたちに大切な人を失う悲しみを味合わせたくないの。」
ミラー「それがどうしたっていうんです?」
ミーナの悲しい声にミラーはそれがどうしたとばかりに答えた。
ミラー「戦争で誰かが死ぬのは当然だ。
僕だって戦友や同僚、同期、故郷の親友やその家族が何人も死んでる。
戦争だけじゃない。ある特定の人種だっただけで消された奴もいる。
人間、平時でさえいつ死ぬかわからないから楽しもうとしているのにそれを妨害するだと?」
ミラーの話にミーナも気が付く。そもそも人間とはいつ死ぬかわからないものだということに。
平時でさえ昨日まで元気だった隣の家のお爺さんがある日突然帰らぬ人になることだってある。
ミラーはさらに続ける。
ミラー「なんの権限があって言ってるんだ!いいか!てめえの言ってることはただのエゴだ!
一方的に理不尽なことを押し付け、人間の感情レベル、さらに言えば普通の営みレベルで拘束するだと?
それじゃああのナチスやボルシェビキと同等だ!貴様は人間の屑だ!それを自覚しろ!」
そのミラーの心の底からの怒りの声にミーナも驚く。
ミーナは普段の態度からミラーのことをおとなしい人間だと思っていた、だが実際は地獄の東部戦線、そして苛烈極まりないドイツ本土防空戦を生き抜き実際に何人も殺したことのある冷徹な軍人という側面とオーストリアの上流階級に生まれたおとなしい人間という二つの側面を持つ人間だった。
そのミラーの普段言わない屑やゴミという過激な言葉にミーナも冷静になり、銃を下ろす。
ミーナ「そうね…これは私のエゴなのかもしれないわね…」
ミラー「分かればいいんですよ、分かれば。」
それを見たミラーはリーネを連れて部屋を出ようとする。
ミラー「中佐、いいですか銃を向けていいのは撃たれる覚悟のある時だけって小説にありましたよ。
中佐にはその覚悟がなかったみたいですね。では。
あと、もし殺したければいつでも相手になりますよ。」
ミラーも怒りが収まったのか普段の口調に戻りミーナに話した。
その話にミーナも少し口角を上げた。
ハインツ「中佐、失礼しま、ミラーか。なんかあったのか?」
ミラーが出ていこうとすると今度は書類を抱えたハインツが偶然にも入ってきた。
それに両者驚くがすぐにミラーたちは出て行った。
出て行ったミラーたちは暗い廊下を歩く。するとリーネがミラーに話しかけた。
リーネ「ミラーさん、もし、先にどちらかが死んだらどうします?」
ミラー「ん?なんで?」
リーネ「だって…もしどちらかが先に死ぬってありえますよね?」
リーネの質問にミラーは立ち止まり少し考えると、
ミラー「そうならないようする…なんてことは約束できないな。
もしそうなったら、リーネは僕なんて忘れて次の人を見つけてくれ」
リーネ「え…」
ミラーのその言葉にリーネは驚く。
ミラー「だってそうだろ?嫌でも時間は進むんだ。
さっさとあきらめて次のことをしたほうが建設的さ。」
リーネ「言われてみればそうですね」
ミラー「ああ。過ぎたことは忘れてさっさと次のことをする。
過去にこだわるのは愚か者だけさ」
そう言ってミラーは笑う。それにつられてリーネも笑った。
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ハインツ「中佐、あいつら何やってたんですか?」
ミラーたちが出て行ったミーナの執務室ではハインツがミーナに質問した。
ミーナ「ねえ、ハインツさん。」
ハインツ「ん?なんですか?」
ミーナ「あなた、誰かを愛したことある?」
ミーナの質問にハインツは答える。
ハインツ「正直に言ってないですね。付き合ったことはあるけど大概向こうからか遊びですから。」
ミーナ「そう。もしあなたのことを愛していた人が死んだらあなたはどうするつもり?」
ハインツ「どうって…まあさすがにそれなりに悲しむと思いますよ。
まあそうはいってもある程度のところで折り合いをつけないと。時間は勝手に進むし」
ミーナ「折り合いをつける?」
ハインツ「ええ。いつまでも過去のことでくよくよするなんて女々しいことしてる暇があるなら次を探すかほかのことに没頭したほうが自分のためだ。第一柄じゃない。
中佐もそうしたほうがいいですぜ。
いつまでもクルト・フラッハフェルトの幻影を追いかけるよりも。」
クルト・フラッハフェルトの名が出た瞬間、ミーナは崩れ落ちた。
ミーナ「…なんであなたが彼のことを知ってるの」
ハインツ「まあ興味本位かな?ちょっと前に全員の履歴書とか過去を探ってみたんだ。
それで基地の整備士が中佐の元カレの話をしてくれたから」
ミーナ「そう。いい加減私も折り合いをつける頃かしら…」
ハインツ「ああそう思うよ。だってもう4年も前のことだろ。いい加減忘れて現実を見ろ。
それぐらいしか俺には言えないね。あ、今日の報告書ここに置いときますから。」
そういうとハインツは持っていた書類を近くのテーブルに置き部屋を出て行った。
ミーナは一人残された部屋で呟いた。
ミーナ「幻影を追いかけてる…か…私もいい加減新しいことを始めようかしら…」
実はミーナをハインツにぶつけようとかオチに何故かロマーニャでガリア人(らしきもの)にこき使われてるクルトとかつけようかなぁとか考えたけどどちらも収拾がつかなくなるとかいう問題で諦めた。