WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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糖分あり。おそらくこの章(ストパン1期)では最後の糖分回


第26話:大騒乱への序章/嵐の前の静けさ

 ミーナとミラーたちがケンカした翌日、ミーナは一人執務室で事務処理をしていた。

 

ミーナ(どうすればいいのかしら?)

 

 ミーナは一人悩んでいた。

 昨日のキレたミラーの暴言とハインツの話に悩んでいた。

 

ミーナ(クルト、私は新しいことをしていいの?あなたを忘れて別の人を選んでいいの?)

 

ミーナ(あなたの幻影を忘れるなんてできるの?どうやったら忘れられるの?)

 

「…佐」

 

ミーナ(別の人って誰を選べばいいの?どうやって選ぶの?)

 

ハインツ「中佐、聞こえてます?」

 

ミーナ「あ、ハインツさん。いたの?」

 

ハインツ「もうかれこれ5分ぐらい中佐の前に立ってたんですけど…」

 

 ミーナが一人悩んでいるとハインツが声をかけた。

 というのも考えすぎて目の前にハインツがいるのに気がつかずずっと下を見ていたからだ。

 

ミーナ「何しにきたのかしら?」

 

ハインツ「何って昨日渡しそびれた書類と今朝決済した分の書類を持ってきたんですよ。」

 

 よく見るとテーブルの上にはいくつかの書類が積まれていた。

 

ミーナ「そう、ありがとう」

 

ハインツ「中佐、なんか悩み事か?なんだったら話ぐらいは聞くぞ。」

 

 ハインツはミーナの挙動がおかしいことに気がつき聞いた。

 それにミーナは一瞬ドキッとするがすぐに誤魔化す。

 

ミーナ「なんでもないわよなんでも」

 

ハインツ「大方昨日の話で悩んでるところかな?」

 

 ハインツの核心をつく言葉に手が止まる。

 

ミーナ「はぁ…そうよ。あなたの言った幻影をどうやったら忘れられるかをね。

    ハインツさん、あなたどうすればいいかわからない?」

 

ハインツ「どうって言われてもねぇ…とりあえず新しい恋でもしたら?」

 

 ミーナの悩みを聞いてハインツはテーブルの上に座りながら答える。だが、

 

ミーナ「それが分からないから聞いてるの。」

 

ハインツ「そこからかよ…身近にいないのか?好きな奴か気になるやつ。」

 

 ミーナの問題は最も根本的なところからだった。

 

ミーナ「まず出会いがないの分かって言ってる?」

 

ハインツ「そういやそうだな。なら俺なんてどうだい?」

 

 どうしようもない以上ハインツは冗談で自分はどうだとミーナに言った。

 無論冗談なので本気にされるとは一ミリも思ってない。

 だが、

 

ミーナ「え…そうね…悪くはないわね。」

 

ハインツ「は?」

 

ミーナ「あなた料理もできて家事もできて仕事もできて文句は多いけど基本は優しいわよね。

    もしかしたらあなたと一緒にいたら…」

 

 その瞬間、ドアがノックされ二人ともドアの方を見る。

 

坂本「ちょっといいか

   悪いな、便利に使って」

 

宮藤「いえ、このくらいへっちゃらです」

 

 入ってきたのは坂本と大量の書類を抱えた宮藤だった。

 彼らが持ってきたのは資料、それも最近の物だ。

 

坂本「8月16日と18日に来襲したネウロイだが、奴の出現した時に各地で謎の電波が傍受されている。

   周波数こそ違うがサーニャの歌っていた声の波形と極めてよく似ている」

 

ミーナ「えぇ」

 

ハインツ「ふーん」

 

宮藤「唄…!?」

 

 坂本の話にハインツは適当に相槌するが宮藤は驚く。

 

坂本「あのネウロイはサーニャの行動を再現していたと見て間違いなさそうだな」

 

ミーナ「ええ」

 

 坂本の結論にミーナはうなずく。ハインツは声を出さなかったが同意はしていた。

 

坂本「分析の規模をもっと広げよう。しばらくは忙しくなるぞ」

 

ミーナ「そうね」

 

ハインツ「嘘ぉ…休みたいのに…来週からデスマーチなのに…」

 

 ハインツはその話にため息をついた。ちょうどこの1週間後から給料日前後のデスマーチが始まるのだ。

 分析と計算と書類処理のトリプルコンボがどんなに地獄か火を見るよりも明らかだった。

 

坂本「バルクホルンやハルトマン、それにノヴァクにも今のうちに知らせておきたいな。三人をここに…」

 

ハインツ「あいつら今日いねえぞ。3人揃ってロンドン行ってる。」

 

 坂本が3人を呼ぼうとするとハインツが返す。

 

坂本「ロンドン?」

 

ハインツ「なんでもバルクホルンの妹さんの意識が回復したとかどうとかこうとか。

     それ聞いた時バルクホルンがユニットでロンドンに行こうとしたからみんなで止めたと思いきやノヴァクが運転できないのに車に乗せてロンドン連れて行こうとしてたよ。

     使おうとしたのが俺の車だったから無理やり止めたが。」

 

 ハインツとミラーは運転はできるがノヴァクは車の運転ができない。

 なにせ当時、アメリカ以外の殆どの国では自動車の運転免許は特殊技能扱いである。    

 その中にはポーランドやドイツもある。ハインツとミラーが運転できるのも軍で習ったからだ。

 

ミーナ「無理もないわ。

    バルクホルンにとって、妹は戦う理由そのものだもの。

    誰だって、自分にとって大切な守りたいものがあるから、勇気をもって戦えるのよ」

 

ハインツ「そうかね?俺なんて別に誰かを守りたいとかそういうもんねえぞ。

     ただ明日の飯と宿、それだけだからね。

     両方が保証されるならさっさと軍やめて年金暮らしがしたいんだよ。」

 

 ミーナの言葉にハインツが返すが内容が全部台無しだった。

 なにせ恐ろしく不真面目で、使命感といったものがないのだ。

 そもそも彼にとってはカールスラントなど単なる利害の関係上所属してるだけで本音はカールスラントなぞに命を捧げる義理も理由もなかった。ただ金と飯と宿、それさえくれればどこでもよかった。

 命を捧げるのはドイツで十分だ。

 

 

---------

 

 

バルクホルン「クリス!」

 

看護師「病室ですよ!お静かに!」

 

 ロンドンのある病院ではバルクホルンが怒られていた。

 妹の意識が回復したということで急いで向かったからだ。

 

バルクホルン「あ、ああ、すみません!急いでいたもので」

 

クリス「フフッ…フフッ…」

 

バルクホルン「クリス…」

 

 それを見てベットの上の少女が笑う。

 それはバルクホルンの実の妹、クリスティアーネ・バルクホルンだ。

 バルクホルンは彼女に少しずつ近づき抱き着いた。

 それを看護師は微笑ましく見て後ろのノヴァクやハルトマンは「私たちは壁ですからどうぞお気になさらず」というような態度で見ていた。

 

クリス「お姉ちゃん、私が居なくて大丈夫だった?」

 

バルクホルン「な、なにを言う。大丈夫に決まっているだろう。私を誰だと…」

 

 暫くするとクリスがバルクホルンに聞いた。

 バルクホルンはすぐに返すがハルトマンが割って入った。

 

ハルトマン「あーもう全然ダメダメ。この間まではひどいものだったよ?やけっぱちになって無茶な戦い方ばっかりしてさ~」

 

クリス「お姉ちゃん…」

 

バルクホルン「お前!今日は見舞いに来たんだぞ、そういうことは…!」

 

ハルトマン「だって本当じゃん」

 

バルクホルン「ないない!そんな事は無いぞ!私はいつだって冷静だ!」

 

 ハルトマンの話を必死で否定しようとするバルクホルン。それを見てクリスは笑いノヴァクは後ろで暖かく見守っていた。

 

クリス「お姉ちゃん、なんだか楽しそう」

 

バルクホルン「そ、そうか?」

 

ハルトマン「それは宮藤とノヴァクのおかげだな」

 

クリス「宮藤さん…?」

 

 バルクホルンが楽しそうな事をクリスが指摘するがバルクホルンは自覚してなかった。

 その横からハルトマンが宮藤の名前を出す。クリスは宮藤の事に興味を持った。

 

ハルトマン「うん。こないだ入った新人でね」

 

バルクホルン「お前に少し似ていてな」

 

クリス「私に!?会ってみたいな!」

 

バルクホルン「そうか、じゃあ今度来てもらおう」

 

クリス「本当!?お友達になってくれるかな?」

 

 クリスは宮藤のことで興奮する。

 

バルクホルン「ハハハ、かなりの変わり者だけど、いい奴だ。

       きっといい友達になれるさ。

       あっ、似てると言っても当然お前の方がずっと美人だからな!」

 

ハルトマン「…姉馬鹿」

 

 バルクホルンがクリスと宮藤を褒めてハルトマンが冷やかす。

 するとクリスは後ろに立っていたガタイのいい青年に気がつく。

 

クリス「ところでお姉ちゃん、その人は…」

 

ノヴァク「ん?俺のことか?」

 

 自分の事だと思い返事をする。

 

バルクホルン「アレックスだ。アレックス、妹のクリスだ。」

 

ノヴァク「どうも、アレクサンデル・ノヴァクだ。よろしくクリスちゃん。」

 

 バルクホルンはノヴァクを紹介しノヴァクも挨拶して手を差し出す。

 クリスはその手に握手して返事する。

 

クリス「よろしくお願いします。ところでお姉ちゃんとはどういう…もしかして彼氏?」

 

バルクホルン「なっ!そんなわけ無いだろ!ただの同僚だ!同僚!」

 

ノヴァク「そ、そうだ。トゥルーデとは単なる友人だ。」

 

 クリスの爆弾発言に二人はテンパる。

 それを見てハルトマンが冷やかす。

 

ハルトマン「本当かな〜」

 

ノヴァク「ほ、本当だ!ハルトマン行くぞ!ここからは姉妹二人で水入らずにどうぞ」

 

ハルトマン「え〜」

 

 強引にハルトマンを連れてノヴァクは病室を出て行った。

 それを見てクリスはクスクス笑っていた。

 

クリス「ノヴァクさんとお姉ちゃんって本当に何もないの?」

 

バルクホルン「あ、ああ。本当に何もない筈だ。」

 

 クリスは二人が出て行くと再度バルクホルンに聞くがバルクホルンは否定する。

 すると室内に部屋の外の会話が聞こえてきた。

 どうやらドアのすぐ外で話してるらしい。

 

ハルトマン「ねえ、ノヴァクってトゥルーデのことどう思ってるの?」

 

ノヴァク「どうって…まあ仲のいい友人…」

 

 ハルトマンとノヴァクはドアにもたれかかって話していた。

 

ハルトマン「ほんとはそんなこと思ってないでしょ。

      好きだよね?トゥルーデのこと。」

 

ノヴァク「な、そんなわけ…」

 

 ハルトマンの追求にノヴァクは否定する。図星なのだが

 

ハルトマン「図星だね。」

 

ノヴァク「う…」

 

ハルトマン「やっぱり好きなんだトゥルーデのこと。」

 

ノヴァク「絶対言うなよ。言わなかったら後でケーキ奢ってやる。」

 

ハルトマン「ケーキ!分かった誰にもいわぁーーーー!」

 

 その瞬間、ドアが開いてもたれ掛かっていた二人はそのままひっくり返った。

 ノヴァクが見上げるとバルクホルンが仁王立ちして立っていた。

 

ノヴァク「イッテェ…トゥルーデ、終わったのか?」

 

バルクホルン「さ、さっきのは何だ?」

 

ノヴァク「さっきの?」

 

 ノヴァクを見下ろしながらバルクホルンが詰め寄る。

 その口調は珍しくどもり、しかも顔を真っ赤にして恥ずかしそうだった。

 なんのことかわからずノヴァクは聞き返す。

 

バルクホルン「さ、さっきの私のことがその、だな、す、好きというの言うのは本当なのか?」

 

ノヴァク「え?聞こえてた?」

 

バルクホルン「ああ。ばっちりな。全部聞こえてた。」

 

 それを聞いてノヴァクはハルトマンのほうを見る。

 

ノヴァク「ハルトマン、お前のせいだ。ケーキの話はなしだ。」

 

ハルトマン「え~そんな~」

 

 ケーキの話を無しにされハルトマンは不満を漏らすが無視する。

 

バルクホルン「で、ど、どうなんだ?」

 

ノヴァク「とりあえずこの体勢で話を続けるか?」

 

 今、この時の両者の体勢は床に仰向けに寝転がったノヴァクの頭の上でバルクホルンが見下ろす形になっている。ノヴァクの右側にはハルトマンが同じような体勢で寝転がっていた。

 ノヴァクはそのまま返答を待たずに立ち上がった。

 

バルクホルン「で、その、どうなんだ?ほ、本当なのか?」

 

ノヴァク「はぁ…そのこんな場所で言うべきじゃないが…」

 

 バルクホルンの質問にノヴァクは息を整えると帽子を取った。

 

ノヴァク「トゥルーデ、俺は君が好きだ。

     こんないつ死ぬかも何処の馬の骨かも分からない人でよければ付き合ってください。」

 

 そう言って頭を下げて右手を差し出した。

 それを見てクリスやハルトマンも驚く。

 永遠とも思えるほどの沈黙が流れた後、バルクホルンが言った。

 

バルクホルン「私で良いのか?こんな筋肉だらけの脳筋で。

       リベリアンみたいな胸もミーナみたいな優しさも宮藤やリーネみたいな家事もできないぞ。」

 

ノヴァク「それでも結構です。俺はトゥルーデ、君が好きなんだ。」

 

 下を向きながらノヴァクは返す。

 それを聞いてバルクホルンは顔を真っ赤にして俯いていた。

 

バルクホルン「アレックス、私は恋なんてしたことがない。

       女性らしいところもない。それでも良いなら…」

 

 次の瞬間、ノヴァクはバルクホルンに抱きついた。

 

バルクホルン「アレックス?」

 

ノヴァク「ありがとう、トゥルーデ。」

 

 抱き着いた状態でノヴァクは感謝の言葉を述べる。

 そしてバルクホルンが気が付く。二人の横でクリスとハルトマンがニヤニヤしながら見ていることに。

 

ハルトマン「トゥルーデがね~」

 

クリス「おめでとうお姉ちゃん。」

 

バルクホルン「な…」

 

 それに気が付いてさらに顔を真っ赤にする。

 

ノヴァク「よかったよ。これで妹公認だ。」

 

バルクホルン「そ、そういう問題じゃないだろ!」

 

ノヴァク「そうかな?」

 

バルクホルン「ちが…」

 

 次の瞬間、バルクホルンの口がふさがった。

 ノヴァクがキスしたのだ。二人は数秒間キスし、唇が離れるとバルクホルンはノヴァクに詰め寄った。

 

バルクホルン「な、何するんだ!」

 

ノヴァク「俺はポーランド人だ。ポーランド人は回りくどいのが嫌いなんだ。」

 

 そう言うと悪戯ぽく笑った。

 

---------

 

ハルトマン「いやあまさかあんなところで告白するなんてね〜」

 

バルクホルン「やめてくれ恥ずかしい…」

 

ノヴァク「ポーランド人は回りくどいのが嫌いなんだ。悪かったな」

 

 それから暫く三人はクリスと色々話していた。

 クリスが寝ている間の話やノヴァクの素性も正直話した。

 始めは衝撃を受けていたが最後にはノヴァクがいい人だと言うことを理解した。ノヴァクのことをお兄ちゃんと呼び始めるぐらいには。

 これにバルクホルンは焦ったがクリスが、

 

クリス「将来お姉ちゃんと結婚するかもしれないでしょ?」

 

 という一言に丸め込まれてすっかり許していた。

 その後三人は基地に戻るため車に向かったのだが車のワイパーになにかが挟んであることに気がつく。

 

ハルトマン「何だこれ?」

 

 ハルトマンが気がつきそれを取る。

 

ノヴァク「見たところ手紙のようだな?宛先は…」

 

 ノヴァクがそれを取り太陽の光で中身を透かして確認する。

 

バルクホルン「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ殿?」

 

ハルトマン「ミーナ宛?」

 

ノヴァク「怪しいな。もしかしたらそれ脅迫まがいのものじゃないか?

     そうでなくとも検閲のある通常の郵便では出せないってことは…」

 

 ノヴァクの言葉に3人は怪しいものを感じる。

 これが大騒乱への序章とも知らずに…




以外ですけど大戦時のドイツの自動車普及率って結構低いんですよね。
実際大戦中ドイツ軍は完全機械化できずに補給は馬匹頼ってましたしね。
まあこの傾向は当時のアメリカ以外の国では普通なんですけど…



おそらくこの先2、3話してから色々カオスになる予定。
作者の暴走と陰謀と血と硝煙と男臭さが増えて萌えがフェードアウトし始めるはず…
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