WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ドンパチ回。
この回はドンパチと同時に随所に遠すぎた橋などの戦争映画などのオマージュがあります。
あとある程度のAFVと大戦期のドイツ軍に関する素養が必要な部分もあります。


第33話:反逆者の末路

マロニー「クソ!あの野郎ども!」

 

 トレヴァー・マロニーは501基地に作られた司令部でテーブルを叩き大声で喚き散らしていた。

 自らの行動により玉突き事故的に反逆者扱いされ、その上彼をコケにした軍使まで寄越してきたからだ。

 

 

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 30分ほど前、基地と本土をつなぐ唯一の橋に本土側から白旗を持った一人の兵士がやって来るのに反乱兵は気がついた。

 

反乱兵A「小隊長、何でしょうか?」

 

小隊長「分からん。でも何かが起きるぞ。大将を呼んでこい。」

 

 しばらくするとマロニーとその副官がやってきた。

 

マロニー「なんだ?」

 

小隊長「あれ、見てください。」

 

 そう言って兵士の方を指差す。

 そうしている間にも兵士は少しずつ基地に近づき基地の封鎖陣地から20メートルほど離れたところまで来ると叫んだ。

 

軍使「私はギルザ少将から派遣された軍使です!そちらの指揮官はいるか!」

 

マロニー「何の用だ!」

 

 それにマロニーは陣地から立ち上がって返す。

 それに周りの兵士は危険だと思い遮蔽物の陰に入れようとするが彼は拒否する。

 

軍使「少将からの伝言です!基地は完全に包囲した!他の部隊も全て降伏した!ただちに降伏せよ!

   繰り返す!血を見たくなければ降伏せよ!」

 

マロニー「残念だがうちにはあんたら全員を入れる収容所が無い!降伏はしない!」

 

 軍使の降伏勧告にマロニーはジョークで返して追い返す。

 

軍使「ならば全員反逆者として死ぬか家に帰ってママのベットで泣いてろだそうです!ではこれで。」

 

 そう言うと軍使は帰っていった。

 最後の返答にマロニーは怒りを露わにした。

 そして司令部に戻ると喚き散らし始めたのだ。

 彼が冷静になったのはそれから10分ほど経った後だった。

 急に冷静になった彼に副官が近づく。すると副官に聞いた。

 

マロニー「ウォーロックの出撃準備はどうなってる?」

 

副官「は?」

 

 その問いに副官は固まった。降伏するかと思いきやウォーロックのことを聞いて来たからだ。

 

マロニー「どうなってるんだ!?」

 

副官「は!なんとか1時間後には再出撃可能かと思います。」

 

マロニー「よし、ならば準備完了後直ちに出撃させろ。ガリアの巣を破壊するんだ。」

 

 

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 同じ頃本土に置かれた戦闘団ギルザの司令部では軍使がギルザや戦闘団の各部隊長に結果を報告していた。

 

軍使「ということでして拒否されました。」

 

ギルザ「そうか。では実力行使といこう。3時間後、1300時をもって総攻撃を行う。

    砲撃開始は1300、終了は1315、突入が1320だ。終了予定は1500から1700。

    各部隊は所定の位置にて待機。」

 

 軍使の報告が終わるとギルザは即座に全部隊に作戦を指示する。

 

ハインツ「やるんですか将軍?」

 

ギルザ「ああ。叩き潰してやる。国家へ反逆した報いだ。

    反逆者らしく惨たらしい最期を遂げさせてやる。」

 

 ハインツの問いにギルザは相変わらず過激な言葉で返す。

 

ギルザ「さてと、それより先に所定の作戦を再度確認する。

    まず、戦車と砲兵の直接射撃で敵陣地を破壊する。」

 

 ギルザは続いて作戦に関する打ち合わせを始めた。

 まず戦車部隊と砲兵部隊の直接照準射撃により陣地を破壊する。

 本来なら間接照準による一斉砲撃により基地ごと吹き飛ばすが今回はマロニーやその一派の書類を確保するという目的もあったためこのような手段に出るしかなかった。

 

ギルザ「続けて両翼より工兵突撃ボートと水陸両用車に搭乗した突撃班と正面より戦車部隊に支援させた突入部隊を突撃させる。

    その際砲兵部隊は火力支援を行う。

    また同時に潜入工作班により基地内の発電機室、予備発電室、機械室、配電室、ボイラー室を爆破する。」

 

 砲兵による事前射撃により敵陣血を無力化すると続いて歩兵部隊が突入する。

 その際戦車部隊に支援させるほか両翼から工兵突撃ボートに乗せた部隊を投入させる。

 さらに同時かそれより少し前に基地内の電気系を全て爆破し喪失させる。

 ある意味では力押しとも言える作戦だったが彼らからすればとにかくいつネウロイがまた来るか分からない以上、とにかく早めに処理するのが一番だった。

 

ギルザ「で、だ。ヴァレンシュタイン君、基地の詳しい構造を知ってる君に聞きたいんだが弾薬庫、格納庫、発電室、予備発電室、機械室、配電室、ボイラー室はどこにあるんだ?

    工作員の誤射や火薬庫爆破による大惨事や二次災害はできる限り避けたい。

    可能な限り基地の最低限の運用システムへのダメージを減らしたいんだ。」

 

 ギルザは戦闘終了後最低限の補修で基地を復旧させたいため基地機能に大損害を与える部分や工作員への誤射を避けるため弾薬庫などの場所を知りたかった。

 

ハインツ「えっと、確かこことここに弾薬庫、それに確かここに砲兵用のがあった。」

 

 まずハインツは3箇所の弾薬庫の場所を指差して説明する。

 

ハインツ「で、基地のこの辺りにボイラー室と配電室、発電室が、こっちに予備発電室と変圧室がある。」

 

 さらに基地の二箇所を示して発電室などを説明する。

 

ギルザ「ふむ。その辺りには出来る限る当てないようにしよう。

    ボルカース君、できるか?」

 

ボルカース「難しいですが出来る限りはやってみましょう。

      少なくともボイラー室などは地下にあるのである程度は無視できますがむき出しの弾薬庫と格納庫は別ですね。」

 

 ギルザの問いに砲兵部隊指揮官であるボルカース中佐は答える。

 彼の答えは難しいが出来る限りはやってみるだった。

 

ギルザ「そうか。では解散。ウィッチーズの諸君はここにいてくれ。」

 

ミーナ「どうしてですか?あの基地のことは私たちが一番よくわかっているはずですが?」

 

 ギルザの言葉にミーナが聞く。

 

ギルザ「なんでか?簡単だ。君達のようなお嬢様を戦争に投入させてたまるか!

    あんたらが今まで戦っていたようなあんな生き物擬きとの戦争なんかじゃない!

    敵も味方も全部人だ!あんたらに人を殺せるか?あんなデカブツのMG42だかを室内でぶん回す気か?

    無理だな。あんたらのような花よ蝶よと育てられたお嬢様如きができるか?

    女なんてもんは戦争に来ちゃいかん。家に帰って家事でもやってろ!」

 

 その過激な答えとその威圧感にミーナはおろかほかのウィッチーズは全員黙ってしまった。

 

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 それから約一時間半後、基地の沖合に扶桑海軍の空母赤城とその護衛艦艇が現れた。

 ギルザにはこれはある意味吉報であった。

 彼らはたしかに赤城が出航したと言う報告は聞いていたがその航路がまさか基地の沖合を通過するとは聞いていたなかったからである。

 そのため彼はすぐにこの艦隊に連絡を取り駆逐艦や空母の火砲と航空機による援護を要請した。

 

 だが、それと同じ頃、基地の左翼側の砲兵陣地で基地を観測していた兵士が何かに気がついた。

 

観測兵A「ん?なんだありゃあ?」

 

観測兵B「どうした?」

 

観測兵A「未確認のなにかが出されて何かやってるぞ?」

 

観測兵B「え、ちょっと見せろ、本当だ。急いで司令部に連絡しろ!」

 

 すぐにこの観測所の報告は野戦電話で司令部に伝えられた。

 

参謀「え?未確認の物体?見た目は?うん、なにやら機首が尖ってる、飛行機みたいだがプロペラを確認できない、白色。」

 

ミーナ「それは恐らくウォーロックよ。」

 

 参謀と観測所の報告を聞いていたミーナが漏らす。

 

ギルザ「ウォーロック?あのよく分からん連中の新兵器か?

    ならだいぶマズイぞ!砲兵隊に連絡!滑走路と駐機場を砲撃して飛ばすのを阻止しろ!

    作戦変更!30分後に総攻撃を行う!特殊信号弾を打ち上げろ!」

 

 ウォーロックは航空機であるため航空支援がなく対空兵器が随伴している高射砲部隊か手持ちの小火器程度しかないこの部隊にとって航空攻撃は悪夢そのものだった。

 なので即座に離陸を阻止し地上で破壊するように砲兵部隊に指示を出し作戦変更の合図として開始30分前に打ち上げ予定だった特殊発光信号弾が打ち上げられ空に緑色の筋を残した。

 

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工作員「少佐、どうやら作戦変更のようです。」

 

少佐「わかった。急いで向かうぞ。」

 

 それを見た基地内にいたブリタニア軍の軍服を着てサプレッサー付きステンガンと軍用爆薬を持った工作員たちは少佐と呼ばれた男に率いられ作戦を開始した。

 

 

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ボルカース「わかりました。では。

      射撃用意!目標基地の駐機場および滑走路!急げ!」

 

 ギルザからの緊急指令を受けたボルカースは直ちに指揮下の3個砲兵大隊と高射砲部隊に行動を起こさせた。

 連絡を受けた砲兵部隊や戦車部隊は慌てて照準を整え砲撃を開始した。

 

砲兵指揮官「目標グリッドロメオ2、エイブル3。距離5300m。弾種榴弾!」

 

砲兵A「ロメオ2!エイブル3!距離5300!」

 

 連絡を受けた砲兵隊の隊長の号令に砲兵たちは手慣れた手つきで装薬や弾薬を用意する。

 

砲兵B「装薬準備完了!」

 

砲兵C「砲弾装填!」

 

 榴弾と装薬をラマーで押し込んだ砲兵が報告する。

 

砲兵B「装薬装填!尾栓閉鎖。射撃準備完了!」

 

砲兵指揮官「撃ち方始め!」

 

 尾栓を閉鎖し照準を完了したことを報告されると砲撃を開始する。

 

 砲兵3個大隊のleFH 18/4015門、ヴェスペ15両、フンメル15両に戦車部隊の二十数台の戦車、歩兵連隊に装備されたSIG334門、ネーベルヴェルファー数基、重装備中隊の重迫撃砲小隊に配備された12 cm GrW 42又は12 cm Granatwerfer 378 (r)、重装備中隊や戦車猟兵中隊に配備されたPak40・7.62 cm PaK 36(r)・7.62 cm PaK 39(r)・8.8 cm PaK 43・8.8 cm PaK 43/41、高射砲部隊の8.8 cm FlaK 18/36/37などが砲撃を試みる。

 

 圧倒的とも言えるその火力だが碌な観測もされず滑走路との位置関係上基地の建物越しの射撃となるため砲撃できたのは精度と射程にに難のある重迫撃砲と陣地の両翼の先端部のみで全ての火砲を集めても8門程度しかなかった。

 

 そのため不正確でまばらな砲撃というあまり効果的でないものしかできなかった。

 

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 司令部近くの道路では数台の空挺部隊用ジープと空挺兵が鈴なりに乗ったロールスロイスが走っていた。

 そのロールスロイスにはリーネが乗っていた。

 彼らはジープに乗った一人の空挺兵がフルートでブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調第3楽章を吹いたりしながら戦時であるにもかかわらずどこかのどかな空気を出しながら戦闘団ギルザの司令部に向かっていた、だが突如空に緑色の特殊発光弾が見え、さらに砲撃音が聞こえ始めると空気が一変した。

 空挺兵たちはすぐに手持ちのステンガンやブレン、リーエンフィールドを構えると全車最高速で向かい始めた。

 

 

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 その頃砲撃を受けていた基地内では

 

マロニー「クソ!砲撃か!」

 

士官「大将、降伏しましょう!」

 

マロニー「なにを言ってるんだ!ここで降伏すればすべてが水の泡だ!

     おい、高射砲部隊に敵陣地を砲撃させろ!」

 

 砲撃を受けたことに動揺する中マロニーは降伏を具申する部下を叱り飛ばすと基地の高射砲部隊に命じて砲撃を指示した。

 その連絡を受けた高射砲部隊は即座に反撃を行い砲撃を開始した。

 

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 反撃は基地の右翼に展開していた88mm高射砲中隊に浴びせられた。

 

砲兵A「伏せろー!」

 

砲兵B「うゎああああああ!」

 

砲兵C「クソ!砲がやられた!」

 

 それほど正確ではなかったがそれでも特徴的な甲高い音とともに放たれるアハト・アハトの砲撃に被弾したり至近弾で兵士が吹き飛んだり弾薬が誘爆する、砲そのものが故障などの被害が次々と出てきた。

 

高射砲指揮官「目標変更!あの高射砲陣地をぶっ飛ばせ!」

 

 すると高射砲部隊は目標を基地の滑走路から砲撃をしてきた基地の高射砲に変更し撃ち始めた。

 

 これは命令違反だったがすでに高射砲中隊の12門の高射砲のうち1/3にあたる4門が撃破されるか損傷を受けていた。

 軍隊では「戦闘可能戦力の40%」が戦闘不能に陥った状態が全滅と一般に定義される。そのため壊滅を避けるため目標を変更した。

 そして高い練度を持つ高射砲中隊は非常に正確な砲撃を浴びせ始めた。

 

 さらにこの目標変更を見た隣接していた対戦車砲中隊と高射機関砲中隊、さらに榴弾砲や歩兵連隊の重歩兵砲、各種軽歩兵砲なども砲撃を開始、気が付けば右翼の砲兵戦力の半分が高射砲を攻撃し始めた。

 この独断の目標変更の結果ウォーロックは離陸しガリアに向かったが戦闘団ギルザにはそれどころではなかった。

 この突発的砲撃戦により突入が開始された。

 

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ギルザ「たく高射砲部隊が独断で攻撃目標を変更するとは…

    仕方ないが突入しろ。30分でかたをつけてやる。」

 

 この報告にギルザは苦虫を潰したような顔をしていた。

 だが彼は戦闘経験が豊富であるため戦争なんてものが予定通り進むようなものではないと熟知していたためこれ以上はあらだてるつもりは無かった。

 するとそこへ外から数台の車の走行音が聞こえると司令部にレッドベレーを被った空挺兵が転がり込んで来た。

 

空挺兵「ギルザ少将!リネット・ビショップ軍曹を連れて来ました!」

 

ギルザ「そうか!やったな!」

 

ミーナ「リーネさん!」

 

リーネ「ミーナ中佐!あの、ミラーさんは?」

 

 空挺兵が息を切らしながら報告しているとリーネが走りこんで来た。

 そしてミーナやほかのウィッチーズを見つけるとミラーのことを聞いた。

 

ミーナ「ミラーさんは…」

 

ギルザ「ミラー君か?今正面陣地にいるはずだ。今からちょうど電話をかけるところだったから使う…

    あら、出て行っちゃった…」

 

 ミラーのことを聞かれ作戦変更のため正面突入部隊を率いるハインツに電話しようとしたギルザだったがリーネはミラーがいるところを聞いてすぐに飛び出していった。

 

 

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 そころ基地正面の橋のたもとではハインツたちが率いる突入部隊が作戦準備中だった。

 

 兵士たちは橋の両側に即席の陣地を作り機関銃を橋の欄干に据え付けさらに橋の両側にはパンター戦車A型の後期型が2両、別のところにはマズルブレーキ付きの10.5㎝突撃榴弾砲42とザウコップ防循にシュルツェンをつけたⅢ号突撃砲G型が配置され監視していた。

 

 ハインツたちは橋の右側に配置されたパンターの後ろに野戦電話と無線機を据え付けた簡素な拠点を作り他の兵士たちと打ち合わせをした後昼食として配給されたパンとグラシュを食べていた。

 すると野戦電話が鳴りそれをハインツが取る。

 

ハインツ「はい、正面突入部隊。あ、将軍!何でしょうか?」

 

ギルザ『ハインツ君、作戦変更だ10分後の1200に突入する。急いでくれ。』

 

ハインツ「了解しました。では失礼します。

     さてと、悪いニュースだ。作戦変更、10分後に突入だとよ。」

 

 ギルザからの電話にハインツはその内容をそのまま伝える。

 それに兵士たちはすぐに食事をほっぽり出して装備を整えて配置に着く。

 それはハインツたちも同じで即座にハインツはPPshを用意してパンターのエンジンデッキに上がり砲塔越しに敵陣地を監視し、ミラーはその下でMP40を構え橋の右側の欄干に隠れ待機し、ノヴァクも同じく左側でステンガンを持って待機した。

 

ハインツ「敵陣には…ヴィッカースにブレンに6ポンドか。おい、あれやれるか?」

 

車長「簡単だな。今からやるか?」

 

ハインツ「別にやらなくていい。合図で榴弾とスモークをぶち込め。」

 

車長「分かってる。」

 

 ハインツはパンターの車長と打ち合わせしていると後ろから足音がし振り返る。

 そこにはリーネが息を切らして走ってきた。

 それにミラーは驚いて声を出す。

 

ミラー「リーネ!」

 

ハインツ「なんでリーネがいるんだん!?不味い!伏せろ!」

 

 ハインツが振り返り叫ぶ。リーネは丁度敵の機関銃の射線上にいた。

 次の瞬間、敵のヴィッカース重機関銃が火を噴いた。

 リーネは驚き伏せる。

 

ハインツ「作戦変更だ!榴弾をぶち込め!」

 

車長「了解!弾種榴弾装填!機関銃を吹き飛ばせ!」

 

ミラー「野郎!おい、援護しろ!」

 

兵士A「あいよ。」

 

 それを見たミラーは隣にいたライフルを持った兵士に援護させ遮蔽物を飛び出す。

 さらにハインツはパンターに火力支援をさせる。

 橋の欄干に据え付けられたMG42や遮蔽物の陰の兵士のライフルが一斉に発砲、さらに2台のパンターが榴弾と白燐弾を撃ち込む。

 榴弾と白燐弾の直撃を受けた陣地では兵士が吹き飛ばされたり白燐が当たり兵士がもだえ苦しんでいた。

 さらにそこに機関銃の銃撃も加わる。

 ミラーは右手でMP40を乱射しながらリーネのもとに走り寄る。

 

ミラー「リーネ!何やってるんだ!行くぞ!」

 

リーネ「ミ、ミラーさん…」

 

 そういうと強引に服の襟を掴み遮蔽物まで引きずる。

 引きずり込むとミラーはリーネを叱りつけた。

 

ミラー「リーネ!何やってるんだ!死ぬ気か?」

 

リーネ「ミラーさん…」

 

ミラー「ここは戦場だ!それもリーネの知ってるような物じゃない!

    今すぐ戻れ!これは命令だ!」

 

 そう言ってミラーはリーネを怒鳴りつける。

 今までに見たことのないほどの怒り具合にリーネは驚き萎縮する。

 するとそこへPPsh41を持ち白兵戦章をつけ軍服を着崩した歩兵部隊の古参軍曹シュタイナーがやって来た。

 

シュタイナー「あんたらここは戦場だぞ。宮殿じゃない。

       ロマンチックな事やってる暇なんてねえぞ。あと、作戦変更だ。12時丁度に攻撃する。」

 

ミラー「分かりましたシュタイナー軍曹。リーネ、とにかくここは危険だから下がってろ。」

 

 そういってリーネを置いてミラーはハインツのもとに向かった。

 リーネはただその場にへたり込みミラーの向かった方を見ていた。

 

ミラー「で、どうするんですか?」

 

ハインツ「決まってるだろ。やるぞ。突撃砲を前に出せ。

     パンターは橋が持たないから火力支援だ。」

 

 ミラーはパンターからⅢ号突撃砲のエンジンデッキ上に移ったハインツに聞く。

 それにハインツは橋の耐荷重量では45トンもするパンターでは橋を壊してしまうためその半分程度の重さのⅢ号突撃砲に直接火力支援と盾として前進させた。

 

 それにミラーとノヴァクも続く。

 先頭の突撃砲にはハインツが乗り込み突撃砲の車長とともに敵陣に煙がかかる中をゆっくりと進んでいった。

 ミラーは先頭の突撃砲の後ろにつきMP40を構え、ノヴァクはさらにその後ろの10.5㎝突撃榴弾砲42の後ろに続いていた。

 その周りではライフルに銃剣をつけたり重機関銃を油断なく構えたり短機関銃や突撃銃を持ちシャベルや手榴弾を持った兵士がゆっくりと前進していた。

 

 煙の中をしばらく進むと破壊された敵の陣地に到達、そこは滅茶苦茶に破壊され焼けた死体や死体らしきものがそこら中に転がり壊れた機関銃や対戦車砲、車などが放置されていた。

 兵士たちは死体を一つずつ銃剣で刺して生死を確認したり息がある物にはとどめを刺していた。

 

 ハインツ達はさらに前進する。

 すると

 

<バン!バン!バン!>

 

<キーン!>

 

ハインツ「なんだ!」

 

車長「対戦車砲だ!」

 

 突如銃撃と砲撃を受ける。

 基地の出入口の手前に敵は車などを使いバリケードを作りそこに予備兵器として死蔵されていたはずの2ポンド砲を据え付けていた。

 だがドアノッカーとして名高いこの砲では80mmもある突撃砲の装甲は抜けず即座に突撃砲と突撃榴弾砲の砲撃により陣地ごと吹き飛ばされた。

 

 この陣地を吹き飛ばすとハインツ達は突撃砲から降り突撃する。

 榴弾の煙が晴れるとそこには何人かの敵兵が両手を上げて立っていた。

 

ハインツ「ん?降伏するのか?」

 

敵兵「ああ。降伏する。」

 

 ハインツが少しずつ近づき聞くと敵兵はそう言った。

 負傷したりした敵兵たちを衛生兵と後続部隊に任せハインツ達はそのままなだれ込む。

 するとそれを見た敵兵たちが次から次へと湧いてきたかのように出てきて降伏していく。

 ハインツはそれを捌きながら基地内部への出入口を目指す。

 すると突如基地内部から大爆発が起こり基地の電気系がすべてダウンした。

 

ハインツ「なんだ?」

 

ノヴァク「多分少将が言っていた基地内部の工作員だ。」

 

ミラー「ならありがたいです。行きましょう。混乱している今のうちです。」

 

 そういうとそれぞれ短機関銃と突撃銃で武装し手榴弾とシャベルなどを持った選りすぐりのベテラン兵――その多くがスターリングラードやベルリンを経験した猛者――を連れて突入する。

 ハインツ達は内部に入ると3手に分かれた。

 ミラーは格納庫と弾薬庫の確保、ノヴァクは高射砲の破壊と工作員との合流、そしてハインツが管制塔の制圧だった。

 

 格納庫に向かったミラーたちの隊は特に何もなく山のような投降してきた兵士を捌きながら前進しすぐに確保し上陸してきた工兵部隊などと合流、格納庫の出入口に作られた鉄筋の爆破解体に移った。

 するとふと沖合を見た工兵が叫んだ

 

工兵「おい!見ろ!船が燃えてるぞ!」

 

ミラー「なに!」

 

 すぐに兵士たちはそっちの方向を見る。

 するとそこには沖合で燃え盛る赤城があった。

 

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 両翼の高射砲陣地破壊に向かったノヴァクだったが激しい抵抗を受けて途中で足止めを食らっていた。

 

ノヴァク「おい、どうなってんだ!」

 

兵士A「連中ブレンガンぶっ放してらあ!手榴弾でぶっ飛ばすぞ!」

 

 そういうとノヴァクたちは懐から手榴弾を取り出し紐やピンを抜き放り投げる。

 数秒後、爆発が起こりそれを合図に銃を乱射しながら突撃する。

 突撃するノヴァクだったが敵のいたところまでに到達したところで左肩に衝撃を受け倒れる。

 そこには足を負傷したが拳銃を取り出して発砲した敵の士官がいた。

 彼は直後、反対方向から来た銃撃受けた。

 

ノヴァク「って…」

 

兵士A「衛生兵!衛生兵!」

 

???「大丈夫かノヴァク?ちょっとかせ。」

 

 するとブリタニア軍の軍服を着た聞いたことのある声の兵士が近づきノヴァクを手当てし始めた。

 

兵士A「えっと…あんた誰だ?敵か?」

 

???「敵じゃない。これを見ろ。」

 

 驚いた兵士が警戒し銃を突きつけるがそれにその兵士は軍服の襟元を開けて首元に輝く鍵十字の騎士鉄十字章とフィールドグレイの軍服を見せる。

 

ノヴァク「…あんた何ものだ?」

 

フェルカーザム「フェルカーザム。アドリアン・バロン・フォン・フェルカーザム大尉。

        あんたにはアドリアン・トゥルーヒンって自称してたがな。」

 

 ノヴァクが聞く。彼の正体はノヴァクたちにはトゥルーヒンと名乗っていた工作員、アドリアン・バロン・フォン・フェルカーザムだった。

 

ノヴァク「はん、あんたもあのニエムツィか?」

 

フェルカーザム「ああ。それにSSだ。とはいっても俺の仕事場がSSに移っただけだがな。」

 

ノヴァク「その上ナチか。ナチ野郎のニエムツィに手当てされるのも癪だが今は仕方ないか。」

 

フェルカーザム「そうだな。」

 

 そういうとノヴァクは黙って応急処置を受けた。

 応急処置が終わるとノヴァクは聞いた。

 

ノヴァク「なあこの後どうすりゃいいんだ?」

 

フェルカーザム「後のことは俺がやろう。あんたは野戦病院に行っといてくれ。

        連絡もこっちが入れといてやる。」

 

 そういうとフェルカーザムはノヴァク隊の残余を率いて前進した。

 ノヴァクはフェルカーザムから護衛としてあてがわれた部下と共に野戦病院に向かった。

 

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 ハインツ隊はベテランのシュタイナーと共に前進を続けて部屋を一つずつ制圧していった。

 ただ敵兵は次から次へと投降していたため大した損害もなく順調に進みとうとう管制塔になだれ込んだ。

 そこにはマロニー以下の将校や技術者が書類や機械を破壊しようとしていた。

 それをハインツが割って入り無理矢理止めて回収する。

 

ハインツ「全くなんなんだよ。えーと、これなんだ?」

 

兵士B「多分技術系の奴でしょう。知らないけど」

 

ハインツ「そ。にしても何やら面白そうなことが…」

 

シュタイナー「おい!ありゃなんだ!?船が燃えてるぞ!」

 

ハインツ「え?」

 

 ハインツが押収した書類を読もうとすると窓の外を見たシュタイナーが叫んだ。

 それにハインツやほかの兵士も振り向き窓から外を見る。

 そこには燃え盛る赤城があった。

 

ハインツ「おい…ありゃ赤城だ。だいぶ不味いぞ。通信兵!」

 

 それを見たハインツはすぐに通信兵を呼び無線連絡する。

 

ハインツ「こちらハインツ!沖合で赤城が燃えてる!」

 

 無線機にかじりついたハインツが叫ぶ。

 そして捕虜にした将校から奪った双眼鏡で赤城を見る。

 するとその上空で何かが空中戦を演じていることに気が付く。

 

ハインツ「あとその上空で何かしらの航空機とウィッチらしきものが交戦中!」

 

 さらに詳しく見ようと固有魔法を使いよく観察する。

 そこには…

 

ハインツ「ありゃあ…宮藤だ!」

 

ギルザ『なに!」

 

ミーナ『なんですって!』

 

 




マロニーへの降伏勧告と空挺兵のフルートのブランデンブルク協奏曲は遠すぎた橋のオマージュです。

航空機の離陸妨害のための砲撃というのは史実でも行われていて1945年5月のプラハ蜂起の際にロシア解放軍を空襲したMe262(!)部隊戦闘機集団ホゲバク(JG54やJG6の残余からなる有力なジェット戦闘機部隊。指揮官はヘルマンネン・ホゲバク中佐。個人的に実はウィッチのとして出して欲しい人の一人)がいたルジニェ飛行場(現ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港)に対して離陸の妨害のため砲撃を行ってる。
ちなみに戦闘機集団ホゲバクの行った5月6日早朝のロシア解放軍への空襲は大戦末期にドイツ空軍が行ったジェット戦闘機による対地攻撃の中でも最大規模でありプラハ蜂起のドイツ軍の最初の反撃だった。

白燐弾は本来煙幕弾ですがもし人体に打ち込むと白燐が燃え尽きるまで体を焼きます。
なんで兵士相手なら結構効きます。(でも建物などに対してはテルミッドのほうが効く)

10.5㎝突撃榴弾砲って何ぞや?って言うと簡単に言うとⅢ突(その筋の人間はこう略す)の105mm砲搭載型。

(キャラ解説)
・ボルカース中佐
完全オリジナルキャラ。モデルはアンツィオアニーこと28センチクルップK5列車砲「ロベルト」・「レオポルト」を率いたボルカース大尉。


・シュタイナー軍曹
オリジナルキャラ。モデルは戦争のはらわたの主人公シュタイナー軍曹。
上司がクソだった。


・フェルカーザム
史実ではドイツ軍きっての特殊作戦の専門家。
ロシア生まれで祖父は日本海海戦のバルチック艦隊第2戦艦隊司令官で日本海海戦の二日前に病死したドミトリー・フェルケルザム提督。
その功績は有名なものでブラウ作戦時のマヌィチ河の水門を特殊作戦で奪い、さらにはマイコプにロシア語が堪能な部下62人を連れてNKVDのトゥルーヒン少佐を名乗り潜入、街の防衛体制を調べ上げ友軍に伝えさらにドイツ軍の攻撃時には市内の通信拠点などを破壊して攻略を支援した戦果を挙げた強者。
その腕はあのスコルツェニーが三顧の礼で迎え入れたほど。ただ日本だとヨーロッパ一危険な人のせいで影が薄い。
ちなみに最終階級はSS少佐(ただし特進)。45年1月にポーランドで戦死して飛ばされてる。
本来男爵はドイツ語だとフライヘアだけどこの人ドイツ貴族じゃなくてロシア貴族なんでバロンです。


追伸:6月からバイトなどのため全般的に更新がさらに遅れます。ご容赦くださいませ。
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