WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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1期最終回。
長かった…


第34話:始まりの終わり

ハインツ「あとその上空で何かしらの航空機とウィッチらしきものが交戦中!

     ありゃあ…宮藤だ!」

 

 燃え盛る赤城を見ながらハインツは無線機に叫んだ。

 

ギルザ『なに!」

 

ミーナ『なんですって!』

 

ハインツ「大変なことになったぞ…おいマロニー!てめえ何をした!」

 

 通信兵が背負った無線機を持ちながらハインツはその横で銃を突きつけられて両手を頭に置いて床に伏せられたマロニーを問いつめる。

 その答えは簡単だった。ウォーロックのコアコントロールシステムがガリア上空でネウロイを殲滅した直後、基地のすべての電気系が破壊されコントロール不能になり暴走したのだ。

 おそらくはそれがたまたま付近を航行中だった赤城を襲撃した。

 なんとも不運が過ぎる話だったが現実に起きた以上どうしようもなかった。

 

 その話を聞くとハインツはそのまま全力で格納庫まで走った。

 格納庫に付くとミラーが工兵を集めて出撃準備中だった。

 

ミラー「早く早く早く!これじゃあ間に合わない!」

 

工兵「分かってますよ!今倉庫から砲弾を運んできてますよ!」

 

ハインツ「ミラー!どうなってる!?」

 

 ハインツはミラーに聞く。

 

ミラー「格納庫を塞いでいた鉄骨は見ての通り爆破、今ユニットと武器を引っ張り出してやってます」

 

ハインツ「そうか。俺のユニットと武器は?」

 

ミラー「あっちです。」

 

ハインツ「分かった。二人でも宮藤を援護するぞ」

 

ミラー「分かってますよ。」

 

 そういってハインツはユニットと武器を整えると二人で離陸、宮藤の元へ急行した。

 二人とも急ぎすぎていて装備が陸戦用のものを持ち手榴弾や短機関銃を吊り下げたままだった。

 だがこれが後々役に立つとは思わず離陸した後は嵩張り邪魔で離陸する前に置いて行けばよかったとか愚痴っていた。

 

---------

 

ギルザ「全く大変なことになったよ。ヴィルケ君、普通なら航空部隊に出撃を要請したいところだがあいにく手持ちがない。

    行ってきてくれ。」

 

ミーナ「分かりました。皆行くわよ。宮藤さんだけでは時間稼ぎが精いっぱいよ。」

 

バルクホルン「そうだな。だが…」

 

 ギルザはハインツからの報告を受けてミーナに航空支援を要請する。

 それに他のウィッチも乗り気だが一人バルクホルンだけは気乗りしなかった。

 

ミーナ「どうしたのトゥルーデ?」

 

ハルトマン「もしかしてノヴァクのこと心配なの?」

 

 ハルトマンはバルクホルンに聞く。

 

バルクホルン「ああ。アレックスが…」

 

 バルクホルンはノヴァクが怪我をしたことにショックを受けていた。

 するとそこへ、

 

ノヴァク「トゥルーデ、何落ち込んでんだ?」

 

バルクホルン「アレックス!大丈夫なのか?」

 

 ノヴァクが左腕を包帯で吊って入ってきた。

 

ノヴァク「軍医曰く肩の骨が折れたが命に別状はないだとよ。

     だからトゥルーデ、俺のことは気にせず存分に暴れてこい。」

 

 一言そういうとバルクホルンはやる気を取り戻したのか元気な声で

 

バルクホルン「行くぞミーナ!ハルトマン!宮藤を助けに行くぞ!」

 

ミーナ「え、ええそうね。」

 

ハルトマン「もう私の知ってるトゥルーデじゃない…」

 

 そういって司令部から飛び出していった。

 それにほかのウィッチも続き後にはギルザとノヴァクが残された。

 

ギルザ「全く若いってのはいいねぇ。老人にはないよ。

    後、ノヴァク君。彼女は大事にしろよ。ありゃあ私の嫁なんかよりずっといい女だ。」

 

ノヴァク「分かってますよ少将。」

 

ギルザ「そうか。なら紅茶でもいるか?」

 

ノヴァク「貰いましょう」

 

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 ミーナたちが司令部から基地の格納庫に向かい、ハインツ達が離陸し急行したころには既に赤城は沈みかけていた。

 その甲板の端ではペリーヌが坂本を掴み何とか甲板を掴んで耐えていた。

 

ペリーヌ「大丈夫ですか少佐!?」

 

坂本「もういいペリーヌ、放せ!」

 

ペリーヌ「その命令だけは絶対聞けません!」

 

 それを見て宮藤は助けに向かおうとするがウォーロックが邪魔をして助けに行けない。

 だが次の瞬間、聞きなれた銃とは全く違う重く、大きな音がしウォーロックを掠める。

 

ハインツ「外れだ。腕落としたか?」

 

ミラー「腕は落としてないと思いますよ。ウォーロックが速すぎるんです。」

 

 振り向くとハインツとミラーのコンビがいた。

 

ハインツ「じゃあ次と言いたいがどうやらペリーヌと坂本がヤバいみたいだな。」

 

 双眼鏡を覗いていたハインツが呟く。

 

ハインツ「それじゃあお姫様を助けに行きますか。」

 

 そういうと急降下し全速力でペリーヌのもとに向かった。

 それを見たウォーロックは止まって集中砲火を浴びせるがそこにミラーは砲弾を撃ち込む。

 ミラーにとっては空戦で同じ姿勢を十数秒間取るだけで撃破するのに十分だった。

 ウォーロックに撃ち込まれた50ミリ砲弾は吸い込まれるように命中し一部を吹き飛ばす。

 吹き飛ばされたウォーロックはよろめきながら沈み始めた赤城に直撃、その衝撃でペリーヌと坂本が落下する。

 

ペリーヌ「きゃあああああああ!」

 

 次の瞬間、ペリーヌと坂本の首元を誰かが掴んだ。

 それはハインツだった。

 

ハインツ「ふう。メガネ、これは貸しにしといてやる。」

 

ペリーヌ「ハ、ハインツさん!」

 

坂本「助かったハインツ。」

 

ハインツ「坂本少佐も無理しないでくださいよ。ベテランほど死なれたら困るんですぜ。」

 

 そう言っていた下では赤城が沈んでいった。

 ハインツは坂本を、ミラーはペリーヌをお姫様抱っこしながらその光景を見ていた。

 するとその後ろからエンジン音が聞こえて振り返る。

 そこにはノヴァク以外の他のウィッチーズが完全装備でいた。

 

ハインツ「遅いぞ。獲物はあんたらの分まで…」

 

 食っちまった。そう言いかけた次の瞬間、下から数百メートルはする水柱が立ち上った。

 

ミラー「な、なんだ?」

 

ハインツ「フライング・ダッチマンが出て来たのか?それともデイビット・ジョーンズか?」

 

 そこから出て来たのはウォーロックを古めかしいガレオン船の船首像のようにつけ、黒と赤に見るも無惨に変わってしまった赤城だった。

 それにハインツたちはただポカンと口を開けるしかできなかった。

 

ハインツ「フライング・ダッチマンだ…」

 

ミラー「空飛ぶ幽霊船はワーグナーだけで十分ですよ…」

 

ハインツ「だな。ワーグナー嫌いだけど。」

 

 それを見たハインツたちは有名な船乗りの伝説、フライング・ダッチマン、さまよえるオランダ人を引き合いに出した。

 それはまさしく空を飛ぶ幽霊船そのものだった。

 二人が唖然としている間に他のウィッチは二人から坂本とペリーヌを貰いユニットを履かせて宮藤と交換していた。

 これが完了すると突如ネウロイが攻撃を開始した。

 それに全員が回避して戦闘、文字通りの最終決戦の火蓋を切られた。

 

ハインツ「全く魔法使いと幽霊船とはどこの伝説かな?」

 

 いつも通りの軽口を叩きながらハインツはネウロイに接近、固有魔法の魔眼と立体空間把握を使い艦内構造とコアを探す。

 

ハインツ「うわぁ…良いニュースと悪いニュースだ。

     コアが見つかった。悪いのはウォーナンチャラと幽霊船ががっちり融合してる。

     残念ながらこの世界じゃあ幽霊船には価値はないし出てきても困るだけだ。

     俺たちがエクソシストとして追い払うしかないな。十字架と聖水、聖油と聖書は持ったか?」

 

 軽口を叩きながらさらっと悪いことを冗談めかして言う。

 

ミラー「少佐、聖書は基地に置いてきましたよ。

    その代わりどんな悪魔も震え上がる50ミリがありますよ。」

 

ハインツ「よろしい。さてと、中佐あいつをやりましょう。」

 

ミーナ「ええ。ストライクウィッチーズ、全機攻撃態勢に移れ!目標、赤城及びウォーロック!」

 

「「了解!」」

 

ハインツ「了解。コアは機関部、構造からして外部からの破壊は不能。内部に突入して破壊する必要がある。」

 

坂本「内部を知っている私が行く!」

 

ミーナ「美緒!あなたは…!」

 

 ハインツの報告に坂本は自分が行くと言うがミーナが止める。

 

宮藤「私が行きます!」

 

リーネ「私も!」

 

ペリーヌ「私も内部なら多少は分かりますわ」

 

 そこへ宮藤たちが志願する。

 

宮藤「ありがとう、ペリーヌさん!」

 

ペリーヌ「べ、別にあなたのためじゃありませんわ!」

 

坂本「ペリーヌ、オマエが付いていてくれれば心強い」

 

ペリーヌ「は、はい!」

 

 宮藤からの言葉にツンケンするが坂本の言葉にわかりやすく態度を変える。

 

ミーナ「では、その他の隊員は三人の突入を援護!突破口を開いて!」

 

ハインツ「さてと、Are you guys ready?Let’s roll !」

 

 ミーナとハインツが号令を取る。

 

ハルトマン「先に行くよ!」

 

 まずハルトマンが先陣を切り固有魔法で船体を削る。

 

バルクホルン「私の仕事を!」

 

 さらにそれに続いてバルクホルンも機銃掃射を加える。

 反対側では

 

エイラ「右だな」

 

サーニャ「うん」

 

エイラ「上だな」

 

サーニャ「うん」

 

 エイラとサーニャが攻撃を加えていた。

 ネウロイも反撃を加えるがエイラの固有魔法により悉く外していた。

 その頃艦首の方ではハインツとミラーが痛い一撃を加えようとしていた。

 

ハインツ「さてと、ミラー、出し惜しみは不要だ。痛いのをぶっ食らわせてやれ!」

 

 ハインツが指示するとミラーは初めてBK-5を全力で連射する。

 その激しい反動を無理やり抑えながら10数発を撃ち込むと艦首はすっかりぺちゃんこになっていた。

 だがそれでも出入り口は確保できない、そこでルッキーニとシャーリーが加速してカタパルトの要領で艦首に突っ込み粉砕する。

 それを見たミラーは弾がなくなり役立たずとなったBK-5を無理やりユニットから外し背中にかけたMP40を取り出す。

 

ミラー「あの3人じゃ不安なんで行って来てもいいですか?」

 

ハインツ「俺が止めるとでも?かっこいいとこ見せてこい、色男。」

 

ミラー「少佐に言われるほど落ちてはいませんよ。」

 

ハインツ「そうか。ならこいつを持ってけ!結局使わなかった手榴弾だ!」

 

 ハインツはミラーに数個の柄付手榴弾を投げ渡す。

 ミラーはそれを受け取ると腰のベルトに差し込み向かった。

 

ペリーヌ「行きますわよ!」

 

「「はい!」」

 

ミラー「僕も手伝いますよ。」

 

 ペリーヌたちはルッキーニが開けた穴から入り込み機関部に向かう。

 だが入ってすぐに隔壁に妨げられる。

 

ペリーヌ「隔壁が…!」

 

 それを見たミラーがリーネの方に振り向くとそれを見たリーネが隔壁を吹き飛ばす。

 隔壁を吹き飛ばすと先を急ぐが

 

宮藤「あっ!」

 

リーネ「しまっ…!」

 

ペリーヌ「武器を失うなんて、なんてこと!」

 

ミラー「宮藤、リーネ手榴弾だ!」

 

 突然の奇襲に宮藤とリーネは武器を失うがそれにミラーは持っていた手榴弾を渡す。

 さらに壁面にブレンとMP40で掃射しながら前進すると機関部の前にある隔壁まで到達する。

 

ペリーヌ「この奥ね!」

 

 ペリーヌはブレンの.303ブリティッシュを撃ち込むが全く聞かなかった。

 

ペリーヌ「この銃じゃ無理ですわね…」

 

宮藤「そんな…」

 

リーネ「ここまで来たのに…」

 

 するとペリーヌは弾の切れたブレンを捨て壁に近づく。

 

ペリーヌ「最後に取っておくつもりでしたのに…」

     トネール!」

 

 叫ぶとペリーヌは電撃を食らわせ壁を破壊する。

 

ペリーヌ「これは…」

 

 その先にあったのは巨大なコアだった。

 

ペリーヌ「これだけの大きなコア…一体どうやって破壊すれば…!」

 

ミラー「いい手がある。手榴弾を使うぞ。」

 

 だが彼女たちにはもう手持ちの武器がない、だがミラーにはまだ切り札があった。

 そもそも離陸前の市街戦用に持っていて使う機会がなく、さらにその後ハインツから追加で貰った手榴弾だ。

 ミラーはペリーヌに手榴弾を渡し自分も柄付手榴弾を2個取り出す。

 

ミラー「合図で紐を抜いてやるぞ。」

 

ミラー「よし、今だ!」

 

 そういうとミラーは口で手榴弾の紐を抜き投げつける。

 リーネたちも続いて投げつける。

 数秒後手榴弾はコアの上や横で爆発、コアを破壊した。

 

---------

 

 外では突如、赤城の攻撃がやむと色が元に戻り落下し始め白い破片となっていった。

 それに全員が驚くがルッキーニが何かに気が付く。

 

ルッキーニ「あっ!芳佳だ!」

 

ハインツ「やったか!」

 

 ルッキーニが見た方向にはミラー、リーネ、ペリーヌ、宮藤がいた。

 

リーネ「やった!やったよミラーさん!」

 

ミラー「ああリーネ!今夜は祝杯かな?」

 

 リーネは喜びミラーに抱き着く。それにミラーも返す。

 そのそばではペリーヌがいつものように呆れていたが笑顔だった。

 するとハインツがふとガリアの方を向く、そこにはネウロイの巣が消えていく様があった。

 

ハインツ「おい、ガリアの巣が…」

 

バルクホルン「消えていくぞ!」

 

ペリーヌ「ガリアが…私の故郷が解放された…」

 

 口々に言い、ペリーヌに至っては歓喜で泣いていた。

 それにミラーはさっとハンカチを渡す。

 

ハインツ「これでお仕事は完了ですかな中佐?」

 

ミーナ「ええ。ストライクウィッチーズ、全機帰還します!」

 

「「了解」」

 

---------

 

ギルザ「フ、フハハハハハ!やったぞ!大陸に戻れるぞ!

    オーバーロードはキャンセルだ!お前ら!今年のクリスマスはパリで楽しめるぞ!」

 

 ガリアが解放されたというニュースを聞いてギルザは大笑いする。

 その報告を受けた兵士たちは喜び帽子を投げたり音楽を奏で始めたり踊ったり酒を飲み始めた。

 

ノヴァク「そうか。よかった…」

 

ギルザ「さあ、今は喜ぶ時間だよ。まあこれは始まりの終わりだがな。」

 

ノヴァク「終わりの始まりは遠いですか?」

 

ギルザ「さあ?ただ我々は2年以内にこの戦争を終わらせられる。それだけは確約しよう。」

 

 

---------

 

ボック「そうか。オーバーロードはやらなくて済んだな。」

 

ディートル「ええ。」

 

 その頃、ギルザの報告を受けた第7軍団司令部ではボックとディートル、シコルスキがいた。

 

シコルスキ「ところでウォーロックはどうする?

      危険だが研究開発をしっかりすればなかなか興味深い兵器になる。」

 

ボック「危険なのはチューブ・アロイズも変わらんだろ。

    リベリオンに取引として売ろうか。」

 

ディートル「賛成ですね。彼らならより堅実的な兵器を作ってくれるでしょう。」

 

ボック「ああ。だがそれは順序としては3番目だ。

    今は核兵器の開発を優先すべきだがな。あれさえあれば世界を支配し絶対的な軍事力を得られる。

    そうなったとき、我々の真の意味での勝利だ。」

 

 

---------

 

「Now this is not the end.

 It is not even the beginning of the end.

 But it is, perhaps, the end of the beginning.」

(今は終わりではない。

 これは終わりの始まりですらない。

 しかしあるいは、始まりの終わりかもしれない。 )

        --サー・ウィンストン・レナード・スペンサー=チャーチル(1942年)




フライング・ダッチマンとデイビット・ジョーンズは有名な伝説ですよね。
デイビット・ジョーンズなんて錨を上げての歌詞に出てくるし。

Are you guys ready?Let’s roll はあの911の時ユナイテッド93便でテロリストから機体を取り戻そうとした乗客が合図として使われた言葉です。
その後は対テロ戦争のスローガンの一つとして使われてます。

締めはチャーチルの決して降伏しない演説に並んで好きな演説から。

作者核兵器大好きで核によって平和は保たれると思ってます。

次回からブレイブウィッチーズ編。
ロシア語を学んで、ソ連好きの共産趣味者で、北極海の戦いも好きなんでかなり拘りが出てきますぜ。
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