WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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題名はモンティパイソンシーズン1第5話芸術の時間(別題:ブダペストの銀メッキ製テンにBBCがエントリー)からです。


第4話:勉強の時間(別題:オラーシャ製ウォッカに連合軍がエントリー)

 訳あってポーたちは502に配属となったがリョーニャだけは同じ共産党員であるヴァトゥーチンについて行くことになった。

 そのあとリョーニャだけは基地の司令室に連れてこられた。ラルは目の前のテーブルの奥の椅子に座りリョーニャの右斜め後ろにはロスマンが立っていた

 

ラル「リョーニャ、ところであの戦闘機にはいくら燃料が残ってる?」

 

リョーニャ「ほぼ残ってない。50キロ飛べれば良い方だ。」

 

 ラルはリョーニャにヤクの燃料のついて聞く。ヤクはほぼ航続距離限界近く飛んだ上に滑走路が短かったため出来る限り機体を軽くしようとしたため燃料がほとんど残っていなかった。

 

ラル「そうか。なら燃料補給をする必要があるな。」

 

リョーニャ「どうしてですか同志ラル」

 

ロスマン「大将のことですから明日にはヘルシンキまで連れて行くでしょう。そうなると燃料が足りないでしょ?」

 

リョーニャ「そうですね。」

 

 ラルの燃料補給の話にリョーニャは疑問に思うがロスマンが後ろから補足する。

 

ラル「ただこの基地には航空機用燃料を補給する設備がない。

   プルコヴォから借りる必要がある。だから今日の晩は泊まってくれ。

   あとそれをやるには君のサインがいる。」

 

 そのためには燃料補給設備が必要だがこの基地にはそれがなかった。というのもストライカーユニットは航空機用燃料を必要としない。

 そのためそもそも非常に狭い基地なのでオミットされていた。なので燃料補給をするのはペテルブルクの南にあるプルコヴォの飛行場から一式を借りなければならなかった。

 

リョーニャ「それで書類処理を行えと?」

 

ラル「ああ。頼むよ。」

 

リョーニャ「わかりました。」

 

 そうしてリョーニャはこの手続きの書類の手伝いをしたがこの時502への入隊志願書類などにもサインしたが英語が喋る以外は壊滅的にできなかったためそれに全く気がつかなかった。

 そのため翌日この書類が斜め向かいの海軍本部に届いた時、ヘルシンキに戻ろうとしていたヴァトゥーチンが電話でラルを問い詰め罵詈雑言を浴びせたがのらりくらりとかわされた。

 これ以降海軍本部では502は最も嫌われヘルシンキのヴァトゥーチンのオフィスにはラルの顔写真にナイフが刺さっていたりラルのポートレートを的にして射撃をすることが流行ったという。

 

 

---------

 

 その間ポーたちは基地の説明をサーシャから受け案内が終わった頃には昼食の時間だった。

 そして昼食を兼ねて自己紹介をすることになった。

 食堂にはウィッチたちと適当に書類を処理した結果紙の上では502に配属となったリョーニャがいた。

 

ロスマン「えー訳あって配属となったアンティリーズ大尉たちと…」

 

マントイフェル「なんでイワンがいる」

 

リョーニャ「今日の晩は有難いことにここに止めてくださるそうだ。どこぞのブルジョアジーとは大違いだ」

 

バーティ「なんだとアカ!」

 

マントイフェル「やるかコミー!」

 

 ロスマンが紹介しようとするが共産党員のリョーニャがいることに気がついたバーティとマントイフェルが食って掛かりまた喧嘩が始まった。

 

マントイフェル「死ねコミー!死ねボルシェビキ!死ねアカ!人類のペストだ!」

 

バーティ「共産主義は敵だ!人類のゴミだ!生きるに値しないクソだ!」

 

リョーニャ「反動勢力!ブルジョアジー!反革命勢力!ファシスト!帝国主義者!」

 

マントイフェル「なにがファシストだ!あのゴミ共と一緒にするなイワン!」

 

バーティ「帝国主義の何が悪い!われらが大英帝国万歳!国王陛下万歳!」

 

リョーニャ「ウラーーーーー!!スターリン万歳!レーニン万歳!」

 

 すぐに殴り合いとなりそれを見てウィッチたちは頭を抱える。

 

菅野「何やってんだあいつら?」

 

二パ「さ、さあ?」

 

 何故か頬に絆創膏をつけた菅野直が隣のニッカ・エドワーディン・カタイヤネン通称二パに聞くが彼女も何も言えなかった。

 

ジョゼ「どうする定ちゃん…」

 

下原「どうしましょうか?」

 

 それにただただ早く飯が食べたいだけのジョゼことジョーゼット・ルマールと下原定子が顔を見合わせる。

 だが次の瞬間、3人の脳天に一撃が食らわされた。

 

パット「いい加減にしろ。はあ…何やってんだが…」

 

 あまりの醜態にキレたパットが3人の頭に一撃を食らわせ黙らせた。

 

ロスマン「えー、まあ色々ありまして今日から配属となった…」

 

ポー「アメリカ海軍第5艦隊第58.1任務部隊所属空母サン・ジャシント配備第45戦闘飛行隊所属ポール・アンティリーズ大尉だ。

   まあポーって言ってくれ。」

 

パット「自由フランス空軍第Ⅱ戦闘航空群第5飛行隊ラファイエット所属パトリック・ジャン=クロード・ジャベール大尉。

    愛称はパットだ。」

 

バーティ「王立空軍第33スコードロン所属アルバート・クロンカイト中尉。

     レディーたち、バーティと呼んでください」

 

マントイフェル「元ドイツ空軍中尉ヴァルター・ハインリヒ・フリードリヒ・ゲルト・フォン・ツェレウスキー・グラーフ・フォン・マントイフェルだ。」

 

リョーニャ「同志、レオニード・イリイチ・クトゥーゾフ上級大尉である。リョーニャと呼んでくれ。

      まあ今夜一晩だけ厄介になる。」

 

 全員が自己紹介する。終わるとマントイフェルがバーティに聞く。

 

マントイフェル「なあバーティ、俺の資格はどうなってるんだ?戦時捕虜か?」

 

バーティ「そのあたりは後で話そう。」

 

パット「戦時国際法なら詳しいが手伝おうか?」

 

 バーティとマントイフェルの身分を巡る話で法律の専門家でもあるパットが割り込む。

 

バーティ「専門家か?」

 

パット「司法試験に受かってパリ第1大学とハーバートのロースクール卒だが」

 

ポー「え…俺A&M大学なんだが…」

 

バーティ「イートンとオックスフォードだが何か?」

 

マントイフェル「アビトゥーア受かってすぐ陸軍士官学校に入ったから大学なんて行ってないぞ」

 

 パットがサラッとハーバード卒のエリートだと言い驚く。

 ハーバード当時でさえ全米一位のエリートである。名門だがハーバードほど高くないテキサスA&M大卒のポーやそもそもアビトゥーア(ドイツの大学入学資格試験)に受かってすぐヴァイマル共和国陸軍士官学校に入学したマントイフェルとは大違いである。

 

パット「まあフランス語が使えないから辛いが。」

 

ポー「大学談義はやめよう、な。名門だけど外国だと知名度ゼロ大学出身の俺が悲しくなる。

   それにかわいこちゃんたちの自己紹介がまだだろ?」

 

 そういってポーが大学談義を終わらせる。

 

ロスマン「では改めてエディータ・ロスマン曹長よ。

     この部隊では教育係をやってるわ。」

 

 最初にロスマンが自己紹介する。

 続いてクルピンスキーが自己紹介する。

 

クルピンスキー「僕はヴァルトルート・クルピンスキー、伯爵って呼んで?

        ところでなんでさっきマントイフェル君は僕に抱き着いたのかな?」

 

マントイフェル「トゥルト、済まない。妻にあまりにもそっくりだったものだから…」

 

 クルピンスキーがなぜ自分に抱きついたかマントイフェルに聞く。

 

クルピンスキー「妻に?」

 

マントイフェル「ああ。妻のヴァルトルートにな。

        君に似てブロンドのベリーショートで運動好きで軽薄、程よく日に焼けた肌。

        最高の女性だった。お転婆でおしとやか、つつましさとは真逆の正確だったけど心の底から愛していたよ…

        だけどな…まあこの先はあんまり言いたくない。分かるだろ?」

 

クルピンスキー「その、なんていうかごめん。」

 

 マントイフェルは素直に全てを話したがその内容に流石のクルピンスキーも謝る。

 

マントフェル「いいよ。いまだに心の折り合いをつけられない自分も問題だからな。

       ところで君と、ロスマン、ラル少佐に兄はいるか?」

 

 するとマントイフェルがクルピンスキーとロスマン、ラルに聞く。

 

クルピンスキー「兄?」

 

ロスマン「いませんが」

 

ラル「何かあるのか?」

 

マントイフェル「いや、昔の同僚に同じ苗字のがいたから聞いてみた。

        特にロスマンとは趣味があったしクルピンスキーは同郷だったしラルとは射撃の腕を競い合ってその上負傷して同じ列車で本国に戻ってたから仲が良かったんだ。」

 

ラル「そうなのか。」

 

リョーニャ「それなら聞きたいんだがサーシャ、君にも兄はいるか?」

 

 マントイフェルの疑問に答えると今度はリョーニャがサーシャに聞いた。

 

サーシャ「え?私ですか?」

 

リョーニャ「第9親衛戦闘機師団師団長同志アレクサンドル・イワーノヴィチ・ポクルィシュキン中佐というエースがいるんだ。

      ソ連邦英雄に前人未到の3度輝きレーニン勲章受勲。偉大なる同志だ!」

 

 彼の言ったアレクサンドル・ポクルィシュキンはソ連のトップエースの一人である。

 そしてその名はよくプロパガンダに登場していた上に史上初のソ連邦英雄を3度受賞する栄冠に輝いていたのでよく知っていたのだ。

 

サーシャ「残念ながら私に兄はいません。」

 

リョーニャ「そうか。それは失礼した。」

 

 サーシャの返答にリョーニャは謝る。

 会話がひと段落したのを見てさらに下原とジョゼが自己紹介する。

 

下原「下原定子、少尉です。」

 

ジョゼ「ジョーゼット・ルマール、少尉です。」

 

 そして次が菅野とニパの番だが何故か菅野がやたら不機嫌だった。

 

ニパ「菅野の番だよ」

 

菅野「ふん!うるせえ!」

 

ポー「君、どうしたんだい?何をそんな不機嫌そうにしてるんだい?

   それとも俺みたいないい男がほかの女に…」

 

菅野「うるせえ!そんなんじゃねーよ!だいたいあんたらいったい何者…」

 

ポー「まあパラレルワールドからのはみ出し者かな?信じるかどうかは君次第だが」

 

菅野「パラレルワールド?そんなの小説の中だけ…」

 

ポー「残念ながらパラレルワールドは現実に存在するんだ。

   シュレーディンガーの猫って思考実験だけど。」

 

ひかり「シュレーディンガーの猫?」

 

 ポーの言ったシュレーディンガーの猫に全員が首をかしげる。

 そしてポーはシュレーディンガーの猫の解説を始める。

 

ポー「量子力学の思考実験の一つさ。

   量子力学ってのは物質の分子や電子、粒子、原子のふるまいについての学問さ。

   まず大前提として量子力学では量子は観測されるまでは本当に分からない。

   つまり観測されるまではどこにでもあるかもしれない。

   俺の頭の上にもあるかもしれないし君の尻の下にあるかもしれない、川の向こうにあるかもしれないしこの建物の一つ下の階にあるかもしれない。

   本当に分からないんだ。

   そしてその場合量子力学のコペンハーゲン解釈ではもしのその電子が一つの場合、これを電子Aとすると「俺の頭の上にあるかもしれない電子A」と「君の尻の下にあるかもしれない電子A」が同時に本当に存在するとされてる。」

 

菅野「そんな馬鹿な…」

 

ポー「これがあり得るんだよ。なぜなら観測していないから。

   観測していないものが「あっちにあるかもこっちにあるかも」って「観測される可能性」として存在しているんだから。

   言葉遊びぽいが量子力学なんてこんなもんだ。

   で、この「同時に複数の場所に存在する可能性」がある観測前のなんというかモヤっとした状態のことを重ね合わせ状態って言う。

   ここまで合点したか?」

 

ロスマン「ええ。何とか。」

 

 ポーの問いかけにロスマンが答える。

 

ポー「で、本題のシュレーディンガーの猫はまず中身が見えず聞こえない何も観測できない箱に、猫、電子A、電子を観測するセンサーとそれにつながった毒ガス発生装置を入れてフタを閉める。

   そして一定時間たった時猫は生きてるかどうかっていう簡単なものだ。

   で、この場合もしセンサーのある場所、ここでは仮に位置Aとしよう、位置Aに電子があった場合猫は死んでる。

   もしほかの場所、仮に位置Bとした場合そこにあった場合猫は生きてる。

   そしてどちらにあるかはフタを開けるまで分からない。

   では、この場合量子力学的には電子Aの状態はどうなってますか?伯爵!」

 

クルピンスキー「えーと、電子Aが複数の状態で同時に存在している?」

 

 ここでポーがクルピンスキーに問いかける。それにクルピンスキーはなんとか答える。

 

ポー「そう!この場合電子Aは複数の状態で同時に存在している。

   つまり猫も同時に生きている状態と死んだ状態で存在しているということだ。」

 

ひかり「え、それおかしいですよね?死んでるのと生きてるのが同時に…」

 

ポー「そう!そこなんだよ!この実験で言いたいのは!

   量子力学の理論が猫というマクロなものに影響を与えるっていうことが問題なんだ!」

 

菅野「確かにそうだけどそれとこれがどう関係…」

 

ポー「猫が死んだ状態と生きた状態の複数の状態で可能性として存在する、ならば原子や電子で構成された俺たちも例外ではないのか?」

 

ひかり「つまりはポーさんたちの世界はこの世界で観測される前の可能性の一つの世界ってことですか?」

 

 ここでまさかのひかりがポーの言いたいことを理解してまとめる。

 

ポー「そう!そういうこと!君賢いな!すごい理解力だ」

 

ひかり「いやぁそれほどでも」

 

ポー「謙遜するな。理解力があるのはいい事だ。勉強に役に立つぞ。知は力なりだ。

   ところで君、名前は?」

 

 それをポーは絶賛する。

 

ひかり「雁淵ひかりです。」

 

ポー「ひかり君、知は力だ。いいね?」

 

ひかり「はい!」

 

ポー「よし、それじゃあさっさと飯を食おう」

 

 それに続いて他の者も座って食べ始めるがバーティが下原に聞く。

 

バーティ「なあ、塩あるか?」

 

下原「塩、ですか?必要ないと思いますが。」

 

バーティ「いや、塩は必要だ。」

 

 何故か塩を求めた。そして困惑しながらも下原が隣のキッチンから塩を持ってくると一心不乱に塩をかけた。

 それに下原も含めた全員がドン引きする。

 そしてある程度かけるとそのまま上品に口に運び顔をしかめながらも食べ続けた。

 実はこれがイギリス流の食事である。とにかく一心不乱に塩をかけて味付けしたしょっぱい何かを黙々と食べる。このクソみたいな食事というものに対する愛情や良心、さらに言えば楽しむと言う発想すらない食べ方がルールだった。

 

パット「これだからロスビフ野郎は。えーとこの絶品料理を作ったのは誰かな?」

 

下原「あ、私です」

 

パット「下原、全く持って素晴らしい料理だ!いやあありがとう!」

 

ポー「ああ、本当に美味い。最高だ」

 

 パットは下原を呼ぶと料理を絶賛した。それにポーも続く。

 二人とも美食家であるため素直に下原の料理を褒めていた。

 

下原「いやそれほどでもないです。」

 

パット「謙遜するな。料理の腕は隠しようがない。人間不味くは作れても美味く作るのは難しい。

    ましてや人に食べさせる料理だ。不味く作る奴がいるとしたらそいつは料理を愚弄してる。

    イギリス人以外はな」

 

 謙遜する下原をさらに褒めるパット。

 皮肉を込めて言うが皮肉を言われたバーティはただ黙々と食べていた。

 ある意味フランスとイギリスのテーブルマナーの違いが現れイギリスでは食事の際は黙々と食べるのがルール、それに対してフランスは喋りながら食べるのが普通だった。

 この後昼食の間、各自ウィッチ達と親交を結んだのだったが途中から共産主義者との食事の投げ合いとなり約3名つまみ出されたのは余談である。




マントイフェルは設定上編成直後のJG52に実戦経験のある古参の一人として配属されてBOBとバルバロッサの初期を戦ってます。
なんでバルクホルン、ラル、クルピンスキー、ロスマン、ウィーゼ、マルセイユなどと面識がある。
ちなみにハルトマンとは名前を知っているだけで全く知らない。時期が一年違う。

ソ連邦英雄を3度以上受勲した人は5人、その内4回受勲したのはレオニード・イリイチ・ブレジネフ(なおお手盛り受勲な模様)とジューコフだけ。
3回受勲したのは内戦の英雄(大戦で活躍したとは言ってない)セミョーン・ミハーイロヴィチ・ブジョーンヌイ(ただし受勲は1958年2月1日、1963年4月24日、1968年2月22日)、そしてイヴァーン・コジェドゥープとアレクサンドル・ポクルィシュキンの二人。このうち純粋な戦功で受勲したのはコジェドゥープとポクルィシュキンの二人だけ。

塩山盛りで食べるのはイギリスだけのルールです。そしてその調子で他国で絶品料理を食べようとすると…
とにかくイギリスは食事に対する愛を感じれない。ドイツとフィンランドでさえある程度は感じるのにイギリスだけはまるでメシに親殺されたみたいなところある。

さて、今週末よりナショジオでメーデー16だ。今シーズンはマレーシア航空17便に小牧の中華航空機の事故もやるから楽しみ。
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