WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

49 / 171
題名はジョナサン・スウィフト(ガリバー旅行記の著者)著「アイルランドの貧民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」からです。
なおこの元ネタの話を要約すると「もうアイルランドは手の施しようがないほどアレなんでアイルランド人の孤児食おうぜ」です。
まあこの作品ブラックジョークだから…(流石ブリカス)



言っときますが作者は文系なんで物理数学化学割と悪いです。


第7話:偽装入隊した扶桑の平均以下のウィッチが部隊の負担となることを防ぎ、部隊の有益なる存在たらしめるための穏当なる提案

パット「高い…」

 

ポー「15フィートぐらいか?」

 

ひかり「たっかーい」

 

バーティ「オベリスクか」

 

マントイフェル「芸術性は悪くないな」

 

リョーニャ「レニングラードにこんなのあったか?」

 

 ひかりはロスマンに基地のはずれにあるオベリスクに連れてこられた。

 それにポーたちも暇つぶしについてきた。

 するとロスマンが銀モールの顎紐の空軍の士官用制帽を投げて見事なコントロールでオベリスクの先端に引っ掛ける。

 

ポー「ナイスコントロール!」

 

バーティ「で、あれをどうするんだ?」

 

 バーティがロスマンに聞く。

 

ロスマン「簡単よ。ひかりさん、あれを取ってきなさい。」

 

ひかり「え。あ、はい! ユニットを取ってきます」

 

ロスマン「飛んではダメです」

 

 帽子を取るように言われユニットを取りに行こうとするひかりを止める。

 それにひかりは疑問を漏らす。

 

ひかり「じゃあ、どうやって…」

 

ロスマン「手本を見せてあげます」

 

 ロスマンはそう言ってオベリスクに近づき魔法力を使い上り始めた。

 

ロスマン「魔法力を全身に回して、それを手足に適切に分配。

     触れている個所の制御をきちんとすれば登れるわ」

 

ひかり「そ、そんなの学校では習いませんでした!」

 

 半分程度登るとロスマンは滑るように降りてひかりに言う。

 

ロスマン「無理なら国に帰りなさい。このテストに合格できなければ、出撃は認めません」

 

ひかり「えっ」

 

ロスマン「どうするの?」

 

ひかり「やります!」

 

ポー「まあどうせ暇だし俺もやってみるか。」

 

マントイフェル「これはこれで気になるな。」

 

 ひかりだけでなく暇を持て余しているポーとマントイフェルもやってみるという。

 

リョーニャ「それよりなんで魔力で張り付けるんだ?医者としてはそっちの方が気になる。

      それと怪我したら呼べ。応急処置ぐらいはできる。」

 

バーティ「ロスマンも無茶やるなぁ…というか純粋にメカニズムが気になる。理数系じゃないのに」

 

パット「確かに。理数系じゃないが気になる物は気になる。」

 

ロスマン「そう、別に減る物でもないからやっていいわよ。

     取れたら持ってきて。」

 

 そういうとロスマンは去っていった。

 

ポー「で、だ。誰から先にやる?やっぱ元オリンピック代表候補からか?」

 

マントイフェル「やっていいのなら先にやるぞ。」

 

 最初にマントイフェルが登り始める。

 するとどういうわけかあっという間に半分ほど登り気が付けば頂上についていた。

 

ポー「え?意外と簡単なのか!?」

 

 登り切って頂上の尖塔をつかんで見下ろしているマントイフェルにポーが簡単かどうか聞く。

 

マントイフェル「いや、かなり難しいぞ。

        ただよくわからないんだがいつもより筋力があった気がする。

        それと、見てみろ。ここからはなかなかいい景色だぞ。」

 

 それに簡単じゃないと答える。どうやらそもそも固有魔法らしきものに助けられていたらしい。

 答えるとマントイフェルは続ける。

 

マントイフェル「で、どうやって下りればいいんだ!?」

 

ポー「あー…飛び降りる?」

 

バーティ「パラシュートか?」

 

 降り方が分からずこの後色々やった末飛び降りて事なきを得た。

 降りると続いてポーとひかりがやり始める。

 だがひかりはすぐに落ち、ポーも半分ほど登ったところで降りてきた。

 

ポー「ダメだ。こいつはかなり難しいぞ。」

 

バーティ「そうか。まあ疲れたら呼んでくれ。紅茶ぐらいならある。」

 

 ポーがバーティに漏らすがバーティは頷くとそのまま建物に戻っていった。

 

リョーニャ「怪我したら呼べよ。」

 

 さらにリョーニャもそう言って鼻歌でタチャンカを歌いながら建物に戻った。

 

パット「ふむ。なかなか面白そうじゃないか。よし、俺もやってみるか」

 

 すると今度はパットも試してみるがこちらもポーと同程度の結果に終わった。

 結局3人は夕食の時間まで色々やるが無理であった。

 

 

---------

 

 夕食後、ポーたちは例のあてがわれた部屋でひかりとともにいた。

 

ポー「では。第一回共産党大会…ではなくどうすればあの塔を攻略できるか考える会を開催します。」

 

ひかり「わーい。って私のためにこんなことしても良いんですか?」

 

バーティ「教師の務めは生徒の意思を尊重し答えへの道を開くことだ。

     俺だって元は教師で貴族だ。悩める生徒を助けるのは教師の務めだからな。」

 

 ひかりはこんなことをしても良いのかと聞くがそれに元教師である葉巻をくわえたバーティが返す。

 

パット「俺は努力をする凡人を見ていると助けたくなる厄介な気質なんだよ。お節介ともいうがね。」

 

 さらによくあるフランス人俳優に似ていると言われるほどのルックスを持つパットが吸い終わったタバコを灰皿に擦り付けながら言う。

 

リョーニャ「俺はただ単に魔力というものそのものについて気になるだけであって雁淵を助けたいわけじゃない。いいな?」

 

 ウォッカのコップを持ったリョーニャがあくまでひかりのためではないと前置きする。

 

マントイフェル「とにかく、よかったな雁淵。一応俺も微力ながら手伝おう。

        レディーを助けるのが良き貴族だ。」

 

ひかり「ありがとうございます!」

 

 最後にタバコを右手に挟んだマントイフェルが右目でウィンクしながらひかりに言う。

 それにひかりは感謝の言葉を述べる。

 

ポー「じゃあ、まず本題だ。一体どう言うメカニズム、正確には力の働き方でああなっていたのかだ。」

 

バーティ「確かに。力学は高校物理だ。単純に考えると重力に対して魔力の上向きの力が働いていたのか?」

 

 早速ポーたちはこの現象を物理学的見地から分析し始めた。

 

リョーニャ「そんな単純なものじゃないだろ。それに今日、医務室の資料を読んだところ青い紋章のようなものはある程度の魔力が働かないと発生しないらしい。

      ブリテンスキーの仮説だと紋章が足か少なくとも垂直方向に出ないと成り立たない。」

 

 バーティの「力が垂直方向に発生している」という仮説は即座にリョーニャによって否定された。

 

マントイフェル「そうなると水平方向か。あの壁面にくっついてるってことか?」

 

パット「そういう事になる。そうなるといわゆる気圧差でくっついてるのか?」

 

ひかり「えーと。なんの話をしているんですか?」

 

 さらにマントイフェルとパットが今度は魔力によって空気が圧縮されその気圧差で水平方向に力が働いているのではないかと推察する。

 だがここでひかりが聞いてくる。

 

ポー「なにって…簡単な高校物理の話だが。学校で習ったろ?」

 

ひかり「えーと、そのー私まだ14歳なんですけど…」

 

 次の瞬間、ウォッカを飲んでいたリョーニャはウォッカを吹き出し、バーティは岩のように固まり、パットは複雑な表情をし、マントイフェルとポーはひどく驚いていた。

 

ポー「えーと。本当か?」

 

パット「アジア人は見た目から歳がわかりにくいと言うがここまでとは…」

 

マントイフェル「あー、学校はどうした?14ならまだ義務教育だろ?」

 

ひかり「その、欧州派遣で学校を途中で…」

 

 驚き口々にひかりに聞く。そして欧州に来るのに学校を休学していることを言うと突如バーティとリョーニャが立ち上がりひかりを連れて外の行こうとする。

 

ひかり「え?え?え?」

 

バーティ「学校を抜けてこんなところの来るとは何事だ!一教育者として見逃せん!

     今すぐラル少佐に掛け合って学校に帰れ!」

 

リョーニャ「教育を疎かにしこんな地獄に来るだと?これは君のためだ。

      君はまだ思春期だ。心理学的にはルソー言うところの第二の誕生だ!

      そんな時にここの来るとは君の心理の発達、そして一人の医者として悪影響しかない!」

 

バーティ「奇遇だなコミー。意見が合うとは」

 

リョーニャ「そりゃどうもブリテンスキー」

 

 リョーニャは思春期における成長という点で、バーティは適切な教育を受けていないという点でひかりを扶桑に返そうと連れて行こうとするがなんとかポーとパットが止めて元の席に座らせてポーが一応の結論を出す。

 

ポー「はぁ…まあいい。とにかく今のところは絶対的なデータ不足が甚だしい。

   明日一日かけて必要なデータを集めよう。いいな?」

 

マントイフェル「それが一番堅実だな。」

 

パット「賛成だ。じゃあよろしく、雁淵」

 

ひかり「はい!…え?」

 

 

---------

 

 翌日、ひかりは塔に上り、ポーたちは丸一日かけて魔力のデータを集めていた。

 すると突然ひかりが鳥に襲われ落ちる。

 それに周りにいたポーたちと二パと菅野が駆け寄る。

 

ひかり「痛ったぁ…」

 

二パ「ひかり!大丈夫!?」

 

リョーニャ「大丈夫か?」

 

 すぐに駆け寄りリョーニャが医者らしく傷を確認する。

 

リョーニャ「見たところ大丈夫そうだ。

      気をつけろよ、当たり所が悪かったら死なずに一生麻痺が残るぞ。」

 

ひかり「はい…」

 

 ふとバーティが見上げるとそこには鳥の巣があった。

 

バーティ「それにしてもあんな所に鳥の巣があるとはな」

 

菅野「千鳥だな。巣立ちが近づいてるみたいだ」

 

ひかり「千鳥…へぇ…」

 

リョーニャ「なんで今の時期にいるんだ?普通なら渡りでとっくにいないはずだが」

 

 菅野が鳥の名前を言いひかりはそれに感心するがレニングラード出身のリョーニャは普通なら10月にはいないチドリがいることに疑問を持つ。

 そしてひかりは二パに促されて腰を下ろす。ポーたちもその横でタバコを吸い始め、バーティはティータイムを始めていた。

 

菅野「おめえ分かんねえのか?ロスマン先生は諦めろって言ってんだよ」

 

ひかり「でも、てっぺんの帽子を取ってくれば…」

 

菅野「バーカ。あんなのおめーが取れるわけねーだろ」

 

バーティ「菅野君。あんまり人の夢を否定するなよ。

     『あなたの夢を萎えさせるような人間には近づくな。

      器の小さい人間ほど人の夢にケチをつけたがるものだ。

      真に器量の大きな人間は成功できると思わせてくれる』

     マーク・トゥウェインの言葉だ。君はどうやら器が小さいようだ。

     第一君はできるのかね?」

 

 菅野はひかりに意地の悪いことを言うがそれを紅茶を飲んでいたバーティがマーク・トゥウェインの名言を引用して止める。

 さらにバーティができるか聞く。

 

菅野「へっ、楽勝だろ!」

 

 そういうと菅野は登り始めるが半分ほど行ったところで落ちてきた。

 

菅野「こんなのできたって何の役にも立たねえよ!」

 

 捨て台詞を残して帰っていった。

 

ポー「何しに来たんだ?」

 

パット「さあ?雁淵、言いたい奴には言わせておけ。

    気にするな」

 

 パットがひかりに慰めの言葉を言う。

 そしてまたひかりは登り始めた。

 

---------

 

 そして3日目、ひかりは一人塔を登っていた。

 それに対してポーたちは集めたデータをもとに基地のブリーフィングルームを借りてそこの黒板で魔力関連の本を読みながら複雑な計算をしていた。

 だがその内容にポーは頭を抱えていた。

 

ポー「あー!クソー!計算上雁淵の魔力じゃ何やっても頂上までいけないぞ!

   どうやっても頂上の手前でガス欠だ!」

 

 そう、午前中に集めたひかりの魔力に関するデータを計算したところ足りないと言う結果が出たのだ。ポーはそれに頭を抱えていた。

 

パット「ケチってもか?」

 

ポー「ケチってこれだ!頂上まで行くのに必要な魔力量aに対して雁淵の魔力量bは微妙なところで足りない!

   支える部分を減らせばケチれるが支えを減らしたら下手をこけば危険だ!

   第一これ風やその他の影響を無視してこれだ!」

 

 一応この計算の前提は「魔力を両手両足の4箇所で支える」、「約1メートル動いた時に消費した量xを定数として計算する」という雑なもので誤差や風の影響を計算していなくての結果だった。

 ただ支える部分を減らすと使用する魔力量を減らせるため計算上一箇所減らすとギリギリ、二箇所にすると少し余裕がある程度、一箇所にすると余裕があるレベルまで伸ばせた。

 

ロスマン「何やってるのかしら?あなたたち?」

 

 すると、ロスマンがやってきて声をかけた。

 

ポー「何って、計算だが。ひかりが上まで登れるかの雑な奴だが」

 

ロスマン「そんなことやって何になるのかしら?」

 

ポー「少なくとも役には立つね。数字は正直だ。人間の方が嘘つきだからね。」

 

 ロスマンの質問にポーが返す。

 

ロスマン「そう。で、どうだったの?計算は」

 

ポー「無理だとよ。ただ支える部分を減らしたらいける。

   今の四箇所だと魔力のロスが計算上発生してる。

   一箇所にするとロスがなくなりかなり節約して登れるが安定性を保証できない。

   まあ一箇所でいけるか先生に聞きたいところだが。」

 

 ポーがロスマンに結果を伝え質問する。

 

ロスマン「一応できるわよ。ただかなり難しいわ。」

 

ポー「よし!いけるぞ!行くぞ!」

 

 ロスマンの答えにポーは喜びそのまま走ってひかりの下に行った。

 

ロスマン「すごい熱気ね」

 

バーティ「まあな。教え子に対して熱くなるのはいい教師に必要な資格だ。

     かくいう俺だって雁淵のもとに走っていきたいぐらいさ」

 

ロスマン「だったら行ったらどう?」

 

バーティ「残念ながらそういうのは紳士的じゃない」

 

パット「これだから島国は根性が捻くれてる。俺はポーについて行くぞ。」

 

 ポーに続いてさらにパットも出て行った。

 

 

---------

 

ポー「雁淵!大丈夫か!」

 

ひかり「は、はい!ってうぁあああああ!」

 

 急いでひかりのところに来て塔を登っていたひかりに声をかけたポーだがひかりは返事をしようとし、バランスを崩して落ちてしまった。

 

ひかり「いててててて…」

 

ポー「大丈夫か?」

 

ひかり「は、はい。大丈夫です。」

 

 すぐにポーは駆け寄るがひかりは大丈夫そうだった。

 

ひかり「ところでポーさん、なんですか?」

 

ポー「ああ。計算が上手くいった。上まで行ける方法が見つかったぞ。」

 

ひかり「え!本当ですか!」

 

 ポーがひかりに言うとひかりの顔は明るくなり喜ぶ。

 

ポー「簡単だ。魔力で一箇所に減らす分そこに魔力を集中する。

   それでいける」

 

ひかり「分かりました!やってみます!」

 

 ポーに言われるとひかりはそのまま走って塔に触れ右手だけに魔力を集中して塔を登ろうとする。

 だが、

 

ひかり「え?ええええええー!」

 

 そのままゆっくりと落ちて行った。

 

ポー「えー、理論上できるはずじゃ…」

 

ロスマン「ええ。“理論上は”できるわよ。ただその手段は非常に高度で難しいの」

 

 それに頭を抱えるポーに後ろからロスマンが声をかける。

 

パット「数字がいくら正しくとも実行は伴わないんだよ。

    ほら、どっかで0.1mmの紙を42回折ったら月まで届くとか言ってるだろ?

    実際はそんなの無理じゃないか。それと一緒だ」

 

ポー「ああ。そういうのと一緒か。まあただこれは不可能ではないからな。

   できることを祈るとするか」

 

 そういう二人の目の前ではまたひかりがゆっくりと落ちて行った。

 気が付けば夕日がペテルブルクを照らしていた。

 こうして3日目も終わった。




なぜかポーだけいまいましきヤード・ポンド法を使ってるのはイギリスとアメリカでは大正義メートル法が一般的ではないからです。
ちなみにこの2カ国の影響の強い航空業界と軍事関連では未だにこの忌々しき単位が現役。まあ慣れればすごい楽だけど(少なくともフィートとインチの大きさがある程度わかる人)


今更ですがブレパン編は基本何かしらの作品や章の題名のパロです


ちょっとチドリについて調べたらどうも秋のロシア北部にはチドリなんていないみたいなんだが…可能性のあるハジロコチドリは冬になるとアジアに渡るらしいから秋のロシアにはいないはず…
というか10月のロシアって普通に気温が10度前後、それも後半になると普通に一桁、ましてや10月後半には雪降り始めるんだが…(41年の10月頃の戦場写真には一面雪原になった写真が幾らかある)

最近、書こうと思う時に限ってやる気が失せる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。