WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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題名は小説クリスマス・キャロルからです。

一応欧米などキリスト教圏ではクリスマスは休暇の時期です(なんでこの時期の空港とかはヤバイ)
言っとくがクリスマスはリア充がリア充する時期じゃねえぞ。ちゃんとしたキリスト教のイベントだぞ
だがそれにかこつけてリア充する輩、滅ぶべし


第17話:サトゥルヌス・キャロル

ヘプナー「では諸君、今年も無事クリスマスを祝えたことにプロージット!」

 

「「プロージット!(乾杯!)」」

 

ベルザーリン「За рождества! За родина!」

 

 12月24日、旧海軍本部ではささやかなパーティーが行われていた。

 普段は真面目が服を着ているような者しかいない司令部の将校もこの日はハメを外して倉庫からワインやウォッカ、シャンパン、ビール、コニャックなどの酒を取り出し、料理人はケーキなどの豪勢な料理を作って配膳していた。

 この日はクリスマスイブの前日でありそのため司令部はささやかなクリスマスパーティーの最中だった。

 

 ペテルブルクはあのネウロイの攻撃を受けたものの補給状態に関しては比較的良好だった。

 攻撃を受けた補給拠点に物資の損害はあったものの主要な補給拠点のペテルブルクの沖、コトリン島のオラーシャ海軍バルト海艦隊の根拠地クロンシュタット、そしてそこから100キロほど離れたスオムス海軍の根拠地コトカ、鉄道の要所チフヴィンは無傷だった。

 そのため補給は平常通りでありコラ半島に向かう鉄道がカンダラクシャとヴォルホフの間で途絶したためコラ半島方面への移動が一旦ノルウェーなどに出なければならない以外は問題はなかった。

 ただ502だけが物資の貯蔵庫を破壊され物資不足にあえいでいた。

 

ヘプナー「まあ今日は盛大に飲んで構わんぞ。

     だが明日の朝までには抜いておけよ。いつ攻めてくるか分からんからな」

 

 ヘプナーがシャンパングラスに入ったシャンパンを飲みながら大騒ぎする将校たちに注意する。

 

フーべ「まあ今日ぐらいはいいのでは?せっかくのクリスマスですから。」

 

 それにビールジョッキにビールを入れたフーべが返す。

 

ヘプナー「まあ私も口煩くは言わんよ。

     ところで君はシャンパンはいるか?」

 

フーべ「貰いましょうか。いつのですかな?」

 

 

---------

 

 海軍本部でクリスマスを祝って盛大なパーティーが行われている少し前、対岸の502はというと

 

ひかり「あー!川が凍ってる!」

 

 ひかりは基地の前のネヴァ川が凍っていることに気がついた。

 ひかりは凍った川を足でつついたりして目をキラキラさせていた。

 すると後ろから音がしてひかりは振り返る。そこにはマントイフェルとリョーニャ、そして10人ほどの整備士がアイスホッケーの道具を持って来ていた。

 

マントイフェル「せっかく川が凍ったんだからこれをやらないとな、ボルシェビキ」

 

リョーニャ「アイスホッケーでゲルマンスキーに負ける気はせんよ」

 

ひかり「マントイフェルさん、リョーニャさん、何するんですか?」

 

 ひかりは二人に聞く。

 

マントイフェル「川が凍ったからアイスホッケーをしようと思ってな。」

 

 マントイフェルとリョーニャは整備士を集めてアイスホッケーをしようとしていた。

 日本では一般的ではないが欧米、特にカナダやロシアではホッケーは非常に人気のスポーツである。

 よく知られているのがカナダとアメリカのNFL(ナショナルホッケーリーグ)とロシアを中心としたヨーロッパのKHL(コンチネンタルホッケーリーグ)の二つのリーグ、そしてその優勝者に与えられるスタンレーカップとガガーリンカップだ。

 特にロシアではホッケーとは信仰のようなものでありリョーニャもよくやっていた。

 またドイツでもアイスホッケーは人気のスポーツだった。

 

 そしてリョーニャたちがホッケーの準備をする横でひかりは二パと菅野と共にそり遊びを始めた。

 

ポー「へっぶし!うう…俺、サンディエゴより寒いところに住んだことないんだ…

   だから寒さだけはダメなんだ…」

 

バーティ「だろうな。一人だけ北極海用のダッフルコート着てるし」

 

 暫くすると寒さに震えて北極海などで使う海軍のダッフルコートを引っ張り出して着ているポーとトレンチコーとを着て葉巻を吹かしたバーティがやってきた。

 ポーは南国を超えて灼熱のテキサス生まれテキサス育ち、大学もテキサスであり海軍に入っても一年に一回あるかないか程度でアラスカに行く程度だったので寒さに対する耐性というのは非常に低かった。

 なにせこの少し前も暖炉の側で掛け布団に包まった状態でいるところをサーシャに見つかり布団を剥ぎ取られ暖炉の側から追い出されたのでストーブの側に行ったらストーブが故障中(先日ニパが使おうとして壊れたらしい)でサーシャに抱きついて暖を取ったら建物から追い出されるという酷い経緯でここにいた。

 それに対してバーティは冬で釣りなんかできないため暇でしょうがなくマントイフェルがアイスホッケーをやると聞いて観戦のため外に出ていた。

 

パット「うう…寒い…お前ら…準備できたのか?

    たく15分でアイスホッケーのルール本読み込むとか無茶すぎるだろ。

    ちゃんと全部読み込んだが」

 

 するとマッキーノコートを着てタバコをふかし手にアイスホッケーのルールブックを持ったパットがやってきた。

 審判としてパットは呼ばれたのだがあまりに寒い上に彼はサッカーの審判の経験ぐらいはあるがアイスホッケーなんていうウィンタースポーツの審判の経験などなかった。

 その上アイスホッケーは氷上の格闘技とも称されるほど激しい競技である。

 そしてルールの中に乱闘が認められているのだ。

 なので審判にはアイスホッケーの審判と同時に格闘技の審判を務めなければならない無茶苦茶な技能が求められた。

 パットはこの無茶苦茶な技能が求められることに気がつきながらも引き受けていた。

 

パット「はぁ…怪我したら誰が…」

 

 パットがふと怪我の心配を口にした瞬間、後ろで大きな音がして振り返る。

 そこには川の氷の薄いところをぶち破ってニパと菅野が乗ったソリが川に落ちていた。

 

パット「大丈夫か?あれ」

 

マントイフェル「さあ?風邪を引かんといいが。」

 

---------

 

ひかり「ハックシュン!」

 

 それから少ししてひかりは体温計を咥えながら自室で大きなくしゃみをして鼻をすすっていた。

 そばにはジョゼとリョーニャ、そして下原がいた。

 リョーニャはひかりの口から体温計を回収して体温を確認する。

 

リョーニャ「38.1度、雁淵、口を開けろ」

 

ひかり「あー」

 

 リョーニャはひかりの口を開けさせて喉を確認する。

 

リョーニャ「喉が腫れてる。

      喉は痛むか?」

 

ひかり「はい、少し。それに頭痛と少し体が怠いですね」

 

リョーニャ「ふむ、38度程度の熱、喉の痛み・腫れ、疲労、頭痛。

      典型的普通感冒、風邪だな。」

 

 ひかりの症状を元にリョーニャは風邪と判断した。

 そして下原に指示する。

 

リョーニャ「下原、暫くは雁淵には消化にいいものを頼む。

      それと水1リットルに40グラムの砂糖と3グラムの塩を混ぜた水を作って雁淵に与えてくれ。

      雁淵、少なくとも今日、明日は絶対安静だ。

      出来る限りベットで寝ていろ。それが一番だ。」

 

下原「はい、分かりましたリョーニャさん」

 

ひかり「はい…ハックシュン!」

 

 ひかりと下原は素直に答えた。

 

---------

 

パット「風邪?」

 

リョーニャ「ああ。典型的な、それこそ教科書か講義で出てくる風邪の症状そのまんまの風邪だ。

      一応解熱薬、総合感冒薬、それに咳止めを処方した。

      少なくとも今日と明日は絶対安静だ。」

 

 食事の際リョーニャが説明する。

 それに他のウィッチやカルテを受け取っているラルさえも真剣に聞く。一応ラルはカルテは読んだが彼の医者という万国共通で悪筆な、それもロシア語という筆記体では知識があってもなお「文具屋のボールペンの試し書き」にしか見えない文字で書かれた書類を読むことさえできなかった。

 

クルピンスキー「直ちゃんたち、ひかりちゃんを凍った川に落としたって?」

 

菅野「落とされたのは俺らだ!」

 

パット「ああ。目撃者ならここにいるぞ」

 

 クルピンスキーが菅野たちを茶化すがすぐに反論しパットも否定する。

 

ニパ「あの…ウィッチってあんまり風邪とか引かないですよね?」

 

リョーニャ「そう言えばそうだな。普通にそんな格好をしていたら風邪どころか凍傷を患うぞ」

 

 リョーニャがニパの言葉にふと思った疑問を口にする。

 彼からすればロシアの長く厳しい冬にラルやロスマンのように特別な防寒具なしで下半身丸出しで過ごせばどうなるかは火を見るよりも明らかだった。普通なら死ぬのだ。

 

サーシャ「ええ。ウィッチは魔法力で守られているから、怪我や病気に罹ることは珍しいわ」

 

ロスマン「ただ、肉体的、精神的な疲労がたまると、ウィッチでも病気になることがあります」

 

ニパ「過労…やっぱり私が朝から連れ回したせいで…」

 

 二パはひかりが風邪になったのは自分の責任だと思い俯く。

 

リョーニャ「それに戦闘と環境の変化が原因だろうな。

      まだ今回は風邪程度で済んでよかった。

      インフルエンザや肺炎になったらここの医療設備じゃ手に負えん。」

 

 リョーニャも原因を推測して捕捉する。

 もしインフルエンザや悪化して肺炎になった場合502の医療設備では手に負えず市内の病院に行かなければなかった。

 それでもなお二パはひかりを心配して俯く。

 すると下原が鍋を持ってキッチンからやってきた。

 

下原「お食事、出来ましたよ」

 

クルピンスキー「下原ちゃん…なんだい、これ?」

 

 下原は鍋の中身を配膳するがそれを見てクルピンスキーが聞く。

 出されたのは何とも言えない汁物の料理だった。

 

ロスマン「ニョッキに似てるわね…これ、ちゃんと煮えてる?」

 

クルピンスキー「ピエロギ…じゃないよね?」

 

サーシャ「具の無いぺリメニ?」

 

ポー「イギリス料理じゃないのか?」

 

リョーニャ「どちみち食べられるだけマシだろ。」

 

マントイフェル「ただこれはない」

 

パット「下原、怒っていいか?

    流石に物資不足でもこれはないぞ。

    まだ完全に缶詰とかレーションなら許せるが中途半端に手の込んだ微妙な料理を出されると怒るもんだぞ」

 

 各々食べてみて感想を言うが共通していたのは不味くもないが美味くもないだった。

 ただバーティはいつも通り塩を山のようにかけて食べていたため特に問題はなかった。

 なにせイギリスの料理のような無味無臭のなにかよりかはマシである。

 すると菅野が答えを言う。

 

菅野「あ、これ水団か?」

 

下原「すみません。今ある食材ではこれが精一杯で…」

 

 基地は前の戦闘でなぜか502の倉庫だけを破壊されていた。

 そして502はクロンシュタットにもコトカにも倉庫を持っていないどころかそもそも立ち入り禁止にされていた。

 夏の間にラルが物資の横領、強奪を多数やらかしたため秋から出禁を食らっていた。

 それどころかベルザーリンの指示で補給将校の大半は502と関わるのをひどく嫌っていた。

 もし502が物資を横領、強奪した際、その共犯として疑われ左遷されるのが嫌だからだ。

 

 

---------

 

ロスマン「現在ムルマン港からの補給が断たれた上に先日の砲撃で弾薬や燃料の集積所と食料貯蔵庫も破壊されています」

 

 その後ブリーフィングルームでひかり以外のウィッチに状況が説明されるがその状況は芳しくなかった。

 なぜか502だけ物資不足が深刻だった。

 

ラル「スオムスからの援軍は?」

 

ロスマン「頼んではいますが物資の運搬手段に余裕がないようです」

 

サーシャ「現在補給線奪還作戦を立案中ですが、とにかく食料の備蓄が足りません」

 

 北欧方面は現在非常に戦闘が激しかった。

 なぜなら冬場は盾となるはずのバルト海が凍ってしまうためそこを通りネウロイが侵攻しようとしてくる。

 そのためバルトランドやスオムスの沿岸部では沿岸砲や列車砲による大砲撃戦が行われていた。

 スオムスの方は比較的物資に余裕があったが鉄道網が現在ペテルブルクからコラ半島への部隊移動に使われているため運搬手段が船舶と自動車のみで余裕がなくその頼りない運搬手段の大半が通常部隊への補給物資運搬用に転用されているため502に割ける量は少なかった。

 ただ最低限の物資として前線の兵員に一日に支給される量の物資を502の兵員分引き渡していたがその量は足りない上に内容が「前線戦闘用レーション&アルコール飲料」で通常の食料等はクリスマス祝いとして前線部隊に優先的に送られていた。

 毎日豪勢な料理を食べる502と違い前線部隊は毎日雪や雨や泥の中ビスケットや缶詰の冷えて不味いレーションしか口にできないのだ。クリスマスぐらいはこのぐらいの贅沢をさせてやりたいというヴァトゥーチンの心配りだったがそもそもの話502が贅沢すぎた。

 

クルピンスキー「しばらくはずっとあれ食べることになるのか…

        えっと…チントン?」

 

菅野「水団だ」

 

 クルピンスキーがふざけるが菅野がツッコむ。

 

ラル「現状打開策はなし、補給が改善するまで待つしかないということか」

 

ロスマン「明日は基地恒例のサトゥルヌス祭が予定されていますが…?」

 

ポー「サトゥルヌス?クリスマスじゃないのか?」

 

バーティ「サトゥルヌスなんて古代ローマのお祭りじゃないか」

 

 ラルとロスマンは予定されていたサトゥルヌス祭の話をするがポーやバーティ、マントイフェル、パットからすればサトゥルヌス祭ではなくクリスマスの筈だった。

 そもそもこの名称は古代ローマの名称、その上サトゥルヌスというのはローマ神話やギリシャ神話の農耕の神でゼウスなどの父だがゴヤの名画「我が子を食らうサトゥルヌス」のように自分の子供に殺されるという予言を聞いて生まれた子供を呑み込んだという神話を持った色々とアレな神だった。

 ただこの世界ではキリスト教というヨーロッパの文化、思想の潮流の根源がないためクリスマスは存在しなかった。

 

ラル「クリスマス?なんだそれ?とにかく今年の祭りは中止だな」

 

二パ「えええええっ!?」

 

 二パはラルの言葉に驚き立ち上がる。

 それに驚いた周りの人間は二パを見る。

 

二パ「あっ…いえ…なんでも、ありません…」

 

 それに二パはすぐに座って小さくなった。




あーあ、贅沢言わねえからジョゼかラル隊長みたい人とクリスマス過ごしてーなー
何もできねえからWOWSのクリスマスガチャ回すしかできねえしよ

最初サトゥルヌス調べたら最初に出てきたのがゴヤの名画だった…
調べたらサトゥルヌスってギリシャ神話のクロノスで英語だとサターンなのね。
日本人はギリシャ神話とかに疎いから仕方ないけどさ。

クロンシュタットは実はサンクトペテルブルクの沖のコトリン島にあるんですよね…
物資の保管を行うのに都合がよく守りやすく簡単に市内まで運べるっていうなかなかの好立地なんですよね。
コトカはフィンランド海軍の重要拠点で史実でもこの街には継続戦争最大の空襲が行われたほか対艦攻撃を目的としたソ連空軍最大の空襲も食らってるんですよね。
まあ対艦攻撃は海防戦艦ヴァイナモイネン(当時フィンランド海軍最大の戦闘艦)と間違えてドイツ海軍の高射砲艦ニオベ(元オランダ海軍防護巡洋艦ゲルダーラン)を撃沈しただけなんですけど。(しかもこの後ヴァイナモイネン撃沈したことを大々的に報道して大恥かいてる)
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