WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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題名は「2001年宇宙の旅」からです。
実はですね、ムルマンスクの初日の出って1月10日ごろに45分程度なんですよ…
何でか?ムルマンスクって思いっきり北極圏なんです。
なんでブレパンのように1月初めに一日中日が出てるなんてありえないんです。


第24話:1945年北極圏の旅

 翌日格納庫にはマッキーノコートにシーツを改造した偽装をつけたパットや二パなどムルマンへ向かうウィッチが出撃準備を整えていた。

 ムルマンまではおよそ1000キロ、この間寄れそうな町と言えば白海の奥にあるカンダラクシャぐらい、人口もまばらでペテルブルク・ムルマン鉄道沿線以外にはほとんど人口はなく、北極圏なのでこの時期は極夜で厳しい寒さと雪という極めて過酷な地域である。

 そのためこんなところに行くには装備は万全であるべきだが二パのユニットは調子が良くなさそうだった。

 

パット「大丈夫か?一回整備に見てもらえ」

 

二パ「うーん…1000キロ持ってくれよ~」

 

パット「1000キロは遠いぞ。」

 

 二パは神頼みするがかつてイタリアから地中海を挟んで南フランスへの対地攻撃作戦やリビアやチュニジアからのシシリー攻撃作戦など比較的遠距離作戦に参加した経験のあるパットはそれを不安視した。

 

マントイフェル「銃、サーベル、拳銃、防寒装備、水筒、パン袋、マップケース、コンパス、防寒帽と、準備はいいぞ。」

 

パット「分かってるよ。

    おい偽伯爵!いい加減出るぞ!そろそろ出ないと向こうが太陽出てる間につけないぞ」

 

 マントイフェルは持っていく装備のS18、サーベル、防寒具を確認する。

 パットはタバコを吹かしながら腕時計で時間を確認して後ろのテーブルに向かっているクルピンスキーを呼んだ。

 パットは向こうが日の出てる間にムルマンに行きたかった。

 というのもパットは夜間飛行の技能に関しては計器飛行訓練をやった程度で不安があった。

 まだマントイフェルは飛行経験が豊富なので夜間着陸程度なら可能だった。

 で、呼ばれたクルピンスキーはというと

 

クルピンスキー「夜空の星…いや、大輪の薔薇…違うな~」

 

 渡された船団の護衛のウィッチを見ながら口説き文句を考えていた。

 それにパットは呆れる。

 

パット「あいつは何バカなこと言ってるんだ?

    あと30秒以内にユニットのエンジンをかけねえと置いていくぞ」

 

 パットはもうクルピンスキーを置いて行こうと考え始めた。

 そんなこともつゆ知らずクルピンスキーはひかりに聞こうとする。

 

クルピンスキー「ねえ、ひかりちゃん」

 

ロスマン「伯爵様?」

 

クルピンスキー「ういっ!?先生…これは…その…ぐえっ!」

 

 すると後ろからロスマンが現れると制裁を加えた。

 

パット「ふん、痴情の縺れだ。行くぞ」

 

 パットはその様に当然とばかりな反応をすると時間に間に合うために即座に離陸した。

 

---------

 

 その頃、バレンツ海、ムルマンから約150キロ離れた北極海航路では極夜の暗闇の中を十数隻の大型艦が荒波を乗り越えながら進んでいた。

 

通信兵「アトミラール、502が出撃したようです。」

 

「そうか、予定よりかは少し遅れてるようだな。」

 

通信兵「それとバイ少将宛の通信がムルマンとノイエカールスラントのフリーデブルク大将より。」

 

バイ「分かった。」

 

 それはPQ117の間接護衛部隊だった。

 それを率いるエーリヒ・バイ少将にはこの時幾つかの通信が入っていた。

 バイ少将の手元には旗艦戦艦シャルンホルスト、巡洋艦ブリュッヒャーなど数隻の巡洋艦と戦艦を主力とするものだった。

 バイは届けられた二通の通信を受け取ると読み始めた。

 

バイ「ふむ、どうやら積み荷にマンシュタインの切り札があるようだな。

   それとフリーデブルク大将によるとその兵器は80㎝クルップ列車砲だと?

   あの陸軍のデカブツか?」

 

 バイはフリーデブルクが通信で伝えた兵器の情報からその正体を察した。

 それは伝説の巨砲、クルップ80センチ列車砲。

 史実ではセヴァストポリ要塞攻撃に使用された巨砲だがその巨体と列車砲という兵器自体が運用しづらい物であったためその後は実戦参加することはなく終戦前に爆破処分された。

 その巨大さは砲弾だけでも高さ3.6メートル、重さ4.8トンもする化け物であり列車砲自体は全長47メートル、重量1300トン以上運用要員は砲操作だけで400人以上必要、支援要員を含めれば5000人近くになる化け物であった。

 ただこの兵器は恐ろしい程にコスパが悪かった。

 

バイ「こんなものを使おうだなんて連中は気が狂ったか大砲の魅力に取り憑かれたかのどっちかだ。」

 

通信兵「アトミラール、追加でヴァエンガからの通信が来ました。」

 

 この化け物を使おうとするマンシュタインにバイは半分狂ったかと感想を漏らしていると通信兵がヴァエンガのオラーシャ海軍からの通信を持ってきた。

 

バイ「ヴァエンガ?北方艦隊か、読んでくれ」

 

通信兵「は、PQ117を支援するため駆逐艦グリミャーシチィとステレーグシチィが先程出撃、合流は翌0500時を予定とのことです」

 

 それはヴァエンガ(セヴェロモルスク)から北方艦隊の駆逐艦が支援のため出撃したという連絡だった。

 出撃したのは7号計画駆逐艦で武運の誉れ高きグレミャーシチィとステレーグシチィだった。

 

バイ「了解した。船団には連絡したか?」

 

通信兵「はい、先程了解したと返事が来ました」

 

バイ「そうか。」

 

 船団への連絡を行なったことを確認したバイは艦橋から外に暗闇と嵐の中見える自らの艦隊を眺めた。

 

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 その数時間後、途中カンダラクシャなどで休憩と天候情報を得てからパット達はムルマンに隣接する飛行場に日が出ている間に着陸した。

 着陸し報告を終えるのには30分もかからなかったが北極圏の冬らしくその頃には太陽は沈みかけていた。

 

パット「あぁ…遠いな…」

 

マントイフェル「ああ。1000キロだぞ1000キロ。

        ベルリンからパリまでが880キロ、それより長いんだからな」

 

パット「ただ北極圏にしては寒くないんだな」

 

 流石に1000キロという距離と北極圏という経験の少ない過酷な条件も加わって二人を含めた全員が疲労していた。

 ムルマンは北緯68度という北極圏に存在している。

 そのため冬は一日中太陽が出ない極夜、夏は太陽が沈まない白夜な上に極めて寒いのだ。

 ただムルマン周辺は比較的緯度に対して気温が高いためある程度は寒さはマシであった。

 

ひかり「私はまだまだ行けますよ!」

 

菅野「お前はそのまんま飛んで扶桑に帰れ」

 

マントイフェル「元気があって結構だ。」

 

 そんな中ひかりはまだ元気であった。

 それにマントイフェルも半分呆れながらも返す。

 

クルピンスキー「いや~、凄い量の物資だね」

 

ひかり「これにまだ追加があるんですよね?」

 

パット「予定ではな。しかし、数字の上では一隻あたり1万トンとはいえ実際に見て見ると物量を実感するな。

    前回の船団で運ばれてここに集積されている一部だけだからな」

 

 一行は港を歩きながら港に集積されたJW151船団が降ろしてまだペテルブルクに運んでいない物資を見ながら驚いていた。

 輸送船、特にリバティシップは一隻あたり1万トンの物資を積載できた。

 仮に船団の30数隻の輸送船が全てリバティシップだった場合その物資の量は30万トンを超えた。

 これだけの物資の内一週間で1000キロ以上も離れ輸送手段がムルマン・ペテルブルク鉄道一本では運べる量など高が知れている。

 そのためムルマンには膨大な量の物資が集積されていた。

 するとニパがこの大量の物資の山の中に巨大なものを見つける。

 

ニパ「ねえ、何?あのでっかいの」

 

菅野「すげえな。戦艦でも作ってんのか?」

 

マントイフェル「大砲の駐退複座機に見えるな、だがそれにしても直径が1メートルはあるように見えるぞ。

        列車砲か何かか?」

 

 それは巨大な大砲の駐退複座機のようなパーツだった。

 その巨大なパーツにマントイフェルは大口径の列車砲の一部と推測した。

 

クルピンスキー「あれは…!」

 

 今度はクルピンスキーがなにかに気がついた。

 

クルピンスキー「陸戦ウィッチのカワイ子ちゃん発見!いいねいいね~!」

 

菅野「またかよ…」

 

 クルピンスキーは陸戦ウィッチを見つけると喜んでいた。

 それに全員が呆れていた。

 

マントイフェル「陸戦ウィッチか…」

 

 一人マントイフェルは陸戦ウィッチという存在に興味を持っていた。

 と言うのも彼は元はと言えばワイマール共和国軍の騎兵士官である。

 元々空軍軍人ではなく陸軍軍人という経歴であるため陸軍には親近感を抱いていた。

 ましてや騎兵科出身者が多かった戦車兵などの機械化部隊に対してはなおさらだった。

 一行はその後も物資の中を進んである倉庫の中を歩いていた。

 

パット「えっと、この倉庫の奥に補給のが…ああ、あった。」

 

 倉庫の奥のライトが光ると2機のユニットと数個のユニットが入った箱があった。

 

菅野「やったぁ!俺の紫電改だ!これさえあればネウロイなんてイチコロだぜ!」

 

ニパ「ピカピカだ~」

 

クルピンスキー「こっちのK型は僕のだね」

 

パット「残りの箱はラル少佐とロスマン宛だ。多分中身はクルピンスキーと同じだろ」

 

 菅野には紫電改、クルピンスキーにはBf109K-4クーアフェルスト(選帝侯)、が与えられた。

 さらにラルとロスマンようにK型もいくつかあった。

 一人二パだけはユニットが与えられず菅野とクルピンスキーを羨ましがった。

 

二パ「いいなぁ、新しいユニット」

 

クルピンスキー「じゃあ、ニパ君はこれを使って」

 

 するとクルピンスキーが提案した。

 

二パ「ええっ!?でもそれクルピンスキーさんのでしょう?」

 

クルピンスキー「ニパ君のは壊れちゃったから仕方ないよね」

 

 それに二パは驚くが二パのユニットはムルマンに向かっている途中に壊れ、満足な整備設備のないここでは修理不能だった。

 なのでクルピンスキーは自分用のユニットを二パにあげた。

 

クルピンスキー「それより僕は…」

 

 クルピンスキーはユニットよりも大事なものがあった。

 そばにあった箱を開けると中からワインの瓶が現れた。

 

パット「ワインか、一本持ってくぞ。」

 

クルピンスキー「ちょ、それ僕のワイン!」

 

パット「一本ぐらい構わんだろ、それじゃあ俺は書類仕事があるから失礼するよ」

 

 パットはクルピンスキーからワインを一本奪うとそれを持って書類の処理に向かった。

 

---------

 

 それから少しして、ムルマンで太陽が沈みかける中二パと菅野のユニットのテストが行われた。

 二人は滑走路上に出された発進台につけられたユニットを履いて待機していた。

 

菅野「管野一番、出る!」

 

二パ「カタヤイネン、行きます!」

 

ひかり「動作確認だけだから、無理しないようにって言われてますよ」

 

菅野「わーってるって」

 

マントイフェル「日没まで20分だ、早く終わらせろ」

 

 二人にひかりが注意しマントイフェルが日没までの時間を確認する。

 二人はユニットを回すと離陸した。

 

菅野「おお!魔法力の立ち上がりがハンパねえ!」

 

二パ「管野!こっちのK型もすっごい早いよ!」

 

 その性能の違いに菅野も二パも驚いていた。

 その差は地上から双眼鏡で見ていたマントイフェルにも分かった。

 

マントイフェル「すごいな。速度も何もかもが段違いに見えるぞ。

        二パ、菅野、どうだ?」

 

菅野『ひかりに伝えてくれ、もうお前にはデカい顔させねえって』

 

マントイフェル「そうか、そろそろ日没だから降りてこい。」

 

 マントイフェルが無線で降りるように伝えた。

 するとマントイフェルの後ろから声がした。

 

ひかり「クルピンスキーさん、何飲んでるんですか?」

 

クルピンスキー「ぶどうジュースだよ」

 

マントイフェル「ワインだろ、雁淵はまだ未成年だから飲むなよ」

 

ひかり「はーい」

 

---------

 

 その日の夜、二パやマントイフェルたちが先に寝たころ、パットはクルピンスキーを正座させ説教していた。

 

パット「えー中尉、サウナの中で飲酒してそこで酔いつぶれて危うく脱水症状で死にかけた件について何か申し開きはあるか?」

 

クルピンスキー「な、何にもございません…」

 

 書類仕事とバレンツ海の気象情報、さらに船団側との合流に関する打ち合わせ等を終えたパットはサウナに行ったがそこにいたのはワインの瓶を持って寝ていたクルピンスキーであった。

 さらに不味いことにサウナ内でアルコールを摂取して寝ていたせいで脱水症状を起こしていた。

 そのため彼は疲れ切った体に鞭打ってサウナから引っ張り出して基地の軍医に診せていた。

 そのことでパットはクルピンスキーに対してキレていた。

 

パット「サウナの中でワインを飲むバカがいるか!

    死ぬ気か!第一明日は任務だぞ!今日何本飲んだ!」

 

クルピンスキー「えーと、一本だけです…」

 

パット「はあ、明日までに酒が抜けてないとバレンツ海に沈めるぞ。

    命令だ、今すぐ寝ろ。いいな」

 

 最後にクルピンスキーに寝ろと言うとパットは自分のベットに行き泥のように眠った。




グレミャーシチイとステレーグシチイは史実でもソ連北方艦隊に所属していた駆逐艦です。
グレミャーシチイはソ連海軍きっての武勲艦で軍歌もあります。

飲酒後のサウナ、サウナ内での飲酒は脱水症状をもたらす危険があるのでやめましょう。


<解説>
・エーリヒ・バイ
北岬沖海戦でのドイツ側指揮官。
シャルンホルストが撃沈された際に戦死。
北岬沖海戦での彼の指揮は相対したブルース・フレーザー提督に「もし君達の誰かがシャルンホルストと同じように戦力が倍以上違う相手と戦う時、艦をシャルンホルストと同じように勇敢に指揮することを望む」と言わしめたほど勇敢なものだった。

・ハンス=ゲオルグ・フォン・フリーデブルク
史実ドイツ海軍総司令官で最後の潜水艦隊司令長官
ベテランの潜水艦屋で一次大戦でも二次大戦でもUボートに乗っていた。
戦中は潜水艦隊の運用を指揮、デーニッツの後任として大戦末期の潜水艦隊を指揮した後デーニッツがヒトラーの後任として大統領になるとドイツ海軍総司令官に就任した。
またドイツ北西部部隊の分離降伏文書(実質ドイツ軍のすべて)にドイツ海軍代表としてサインした。
その後フレンスブルク政府の閣僚全員と国防軍の司令官が逮捕され始めると逮捕される前に服毒自殺した。
もし逮捕されていた場合デーニッツ共々潜水艦隊の民間商船への攻撃の件で訴追された可能性が高い。(つまり戦犯になった可能性が高い)
はいふりのミーちゃんの名前のモデル。
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