後半の推奨BGMはソ連軍歌「砲兵行進曲(スターリンの砲兵行進曲ともいう)」です。
後半ただの砲兵バカの話になってる(それがいい)
時はドーラが破壊されグリゴーリが移動し始めた頃に遡る。
ウィッチたちは攻撃がやみ巣が移動し始めたことに気が付いた。
ロスマン「攻撃が止んだ?」
クルピンスキー「僕達には興味なしってことかな」
マントイフェル「俺たちは所詮大河の流れを止めようとする小石か…シャイセ!」
自分たちを無視して通り過ぎて行くグリゴーリを見てウィッチ達は悔しがる。
特にマントイフェルにはかつてのドイツ空軍での祖国を焼かれているにもかかわらず足止めさえできずに片っ端から落とされ、そもそも離陸すらできない状況を思い出して悔しかった。
二パ「20分も待ってたら射程外になっちゃうよ」
菅野「こっちの武器じゃ歯が立たねえし、どうすりゃいいんだ!」
グリゴーリの外殻は歩兵用小火器や航空機用軟目標用ロケット弾程度の火力ではびくともせずもはやウィッチには手はないように思えた。
だがふと孝美は下のドーラの残骸を見ると何かを思いついたのかドーラに向かった。
菅野「孝美?」
それに菅野が気が付く。
孝美はドーラの残骸に近づくとS18を捨てドーラの隔螺式閉鎖器を開けると中から魔導徹甲弾を取り出した。
ラル「あれは!」
ロスマン「魔導徹甲弾?まさか!」
バーティ「u wot m8?」
すると孝美は魔導徹甲弾を持ちあげようとする。
もちろん重量が一トン近い、この半分以下の28センチ砲弾でさえ砲弾2発と装薬を合わせれば1トン近いのにその倍以上のサイズの80センチ砲弾が動くわけなかった。
下原「弾を運ぶつもりです!」
ラル「直接ぶつけようって気か!」
サーシャ「魔導徹甲弾の重量は1トン近いわ」
それを見て全員が無理だと思う。
当たり前だが一人で1トン近いものを運ぶなんてできるのはせいぜい501のバルクホルンとアフリカにいる稲垣真美ぐらいである。
ミラーの馬鹿でかいBK-5もユニットにアームを介して馬力のあるMe410に固定しているのである。
ジョゼ「ム、ムリですよ!」
孝美「きっと、ひかりならこうするはず!絶対にあきらめるわけにはいかないの!」
ジョゼが近づいて止めようとするが孝美はそれでも運ぼうとする。
するとその隣に菅野が近づく。
菅野「バーカ、一人で出来るわけねーだろ」
二パ「そうそう」
さらに二パも手伝おうとする。
するとパットが吸い終わったタバコを捨てユニットで踏んで火を消すと二パの横に並ぶ。
パット「Impossible, n'est pas français.」
ジョゼ「不可能という言葉はフランス的ではない、ですね」
パットの言った言葉を孝美の隣に来たジョゼが解説する。
さらにバーティとマントイフェルも手伝う。
バーティ「レディーに重いものを持たせるのは紳士としては如何なものですから。
かのベンジャミン・ディズレーリは言った、成功は大胆不敵な向こう見ずの子、と」
マントイフェル「こう見えて固有魔法は筋力強化なんだ。
それに生半可な鍛え方はしてないぞ」
クルピンスキー「いや、でも肩が治ったばっかりじゃん。
僕も手伝うよ、ヴァルトに怪我されたらたまらないし」
さらにクルピンスキーやロスマン、ポー、下原も手伝おうとする。
唯一リョーニャは冷静になって無理だと思い後ろで冷静に見ていた。
ロスマン「やっぱり妹さんとソックリね」
菅野「姉妹揃ってバカって事か」
ロスマンが言うと菅野も続ける、するとポーがリョーニャに聞かせるように言う。
ポー「バカと天才は紙一重だ、バカは時に思いがけない策で状況を打開する。
だろ?ロスキー」
リョーニャ「ああ!やればいいんだろやれば!
こんな作戦成功するか!?」
ラル「成功させればいいだろ」
下原「ええ、リョーニャさん。
私たちで成功させましょう!」
それでも抵抗するリョーニャだったがラルと下原の説得に渋々手伝う。
全員が揃うと下原が掛け声を取って持ち上げようとする。
下原「せーの!」
「「うぉおおお!」」
すると一トン近い砲弾はゆっくりと上がっていった。
ジョゼ「上がった!」
孝美「やった!」
ラル「行くぞ!」
十分な高さまで上がるとウィッチたちは下に回り込んで巣に向かう。
するとここで司令部を掌握したヴァトゥーチンからの無線が届いた。
ニコライ『さてと、マンシュタイン元帥より事情があって指揮権を移譲したヴァトゥーチン大将だ。
現在どうなっている?』
パット「こちら502、現在魔導徹甲弾を回収してグリゴーリの真上に輸送中。
これでやります」
パットが答えるがヴァトゥーチンには理解できなかった。
なにせ常軌を逸したありえない行動だからだ。
ニコライ『は?どういう意味だ?』
パット「そのままですが」
ヴァトゥーチンが聞きなおすがパットはそれに返事するだけだった。
だがそれがグリゴーリに勝手に向かっていることと理解したヴァトゥーチンは即座に指示した。
ニコライ『五分後に砲兵部隊によってグリゴーリに砲撃を行う。
直ちに安全空域へ退避せよ、これは命令だ!』
ラル「大将、2分でやります」
ヴァトゥーチンは502を退避させようとするがラルが何とか説得しようとする。
それを聞いてヴァトゥーチンは怒り狂いそうになるがそれにヘプナーが無線を替わって何とか諫める。
ヘプナー『分かった、2分、2分だけだ。
それ以上なら君らの安全は保障しない。
砲撃に巻き込まれても自己責任だ、それでもいいならやりたまえ』
ラル「ありがとうございます、ヘプナー大将。
許可が出た、やるぞ!」
ヘプナーが許可を出したころには502はグリゴーリの真上近くに来ていた。
サーシャ「敵の直上600メートル!目標地点到達!」
孝美「コアの位置変わらず!補足完了!」
孝美とサーシャが報告するとラルが掛け声を取る。
ラル「降下!」
ラルの指示に従い降下してネウロイに近づく。
そしてサーシャが次の指示を出す。
サーシャ「投下!」
その指示に従い全員が手を放すが一人だけ孝美が放さなかった。
菅野「何やってんだ、孝美!」
孝美「絶対に当てて見せる!」
孝美は絶対に当てるために砲弾を放さなかった。
するとグリゴーリも気が付き攻撃した。
だがその前に菅野が立ちはだかり攻撃を防ぐ。
菅野「行くぞ!孝美!」
孝美「管野さん!はい!」
菅野が盾となりさらに降下すると砲弾を放す。
孝美「いっけぇぇぇ!」
放された砲弾は落下しながら直撃、貫通してコアを破壊し破片となった。
菅野「やったぞ、孝美!」
孝美「はい!」
パット「ん?何かがおかしいぞ」
孝美と菅野が喜ぶがパットが何かに気が付く。
破片が逆再生するかのように元に戻った。
ポー「は?まさか…」
マントイフェル「どうしてこうも面倒くさい敵とばかり当たるんだよ」
すると孝美があることに気が付いた。
孝美「あれは…!
コ、コアの中にコアが見えます!」
クルピンスキー「なんだって!?」
ラル「こいつもコアの中に真コアを持っていたのか!」
グリゴーリもまたコアの中にコアを持つタイプだったのだ。
ニコライ『なに?こいつもこの間QP114を襲ったのと同じなのか
とりあえず聞くが真コアは見えるか?』
孝美「見えます!グリットH6…えっ!?」
ラル「どうした?孝美」
ヴァトゥーチンが一応コアの位置を聞き孝美が答えようとするが途中で止まる。
孝美「き、消えた!?捕捉不能!真コアが見えません!」
ラル「何だと!?」
孝美「コアが魔眼を遮っているんだ…くっ…」
コアが魔眼を遮ることで真コアが補足できなかった。
ニコライ『分かった、502は即座に安全空域へ退避せよ。
繰り返す、安全空域へ退避せよ』
「「え?」」
突然の退避命令にウィッチたちは驚く、そして次に飛んできたのはヴァトゥーチンの作戦開始の命令だった。
ニコライ『全軍に下令、ザリャー・ヴォストーカ作戦発動!
同志諸君!砲兵諸君!戦車兵諸君!兵士諸君!労働者諸君!
祖国が呼んでいる!
母の涙に報いるため!祖国のため!撃て!撃て!』
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ニコライ「全軍に下令、ザリャー・ヴォストーカ作戦発動!
同志諸君!砲兵諸君!戦車兵諸君!兵士諸君!労働者諸君!
祖国が呼んでいる!
母の涙に報いるため!祖国のため!撃て!撃て!」
コアを捕捉できないという連絡を受けると即座にヴァトゥーチンは作戦を開始した。
その連絡はすぐにチャタイに伝わる。
チャタイ「全軍砲撃開始」
砲兵将校「了解、全軍砲撃開始!」
チャタイは連絡を受けるとすぐに隷下の全部隊の合計6000門以上の火砲に射撃を命じる。
その連絡は砲兵部隊に伝わると砲撃が開始された。
オラーシャ軍将校「目標グリゴーリ!Огонь!Огонь!Огонь!」
オラーシャ軍将校が砲撃を命じると彼の指揮する陣地に据えられた20門以上の152ミリ榴弾砲が火を噴く。
さらに別の陣地では
列車砲将校「各門調停完了、信管調停完了、ファイア!」
カールスラント人将校が命じると50門以上の各種列車砲が火を噴き20キロ以上先のグリゴーリに向けて巨弾を放つ。
数十秒後、グリゴーリ全体が砲弾の着弾の煙に包まれた。
観測兵「第1弾着弾今!グリゴーリ!大破!」
チャタイ「よし、連続射撃!反撃の隙を与えるな!」
煙が晴れるとグリゴーリは数百発以上の魔導徹甲弾を食らい半壊していた。
すぐにチャタイは連続で砲撃を命じる。
すぐにグリゴーリはまた煙に包まれ大爆発が連続して発生した。
チャタイ「いいぞ!その調子だ!いいか!弾幕はパワーだ!
奴が死ぬまでぶちのめせ!」
砲兵将校「は!とにかく撃ちまくれ!
弾がないなら歩兵と戦車兵と工兵も使って弾薬を運べ!
何をやってもいい!とにかく砲撃を絶やすな!」
そのこの世のものと思えないほどの砲撃に砲兵将校たちは大興奮する。
彼らも人の子であり何より骨の髄まで大砲に魅せられた者たちである、彼らにとっては数千門の火砲の一斉射撃など夢のような光景だった。
チャタイ「全く夢見てぇな光景だぜ!若返ったぞ!
ハンガリーじゃこんな光景滅多にお目にかかれねえぞ!」
砲兵将校「ドイツでもですよ!今まではイワンにやられてた側ですがやってみる側になれば最高ですよ!」
チャタイ「全くもってそうだ!大砲はぶっ放す方に限る!」
砲兵司令部はもはや異様な熱気を発していた。
砲兵たちの砲撃よりもはやネウロイは反撃さえできずに痛めつけられていた。
だがコアを破壊できず長期化しつつあった。
ニコライ「まだ破壊できないのか…502に真コアの位置を捜させろ。
一瞬でいいし大まかでいい。どうせ精密射撃なんてできないんだ、大まかな位置で構わん」
流石に長期化すれば砲兵部隊に危険を与えるほか火薬残渣による暴発事故、なにより戦場で最も貴重な資源である時間を浪費するだけになってしまう。
それを避けるためにヴァトゥーチンは真コアの大まかな位置を捕捉するよう502に指示した。
この連絡は502、そして同じ無線チャンネルを使ってずっと聞いていたペテルブルクのひかりにも届いてた。
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ひかり「え?お姉ちゃん…あれ使う気じゃ…」
部屋で無線にかじりついていたひかりはヴァトゥーチンの指示を聞いて孝美が絶対魔眼を使うのではと危惧する。
そして部屋を飛び出すと格納庫に向かいユニットを履く。
だがすぐに整備兵が止めようとする。
整備兵「雁淵軍曹!ダメです!」
ひかり「お姉ちゃんを止めないと!」
整備兵「それでもダメです!
ジャベール大尉から自分ラル少佐の指示以外であなたを上げるなと言われてます!」
ひかり「え…パットさんが?」
ひかりは自分を止めようとする意外な人物の名前に驚いた。
パットはあらかじめひかりが出てきそうなことを予期して整備兵にひかりを指示以外で上げるなと命令していた。
ひかり「なら…パットさんに聞いてください!」
整備兵「は、はぁ…」
ひかりはなんとしても離陸しようとする。
整備兵はどうしようもないため無線機でパットに問い合わせる。
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そのころ、パット達は安全空域に退避し遠くから砲撃を見ていた。
パット「圧巻だな…」
マントイフェル「流石にネウロイもこれではひとたまりもないだろう」
ポー「あそこにいなくてよかった…」
リョーニャ「いつ見ても砲兵たちの砲撃は素晴らしいな」
バーティ「恐ろしいな…」
その恐ろしい砲撃に全員が心の底から恐怖していた。
すると突然無線が響いた。
整備兵『こちらペテルブルク、ジャベール大尉、雁淵軍曹が離陸しようとしています。
どうすればいいでしょうか?』
パット「は?」
孝美「ひかり!」
その内容にパットと孝美は驚いた。
そしてパットは少し考えると答えを出す。
パット「分かった、出してやれ。
どうせあいつは止めたところで格納庫の壁ぶち抜いても離陸するさ。」
整備兵『は、はぁ…分かりました』
孝美「パットさん!」
パットの指示に孝美は抗議の声を上げる。
だがパットは意に介さない。
パット「止めたところで上がってくるさ。
君だってそう思うだろ?あいつはそういう人間だって」
孝美「そうね、そういう子だったわね」
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整備兵「は、はぁ…分かりました」
ひかり「どうでした?」
整備兵は困惑しながらも無線を切る。
ひかりは答えを聞いた。
整備兵「出撃していいとのことです」
答えを聞くとひかりはそのまま返事もせず武器を持って離陸した。
目指すはグリゴーリだ。
この章、たぶん残りは1話か2話。
u wot m8?:イギリス英語のスラング。「なんや?」「なにする気だ?」的な意味。
意味合いとしては結構低俗的
次の章のイタリア軍に関しては作者がツイッターでかき集めた正しいイタリア軍にする予定(なお作者のツイッター垢はそこから実名バレるので死んでも明かさない)
ヴァトゥーチンの演説は完全砲兵行進曲からのオマージュです。
この調子だと9月中には終わりそう