その後、ペリーヌ、リーネ、宮藤、ニコ、ヤンは荷物を纏め武器を持って基地からアドリア海を飛んでいた。
ニコ「大体問題はないな。ルートからは逸れてない」
ペリーヌ「ありがとう、ニコさん。」
ニコはクロノメーターと六分儀を使って位置を確認してそれを地図を持ったペリーヌに伝えた。
ニコは元々爆撃機パイロットでありクレタへの爆撃やマルタへの空襲にも参加、そのため彼は天測の技術を身につけていた。
するとペリーヌが雲の隙間から小島を見つける。
ペリーヌ「あそこですわ」
そういうとペリーヌ達は降下して小島に降り立つがそこには誰もいなかった。
リーネ「本当にここが訓練所なんですか?」
ヤン「なにもないぞ」
ペリーヌ「少佐に頂いた地図だとここに間違いありませんわね」
宮藤「でも誰もいないよ」
ヤンとリーネがペリーヌに聞く。
ペリーヌの持っていた地図によればこの島が訓練所であった。
ニコ「ん?なんだ?」
ふとニコは上に何かがあるのに気が付く。
それにつられて全員上を見ると何かが落ちてきた。
5人はすぐにその場を離れる。
ペリーヌ「ネウロイ!」
ヤン「なんだ!」
ニコ「誰だ!」
すぐにペリーヌは銃を向けヤンとニコは拳銃を抜いて構えた。
そして落ちてきたものを確認する。
ヤン「たらい?」
ニコ「誰かいるのか?」
落ちてきたのはただのたらいだった。
アンナ「誰がネウロイだい」
ペリーヌ「喋った!」
ニコ「誰だ!」
ヤン「武器を捨てろ!」
そして突然声がするとヤンとニコは声がした方向に武器を向ける。
そこにいたのは箒に乗った老婆だった。
アンナ「挨拶もなしにうちの庭に入る上に人様に銃を向けるなんて!
近頃の若い子はしつけがなってないね」
老婆はヤンたちを叱る。
宮藤は慌てて挨拶する。
宮藤「あ…こ、こんにちは」
リーネ「もしかして、アンナ・フェラーラさんですか?」
宮藤「え?」
アンナ「そうだよ」
この老婆こそ教えを請う先生のアンナ・フェラーラだった。
それを聞いてすぐにヤンとニコは拳銃をホルスターに戻して謝る。
ニコ「すいません、つい軍人としての癖が出てしまいました」
宮藤「あの、私達坂本少佐の命令で訓練に来たんです!
ここで合格貰うまでは絶対に帰るなって言われました!」
すると宮藤がアンナに来た理由を説明した。
坂本は5人の訓練をアンナに任せた(又は丸投げした)のだ。
アンナ「はぁ…とりあえずその履いてるもん、脱ぎな」
それを聞いてアンナは最初にユニットを脱ぐよう指示する。
言われた通りに5人はユニットを脱ぐ。
宮藤「バケツ?」
ニコ「何に使うんだ?」
ヤン「いたずら?」
アンナはまず5人にバケツを渡すが何に使うか全く理解できなかった。
アンナ「じゃあまずあんたたちには、今晩の食事とお風呂の為に水を汲んできてもらおうかね」
リーネ「水汲みですか?」
ニコ「井戸かタンクは…」
アンナはバケツを使って水くみをさせようとしていた。
それを聞いてニコが周りを見回すが井戸らしきものも水タンクらしきものもなかった。
アンナ「井戸ならあっちだよ」
井戸を探すのを見てアンナは井戸を指さす。
井戸は半島にある小高い丘の上にあった。
ペリーヌ「ええっ!?あんな遠く…」
宮藤「うわあ…」
ニコ「まあオアシスが100キロ先とか水が一日コップ一杯よりかはマシか」
ヤン「お前一体どんなところにいたんだ?」
あまりの遠さに驚くが唯一アフリカに1年以上いたニコだけはなぜかアフリカよりまだ水があるだけマシという理由でそれほど驚いていなかった。
アンナ「ここは海の上だからね、水が出るのはあそこだけさ」
するとリーネが名案を思い付いた。
リーネ「あっ、でもストライカーを履けば!」
宮藤「そっか!」
ペリーヌ「ストライカーで飛んでいけばあっという間ですわ」
ニコ「多分違うと思うんだけど…」
その案を聞いてペリーヌ達はユニットの方に向かう。
ただニコとヤンは違うと感じていた。
アンナ「誰がそんなの使っていいって言ったんだい!」
その予想通りアンナはペリーヌ達の前に立ちはだかって注意する。
そしてあるものを渡した。
アンナ「ほら、これを使うんだよ」
ペリーヌ「って…まさか…」
「「箒?」」
アンナが渡したのは箒だった。
それを見てヤンとニコは不安になる。
ヤン「いやまあ、俺の知ってる魔女は箒使ってたけど…」
ニコ「これで飛べ…るんだろうなうん。さっき飛んでたし」
そしてさっそく訓練が始まった。 5人は箒を持って一列に並ぶ。
宮藤「行きます!」
宮藤が合図すると5人は箒に魔力を流す。
すると5人は少しずつ浮く。
だが、
リーネ「い、痛い…」
宮藤「く、食い込む…」
ヤン「ケツが…痔になるぞマジで…」
ニコ「クッションが欲しい…」
ペリーヌ「あ…く…」
股間に箒が当たる上に全体重がそこにかかるため相当な痛みを伴っていた。
そのためペリーヌ達はコントロールすらできず宮藤は箒が前のめりになってそのまま滑り落ちかけ、リーネは箒にしがみついていた。
ペリーヌは何とかコントロールできていたがそのバランスは危ういものだった。
またヤンもペリーヌよりはマシとは言えバランスを維持するのに精一杯で何とか少しずつ動いている程度だった。
一方のニコはというと
ニコ「この感覚、どっかで…」
箒の飛ばす感覚が昔経験したあることに似ていると感じていた。
その感覚を思い出しながらゆっくり動き出すとそのまま井戸まで行ってしまった。
アンナ「いつまで地面をうろうろしてるんだい!
あいつを見習って早く行かないと晩御飯に間に合わないよ!」
そこでアンナがあまりに酷い4人にはっぱをかける。
するとペリーヌ達はバランスを崩してコントロール不能になった。
ヤンは何とか牛歩程度の速度で井戸に向かって移動し始めた。
このあまりに酷い様にアンナは呆れる。
アンナ「全く情けない。
これで魔女とは片腹痛いね。男の方がよっぽどできてるじゃないか」
するとアンナは落ちたリーネに近づく。
アンナ「あんたは無駄にデカいものをつけてるからバランスが取れないんだよ!」
リーネ「キャー!」
アンナはそう言いながらリーネの胸を触る。
それにリーネは悲鳴を上げる。なおこの時501ではミラーが「誰かがリーネに痴漢した気がする」とか言ったとかどうとか。
続いて今度はなぜか空中で回り続けている宮藤の方に行く。
アンナ「いつまで回ってんだい!」
宮藤「ほ、箒に聞いてください!
うっうううう…」
すると宮藤は酔ったのか箒を放して落ちてしまった。
すると何とかバランスを回復したペリーヌが来た。
アンナ「お、なかなかやるね」
ペリーヌ「こ、これくらい…ウィッチとして当然。
う、ら、楽勝ですわ…」
アンナ「そうかいそうかい」
そういうとアンナは箒の後ろを上げる。
するとペリーヌはそのまま滑り落ちた。
だがそれとほぼ同時に別の音が響いた。
アンナ「あんたたちには永遠に合格をやれそうにないね」
リーネ「そ、そんな…」
その酷い有様にアンナはそう評価する。
ペリーヌ「今どきウィッチの修行に箒だなんて。
時代遅れにもほどがありますわ、やっていられません」
ニコ「そうかな?」
「お嬢ちゃん、案外そうじゃないかもしれないよ」
すると上から水を汲んで戻ってきたニコ、そしてアンナの後ろからサスペンダーで吊った乗馬ズボンとシャツを着たカメラを持った初老の男が現れた。
宮藤「それってどういう意味ですか?」
ニコ「いや、箒の感覚がさユニットを飛行機だとした時のグライダーの感覚に似てるんだよ。
僕は航空機で訓練を受ける前に地元のグライダークラブにいたからグライダーには慣れてるんだ。
動力がついてない、その分限られた方法でしか飛べない、それをどうするかって言うと操縦テクニックでどうにかする。
グライダーってそういう感じだから」
ルフトハンザに入る前はドイツで盛んだったグライダークラブに入っていたニコは箒の感覚がグライダーを飛ばす時と似ていると感じていた。
ニコのように軍や航空会社に入ったりパイロット訓練を受ける前にグライダーを飛ばしていた又はグライダーが趣味のパイロットは多く、世界一のエースエーリヒ・ハルトマンは軍に入る前は地元のヒトラーユーゲントのグライダーグループに入り有資格者でもあったほか有名なテストパイロットであるハンナ・ライチュもまたグライダーパイロットからパイロットになり戦後はグライダーの世界記録を何度も塗り替えている。
またかの有名なギムリーグライダーことエアカナダ143便不時着事故の機長はグライダーが趣味でありその時の経験やテクニックを使って無事燃料が切れ43トンの巨大なグライダーと化した機体をギムリーの廃止された滑走路へと導き乗員乗客69人の命を救っていた。
その説明に宮藤は納得する。
宮藤「なるほど」
「確かコントロールがどうこうらしいね、アンナさん」
アンナ「そうだよ。ところで遅かったじゃないか。」
「近所で検問があったんだ。身分証を持ってなかったからくまなく調べられたよ」
リーネ「あの、そちらの方は…もしかして旦那さん?」
するとリーネが初老の男とアンナの関係を聞いた。
それを聞いてニコがその男の顔を見るがその顔には見覚えがあった。
アンナ「旦那なんて大層なもんじゃないよ。ただの居候さ」
エルヴィン「どうもフロイライン、エルヴィン・ロンメルだ。
今は訳あってここに居候させてもらってる。
君たちが訓練に来た子かね?」
するとエルヴィンと名乗った男は宮藤たちに聞いた。
宮藤「はい。宮藤芳佳って言います」
エルヴィン「最近の若いのは元気があっていいねぇ。」
宮藤「ありがとうございます。」
エルヴィン「元気があるのはいい事だよ。
ところで君たちもしかすると思うがこれで本当に強くなれるのか?とか思っていないか?」
宮藤を褒めたエルヴィンは話題を変える。
それにペリーヌが同意する。
ペリーヌ「ええ。いくら言われてもこんな時代遅れの訓練で強くなるとは思えませんわ」
エルヴィン「だそうだ、ここはEin Bild sagt mehr als tausend Worte、といこう。
見ときな、この婆さんはすごいぞ」
エルヴィンはアンナに言う。
言われたアンナは箒に跨ると飛んで行った。
その姿はあっという間に消えてしまった。
宮藤「ア、アンナさん?」
リーネ「行っちゃった…」
ペリーヌ「あ…ふん、もう戻ってこなくて結構ですわ!」
エルヴィン「戻ってきたぞ」
ペリーヌ「え?」
するとアンナはすぐに戻ってきた。
箒の下には水が並々入ったタライがぶら下げられていた。
宮藤「うぁ!こんなに一杯!」
ペリーヌ「こ、これを一人で…」
リーネ「凄いです!」
ニコ「何キロあるんだ…」
ヤン「俺が15分かけて往復したところを1分もかけずにだと…」
5人はアンナの見事な飛行に驚いていた。
宮藤「でもこれで本当に強くなれるんですか?」
宮藤が改めてアンナに質問する。
アンナ「信じられないかい?
でもねあんたたちの教官だってここで訓練して一人前の魔女になったんだよ」
リーネ「え?教官って…」
ペリーヌ「坂本少佐が!?」
坂本がここで訓練を受けていたことに3人は驚いた。
アンナ「ああ、あの子は素直でねぇ。
最初っから私のことを尊敬して一生懸命練習したもんさ。
おかげで見事な魔女に成長したってわけだ、ふん」
「「わぁ~」」
ヤン「ちょっと嘘くさい気がする」
その話に宮藤たちは感激を受けるがヤンとニコは胡散臭いと感じていた。
宮藤「坂本さんもこの訓練を…」
ペリーヌ「あ、あの…さ、坂本少佐が使われていた箒って…」
アンナ「そこの上手い奴が使ってるのじゃなかったかな?」
ニコ「これ?」
ペリーヌが坂本が使った箒を聞くがその箒はおそらくニコが使っているものだった。
ペリーヌ「ニコさん!降りてくださいまし!」
ニコ「え?何で!?」
何故かペリーヌがそれを聞いてニコに迫った。
アンナ「なんだい、ありゃ?」
エルヴィン「流石の私でもあれは引くね」
ヤン「同感です。怖い」
その光景にアンナは呆れ、エルヴィンとヤンは冷ややかな目で見ていた。
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翌日、この日もまた宮藤たちはコントロール不能で宮藤は橋をピンボールのように跳ねまわり、リーネは箒から落ちてぶら下がり、ペリーヌは箒が竹馬のように跳ねまわっていた。
一方のニコは鼻歌を歌いながらアンナと同じようにタライで水を運び、ヤンは昨日よりかは速い速度で往復していた。
そしてエルヴィンはその光景を写真で撮って回っていたが宮藤たちはそんなことにまるで気が付かなかった。
アンナ「やれやれ、3人ともちょっと来な。」
するとアンナは見かねて3人を集める。
アンナ「あんた達3人とも魔法力は足りているんだ。
足りないのはコントロール。
今までは機械がしてくれたものを自分でコントロールしなくちゃ駄目なんだよ」
そういうとアンナは宮藤の箒を少し上げる。
宮藤「ううっ…い、痛いですアンナさん」
アンナ「痛いのは箒に体重がかかってるからだよ!」
アンナが言うと続いてリーネ、ペリーヌにも同じようなことをする。
アンナ「いいかい?
あんたたちはストライカーユニットっていう機械にずーっと頼ってた。
まずそれを忘れて箒と一体化するんだ」
宮藤「箒と一体化?」
アンナ「箒に乗ろうとするんじゃなくて箒を体の一部だと感じるんだよ。」
リーネ「体の一部?」
アンナ「そして自分の脚で一歩前に踏み出す。
そんなイメージで魔法を込めるんだ。
ちゃんとした魔女なら簡単なことさ」
アンナは3人にアドバイスする。
3人はそれを聞いてアドバイス通りに魔力をこめ始めた。
ペリーヌ「自分の脚…」
宮藤「一歩前へ…」
すると3人は少しずつ浮き始めた。
宮藤「あっ、あっ、あっ、と、飛べたー!」
リーネ「私も飛べた!」
3人はある程度まで上がると喜んでいた。
そして三人はしばらく喜んで箒での飛行を楽しんでいた。
アンナ「いつまで遊んでんだい?さっさと水汲みに行かんと、日が暮れちまうよ!」
ペリーヌ「い、言われなくても行きますわ!」
「「行ってきまーす!」」
するとアンナも上がってきて3人に水くみに行くよう言う。
そして井戸に行くと何故か二人でサボってたニコとヤンが出迎える。
ヤン「やっと飛べたのかお前ら」
ニコ「これで少しは楽になりますね」
ペリーヌ「二人ともサボってたんですか?」
ペリーヌが聞く。
ヤン「なんだよ、水って意外と重いんだぞ。」
ニコ「タライ一つで多分10キロはあるんですよ。少しぐらい休んでいいじゃないですか」
二人は水運びがそれなりに疲れるため休憩していた。
そしてペリーヌ達が来ると休憩をやめまた水を運び始めた。
暫くそうしているとニコの耳に微かにある特徴的な音が聞こえてきた。
ニコ「ん?ねえ、銃声がしないか?」
「「え?」」
ニコは微かに遠くから銃声のような音が聞こえてきたことに気が付いた。
それを言われてペリーヌ達も耳をそばだてる。
すると微かに銃声、機関銃やライフルなどの音が混ざった音が聞こえてきた。
リーネ「本当だ…」
ペリーヌ「確かに…」
宮藤「行ってみよう!リーネちゃん、ペリーヌさん、ヤンさん」
ヤン「ああ、なんでこんなところで銃声が鳴るんだ?」
すると5人はその銃声のした方へと向かった。
そこに「特別行動部隊」がいるとは知らずに…
カメラが趣味の元軍人のエルヴィン、誰でしょうねー(棒読み)
ニコは天才肌の人間なんでだいたいのことは勘でどうにかします。
ヤンも順応力が高いのですぐに慣れます。
劇場版の案考えたら何故か冒頭で「ヴェネチアでクーデターが起きてヴェネチアが内部から崩壊、ロマーニャがヴェネチアを併合する」、「ほぼ同時期にドレスデンとウルムに原爆投下」、中盤から「ネウロイの攻撃に対してデンマーク、ヘルウェティア、ロマーニャの三方向から同時に反撃、一気にカールスラントの南北戦線を突破して叩き潰す」、「西部も同じく反撃しネーデルラントとアルザス・ロレーヌ方向よりライン川を渡河、同時にアルデンヌ地方にて機動防御戦を展開し逆包囲」、「これに乗じて一気にベルリンへの道をこじ開ける」、「それとほぼ同時に東部戦線のオラーシャ軍とバルカンのモエシア・ダキア・オラーシャ軍がヴィスワ・オーデル攻勢、ブダペスト攻勢、バルト海攻勢を発動、ベルリンとプラハとカイザーベルクへの一番乗りを巡って対決する」という「ネウロイを確殺する上にそもそもRTB要らない気がする大攻勢」になる可能性。
RTBがどうなるか分からんからとりあえず考えたけど完全にネウロイ詰んでる(ついでに言えば実はこの章の間に東部戦線ではバグラチオン攻勢とヤシ・キシニョフ攻勢真っ最中)
次回はまあ、ね、その、映画炎628(史上最も胸糞悪い戦争映画の一つ。やたら再現度の高い虐殺シーンが売り)を喜んで見れるタイプのミリオタじゃないとキツイ話の予定。
ある程度ぼかすとは言え流石に「これはヤバい」となる話