元地方公務員は無難を選択しました。【ひっそりのっそり更新】 作:airel
其の一
『遥かな昔、
国中に魑魅魍魎が跋扈していたその時代、
いつ終わるともしれぬ混沌の中、
一人の若者が旅に出る。
跳梁する妖(あやかし)を追い払い、
民の安寧を胸に秘め、
いつ果てるともしれぬ旅を彼は続けた。
やがてその思いに心うたれた八人の仙がつどいくる。
藍仙、紅仙、碧仙、黄仙、白仙、黒仙、茶仙、紫仙
色の名を持つ彼らはいつしか【彩八仙】と呼ばれ、
不思議な力を駆使して若者を助けた。
かの若者の名は蒼玄。
八仙の智恵を借り、
国の基礎(いしずえ)を築き、
人の世に夜明けを拓いた、
彩雲国初代国王。
蒼玄の死後、
八仙はいずこかへと姿を消した。
だが彼が仙の為に建てた風雅の宮は、
仙人の住処―――仙洞宮(せんとうきゅう)と呼ばれ、
今もなお王城の一角にあるという
〈彩雲国国語りより〉
(はじまりの風は紅くより引用)』
※※※※※※
皆さんは、前世とか信じますか?
私は信じざるを得ない状況です。
…小中高大をそこそこの成績で卒業し、新卒者として某A県庁の経理課に勤務して凡そ5年、気が付けば若手から中堅の仲間入りだなと思っていた矢先に、まさかのフェードアウト。
目が覚めてみたら、私という意識はそのままに乳幼児からリスタート。
最初は自分だって、そんなベタな…(呆)夢に違いないと、明日だって早いんだからこういう無駄にリアルな夢は寝た気がしなくて疲れるんだよ…ブツブツ。なんて思ってたんですよ、夢じゃありません。ベタでした。何回寝ても覚めても乳幼児のまま。
誰だって、信じざるを得ない状況にあるといえるでしょう。私は輪廻転生とかは無いんじゃないかな~と思っていましたが、自分の身におきてしまったからには、直ぐに諦めて現実を受け入れました。
それからは、親親類の前では基本子供らしく振る舞いつつ今世について色々と調べることにしました。服や建物からパっと見て中世の中国のようなのですが、冒頭部分の国語りから推測するに、恐らく前世では知らない何かしらの異世界なのだろう。
前世では少しだけ異世界転生モノのケータイ小説を読んでいたので、何とはなしに知識無双、内政チートといった言葉が浮かびましたが、却下しました。
あぁいったモノは、主人公の思惑(欲望や願望)を原動力としてトライ&エラーを繰り返し、時に周囲を、時に権力者までを巻き込んでいく流れがあります。
例えるなら、○○が欲しいとか、○○を助けたいとか、生活を変えたいとか…etc.。
しかしながら、私は今世の生活に不満がないのです。
だから、そこそこに前世の知識を下支えに勉強し、そこそこの見識を基礎に処世して、そこそこの職について給金を得て、そこそこに幸せを享受したいとおもいます。