元地方公務員は無難を選択しました。【ひっそりのっそり更新】 作:airel
今世に生まれてから5年程が経ちました。
そしてようやく自分がどんな所に生まれたのかを知ることが出来ました。
まず今世での私の名前は【霍 桐莉(かくとうり)】と言います。
家族には父母と祖父、姉が2人。
姉は上から7才と6才。
霍家は古くから存在するそこそこに由緒ある家で、現在は首府がある紫州州都、貴陽に邸を構えているが、紫州の郊外にちょっとした領地を持ってたりする。
つまり前世的にいうとちょっとセレブなお家である。
現在は父も祖父も朝廷で官吏として働いており、領地は母の妹(叔母)が管理してくれています。夏や暮れになると、休暇も掛けて家族で領地に行ったりするそうです。私はまだ行ったことないですけどね。
まぁセレブ自慢は止めましょう、上には上が山ほどいますからね。
5才になった私はというと、ここの所官吏になるための勉強に勤しんでいる次第です。といってもまだ簡単な読み書き算術史書丸暗記のみですが。
5才なったその日に、父と祖父に、自分も将来は2人みたいに立派な官吏になって働きたいです。と伝えたら、2人とも嬉しそうに笑顔で、私専用の勉強部屋をプレゼントして下さいました。
とりわけ祖父の浮かれ具合は凄く、仕事から帰ってくる度に、国試(彩雲国の官吏採用試験)を上位で合格した若手に、どの参考書を使ったのかとか、勉強方法などを聴いてきては自分に教えて下さり、自分が今どんな仕事をしているのかを面白可笑しくお話しして下さいます。
そんな祖父の構いっぷりに対抗心を燃やす父は、仕事でどんなに疲れていても欠かすことなく毎日毎夜私の勉強を見て下さいます。
ただ一日中勉強だけをしている訳ではありません。
国試の勉強に力をいれる父祖父とは反対に、母は体力作りに力を入れています。
なんとこの霍家、当主は私の母だったりします。因みに父と祖父は入り婿です。
誕生日の翌週に領地から私兵団の武官1人を呼び寄せて私専属の護衛兼トレーナーにしてくれました。
名前は【丙 丁晃(へいていこう)】さん。
お年は23才。霍家に代々仕える武人のお家の若き俊英らしい。武芸百般に秀で、数年前に一度国王直属の近衛の一角、左羽林軍から勧誘を受けたとかなんとか…。
そしてそれを誘いを蹴った(丁重にお断りした)話は左羽林軍の中ではそれなりに有名らしく、そんな彼を文1つで領地から呼び寄せられる母は凄いのだろう。
丙先生(こう呼ぶと嬉しそうにしてくれるのでそう呼んでます)から、トレーニングの合間に聞いた話によると、母は昔里山に住み着いて田畑を荒らしていた野生の虎を1人で退治したとか、性別を隠して周辺の州で行われた大小様々な武術大会に出場しては優勝をもぎ取って荒らし回っていたとかなんとか…etc.。
丙先生に詳しく話を訊こうとすると、スッと現れた母が低い声で丙先生の名前を呼び連れて行くので真相は分かりませんが、恐らく先生は子供の自分を喜ばせるために少し話を盛っているのでしょうね。
いつもあんなに優しい母がそんな訳ないですよね。
その後、帰ってきた丙先生は所々ボロボロになっていたのを、私は見てみぬフリをしました。
ここまでお付き合い頂きましてありがとうございます。
宜しければ次話でまた会いましょう。