元地方公務員は無難を選択しました。【ひっそりのっそり更新】 作:airel
二胡の音
貴陽霍家別邸に到着した私は、共に同行していた祖母、丙家の双子、貂茜が呆気に取られるような次姉からの熱烈な歓迎を受けました。よくよく考えたら玄関先で2人寝転んで抱き締めあってるのってめちゃくちゃ恥ずかしい…。
それから昔の記憶の通り、変わらぬまま美しく保たれた邸を一巡りし、夕餉前に帰ってきた父と祖父を交えてちょっと華やかな歓迎の宴が催されました。主に次姉が場を盛り上げそれに丙家の双子が合いの手を入れて、いつもは静かにお酒を嗜まれる祖母も今日は気分がいいのか、霍家秘伝の三線を自ら手に取って盛り上げ役の3人を鼓舞します。
本当に楽しかった、あんなに笑ったのは何年振りでしょうか。沛封では笑う事なんてなかったからなぁ…。
それから数日して、次姉と貂茜に連れられて貴陽巡り。生まれてから5年間は邸の中で、それからは沛封の中で育ったのでありがたいが、貂茜お前は何故次姉よりも詳しいのだ。
「霍家の侍女として当然ですわ」
おかしいと思ったけど、口を噤む。多分そんな事言ったって何も変わらないし答えは帰ってこないだろうし。ならばと思い別の質問をする。入都して感じた“ちぐはぐさ”を、全体的に綺麗に片付けられたように見えるのに、街並は所々ボロが来ている。
そう妙に綺麗なのにそこには華やかさが足りないのだ。
それについて聞いて見ると、先程まで雄弁を誇っていた次姉も貂茜も口を噤んだ。それぞれが分からないとだけ答えた。
馬車の中に沈黙が生まれる。俥を曳く馬蹄と回転する車輪の音のみがその場を支配する。
…な、何か拙い質問をしてしまったらしい。空気が重い!空気清浄機とかは!…ないから何かないか何か!?
心の中で嫌な汗に塗れながらも焦りは隠して、車窓に目を向け話題になるモノを探す。得てしてそういう時ほど何も見つけられはしないモノで、一向に話題になりそうなモノは見当たらない。
自ら作り出してしまった重たい雰囲気に呑まれ掛けた時、ふと耳に心地良い二胡の音色が聞こえてきた。この区画は庶民が多く住む所で、とてもじゃないが貴族やそれに連なる者がいるような場所ではない。しかしそれでも聞こえてくる二胡の音は聴く者に心地よさを与える音で、私がこれまで聴いてきたモノの中でも、上位に入るモノだった。
「…これは、なかなかの名手ですね」
と貂茜は言い、
「あぁ、この音色は多分あの道寺からね」
とは次姉の言である。何故知っている?2人で次姉を見つめれば、やっちまったと顔を抑える次姉は小さく自白し始めた。
曰わく、貴陽にやってきた当初は余りやる事もないので、勉強するフリをしこっそり邸から抜け出してそこら辺で手に入れた庶民の服を着てブラブラしていたらしい。何をしているんですか貴女は、今度はこっちが頭を抑える。貂茜なんかは美人なのに口を広げてあんぐりとしていた。
またまた通り掛かった時にこの二胡の音を聴いて訪ねてみたら、十代前半の女の子が道寺にて子供達を集めて塾を開いているのだとか。
「顔は十人前だけど、頭が良くて気も利くし、何よりも素直で元気があってね~」
友達なの、でもあの子が家の妹だったら良かったのに、珍しく他人を褒めちぎる次姉。
「アタシ顔見知りだから寄ってみても良いけど」
どうする?との次姉の問いに、私は遠慮しておく事にする。どーせ、次姉の事だ。今でも身分を隠してこそこそ通ってるに違いない。現に、私がNOと答えれば残念と言いながらも顔では助かったー!みたいな顔をしているし。
しかし、あんなに嬉しそう語る次姉の顔を見てしまっては、とりあえず繙虞には告げ口しないでおこうと思いました。
本編よりもお喋りなあーとーがーきー!
はい、ちょっと絡めてみたよ!どうかな?
これ以上は今回はムリ。ここで秀麗と会わせても勿体無いじゃん。茅姫は会ってるけどね。
追々楽しみに待ってて下されば裏話的なノリで書くかも?とりあえず今日はこんな感じで終わりにしようかな~、補足する事もあんまりないだろうし。
では、また次話でお会い出来る事を
楽しみにしております!
ありがとうございましたー!(*・ω・)ノ