元地方公務員は無難を選択しました。【ひっそりのっそり更新】 作:airel
ふと、気が付いた事がある。
ここの所、戸部関係の雑務を回される事が多くなった、気がする。
まぁ現代人としてあれ位の計算は、別に算盤使わなくても出来るし、こっちとしてはある意味楽が出来てるから有難い。寧ろ、工部とか刑部、吏部関係の雑務の方が面倒くさいし億劫になる。
工部・刑部の場合は、以前に行われた公共事業の資料・刑罰関係の資料を集めて、それを分かり易くまとめ直してそれを各部署の担当者まで届ける、とか時間が掛かるし、吏部の場合はより面倒くさい。
まず雰囲気が怖い。皆目つきが悪いし、忙しくて苛々しているからだろう、言葉遣いが荒く全体的にうるさいし暗い。
あと必ずと言っていいほど、資料を持って行くとパンダのお面を付けた男から扇子や木簡、蜜柑を投げ付けられる。全部受け止めてよく見かける薄青色の髪をした人に渡して、蜜柑は美味しく頂いたが。
なんかどっと疲れるのだ。
「なんだか最近、戸部関係の雑務が増えましたよね」
本日の表の側付きは、興芭だ。
「こっちが戸部で、こっちは鴻臚寺、というかほぼ戸部関係の部署宛ての仕事じゃんか」
そしてそう呟いたのは、本日の影の側付きの孟熙である。
「あそこは計算の書類ばっかりであんまり面白くないんだよな」
「確かに他の省みたいに資料集めとかない代わりに何十件もの収支計算ばかりだからね」
「あと、尚書が変。…他のまともな人が居ないけど」
「だよなぁ…」
二人が戸部についてアレコレ言い合ってる間に一件計算を終わらせて訂正箇所を記してから、次の一件を手にする。
「二人とも、お喋りも良いけど手も動かしてね」
はーい、と応えた二人はそれぞれの仕事に戻る。あ、ここ金額がおかしい。
府庫に残された稟議書と見比べながら、なぜそういう答えに辿り着いたのか示すための赤いインクで印をつけて計算を終わらす。
多分ちょっとした経費のちょろまかしなんだろうが、この国はそれが本当に多い。
この【奨学金制度拡充の為の支出】って、少額の割に申請の頻度が多いしつか先ずその使い道を書けよってツッコミしか出来ない予算申請、多分宴会費に消えてるんだろうな、予算要求額が基本的に少額の所為で稟議書が礼部内じゃほぼスルーで戸部まで来るって管理力が麻痺してる。
…前世の記憶の所為でこういったザルな物を見せ付けられると、この世界の文化的倫理観がよく分かる。
腐敗しとるがな、よく保ってるよなこの国の国庫…。
取り敢えず、多すぎる【経費じゃ落としちゃいけない予算請求】に関して別書に纏めて、逆に足りていない新規事業への予算転換案を用意して、転換後の事業の展望と将来性に関する資料と諸々に必要な経費を添付して…。
こんな感じで今日も夜が明けていくのでした。