元地方公務員は無難を選択しました。【ひっそりのっそり更新】   作:airel

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よろしくお願いします。


其の十七

 奇人変人、黄奇人

 

 

 

彩雲国尚書省六部の一つ【戸部】

 

財政と宝物庫の管理を担当、国家の予算編成や給与計算・支給を担うこの部署。

 

前任の戸部尚書は公金横領の罪で罷免、現任者は黄奇人。

 

【黄奇人】…本名は違うのだが、彼のある特異体質の所為で特別な許可を得て顔に仮面を着けて出仕し業務を行っている事で、その特異体質を知らない官吏達から奇異の目で見られ奇人変人と揶揄されていた事から、自らの名を奇人と名乗るようになった。

 

奇人自身の能力は高い能吏であり次期宰相候補一人ではあるものの、その能力のギリギリまで働く癖があり、またそれを他者にも求めて仕事を振り分ける為、現在の戸部は高官ほど多忙であり退職者も多い。また新規に派遣される若手は現吏部尚書の意向で彼の執務方針に耐えられない者(怠け者や根性なし)が多く人手不足に陥っている。

 

しかし彼の方針に同調し職務を全う出来る官吏達は軒並み有能で、その仕事ぶりから【魔の戸部】の異名で呼ばれたりしている。

 

 

そして今日もまたそんな彼の下、戸部の官吏たちが正に身を粉に職務に励んでいる時の話…。

 

 

「黄尚書、少し宜しいでしょうか」

 

そう仮面の彼に声を掛けたのは、【戸部の良心】こと景侍郎である。

 

彼は激務続く戸部の中でもほぼ皆勤で黄尚書からの要求(無茶振り)に応え続けられる能吏であり、黄尚書からの信頼厚い副官でもある。

 

物腰柔らかく、人の良い笑顔を常に浮かべ戸部内外からも信任厚い彼が、2つの書簡を手にあまり見掛けない神妙な表情を浮かべ声を掛けてきた事に奇人は感じる事があり、珍しくその手を止めてその副官を見つめる。

 

「どうした?」

 

奇人の問い掛けに景侍郎は手にしていた2つの書簡を見せる。

 

「ご説明は後に、先ずはこちらの書簡をご覧下さい」

 

そう言って右手に持った書簡を前に出す。

 

奇人は何も言わずにその書簡を手にして、その中身を速読していく。

 

内容そのものは特別なものではなく普通の各省庁からの概算要求とその収支計算報告書であった。何か問題があるのかと少し注視しながら読み進めるが、特に問題もなく【魯官吏】からの依頼で出した雑務であり、こちらの要求通りに間違いなく計算された報告書である。

 

卓越した頭脳が問題なしと断じたこれの何があるのかと、景侍郎に目を向けると彼は次にその左手に持った2つ目の書簡を差し出す。

 

無言のまま差し出されたそれを受け取り、中身を確認した黄奇人は驚愕した。

 

「ゆっ、・・・・・・柚梨、これは誰がやった?」

 

奇人は内心を落ち着ける為に一拍を置いたのちに、自他共に認めている有能な副官に問う。

 

言外に、これは“誰が意図して作った物”なのかと。

 

「鳳珠、これを製作したのは霍進士です、現在あの魯官吏の下で働いている霍桐莉が自らの手で製作した本年度概算請求書への返答案です」

 

景侍郎は上官の問い掛けに対して淀みなくその製作者の名を告げたのであった。




お中元、乗り切ったぜ!

・・・・・・という達成感と共に投稿。

勢いのままに書き上げているから間違いとかあるかも

次回も頑張ります。
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