衛宮TAS郎の最速戦争   作:AGI信者

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注意事項
・バグ有りany%
・ヒロインは必須
・BADEND、DEADENDではない




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 冬の夜、月光が差し込む学校の廊下にて。

 

「─────っ、ぅぁ」

 

 一人の少年が目を覚ました。

 左胸部におびただしい血を滲ませたその姿は、今すぐに治療が必要にさえ思える。しかしそれは見た目だけのようで、彼はすっくと立ち上がった。立ち上がった姿は自然体のそれだ。

 

 蒼い夜空には雲が流れている。真冬の風は反射的に身体を震えさせるが、彼はそれを覆すほどの熱を持っていた。

 側に置いてあった紅きペンダントを拾い上げ、決意を胸に少年は誓う。

 

「────計測、開始」

 

 全力で走りながら。

 

 

 ≫≫00:00:05.36

 

 

 

 

 

 

 冬木に存在するとある武家屋敷。そこそこの歴史的重さを感じさせる屋敷には二人の人影が会った。庭に面している土蔵の中。一人は先程の血濡れの少年。

 そして、もう一人は─────

 

「問おう、貴方が私のマスターか」

 

 煌めく金の髪に、宝石のような碧眼。身に纏うは重装な鎧。まさしく騎士の中の騎士、理想の体現だろう。

 彼女こそがこの戦いにおける最優の英霊であるセイバー。

 

「あぁ、そうだ」

 

 常人離れした美貌に物怖じすることなく少年は答えた。

 

「─────」

「──────」

「────」

「───────────」

「─────」

「───」

 

 両者はお互いに見つめ合ったまま身じろぎもしない。いや、正確に言えば少年の方は若干息が荒い。ここまで走り続けてきたからだろうか。その額には汗も浮かんでいる。

 

「─────────」

「──────」

「───────────────」

「──────」

「──────────────────────」

「───────────」

 

 ………この間は僅か瞬きをする程度でしかなかった、ということは勿論無い。

 少年と少女は先程の応答以降、一切言葉を交わしていない。アイコンタクトでもない。

 

 唐突だが、この世界には魔術という不思議な技術が影ながら存在する。一言で述べるならば、騎士の少女は魔術によって召喚された過去の英雄であり、使い魔である。

 そして使い魔とその主は繋がったパスを元に色々な感覚をリンクすることができる。視覚や聴覚、その思考までも。

 

 これは誰でも分かることだが。口を動かし文章を読み上げるよりも、頭の中で文章を思い起こす方が“速い”。

 つまり、彼らは口頭では不可能な速度の会話をしていたのである。

 

「─────ッ」

 

 少女が何かに気づいたようで土蔵を飛び出し、十数秒の高速脳内会話(魔術界隈では念話と呼ぶ)が終わる。

 

 広い庭の中央には全身を蒼い軽鎧に包んだ男が立っていた。手には紅き槍があった。

 相対した少女は徒手空拳である……ように思えるが不可視の何かを持っているようにも見える。

  

「は、まさか仕留め損ねた坊主がセイバーのマスターになるなんてな。何が起きるか分からねぇもんだぜ」

「同意しよう。私とてこんなにも早くにサーヴァントと剣を交えることになるとは思っていなかった」

 

 ドサリ。

 土蔵の方から音がした。少女は一瞥するも特に気にする様子はない。

 

「…………おい。お前さんのマスター、倒れたぞ」

「心配はいらない。事情は聞かされている」

「そうかよ。ま、敵の心配なんざ要らなかったか」

 

 突如、空気が凍った。

 

 そう思えるほどに雰囲気が切り替わる。二騎の英霊が発する殺意の暴風は、倒れ伏している少年にも届いていた。 

 一瞬だけ意識を失ったが、少年は正確に状況を把握している。彼我の戦力差もこれから始まる戦闘の結末も。

 

 

 陰っていた月光が再び庭を照らす。

 

 直後、少女と男は互いの必殺の領域に踏み込んだ。

 男が放ったのは神速の突き。

 少女が選んだのは切り払いによる迎撃。

 閃光の如き紅き槍は、男の敏捷さも加わって槍自体が伸びたようにさえ見えた。少女も超人の動きをしているが、男はその数段上の速度で迫る。

 

 一瞬の交差の後に甲高い金属音が鳴り響き、それはすなわち少女の生存を知らせた。

 

 

 一息つく───暇など無い。

 

 

 先程の突きは様子見、そう謳うように数が倍増した。それは本来点を狙う筈の“突き”を面制圧の“壁”にまで昇華させていた。

 押し寄せる赤壁。

圧倒的な連撃を前に、少女は臆すことなどない。打ち払い、斬り払い、時には躱す。

 この程度か、と。もっと本気を出してみろと。敢えてその壁へ進んでいく。

 

 そう、怒濤の突きによる壁は押し寄せて呑み込む波のようでありながら、男を護る防壁でもあった。

 

 戦闘における間合い(リーチ)はとても重要である。遠くから放たれる弓矢に槍では対抗できないように、長い間合いの槍をもつ者に剣では届かない。

 しかしそれは弱点にもなりうる。適正距離より近づかれた時、それらの長さは取り回しの悪さに直結する。

 

 少女とはいえ剣の達人。自分の不利な、少女の有利な距離で戦う気など更々無かった。

 が。少々不味い、と男は己の劣勢を感じ取っていた。

 いけ好かない主から下された命令によって、自分の全力を出すことが出来ない。只でさえそれはハンデとなりうるのに、それに加えて少女が“強すぎる”。

 二流の英霊などでは断じてない。

 一流でさえ生ぬるい。

 これは────頂点、とでもいうべきか。

 

 なにせ己の攻撃が一つたりとて届いていない。全て。思考が、癖が、戦術が全て読まれている。これなら防ぐこともできまい、その思いが一体何度胸を過ったことか。

 

 ────使うか。

 

 男が奥の手を切る選択をするのも時間の問題だった。

 このままでは終われない。元々戦闘を楽しむ為に現世にやって来たのだ。こんな序盤も序盤で脱落してどうする。

 まだ楽しむべき闘争がある筈だ。この少女とも全力でやりたかったが、仕方がない。此処で死ぬよりはマシだろう。

 

 そう考え、仕切り直すために距離をとる。

 

 

 

 

 

 

「────『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』」

 

 ぐじゅり、と。

 己の愛槍が何故か胸から生えた。

 

 おかしい。確かに握っているはずなのに。穂先も視界の中にあるのに。

 

 どうして、もう一つ愛槍が存在している?

 

「な────に、が」

 

 起きている。そう発する前に男の頭蓋は叩き割られ、そして男は現世から消滅した。

 

 

 男の背後─────土蔵から現れた少年。

 彼の手には男が持っていた紅き槍があった。その穂先は血に濡れている。

 

 少年は槍を虚空へと消し去り、少女に目配せすると突然走り出した。

 

 

 

 少年の名前は衛宮士郎。

 正義の味方になるために、事件は最速で解決する。そんな夢見る一人の走者である。

 

 

 

 ≫≫01:33:23.08





三時間くおりてぃ。ゆるして。


TASあるある

・常に走り続ける
正直まともな走り方をしてるのは珍しい気もするけどね。むしろ如何に変態じみた移動で距離を稼ぐか競ってるまである。

・瀕死でも続行
しなやす。

・高速会話
TASさんは皆ニュータイプみたいなもんだから多少はね……。
無理矢理でも理由付けすると本文のようになった。

・即死武器
TAS+即死系=ラスボス一歩手前。大体ラスボスには効かない。なんでだろうね。


TAS郎君視点は次回。交互にやっていきます。

続いたらね。
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