衛宮TAS郎の最速戦争 作:AGI信者
怒濤の展開。
TASに操作されている主人公ってこんな感じかね。
人は死ぬような目に遭うと価値観が変わる、という。
品行方正になったり、はたまた狂人になったり。それだけ精神に与える影響が大きいということだろう。
今までの自分の軌跡を振り返り、なんの偽りもなく真摯に向き合う。それで善悪どちらに振りきれるかは本人の資質次第だ。
だが、現状を見るに。
どうやら
何だ、これは。
目覚めた直後、脳内に駆け巡る数多の数値に対する最初の感想である。何が見えているのか、どうすればいいのか。そんな当たり前のことが一切わからず困惑する。
だが身体はとっくに動き始めていた。
転がっていた何かに手を着きつつソレを握りしめ、立ち上がると同時に転がるように走り出す。
自分自身なにをしているのか分からない。胸に迫る焦燥感も、流れる数値を見るほど湧き上がる全能感も理解できない。
ただ、俺がどうしようもなく壊れてしまったということだけは感じ取れていた。
─────だがそんなことはどうでもいい。
《ルート構築、開始》
疑問:どうするべきか。
……戦いを終わらせる。
疑問:どうやって終わらせるか。
……
疑問:どうなったら失敗するか。
……自身、又は
確認:禁止行動はあるか。
───ない。ただ事態の“迅速な”終息だけを求める。
《ルート構築、完了》
現時点の目標を更新。
パートナーの召喚、及び敵性存在の撃破。
目標地点である自宅に到着した。息が上がっているが行動に支障はないだろう。そのまま居間に直行する。
「買っておいて良かった。備えあれば憂いなしってことか」
湯飲みに水道水を注ぎつつ、棚からチョコレートを取り出す。制服のポケットに捩じ込み、水を一気に煽った。
これで持ち物と体調は万全である。何が万全かは分からないが、大丈夫な気がするからいいんだろう。
庭に行くためにガラス戸を割る───
『ここでガラスを割ったら翌日の
───ことはせずに、普通に開ける。
「………何だったんだ、今の」
そして土蔵へ向かう途中で。
───
魔術回路を開通させた。
「がぁ────ぁ、っぅ」
全身の神経に激痛が走る。視界が明滅し、白くぼやけた。
普段は決してやらない無理な魔術回路の生成。当然だろう、そんなことをすれば死ぬと分かっている。全身全霊の集中を以てしても、毎度綱渡りをしてきたのだ。
これでは身体も只では済まない───はずなのだが。
「────ぅ、あれ?」
何ともない。例のごとく暴れまわる魔力を制御するべく備えていたのだが、いつのまにか回路はきちんと固定化されていた。
まさか、暴れまわった魔力が“たまたま”回路に沿って慣らしていったとでもいうのか?
ありえな────
「まあ、そんなこともあるか」
────助かるべくして、助かったのだろう。
ならどうでもいい。例え、万に一つの可能性だったとしても。それを掴めたのなら理由なんざ関係無い。
それにしても、何で俺は唐突に魔術回路を起動したんだ?
土蔵の中に入ると同時に、思い浮かんだフレーズを口に出す。
「sum.serv/sb*arturia」
………………?
何だ今の。喋ったはずなのに、音が聞こえなかったぞ。というか、よくよく考えたら発音できなくないか。
ただ魔力はごっそりと減ったのが感じられたから、召喚術式は成功しているんだろう。
………ところで、何を召喚するんだろうか。
轟ッ、と風が巻き起こる。
目の前の空間がぐにゃりとねじ曲がった。
歪んだ隙間から滑るように現れたのは、ノイズの走った小さな人影。まるで存在そのものが不安定だとでもいうように、その姿の所々がブレていた。
よく観察すると人影は少女のようだ。
ノイズがようやく晴れ、彼女も意識が覚醒したのか、こちらに視線を向ける。
「問おう、貴方が私のマスターか」
綺麗な、というと陳腐に聞こえるかもしれない。でもそれ以上の言葉を俺は知らなかった。黄金の髪も碧い瞳も白磁のような肌も。全てが綺麗で美しい。
身に纏う重鎧は至高の逸品。その下のウォードレスは職人たちの隔絶した技術の限りを尽くしたものだ。
以上を踏まえた上での俺の感想は。
(この子のほうが桜より速く終わりそうだな)
自分でもおかしいと思う。もう、なんというか色々とイカれてる。普通はこんな可愛い女の子を前にしたら恥ずかしがるとか、鼓動が速くなったりするもんじゃないのか。
どうして逆に安堵しているのか。
「あぁ、そうだ」
困惑を他所に、口は勝手に動いた。
最適な動きを心情に関係なく演じきる。これでは映画の中の役者じゃないか。
もしくは
まあいいか。深く考えることでもない。
今は
(クラスは?)
(セイバーです)
(真名は?)
(アーサー・ペンドラゴン)
(宝具は?)
(聖剣です)
よし、狙い通り。最短の会話だ。あと6台詞でエンカウントする。
(俺の名前は衛宮士郎)
(ではシロウと)
(これからの会話は全部念話で頼む)
(それは何故?)
(口頭よりも手早く済むし、聞かれる心配もない)
(なるほど、分かりました)
────来た。
(ランサーを迎撃してくれ、あと俺がどうなっても構うな)
(………了解)
セイバーが庭へ飛び出していく。確認したステータスは予定通りの数値だった。なんの問題もなくランサーを追い込んでくれるだろう。
もっとも
先程は魔術回路を一本目しか開通しなかった。勿論それでは足りない。サーヴァントに供給し、自身も魔術を使うこのルートにおいてそんなデバフを放置する余裕がないのだ。
だから、今ここで全て開い、て────
「────────」
膝から力が抜けた。
いや違う、自分の意思で力を制御出来なくなった。ほら、だって身体は至る部位が痙攣している。
「───────ぉ、あ」
脳が焼けそうだ。体の内側から孔を開けるような、そんな感覚。これで壊れないのなら人間ってのはかなり頑丈だと、そう信じたっていいというかあぁもうかんがえるのもいたすぎてこれならしんでしまったほうが───────
温もりを感じた。
壊れきった体躯の隅々から癒しの温もりを感じた。痛みは和らぎ、思考が戻ってくる。
そうだ、腕を上げないと。
そうしなくては“ノーダメージ”を達成できない。幸いにして身体は段々と動かせるようになっている。何が起きたのか分からないが、多分俺はそういう体質だったのだ。
脳内に浮かぶ数字をよく分からないまま調整しながら、勝手に納得する。
そろそろ頃合いだ。
セイバーとランサーの位置の調整は完了した。ランサーは丁度俺に背を向けてセイバーと斬りあっている。
120f 後にこの戦いは終わる。
いや、終わらせる。
────投影、開始。
目の前に真作がある。ならば贋作を造れないはずがない。真に迫る、とはいわない。ただ殺すだけの力があればいい。
ゲイ・ボルク。
放たれれば敵を穿つまで決して止まることはない。その朱槍でつけられた傷は癒すことができず、刺さった棘は身体を内側から破壊し尽くすという。
必中の呪いは最低限に変更。もとより自分にとって、一億分の一も二分の一も変わらない。当たる未来が存在するのなら強引にそこへ繋げる。
不治の呪いは必要ない。一撃で霊核である心臓を破壊すれば事足りる。
────投影、完了。
74f 経過。
魔力装填、開始。
ランサーが跳躍しこちらに向かってきた。
気づくわけがない。溢れる魔力は全て操作して一切庭に向かわないようにしてある。
魔力装填、完了。
同時に敵性存在、宝具の
さっきのお返しだ、持っていけ。
宝具、発動。
「──────『刺し穿つ死棘の槍』」
オリジナルには程遠く及ばない贋作。けれどそれでも期待された動作は問題なくこなした。
僅かな呪いを宿した朱槍は、本来の担い手の心ノ臓を寸分違わず穿つ。
槍兵は動きを止めた。自らの胸より突き出る愛槍に困惑したのか。はたまた雑兵と侮った者に致死の一撃を喰らった驚愕からか。
その時間は、槍を引き抜き頭蓋を割るのに十分だった。
────急ごう。
焦燥感が溢れ出てくる。はやく次を、次の目標を達成しないと。
着いてきてくれ、セイバーにそう伝えて走り出す。
あぁ、そういえば考える暇も無かった。
どうして俺はこんなことをしているんだ?
≫≫01:33:23.08
ペロリスト士郎くん「床つめてぇ……」
どうしてこうなった。
いやもう本当、筆がノって勢いで書いたら謎のシリアス展開になってしもた。当初の予定ではもっとギャグ調だったんだが。まあいいか。
小ネタ
・主人公は死ななければ何してもOK
多分本人はOKじゃないと思うんですけど(名推理
・sum.serv/sb*arturia
任意コード実行
冬木の聖杯の召喚はガバガバだからイケる
由来→summon servant saber arturia
・時空の狭間より出でし騎士王
登場の仕方がよくいるラスボス
ステータスは完全に生前と同じである。聖杯フィルター通す前の生データを持ってきたため。その分魔力消費も激しいけど……?
・いやしのはどう
アヴァロン君に休みなんてないから。TASさんがそんなものを持ってたら使い倒すに決まっている。
・ランサー
戦闘続行なんざ効かねぇんだよ!!
つづけ