#クラスで呼ぶと誰が来る   作:ひょっとこ_

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五人目ー


キャスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 興味深い試みを提案されたのでさっそく実行に移すことにする。

 このカルデアに滞留している数多のサーヴァントたち。彼らをクラス名で呼んだなら、いったい誰が私のもとへ一番に来てくれるのか、というちょっとした戯れである。

 サーヴァントたちを試すような感じになってしまうけれど、まあ、どうか勘弁してほしい。

 だって、ほら、気になるしね?

 

「んっ、んんっ……」

 

 喉の調子を整えて、では、五クラス目である。

 

「キャスター!」

 

 はてさて、いったい誰が来てくれるのやら。

 ていうか、いくらサーヴァントとはいえ、ただ呼んだだけで来てくれるものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、邪魔するわよ」

 

 やや横柄な声音で部屋へ入ってきたのは、神代の魔術師メディアその人であった。

 

「おおう、メディアさん」

 

「……なにかしら? 自分から呼び立てておいて、その態度は」

 

 眉間に皺を寄せて、さも迷惑そうにする彼女に、私はごめんごめんと手刀を切って、椅子を勧めた。

 

「それで、いったいなんの用かしら、マスター」

 

「ああ、いや。それがね、」

 

 ざっと、事のあらましを説明すると、今度こそメディアは額に手をやって、深くため息を吐いた。

 そして、そのままの姿勢で黙り込む彼女に、私はなにか嫌な予感を覚えた。

 後に思う。このとき、一も二もなく逃げ出しておけばよかった、と。

 

「あのー、メディアさん?」

 

「……まったく。まったく、足りないわ、マスター。気苦労の絶えないカルデアでの日々に加えて、能天気に過ごすあなたの顔を見ていることによって私のSAN値がもうマッハ! ……マスター!!」

 

「はひっ!?」

 

 勢いよく立ち上がって、なにやら叫び始めたメディアに気圧されて、尻ごむ。

 

「癒しが足りないのよ、マスター!」

 

「ひゃい!?」

 

「あなた! その体、少し私に貸しなさい!」

 

「ほぇっ!?」

 

 その後の記憶は、あんまりない。

 気づけば私はマイルームから連れ出されて、メディアの部屋へ連れ込まれており、恐らくは彼女謹製であろう少女趣味の衣装を着せられ、部屋の一部に作られた撮影セットの中へ放り込まれていた。

 

「メ、メディア! これ、なに!?」

 

「なにって、撮影よ?」

 

「それはわかるけど!」

 

「じゃあ、いいじゃない。私のストレス発散に付き合いなさいな、マスター」

 

 コケティッシュ。

 ラブリー。

 エキゾチック。

 キュート。

 クール。

 パッション。

 エレガント。

 クラッシー。

 様々な雰囲気の衣装をとっかえひっかえ着せ替えられて、延々とカメラの前でポーズを要求される時間が続く。

 

「……メディア、メディア」

 

「……なにかしら、マスター。あ、もうちょっと科を作ってもらえるかしら?」

 

「こう……?」

 

「ええ、そう。そのまま」

 

「……それで、メディア。これ、いつまでやるの?」

 

 私の気力涸れきる声音に、さすがにメディアも跋が悪そうに、最後に一枚シャッターを切って、もういいわ、の一言をくれた。

 

「ええ、もう。これであと何年かは戦えると思うから」

 

 デジカメの画像を確認しながら、にへらと頬を緩める彼女に、私も疲れきった笑顔を返す。

 私服っぽい意匠の服ならまだしも、ナースとかメイドとかのコスプレ染みたやつは結構恥ずかしかった。

 メディアが煽るような構図で撮ろうとするものだから、なおさらだ。

 

「さ、マスター。今日はもういいわ。お帰りなさい」

 

 お前は用済みだとばかりに、そう言いきったメディアに私は口をへの字にした。

 さすがに扱いが雑すぎやしないかと、マスターちゃんは思います。

 

「なにかしら、その顔は」

 

「なんでもないですよー。へっへっへー」

 

「気色の悪い声を上げないでちょうだい」

 

「メーディアちゃーん!」

 

 手をワキワキさせながら、デジカメで手が塞がっているメディアへ飛びつく。

 

「きゃっ!? ちょ、マスター!?」

 

「よいではないか、よいではないかー」

 

 私もオカズを提供したのだから、彼女もメディアニウムを私に摂取させる義務があると思うのです。

 

「ひゃっ、や、やめなさいっ、マスター!」

 

「ここかー、ここがええんかー」

 

「んっ……。ちょっと、やぁっ……!」

 

 撮影の間にすっかり落ちきっていた日が昇るのは、日を跨いでまだまだ先のことである――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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