興味深い試みを提案されたのでさっそく実行に移すことにする。
このカルデアに滞留している数多のサーヴァントたち。彼らをクラス名で呼んだなら、いったい誰が私のもとへ一番に来てくれるのか、というちょっとした戯れである。
サーヴァントたちを試すような感じになってしまうけれど、まあ、どうか勘弁してほしい。
だって、ほら、気になるしね?
「んっ、んんっ……」
喉の調子を整えて、では、六クラス目である。
「アサシン!」
はてさて、いったい誰が来てくれるのやら。
ていうか、いくらサーヴァントとはいえ、ただ呼んだだけで来てくれるものだろうか。
*
「お呼びでしょうか、マスター」
声を上げてから数瞬もしないうちに、その声はベッドの下から聞こえた。
「わひゃいっ!?」
部屋の中に他の誰かがいるだなんて思わなかったものだから、思わず飛び上がる。
それと同時に、ベッドの下からゴツンと鈍い音がした。
その音になぜか冷静になった私は、ベッドの下の誰かを確認することにする。
「よいしょ、っと」
膝をついて、お腹を床につける。
そして、ベッドの下を覗き込むと、そこには案の定というか、そこが定位置とでも言わんばかりに静謐のハサンが納まっていた。
「や、静謐ちゃん」
「……は、はひ」
顔は伏せられ、両手で頭を抑えて縮こまっている。
察するに、先ほどの鈍い音は私の声に驚いて、彼女がベッドの天板に頭をぶつけてしまった音だったのだろう。
「……その、大丈夫?」
悪いことをしたかなぁと、声をかけると、彼女は無言でベッドの下から這い出てきて、私の胸に額を預けた。
「……撫でてください」
「あ、うん」
痛いの痛いの飛んでけー、なんて。
「それで、静謐ちゃんはなんでベッドの下に?」
「その、少しでもあなたのお傍にいたくて……」
「はー、かわいいかよ」
しおらしい言葉に思わず空いているほうの手で静謐ちゃんの体を抱き寄せる。
柔らかくて、暖かい感触が全身を通して伝わってくるのが、心地よい。
「……マスター。暖かいですね」
「うん」
「素敵です」
「そうだねぇ」
静謐ちゃんは、こうして私と触れ合っているのを好む。
人と、動物と、植物と。触れ合いたくても触れ合えなかった彼女の来歴がゆえだろう。
それを思うと、私は、物悲しいものを背負う彼女をどこまでも甘やかしたくて仕方がなくなってしまうのだ。
「……そういえば、マスター。私になにか、ご用でしたか?」
「ああ、うん。それね」
事のあらましを説明すると、彼女はしたり顔で頷いた。
「じゃあ、マスターは私の独り占めですね」
「まあ、そうなるかな」
私のその言葉に一つ満足げに微笑んだ静謐ちゃんは、いっそう私の胸にぐりぐりと頭を押しつけた。
「マスター。マスター」
「ん、なぁに? くすぐったいよ」
「……その、呼んでみただけ、です」
「もう、静謐ちゃんったら」
「えへへ……」
そうしてイチャイチャしながら、床の上からベッドの上へと移動する。
その後は、ひたすらに頬を突いたり突かれたり、髪を撫でたり撫でられたり、手を絡めたり。さながら恋人のようなスキンシップをして、時間を過ごした。
良き哉良き哉。