自分の妄想と幻想入り   作:通りすがりのめいりん君@すきょあ

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今回はpixivから写せなかった(内容がゴミすぎて)ので話の筋を変えずに全て新たに書きました…。
読み返した感じだと、十一話(pixiv九話下)も完全に書き直し決定かな。
我ながらゴミみたいなもの書いてたなー(進歩したとは言っていない)


第十話〜無条件の信頼〜

「そんなこと許可出来るはずがないでしょう!」

 目の前の少女はテーブルに両手を叩きつけて憤慨した。

「この子は力を失っているのよ?確かにその方法は有効なのかもしれないけれど、危険すぎるわ」

 少女はイライラした様子で足をタンタンと鳴らしながら腕を組んで僕を睨みつける。

 およそ十四歳ほどにしか見えない小さな少女の瞳は真っ赤に輝き、薄く歯噛みした口元からは鋭い牙が覗かせていた。その小さな姿からはとてつもないプレッシャーを放っており、少女がただの女の子ではない事を実感させる。

「危険なのは重々承知でお願いしています。とはいえ、元はと言えば貴女の妹様に宿っていた狂気にも原因はある。なんとかご協力のほどを——」

「——話にならないわね」

 僕の言葉に被せて少女は切り捨てるように言い放った。

「解決策を語るのは良いけれど解決へ導く為の過程が足りていないわ。そんな曖昧な作戦とも呼べないお粗末な話の為にフランを危険に合わせるわけにはいかないのよ」

 痛い所を突かれた僕は何も言い返せずに言葉に詰まってしまう。

 この少女は見た目と裏腹で非常に手強い。流石、吸血鬼にしてこの紅魔館の主人。永遠に紅い幼い月、レミリア・スカーレットと言うべきか。

 ただ向かいに座っているだけの少女が僕にはとても恐ろしい存在に思える。正直、威圧感で胃が締め付けられている感覚まである。

「……もう言う事がないのなら私は失礼させてもらうわ。フラン、行きましょう」

 レミリアはそう言うと席を立ちスカートを(ひるがえ)しながら扉へと向かって行く。僕は他に何か無いかをひたすら思案するが、他に有効そうな策は浮かばない。

 と言うより、浮かんでいたらこんなお粗末な方法を提案したりなどしない。

 僕が思いついたのは狂気を元いた器へ、つまりレミリアの妹であるフランドール・スカーレットへと戻す方法だ。方法も実に簡単でフラタニアに入り込んだ狂気をフランの吸血(エナジードレイン)で吸い取ってもらうだけ。

 ……だけではあるが、フランは狂気に能力の大半を奪われており飛行すら出来ないほどに弱体化している。そんな彼女を狂気との戦闘に巻き込み、あまつさえ吸血させようなんてレミリアでなくとも無茶と思うのは自然な事だ。

 それでも僕はこの方法を取りたかった。何故か。それはフラタニアに残された時間が少ないと見ているからだ。

 マスターを気にかけていたり、攻撃が明らかに急所を外した位置だったりするのは恐らくフラタニアが狂気に飲まれ切ってないから、しかしいつまでもそうである保証はない。こうしている今にもフラタニアは完全に狂気と同化してしまうかもしれないと思うと例えお粗末だったとしても実行に時間のかからない他人を危険に合わせる方法だろうと強行したい。

 マスターが悲しむ。それは勿論避けておきたいがそれ以前にフラタニアは僕の“妹”だ。

「フラン……?」

 声をかけられたにも関わらず部屋から出て行こうとする姉を一瞥もせずにフランは僕の顔を見つめてきた。

「フラタニアって子は、貴女の妹なのよね?」

「ええ、外見はおよそ姉妹に見えないかもしれませんが、ここでお世話になって居る鈴も含めて列記とした妹です」

「鈴の妹でもあるのよね?」

 次の問いには僕の後ろに立っていた鈴が直接「そうだ」と答えた。

「だったら私は協力するよ」

「ちょ、ちょっとフラン!?解ってるの?今の貴女は吸血鬼としての力も弱まっている。もしかしたら再生すら出来ずに死んでしまうかもしれないのよ!」

「でも鈴の妹だって言うなら放っておけないわ」

「——っ!だったら私が!」

 吸血鬼姉妹の言葉で僕は鈴が如何に好かれているか気づいた。たった一月ほどの時の中で彼女達は鈴を家族として受け入れ、鈴の妹の為ならと考えを変えようとしてくれている。

「駄目よ」

「どうして!?」

「お姉様は狂気がどんなものか知らないでしょ?吸い取っても制御出来なきゃ意味が無いもの」

「それならフラン、貴女だって——」

 レミリアの言葉を止めるように傍のメイドがそっとレミリアの手を取り優しく微笑む。そのまましばらく向かい合い、やがてレミリアは深いため息をついた。

「……好きにしなさい。咲夜、私はフランに何かあっても良いように準備しておくから後のことは任せるわ」

「承りました」

「鈴もフランの事を頼むわ」

「ああ、解った」

 レミリアは一度だけ愛おしそうにフランを見つめた後、一人で黙って部屋を出て行った。その後ろ姿に僕は頭を下げて見送る。

 こんな無茶に折れてくれた寛容で高貴なる者に敬意を示して、扉が閉まるまでの間はずっと頭を下げていた。

「で、この無茶を通す為にはどうすれば良いと考えてるんだ?」

 レミリアが部屋から出て一拍を置いた後に鈴が口を開いた。

「戦力としてはここに居る方と、現在交戦中の博麗霊夢及び上白沢慧音とおそらくはマスター、通里恭也も来ると思われます。ですが、フランさんと鈴に関しては今回戦力と数えられないので二人には物陰から様子を伺っていてほしいと思います」

「ちょ、ちょっと待て、フランはともかくあたしまで戦力外なのかよ」

 鈴は僕の言葉に真っ先に噛み付いた。確かに鈴は怪我もなく万全の状態だが、重大な欠点がある。

「鈴さん、天使化って出来ませんよね?」

「…ああ」

 確認を取るように尋ねると鈴が苦々しい顔で答えた。

「なら、今回は裏方でお願いします」

 戦闘の中心は霧の湖上空であり、飛行能力が無ければそもそもとして戦いに参加することすら出来ない。もし鈴が昔の『設定』通り天使化出来ると言うのならば空も飛べるのだが、この『設定』はマスターがまだ中学生の頃に考えた厨二全開なもので今は自然消滅している可能性もある。

 この能力が生きていたとしたら、僕と鈴は魔力の±(プラスマイナス)を反転させることで全く別の能力を使えるようになる。たった数度しか描かれる事のなかった『設定』ではそれぞれ僕が悪魔化、鈴が天使化することができたのだ。

 とは言え、これは昴やフラタニアが産まれるより前の話。マスターが忘れているだけかもしれないが。

「っち……。フラタニアは飛べるようになっているっつーのに何であたしだけ……」

「今は他人の境遇を羨んでいる暇なんて無いわよ。大人しく従いなさい。それで、私は何をすればいいかしら?」

 不満を漏らす鈴をたしなめながら咲夜と呼ばれていたメイドが先ほどまでレミリアの座っていた僕の対面にある席へと腰掛ける。

「実を言うと貴女の力を存じあげないのでメイドと言う職業から推測してのお願いとなりますが、前線ではなく多少下がった位置からの支援戦闘をお願いします」

「そう言うのは好杏向きだろ?好杏は何をするんだ?」

 僕の事をよく知る鈴が不思議そうに聞いてくる。確かにこうした支援戦闘は僕向きで間違いはないのだが、今回は他にやらねばならない事がある。

「風を操って雲を呼びます。先ほどの様子を見るに日光をエネルギーとする術を持って居る様子だったので日差しを遮れば弱体化とまではならなくとも、力の供給を立てるかもしれません」

 あのとき少し観察していただけでも、影の時は弱点となっていた日光を喜んでいたり植物の根のようなものを操っていたり湖に突如として生えた真っ赤な花を咲かせた樹木から分身を生み出したりと多彩なだけでなく弱点が減っている様子でもあった。

 影が乗り移る際に十字の杭が胸に刺さっていた事や日光から力を得ていた事から察するに樹木子に含まれる植物性と吸血鬼性が吸血鬼の狂気と噛み合い、お互いの弱点を打ち消して居るのかもしれない。

「天候を変えるならパチュリーに頼んだらどうだ?」

「残念ながらパチュリー様は魔理沙と一緒に図書館で異変の原因を探ってるわ。なんでも魔術的な作為を感じたそうで、全て片付くまでは誰も部屋に入れるなとのご達しを受けているわ」

「……んじゃ好杏しか居ないか。だぁー!あたしが戦闘に参加出来れば楽だってのに!」

 鈴が頭を掻きながら叫ぶ。鈴はお人好しだから役に立てないのがもどかしいのだろう。

「とりあえず、現在の状況を知りたいので湖に———」

 向かいましょう。と言おうとした僕の声を突如として大きな銃声がかき消した。全員が驚いで目を見開いて窓の外を見るが音の正体はわからない。

『ギィアアアアアアァァァァアァァアァアアァァァァ!!!?!?』

 そして残響が消えた頃、もう一度先ほどと同じ銃声が響く。ただし、今度は銃声だけでなく耳を鋭く突き刺す甲高い叫び声も共に響く。

 再び残響が消えた瞬間に僕らは無言で目を合わせてそれぞれ気を引き締めた。

「僕と咲夜さんは空から、鈴さん達は地上から敵に見つからないように湖に向かいましょう!」

 そう伝えると鈴達は黙ってうなづいて屋敷の外へと駆け出していった。同じ様に僕達も窓を開けて一気に飛び出す。

 門番さんが引き留めようと飛び上がってきたが、一緒にいる咲夜が目を合わせると何も言わずに門の前へと戻っていった。まるでテレパシーか何かで通じ合っているみたいだ。

 地上から来る鈴達を待つ意味もないので急ぎ湖へ向かうと、すぐ様その変化に気づいた。

 あれだけ存在感を放っていた赤い花の樹木が幹の途中から何かに穿たれたように削られ、そして倒れている。察するに先程の銃声の仕業だろうが、腑に落ちない部分がある。

 僕が色々と細工を試した時は不可思議な力に包まれて一切の干渉を受け付けなかった。いったい誰がどうやったと言うのだろうか。

 フラタニアはと言うと穿たれた樹木の前で見るものの魔力を削り取りそうな動きでもがいていた。

 折れた樹木の前で見るものの魔力を削りそうな動きでもがくフラタニアに気づかれない様に霊夢を地上の物陰に呼び状況を聞くと戦闘中に突然地鳴りの様な音が聞こえて——銃声のことと思われる——それとほぼ同時に樹木の頭が吹き飛んだのだと言う。

 全員が驚いて戦いの手を止めた所にもう一度銃声が轟き、今度は幹が弾けて倒れたらしい。

 そこまで説明した所で鈴達も到着したらしく静かに森の中を移動してこちらに合流する。

 それまではずっと決め手の無い戦闘が繰り広げられていた様で、霊夢は一度目を閉じて胸に手を当て深呼吸を数回行い、その後に口を開いた。

「それで、策は見つかったのかしら?」

 僕は答える。

「およそ策と呼べるものではありませんが、なんとか出来そうな方法は考えてきました」

「…聞くわ」

 霊夢は一瞬だけフラタニアの方を見やってまだもがいている姿を確認してから僕の顔を見た。僕もフラタニアを警戒しながら先程まで話していた事を簡素に纏めて話す。

「——という方法を取りたいのです」

「収めるべきところに収めるのは解ったけれど少し強引すぎないかしら?」

「時間をかければもっと出来ることはあると思います。ですが、今回はフラタニアの状態を鑑みて可及的速やかに事を収めたい。だからこんな策と呼べないような強引な手段を選ばせていただきました」

「何だっていいわ。そうと決まれば、今のうちに組みせましょ——」

 霊夢がそう言いながら躍り出ようとしたところで誰かが森の中から飛び出し、その手に持った剣でフラタニアの体を真っ二つにした。

「っな!?」

「はぁ!?」

「……っ」

 その人物は狂った様な笑みを浮かべながら乱雑に剣を振り回し、一瞬にしてフラタニアの事を微塵に切り刻む。

 切り刻まれたフラタニアは灰となって風に散り、そして再び折れた樹木からメキメキと這い出て来る。分身体であることは予想していたとは言え目の前でよく見知った姿が切り刻まれるのは思ったよりも衝撃が強く言葉が出なくなる。

「お、おい、あれって……」

「ええ、間違いありません——」

 いや、ただ分身が斬られただけならまだ衝撃は少なかったかもしれない。問題なのは斬り刻んだ者の方だ

 髪は乱れ、自分でも事態を理解していないのか眉根を寄せてなお争いの恍惚に歪んだ顔には眼鏡をかけ、来ている作務衣はよれて前がはだけかけている。 

 ——狂人。

 その言葉が相応しい。

「——恭也(マスター)……どうして……!」

 禍々しき剣を構え、分身体のフラタニアと対峙する恭也をみて言葉を漏らす。

「あの剣のせいね。これだけ離れた位置からでも十分に感じ取れるほどの禍々しい気。到底人が使える物じゃないわ。あんな神話クラスの魔剣なんてどこから手に入れたのかしら…?」

 魔剣と言われて僕はすぐに思い至った。あの剣は恐らくフラタニアが持うガベラティーンとは別の魔剣なんだろう。恭也や以前にフラタニアの呪い無効の体質に合う魔剣をいくつか創り出していた。

 その中には神話から力を流用した様なものもある。ここからでは恭也の持つ剣が何であるかは判断出来ないが、振るうだけで相手を刻み、吸血鬼の再生力をもっても癒えない傷を与えているところを見ると相当強力な力を持っていると見える。

「…いつまで見てるんだよ。加勢すべきじゃ無いのか?」

 鈴の言葉でこの場に固まっていた者達が動き出す。あの状況の恭也に近づいても大丈夫なのかは判らないが、ただ強力な力持つ剣を振りかざしているだけで勝てる相手では無い。

 フラタニアは剣の達人だ。しかも分身である事を利用して防御を捨ててでも恭也を斬ろうとしている。今はまだ大きな傷を負っていないけれど、このままでは恭也まで狂ってしまうかもしれない。

「僕はこのまま空に雲をかけます!霊夢さん達はマスターの援護を!」

「任せなさい!」

 戦闘を霊夢達に任せ、僕は天候を操るために自然への干渉を精霊に伝える呪文を紡ぐ。同時に火と水の魔力を練り合わせていく。

 その時だった。何かが頰をかすめる様に飛んで来た。咄嗟に飛んで来た方向へ顔を向けると離れた位置にいる恭也と目が合う。いやそんな生易しいものではない。

 蛇でもまだ優しいと思えるほど力のある眼光が僕を射抜き、動けなくなる。

「お姉ちゃん大丈夫?」

 もしフランに声をかけてもらえなかったら一生そうやって固まっていたかもしれない程の恐怖が身体を突き抜けたのだ。

 フランは手に何かを持っていた。それは先ほど頰を掠めた物で、鞘だった。

「……どうやら邪魔するなと言う事みたいよ」

 声のした方を向くと、何故か全身びしょ濡れになった霊夢達が立っていた。

「近づこうとしたら恭也が湖の水を巻き上げて来たのよ。おかけで濡れ鼠だわ」

「こちらも呪文を唱えてる最中に鞘が飛んで来て来ました……。心配ですが見守るしかないようですね」

 少なくとも敵と味方の区別がついていると言うことは、ある程度の理性を残して戦っているのだろう。もしくは、魔剣自身が気分の高揚など使用者の感情を昂らせるだけで精神を汚染しない物なのかもしれない。

 いくらなんでも無策で魔剣を握ったりはしていないはず。今はそう信じて見守ることしかできなかった。

 やがて変化が起きた。目に見えて分身体の出現速度が落ち分身が居ない間に恭也が樹木の根元を切りつけ始めた。樹木子は根で血を吸う吸血鬼、本体がいるならそこだと思ったのだろう。

 その読みは正しく、何度も剣を打ち付けているうちに抉れた根元から黒い結界の様なものが姿を表す。後は霊夢が結界を解いてしまえば本体が出てくるのではないかと思い、霊夢に頼んでみるが再び恭也に邪魔されて近づくことすら叶わない。

 しかも僕達の邪魔をするためによそ見した一瞬で恭也は腿を大きく斬られてしまった。

 腿は第二の心臓と呼ばれるほど身体でも重要な部分で斬られた傷からだらだらと血が溢れ出ているのが解る。恭也はそのまま剣を振り抜いて分身を倒したが、あのままでは出血で死んでしまう。だが、近づこうにも本人がそれを望まずに近づかれない様に邪魔をする。

 強引に近づこうとするのも一つの手だが、今度はその間にもっと大きな傷を負わされる可能性もある。

 考えていた事を全て恭也に壊されて、何も出来ない気持ちにやきもきしながら状況を見ることしかできなかった。

 何体目か判らない分身が倒され、何度目か判らない斬撃が結界に打ち付けられついに結界はガラスが割れる様にガシャーンと音を立てて壊され、恭也はその壊れた結界に手を伸ばし中からフラタニアを引きずり出す。

 同時に激しい閃光が辺りを包んだ。

 反射的に目をそらし、眩んだ瞳を開けて湖の絵を見る。そこにはフラタニアを抱きかかえた恭也の姿があった。しかしその姿は先程までと違いよれた作務衣姿ではなく真っ赤なダブレットに身を包み、狂った笑みも消えていつもの恭也の顔へと戻っていた。

 それはまるで恭也がフラタニアになったような姿(・・・・・・・・・・・・・・・・)だった。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回「不穏なる終わり」



—あとがき—

 今回は疲れました。もともと作っていた話を崩さないように気をつけながらも改変して読めるように、かつ話の筋を通せるようしなければなりませんでした。
 元々の書いていた頃はプロットなんて微塵も考えずにその場その場で展開を考えて書いていたために表現足らずが多く、今の自分が読んでも可笑しいと思えるという読むに耐えないもので、仕方なく書き直したのですが一度書いたものを修正するでなく書き直すのは結構大変なものですね。
 まあ、書き直した結果が良いとは言ってませんがね。
 と言うわけで疲れたので今回はおまけのキャラ設定紹介は無しです。次回も書き直しとか考えたくありませんがそうは言っても仕方ないので頑張ります。
 次回はちゃんとキャラ設定紹介もつけるので許してお兄さん!

 ではでは〜
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