自分の妄想と幻想入り   作:通りすがりのめいりん君@すきょあ

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今回は出番の少ない霊夢と魔理沙のお話を追加でかきました。
…あ、自分のキャラは会話の中にしか出てきません。

あと、神妙丸が好きな方は居ますか?
……ああ、はい。解りました。

ごめんなさい。


小話〜巫女と魔法使い〜

 博麗神社には人妖、様々な者が集まる。まあ、揉め事や荒事さえ無ければ私は構わないのだけど、血気盛んな者共が何もしないなんて事はあまりなく、喧嘩なんかも珍しくは無い。

「別に良いだろ?今度私が作ってきてやるって」

「冗談じゃ無いわ!どれだけ私が楽しみにしていたと思ってるの?」

 静かに暮らせれば良い。

「しらねぇよ!だったらあんな場所に放置すんなって!」

「巫女が神棚にお供え物を置いて何が悪いのよ!」

 でも、神社はいつだって誰がか居て、賑やかで、私の意に反してとても楽しくて落ち着く場所だ。

「限度って者があるぜ!私の取ってきたキノコも前に干からびさせてたじゃないか!」

「別に食べれなくなったわけじゃ無いわ!」

 特に私と同じ人として一緒にいてくれる彼女が遊びに来てくれるとそれだけで一日があっという間に過ぎるほど楽しい。

「はぁ、カチンときた。表に出ろよ。霊夢」

「望むところよ。食べ物の恨みは怖いってこと思い知らせてあげる。魔理沙」

 巫女として孤独に生きてきた私には眩しすぎるけれど、誰かと一緒に話して笑いあえるこの世界が私は好き。

「今の所、私達の戦歴は——」

「——私が千五百戦、七百四十八勝、二引き分け。丁度ドロー」

「つまり勝った方が勝ち越し。正義だ」

 そう言って魔理沙は帽子の鍔を持って深く被り直すと浮かせた箒の上に飛び乗った。

 後を追うように私も大地を蹴り上空へと向かう。神社に被害が出ないくらい上にあがった所でで脈絡もなく魔理沙が八卦炉を構えて極太の光線を放つ。

 魔理沙の十八番、マスタースパークだ。幾度と見て来た技は今更私に取って脅威とならない。高威力の前方攻撃故に上下左右がガラ空きになり、撃っている間は細やかな移動も叶わない。下手に動こうとすれば自らの技の反動で踊らされてしまうからだ。

 だが魔理沙とて馬鹿では無い。私が回り込んだのを横目で見ながらほくそ笑んだ。その笑みに不信を覚えた私は慌てて急旋回して更に上空へと上がる。

 直後、マスタースパークは軌道を大きく変えてなぎ払うようにして横薙ぎに一回転した。

 極太の光線が大気を薙ぐ様子はあまりにも壮大で、それでいて圧倒的な“パワー”を感じる。牽制のために上から魔理沙をめがけて小型の弾幕を放つが、魔理沙は再びマスタースパークを薙ぐようにして振り回す。

 上から狙ったはずにも関わらず極太の光線は私の弾幕を打ち消してやがて治った。

 してやったり顔の魔理沙は八卦炉を箒の端部に取り付けてマスタースパークを動力にして空を駆ける。圧倒的パワーをスピードに利用した飛行は私の力じゃ追いかけるだけ無駄で、一度逃げに回ってしまた事が災いとなり防戦一方へとなってしまう。

「なんだ。今日はやけにおとなしいじゃないか!」

「うっさい!」

 魔理沙の煽りを一蹴し、縦横無尽に飛び回って放たれる弾幕をひたすら避けていく魔理沙の魔力が尽きるまで続けても良いかもしれないが、それは私も霊力を惜しみなく使わなければならないので決して部の良い賭けとは言えない。何より私は防戦が好きでは無い。

 決して魔理沙を見失わないように常に視界の中に捉えて機会を伺う。魔理沙の性格なら守るばかりの私にイライラして特攻してくるかもしれないとの読みだ。

 今までも魔理沙は痺れを切らして突っ込んで来た事が多々とある。

 それさえ無ければ魔理沙は格段に強く、特に戦いに関しては私と同じく天才タイプの人間でその場の直感で動いたりするために動きが読みづらく、何より冷静な状態だと非常に動きが良くなる。

 今はまだヒートアップしている様子だが、防戦一方の私にイラつくでもなく逆に落ち着く可能性もある。そうなれば私は圧倒的に不利だ。

「っチ。いつまでも守ってねぇで攻めてこいよ!来ねえならそのまま大人しく喰らい上がれ『彗星:ブレイジングスター』」

 今回は運が良いようだ。この技は勢いこそあるが、力任せであるために振り回されやすく少し安定を欠けば一気に体勢が崩れてしまう。

 例えばこんな風に、

「『夢符:二重結界』!」

 結界を使って箒の柄を縛り付ける。結界は魔理沙の技の勢いに負けてすぐさま割れてしまったが、一瞬でも前部の動きが止まった事で八卦炉が取り付けられた箒の端部が大きく振られた魔理沙はバランスを崩して不恰好に飛び回る。

 その隙を見逃す私では無い。すかさずにカードを取り出して宣言する。

「『霊符:夢想封印』」

 私を中心に大きなボール状の弾幕が出現し暴れる魔理沙を取り囲むようにして飛び回る。

「くそっ!」

 ギリギリで体勢を立て直して再び八卦炉の力で飛び回るが、次は私のターンだ。わざわざもう一度同じ戦法と取らせるほど甘くは無い。

 弾幕にわざと逃げやすい道を作り、無意識のうちに避けていればそこを通るように仕向けた。もし魔理沙が冷静ならばそんな手は通じないだろうが、今は頭に血が上っている様子だし、なにより逃げてる最中にそんな余裕はないだろう。

 目論見通り魔理沙は用意した逃げ道を取って弾幕の群れを抜ける。

「っしゃ!ギリギリ!」

「あら、何がギリギリなのかしら?」

「——!」

「『夢符:封魔陣』!!」

 あらかじめ回り込んでいた私は魔理沙が飛び出すと同時に範囲攻撃をしかけて高らかに勝利を宣言したのだった。

 この喧嘩していた相手は霧雨魔理沙。魔法の森に住まう“普通の魔法使い”でアリスやパチュリーのように魔法使いという妖怪になったわけではなく、人として魔法を使う者。

 神社には二日顔を見なかったら心配になってくるほど頻繁に来る私の親友であり良きライバルだ。

 紫が以前言った言葉を借りるならば『私とはベクトルの違う者』で戦闘センスこそ天性のものがあるが私とは違い才に頼ることを良しとせず、人知れぬ場所で常に努力を重ねている。

 もっとも、ある程度仲の良い者は皆知っているけれど。

 知った上で誰も触れはしない。彼女がそれを望まない事を知っているから。

「だーくそ。負けた!と言うか完全に霊夢に踊らされた!折角新技のインパクトで防戦に追い込んだのに!」

「貴女は冷静さを欠かなければもっと強いと思うわよ?今回だって魔理沙が突っ込んで来なければ突破口開くのも一筋縄では行かなかっただろうし」

「良い加減にブレイジングスターの改良でもしたらどうかしら?せめて出力を落として小回り効くようにするとか」

「そうしたら文に追いつけなくなるんだぜ……」

「別に無理に天狗の速さに追いつく必要ないと思うのだけれど」

「別に良いだろー。細々したのは苦手なんだよ。いいか?弾幕はな——」

「“パワー”でしょ?耳が腐るほど聞いたわ」

 魔理沙はこう言っているけれど、本当に細々した事が苦手ならきっと魔法使いなんてしていない。少なくとも魔法使い達(魔理沙とか)が書いている魔法術式は私の書いている札なんか比べ物にならないくらい細かいと思う。

 つくづく努力を知られるのが嫌なんだろう。才だけでなんとかなってきた私とは違って、初めから才があったわけでもなく才を開花させてなお才に甘えない強さ。

 彼女に会うまでの私は自分の実力を才能を微塵も疑いはしなかった。紫さえ除けば他の妖怪は私に取って脅威ではなく紫も私と同じく結界を維持管理する立場なので努力なんてする必要がなかった。

 でも彼女は、魔理沙は努力で這い上がり実力者として幻想郷中に名を広めて私の前に立った。

 初めは私の方が圧倒的に強かったけれど、魔理沙はすぐに私に対しての対策をあれこれ考えて一時期は私が負けを重ねた事もあり、それから私は基礎を見つめなおしたり相手を見極めて戦うようになって行ったと思う。

 紫には「良い変化」なんて言われたけど、お前は私の保護者かって話よ。

「だぁ。それで私が食べたパン(・・)はどこで買ってきたものなんだ?」

「え?買ってきてくれるの?」

 勝てたから黙ってれば水に流そうかと思ったけれど、魔理沙の口からは潔い言葉が返ってきた。

「それが約束だろ」

「じゃあ、お願いできるかしら。最近出来た太陽の畑にある飲食店で優香が作ってるパンよ」

「…今なんて言った?」

「太陽の畑にあるお店で売ってるわ」

「私が聞いているのはその後だぜ」

「優香が作っているパンよ」

 優香の名前を聞いた途端に魔理沙は露骨なまでに嫌そうな顔をした。

「私が作って来るんじゃ駄目か?」

「駄目よ。優香の育てた黄金の小麦で作られたパンって人里で話題のやつなんだから」

「優香の所かぁ……」

 先ほど見せた潔さはどこへ行ったのか歯切れ悪く、でも…と食い下がろうとする魔理沙に私はこう言ってやった。

「勝った方が?」

「…正義。はぁ、わかったわかった!買ってくるよ」

 ややヤケクソ気味に帽子を手に取った魔理沙を慌てて引き止める。怪訝そうな顔をする魔理沙に人気過ぎて午前中には売り切れていると伝えると面倒そうな顔で帽子を傍に置いた。

「優香の作るパンがそんな人気なのか?」

「なんでも自分で小麦から作ってるらしいわ。太陽の畑にちなんで太陽のパンって呼ばれてるのよ」

「人里の人間は優香が怖くないのかね……?」

「知らないの?優香は割と頻繁に里の花屋とかに出入りしてるのよ」

「いや知ってるけど、その上でだよ」

 魔理沙の言うことも解る。確かに一昔前の、それこそあの外来人と出会うまではこんなことなんてしなかっただろう。

 人からも妖怪からも畏怖される最凶の妖怪。花が大好きな四季のフラワーマスター風見幽香がパンを作って売っているなんて。

 私だって文の新聞に外来人の店主が営む食事処なんて記事を見るまでは信じてなかったし、見に行こうともしなかったと思う。

 その記事にしたって文が書いたものなら信じなかったかもしれないが、筆者の名が最近現れた外来人の名だったから見に行ったのだ。

「外来人が入る事で妖怪達を関わりを持つことでうまく中立の位置を作り出してくれているのよ」

「そう言う問題か?今は良いかもしれないが妖怪と人は対立して初めてバランスが取れてるんだ。手を取れるのが悪い事とは言わないけれど良い事とも言えないだろ」

「問題無いわ。何も妖怪は畏怖されてなければ存在できないわけじゃ無い。共存してしっかりと認識してもらえるなら十分存在はできるわ」

「だが、畏怖されなければ力は落ちる」

「それも並みの妖怪ならともかく、優香くらい力があれば大丈夫よ」

 魔理沙は私の返答に眉を寄せて首をひねった。恐らく理解はしたけれど納得していないのだろう。

 だが魔理沙だって人と共存する妖怪を既に知っているはずだ。それも随分前から。

 アリス・マーガトロイド。魔理沙と同じく魔法の森に住まう人形を使う魔法使いだが、彼女は人里に受け入れられている珍しい妖怪だし、彼女に畏怖の目を向ける人間は殆ど居ないと言っていい。

 それでもアリスが力を衰えさせたり、存在が希薄になったりはしていない。

 良い例だと思うのだけど、もしかしたら身近すぎて気づいてないのか、そもそも妖怪であることを忘れているのかもね。

「なんだか釈然としない……」

「優香の所に行けば何かわかるんじゃ無いかしら」

「それもそうだな。やっぱ考えるのは性に合わないぜー」

 そう言ってお茶を啜って大きく息を吐いてだらしなくごろ寝を始めた魔理沙の顔はとても考えるのをやめた様には見えず、むしろ今までになかった事に興味深々といった表情をしていた。

 確かに今までにも幻想郷へやって来た者の中には妖怪等と共に過ごして何かをしようとしたものはいる。だが、多くは妖怪社会で生きて行けずに亡くなってしまったり、結局人里に落ち着いてしまったりと新しい風が起こることは無かった。

 だから優香が外来人と共に店を開いたのは私にとっては良いことだと思ってる。

 紫は外から来たものによる変化を心配する様なこと言っていたけれど、別に危機的問題は起きていないんだし目くじら立てるほどでもない。

 気づくと、部屋の中は夕日で真っ赤に染まり西の空には夜の帳が下りかけていた。

 沈みゆく夕日を見て目を細めながら、雨戸を閉めて勝手口の外に置いてある発電機を回し、部屋の電気をつける。

 これも外よりもたらされた道具だ。これにより私の活動時間は大幅に増えたと言って良い。

「そういえば、そろそろ日が暮れるけど今日はどうするの?」

 夜の準備ができた私は元の位置に座ってすっかり冷めたお茶を飲み干して新たに煎れなおす。

「あー、泊まってくよ。今朝採ってきた野草とキノコで鍋にでもしようぜ」

「それなら氷冷庫に閉まってある鶏肉使って良いから魔理沙が作ってね」

「えー」

「えーじゃない。泊まるならそれくらいしなさいよ」

 嫌そうな声を上げてはいるが身体を起こしている辺り、本気で嫌がっているわけではないのが解る。

 魔理沙は一度大きく欠伸をしてから立ち上がって勝手場に歩いていく。しばらく待っていると勝手場から氷冷庫の氷が溶けかけていると言う声が聞こえた。

 明日辺りチルノでも来ないかしら?

 そんなことを考えながら淹れたての熱いお茶に息を吹きかけながら飲む。もう魔理沙が神社にいるのもすっかり慣れたものだ。

 時は移ろうものである以上、変化を拒むことなんて出来やしない。本人は気づいていないみたいだけど紫だってここ数年で私が気づけるくらい変わってきている。

 きっと藍も同じことを言うだろう。

「おーい、そろそろ完成するから机の上用意してくれー」

「あいよー!」

 運ばれてきた鍋からゆらゆらと沸き立つ湯気の様に、世界は常に姿を変える。

「よし、じゃあ手を合わせて」

 それを美しいと評したのは誰だったかしらね。

 たまには貴女も一緒に食卓を囲めば解るんじゃないかしら。

「「いただきます!」」

 だって——

「自分で言うのもなんだが、今日は会心の出来だと思うぜ」

「悔しいけれど、その通りだわ」

「なんで悔しいんだよ」

「だってズボラな魔理沙の方が私よりも料理が上手なんだもの」

「おい、ズボラなのは関係ないだろ」

「でも本当に美味しいわ」

「へへっ、そうだろ?」

 だってこんな相反する私と魔理沙が親友同士になれたくらいなんだから。

 

 

To Be Continued

 

 

 

 




—あとがきらしきもの—

紅魔館組の紹介をすると言ったな。
あれは嘘だ。(本編の次話で紹介するからセーフ)

今回の話は別の外来人が少しだけ絡んでいました。
と言うのも、実はこの幻想郷には私が書いている恭也達の他に、私の友人が書いているとある外来人も居ます。
その外来人については実際に風見庵が登場する回で説明したいと思いますので数話お待ちください。

ちょっとだけ補足。

—博麗神社について—
妄想録における神社は、原作と同じく人妖魔の溜まり場となっています。
ちなみに萃香は神出鬼没で神社に居たり居なかったりと定住はして居ません。また針妙丸については一応神社に住んでいる事になっています。
が、存在を忘れていたために書き忘れています。ごめんなさい。
本編中も神社のシーンに一切出て来ないのは私が忘れているからです。
ごめんよ……。正直に言うと原作は地霊殿までしか理解してないんだ…。以降のキャラは2次創作とかその辺で知ってるだけなんだ……。
ちなみに、三月精は神社の裏手に居ますし、後々出てきます。本当に針妙丸だけ忘れてました…w

最後に、これからもこうした気まぐれの話をちょくちょく挟んでいくかもしれませんが気長にお付き合いください。
風呂敷を広げすぎてる感もしますがエタらないようにはします。
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