自分の妄想と幻想入り   作:通りすがりのめいりん君@すきょあ

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多視点どころか、多時系列。
手直ししてて思ったけど、過去の私は馬鹿だろ。


第三話〜交差していくモノ〜

「…なんとか時間は間に合ったか、次回の授業では基礎算術のテストやるからしっかりと復習しておくんだぞ」

 授業の終わりを告げる鐘の音と共に、私は慣れた手つきで道具を片し、黒板の文字を消していく。

 恭也(あるじ)達と再開してから既に三週間ほど経過し、(すばる)はすっかり先生として板についてきていた。

 あの異変(・・・・)で大きな怪我を負ってしまったのだが、永遠亭の医者、八意永琳や好杏の力を借りる事で授業が出来るまでは回復する事が出来ている。

 ただし、激しい運動はするなと慧音や好杏からキツく止められてしまったが。

 あくまで治りかけであり、何かの拍子に傷が開かないとも限らないかららしいのだが月の賢者の治療と回復魔法による治療を受けていて、治ってないはずがないと思う。

 正直に言うと、包帯が外れてないとはいえ軽い運動くらいなんてことないはずだ。

「せんせーさよーならー!」

「はい、さようなら」

「……さて、と」

 元気な挨拶で帰っていく子供達を見送って、私も教室を出ようとしたところで誰かに呼び止められる。

「あ、まって先生!」

 声に反応して振り返ると一人の筆子がにこにこしながら立っていた。

「君は、確かリグルだったか」

 呼び止めてきたのはリグル・ナイトバグと言う女の子だ。

 この子は人ではなく、蛍の妖怪であり、蟲の女王である。

 まだまだ幼い少女に見えるが、これでも私なんかよりよっぽど年上らしい。

 尤も、私の場合『設定』上は二十二歳でも、見方によっては0歳と言ったっていいのだが。

 この教室は、そんな妖怪や妖精達が集まった特別教室で、年明け前から準備を重ね、年明けから動き出した私の教室だ。

「どうした?授業のことで質問でもあるのか?」

少し屈んでリグルに目を合わせて話す。

「先生が良ければなんだけど、この後私と少し付き合ってもらえないかなってお願いなんですけど」

 少しだけ予定のことを逡巡させてみたが、今日は特に用事もなかったはずだ。

 強いて言うならば、妹紅(もこう)に買い物を頼まれているけれど、それは帰りがけにでも買えば良い。

「まあ、遅くならないなら大丈夫だよ。何処かへ行くのかい?」

「いや、先生のことを知りたいんだ。その狐の耳だっけ?人なのに獣の耳を持ってるなんて珍しいから」

 リグルは私の頭を指差して不思議そうな顔をする。

 この世界じゃ獣耳なんて珍しくもないような気がするけど、聞かれてみれば確かに人で獣耳が有る人は見たこと無いなと私は思った。

「そういうことならその辺のお茶屋さんでいっか、慧音(けいね)先生に話してくるから寺子屋の前で少しだけ待っていてくれるかい?」

 そう言い残して私はまとめた授業道具を持って職員室へ向かった。

 慧音に許可をもらうために事情を話すとすんなりに了承してくれた上に、頼まれていた買い物まで引き受けてくれると言ってくれた。

 流石に悪いと思ったのだが、慧音曰く「子供と言えど、妖怪の話は昴のためになる」との事。

 ようは、これも経験だから子供と遊んでこい。と慧音は笑ってみせた。

 私は財布の中身を気にしながら寺子屋の入り口へ行くと、リグルの他にも待っている生徒が居た。

「あたいを待たせるとか、“ぐどん”にも程があるわ!」

「ち、チルノちゃん。失礼だよ!ごめんなさい先生」

「……なんかね。みんなに話したらみんなも先生の話を聞きたいって」

 一緒に居たのは氷の妖精チルノと大妖精で、一人で騒がしいチルノをリグルと大妖精が諌めていた。

 チルノも悪い子ではなさそうなのだが、授業中でも騒がしいため、絶賛対策を練っている。

 大妖精、通称「だいちゃん」はとても優しく、思いやりを持った子だと思う。

 あまり寺子屋から近すぎると他の生徒にも見つかって、たかられてしまうかもしれないので少し離れたお茶屋さんまで向かうことにした。

移動中もチルノはちょこまかと動き回っていて、昼過ぎで人通りの多い道では里の迷惑になってしまうので仕方なく私が肩車することでおとなしくさせる。

「…せんせーの耳はスキマの“しき”と似てるね」

「うわっ!ちょっ耳を弄らないでくれ!おい!やめんか!」

「ひぅっ!?」

 敏感な耳を触られて思わずどなってしまう。

その怒鳴り声に大妖精が反応してビクッと身体を震わせた。よほど怖い顔をしていたのかリグルまでも少し怖がらせてしまう。

 チルノも流石に全員から怒られれば大人しくなる。事はなく、ちょこまかとする事はなくなったものの騒がしいのはあまり変わらなかった。

 お茶屋は好杏(このあ)が美味しい団子を食べたと言う場所で、食べてみると確かに絶品というのも頷けた。

「それで先生に何を聞きたいんだ?」

「んーと、先生のいた世界のこととか聞きたいかも、後は能力とか?私達の教室を担当することになったってことは、それなりに力があるってことでしょ?」

 先週、私の教室が始まる初日に慧音からリグルはバカルテットと言うおバカ集団の一人だと聞いていたが、バカルテットと呼ばれるほど馬鹿ではないと思う。

授業でも当てた時は大体答えられているし、そこまでやんちゃな事をしているようにも思えない。

強いて言うならチルノの悪ふざけに乗っかる事が多いが、それ以外はいたって普通の子どもだ。

 しかし、困った。

能力については簡単に話せるが、元いた世界については話せない。と言うか話しようがない。

なにせ、私はこの幻想郷に直接降り立った(・・・・・・・)のだから。

「そんなに話しづらいことなの?」

「…どう話したものかと思ってね。まあ、能力についてなら教えてあげられるかな。私の持っている能力は『宿した精霊の力を使う能力』とでも言えばいいかな。この耳もそれが関係してるのさ」

 私は自分の耳を指差す。

「能力と狐の耳が?」

「そ、私が居た世界では人の身に妖精や神の魂を宿す儀式があってね。私は妖狐の魂を宿しているんだ。この耳はその影響って訳」

 我ながら上手いこと話せたのではないだろうか?これなら元の世界の事も話した事に出来るだろうし、能力の説明も出来た。

 勿論、私のいた世界で、と言うのは嘘なのだが嘘も方便って言うし別にいいだろう。もっとも私は自分の『設定』を上手いこと利用しただけだし、嘘は嘘でも私的には真実なのだけども。

 リグルは少し不満そうな顔をしていたが、やがて「まあいっか」と呟いて団子を頬張った。

「私からも少し訪ねていいかい?」

「気になってたことは教えてもらったし、知ってることなら答えるよ」

「さっきチルノが言っていた『スキマ妖怪の式』ってのに私は似ているのか?」

 チルノの様子を見ながら、リグルにそう尋ねる。

チルノは他のお客さんに絡もうとして大妖精に取り押さえられていた。仕方ないので一旦立ち上がりチルノの首根っこを掴んで私の近くに座らせ団子を握らせた。

「その式は多分(ちぇん)の保護者の妖怪だと思うんだけど、似ていると言うより先生と同じで狐の妖怪なんだよね」

「いや、だから私はこれでも人間なのだが…」

 こちらに来てから何度目になるか解らない訂正をするがリグルは聞いちゃいなかった。

さっきは「人間なのに獣の耳があるのが珍しい」とか言ってたくせに。

 しかし、狐の妖怪ね。少し気になるかな。来週行われる月一の授業参観に来てくれるだろうか?

 その後、チルノとリグルに弾幕ごっこしてほしいと言われたが、既に日が傾きかけている事もあるので寺子屋が無い日にと約束し三人を帰した。

「あ、しまった」

 見送った後にもう一つ聞きたかったことが合ったのを忘れていた。

「だいちゃんの名前…」

 大妖精は出席簿にも「大妖精」としか書かれて居ないので、本人に聞くのも忍びないしこの機会にリグルに聞いておこうかと思っていたのだ。

 とは言え、聞きそびれてしまった以上は仕方ないので、また機会があれば聞くとしよう。

「おっとすまない」

「申し訳ない」

 考え事をしながら歩いていたためか道で人とぶつかってしまう。

「(スラっとしていながら出てる所は出てる。恭也(あるじ)辺りが好きそうな別嬪(べっぴん)さんだったな)」

 ぶつかったのは女の昴でも見惚れてしまうほどの美人だった。

頭には耳のような形に尖った帽子が被られており、夕日に照らされ黄金色の髪が輝いていた。

その人を目で負っているとあることに気づく。その女性の背には髪と同じ黄金の毛色をした九本の尻尾が付いていた。

 直感で解った。今の人がリグルの言っていた式とやらなのだろう。本気で次の保護者会に来てくれないかなーと昴は思った。

 実は、九尾の女性も昴を見て「かなりの美人」だと思っていたのだが、昴がそれを知ったのは後々の話である。

 

 ***

 

 恭也(きょうや)は一人、博麗神社(はくれいじんじゃ)と訪れていた。霊夢(れいむ)に白紙のスペルカードを渡されて以来、こうして修行を付けてもらっているのだ。

 弾幕は出せるようになったが、未だにスペルカードは白紙のままである。

 霊夢には想像力が足りないせいだとか言われたけど、一応弾幕自体は多種多様に出せているのだから想像力はあると思う。

「…別に良いんじゃないの?あなたの通常弾幕は通常弾幕に見えないし、一般人にしては十分過ぎると思うけど」

 霊夢の言うとおり、俺の通常弾幕とやらは多形な上に多彩な弾幕だ。矢のような形だったり、鎌のような形だったり、拳のような形だったりと混沌としている。

 俺は森近さんに言われた伝言が頭のなかで回っていた。

響代(ひびしろ)好杏、鈴、昴って人たちが恭也に会いたがってるよ』

 俺が弾幕を出せるようになったのは森近さんにこの事を聞いてからだ。そして俺の能力「自己の空想を操る程度の能力」から考察するに俺の弾幕は俺の考えたオリジナルキャラクター達の物だと思う。

 矢は好杏。鎌は昴。拳は鈴。いずれの弾幕も本人に関係する武器の形をしている。

 話を聞く限り、彼女達は俺が思い浮かべ描いていた絵の特徴通りで、とても信じられた話では無いが、森近さんが俺の妄想なんか知るはずないので本当なんだろう。

 それと、まだ会っていない最後の一人の噂が―

「ほら、ぼさっとしない!」

 ピチューン!と言う軽快な音と共に顔に衝撃が走る。考え事に(ふけ)っていた性で霊夢の弾幕に当たってしまったようだ。

「スペカがそんなに気になるのかしらね?」

「まあ…ね。それもあるかな…」

 霊夢がため息をつきながらスペルカードを取り出す。

「とりあえず次でラスト」

 そう言うと霊夢はスペルカードを発動させる。だが、完全に上の空な俺はあっけなく弾幕に当ってしまった。

「今日のあなた変よ。一体何を考えてるのかしら」

「……霊夢はさ、里で噂になってる話を知ってる?」

「んーと?神出鬼没な赤い影ってやつかしら?」

「そうそれ」

 近頃、幻想郷の各地に現れる赤い影。

人の形でニたりと笑った口元に影のあるツリ目、花にまみれた剣を腰に下げている赤い影の姿で、そんな不気味な姿とは裏腹に困っていると現れて助けてくれるらしい。

実際に何人か人里の人間が妖怪に襲われた時に助けてもらっているのだとか。

「なんであなたがその噂で悩むのよ」

「似ているんだ。俺が妄想で描いた人に(・・・・・・・・・・)

「つまり、あの赤い影も(あや)の所で働いてる奴みたいにあなたが産みだした存在じゃないかと思ってるのね」

 霊夢は俺の言葉を聞くと賽銭箱の辺りを見つめた。赤い影がそこにいるのかと思って俺も見てみたが何も見ることは出来なかった。

「それで、そのあなたが妄想したって奴はなんて名なのよ」

「…え?」

「だから名前よ。付けてあるんでしょう?」

 そういえばファーストネームは決めてあるけど、フルネームは決めてなかったような。

「決めてないなら今決めなさい。ほら早く」

「え?え?」

 霊夢に急かされて少し混乱してしまう。ともかく今すぐ名前を決めろと言われ、うんうん唸りながら腕を組んで空を見上げた。

 既に決めているファーストネームはフラタニア。姫をイメージしていたので間に王族っぽく(イコール)で「S」を挟んでからファミリーネームと言う形にしたかった。しかしファミリーネームが中々決まらずにそのまま忘れていたのだ。

「決まったかしら?」

「う、うん。フラタニア・S・ツァイベルって名前にしようと思う」

「つぁいべる?変な名前ね」

「まぁ…架空の文明を意識してパッと思いついた名前だし…」

 ツァイベル王家って言えばなんかそれっぽい気がするじゃん。……するよね?

「あなたが後で後悔しないなら別になんでもいいのだけど…、賽銭箱の前、見てみなさい」

 霊夢に言われて賽銭箱のある辺りを見ると、先程まで何も無かった空間に赤い影が現れていた。

否、もはや影とは言えないだろう。

真っ赤な髪に真っ赤なドレス。

影の目立つ目元と不器用な微笑み。

そして柄に花があしらわれた大ぶりの剣を腰に下げていた。

その姿は俺の想像したフラタニア=S=ツァイベルに相違ない。

 そして同時に白紙だった俺のスペルカードが光を放ち始め、俺はそのスペルカードに浮かび上がった文字を見る。

「『空想:空虚より産まれし者』…?」

 

 ***

 

 好杏(このあ)は気が立っていた。噂の赤い影ことフラタニアを確認することが出来たほか、これといったこともなく一週間も進展なしだ。

霖之助(りんのすけ)が示した香霖堂(こうりんどう)へは時間が空いた時に見に行ったりしているが、どう言うわけかいつも入れ違いで会う事ができていない。

すごい勝手な話かも知れないが納得いかない。

 鈴へは何とかで出会う事が出来たのだが、せっかく会えたと言うのに大した話も出来なかったし不満は募るばかりだ。

「…あさん。好杏さん!」

「何 で す か ?」

「ひぅ…!?あ、あの次の手を…」

 いきなり話しかけられて無意識のうちに相手に威圧的な態度を取ってしまい、慌てて目の前の白狼天狗(はくろうてんぐ)に謝罪した。

「び、びっくりしました…。まだ始めたばかりなのに凄い考えてるから…」

「すいません…。少し別のことを考えてしまって…。しっかり(もみじ)さんとの対局に集中しますね」

 好杏は現在、白狼天狗の犬走椛(いぬばしりもみじ)と将棋を打っている。椛は好杏が幻想郷に降り立って初めて出会った少女で、文の元で働くようになってから時々仕事を手伝ったり、弾幕ごっこしたりと仲良くしている妖怪の一人だ。

 一旦、別のことを考えるのを止め。宣言通り将棋に集中する。それから一時間ほどお互い真剣に手を進めた。そして、

「王手、詰みですね」

「くぅ…!また負けですかぁ!好杏さん強すぎですよぉ…」

 対局は好杏に軍配が上がり、椛は叫びながら仰向けに倒れた。そんな姿を見て好杏は苦笑いする。この対局で好杏は十九連勝だ。決して椛が弱い訳ではないのだが、好杏はいつも危なげもなく勝つ事が出来ている。

「千里眼で未来が見えれば敗けないのになぁ…」

「未来視なんてされたら今度は僕が勝てなくなってしまいますよ」

「それはそれでつまらなさそうですねー」

 椛はコロコロと笑いながら将棋の駒と盤を片付けてお茶を入れ始めた。お茶を蒸らしてる間に椛が「そういえば」と話を切り出してきた。

「先程は何をあんなに考えていたのですか?」

「僕の探してる人についてですね」

「なんやかんやで会えていないんでしたっけ?はい、どうぞ」

 椛は僕の前と自分の席に湯のみを置くと、可愛らしい声で「よいしょ」と言いながら腰を下ろした。お茶に対してお礼を言ってから椛の問に答えた。

「ま、まあそのうち会えますって!なんなら私が付き合いますから美味しいものでも食べに行きましょう!太陽の畑に美味しいと評判の食堂が出来たんです。私が奢りますから、ね?」

 椛にやや強引な約束を取り付けられたが、好杏も悪い気はしなかった。好杏を気遣っての行動だろうし、何より好杏は美味しい物と聞いて気分が上がらないわけ無い。

「…んー。今日も侵入者は来ませんね。平和です」

「そうですねー…」

 将棋を打ったり、お茶を飲みながら雑談に勤しんでいるが、実はこの二人妖怪の山の見張り中だったりする。

椛か好杏が侵入者に気づいたら飛んで駆けつけて注意を促す。もしくはたちの悪い妖怪だった場合は退治していまう。…のだが、何もおきない限りはこの様に暇する仕事なのだ。

「…好杏さん。さっきのリベンジです」

「ふふ、これに勝てば僕は二十連勝ですね。敗けませんよー」

 パパっと将棋の準備をする椛に挑発的な態度で迎え撃つ。一時間、二十連敗した椛の悲痛な叫びが妖怪の山に響いた。

 

 ***

 

 幻想郷の地下、旧都を恭也とフラタニアの二人は駆け回っていた。

「はあ…はあ…、なんてったってこんなことしなきゃならないんだ!?」

(わらわ)が知るはずなかろう!死にたく無ければ今は走るのじゃ!」

 二人の後方には真っ赤な瞳に血の滴るキバ、そして何よりも目立つ宝石のような翼を持った少女が二人を追い回していた。

「「「アハハ、もっと早く走らないと追いついちゃうよー♪」」」

 無数の少女が楽しそうに笑う。

少女は明らかに手を抜いており、遊ばれているのは明白だった。

「「「避けろ避けろー。アハハハ」」」

「くそっ!!」

 少女は歪に笑いながら“弾幕ごっこ”と言うにはあまりにも威力の高すぎる弾幕を撃ちだす。

ただ走って逃げるだけでも大変なのに先程から、当たったらただでは済まなさそうな弾幕を避けることまでさせられている。

それも少女はギリギリで避けられるレベルでしか撃ってきていないのだからいかに実力差があるのかなんて考えるまでもない。

「こうなったら妾の剣技で!」

「無駄だって!そんなことする暇があったら走るんだ!」

「「「無、駄、な、のー♪」」」

 少女の一人が剣閃に割かれ、血を撒き散らす。そしてまた分裂する。どういう原理かは解らないが少女は血を使って分身体を作れるようだ。

「本当に数減ってるのかよ!」

 そう叫ぶ彼らの後方にはぱっと見るだけでも百近くの少女が追いかけてきている。

「「「今度は大きいの行くね。まだ壊れちゃ駄目だよー?」」」

 少女はそう言うとカードのようなものを掲げる。わざわざ確認するまでもない。スペルカードだ。

「「「禁断:カタディオブトリック♪」」」

 特大の弾幕が複数も同時に襲ってきた。

多方向からバラバラに飛ぶ弾幕が地面や壁に跳ね返り複雑に飛び交う。

弾幕だけでなく壁などにも注意しながら避けて行くものの、いくつかの弾幕は身を掠める(グレイズ)する。

痛みに顔を歪めながらフラタニアの合図で左から来る弾幕をかろうじて避ける。

その時、俺は避けたと油断してしまった。

主様(ぬしさま)!右じゃ!!」

フラタニアの叫びが響く。

 恭也は慌てて右を向くと避けたと思った弾幕が横の壁に当たり跳ね返っていた弾幕がすぐ目の前に合った。

 

 同時刻、紅魔館では咲夜、美鈴、鈴の三名が走り回っていた。

「遊ぼ––––」

 金髪で宝石のような翼を持った少女が一人、弾幕に当たり弾ける。

「「「まだまだ終わらないぞぉ♪」」」

「キリがない!おいレミリア!何が起きてるんだ!どうしてフランの分身がいきなり暴走しはじめた!」

 いくら倒しても増え続ける少女にキレた鈴が館の主を問い詰める。

「私だってわからないわ。フランですら解ってないみたいなのよ?」

 レミリアと呼ばれた館の主は、自分の妹であるフランドール・スカーレットを背中にかばいながら、フランドールの分身と戦っていた。

 そのフランは自らの分身に怯え、レミリアの背中に隠れていた。

「「「ほらほら、私も遊ぼうよー」」」

 フランに分身体が近づこうとするが突如虚空に現れたナイフに貫かれて弾ける。

「とにかく今は、この子を守りながら戦うしか無いのよ!今はまだ紅魔館の中で収まっているけれど分身を外に出したら幻想郷がパニックになるわ!」

 レミリアが焦り気味に言うが、確実に戦力が足りていなかった。

戦えるのは妖精メイド達と怯えているフランを除いた四名だけ、その四人も既に長時間の戦闘で疲労が溜まりつつある。

今もフランを守りながら徐々に後退しているのが現実だ。

「「「どうしたの?私に押されてきてるよ?」」」

 押されるのも無理は無い。分身体は時間が立つにつれてどんどん増殖し、もはや消す速さよりも増える速さのほうが上回ってしまっている。

「じ、ジリ貧ですよ!なんとかならないんですかね・・・!?」

「なんとか耐えなさい美鈴!妖精メイド達が助けを呼んでくるまでは何としてでもフラン様の分身を外へ出しては駄目よ!」

「でもー…」

 美鈴、咲夜、鈴で壁を作り、撃ち漏らしをレミリアが討つような陣形で戦う以上誰ひとりとして欠けることは許されなかった。

 しかし体力の多い美鈴ですら弱気になるほど四人の疲労は限界に近づいている。

文身体は攻撃を避ける事もなく、ただただ強引に突撃して来るため、比較的対処がしやすいように思う。

しかし、恐怖も何も感じずに突撃して来ると言うのは厄介でブラフなんてものは効きもせず、全てを確実に対処せねばならない。

「「「アハハ、流石のお姉さま達でも疲れてきてるねー。そんな状態でコレを受けられるかな??」」」

疲れが見えてきた鈴達を嘲笑うように文身体は一斉にスペルカードを取り出す。

「「「禁弾:スターボウブレイク♪」」」

 軽快で多重な発動宣言と同時に、様々な色の弾幕が大量に襲ってきた。さながらすべてを飲み込む津波の様に。

 

 

To Be Continued

 




次回「動き出す影」


〜おまけ〜

キャラ紹介!デデン!(6話を上げたのちの追記)

「響代 好杏(ひびしろ このあ)」
年齢は23歳、身長は180前半の高身長。
声が中性的で胸はあまり大きくなく、しかも晒で潰しているため注意して接しなければ美男子に見える。
私が描いた初めてのオリキャラで、オリキャラ達の中では最も優遇した『設定』をくんでます。
能力としては使用武器が弓ではあるが、一応魔法使いであり主に風魔法を操るエキスパート。
その他、属性に縛られることはほとんど無く、水、森、火の順で得意になっている。他は使えたとしてもまず使うことがない。
響代(フラタニアも含む)の中でリーダ的な役やりを持ち、一番苦労してる人間です。
性格としては非常に落ち着きがあり、柔軟性も高く、危機管理能力に長けている反面、歳下を甘やかすダメ姉ちゃんな一面や自己の実力を高くかいすぎている部分があります。
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