これ絶い混乱すると思うけど、6話で一応纏まるんでそのまで読んでください……!
「えぇぇぇぇ!!?」
「…む?」
恭也は二つの意味で驚きの声を上げていた。
一つはいきなり現れたフラタニアに、もう一つはやっと柄の付いたスペカに浮かんだ文字を読んだら発動してしまったこと。
恭也から放たれた弾幕は無数の矢となり弧を描きながらフラタニアへと襲いかかる。
「直線ではなく弧を描くことで相手の動きに制限をかけて、ギリギリで避けようとすれば矢が爆発して小型の弾幕をばらまく、そして一つでも爆発すれば他の矢も誘爆して一気に小型の弾幕にまみれるって訳ね。中々悪趣味なスペカじゃない」
いつの間に回り込んだのか、霊夢がフラタニアの前に立ちふさがって俺のスペルカードを相殺した。
「大丈夫かしら?えっと、フラタニアだっけ?」
「むむむ?なんじゃお主、
フラタニアは剣を構えたまま霊夢の顔を怪訝そうに見つめる。やがてゆっくりを剣をさやに収めてチラっと俺を方を見た。
「そこの男はともかく私は初めから見えていたわよ。これでも巫女やってるんだからあなたみたいに妖力ばかり奴を見ること位なんてことないわ」
「はぁ!?じゃあフラタニアはずっとそこに居たってことなのか!?」
霊夢の言葉にまた驚く、フラタニアもまた俺の言葉に驚いていた。
「ぬ、主様にも妾が見えておるのか!存在の力はまだ足りぬと思っておったが、いったいどうしたことか」
「存在するだけの力ならとっくに持っていたと思うわよ?ただ、条件が揃ってなかっただけでね」
「む…?どういうことじゃ?」
「…なんか私いつも説明を求められてる気がするわね。いいわ、座りなさい。説明してあげるわ」
フラタニアは言われるがまま縁側に腰を掛けて、霊夢の入れたお茶を啜る。
真っ赤なドレスを着たお姫様風の女の子が縁側でほっこりとお茶を啜っていると言うのは何ともシュールな光景だ。
「あなた達が理解できるかは知らないけれど、物や人が存在するには様々な要因が必要なの。大まかな要因は姿形、次に色や音、最後に名前。最低限このくらいは決まっていないとこの世に存在出来なかったりするのよ」
「じゃあ急に名前を決めろって言ったのは…」
「そういうことよ。このフラタニアが存在にたる力を有していながら影でしか無かったのは『名前』と言う大事な要因が抜けていたから、もっとも放って置いてもそのうち里の人達に名前をつけられていたと思うけどね」
噂の中には赤い影が妖怪じゃないかってものもあった。
もしこのまま誰にも発見されずにいたら妖怪として存在することになっていた可能性もあったのかも知れないという事だろう。
「ふむ、では主様の『設定』と違うこの半妖の身体はそういうことなのだな」
説明を聞いてふむふむと納得しかけていた俺はフラタニアの言葉で凍りついた。
「半…妖……?」
確かに俺の作った『設定』にはフラタニアの特殊体質などがあるが、俺の設定はあくまで人間だ。
狐の耳が生えてる昴ですら人と言う種からは外れていない。
「なんだ。自覚してたのね」
「おそらく真っ赤な姿と、この剣の性じゃろうな。悪魔系の妖怪の血が混ざっておるようじゃ。
霊夢は納得した様子で頷く。フラタニアは頷きを見ると話を続けた。
「つまり半妖と言えど、元の妖怪が架空のものじゃ。妖力や能力こそ樹木子由来のものじゃが、完全な妖怪の性質を引き継いだ訳では無い。吸血鬼でありながら、人の血を吸うどころか日光からエネルギーを吸収することが出来る。血を吸ったこともあるがとてもじゃないが妾に耐えれる物ではなかったな」
サラッと血を吸ったと言ったフラタニアにギョッとしたが、彼女なりに己の境遇を受け入れてる結果なのかもしれない。
俺がもっと早く気づいてあげられたら良かったのだろうか?俺が気づけなかったから彼女を半妖にしてしまったのだろうか?
「主様よ。そのような顔をしないでほしいのぅ。妾達は今の所、主様の『設定』によって保っておる。受け入れてもらえなくては存在がまた存在が怪しくなってしまう…」
フラタニアが悲しそうな顔で俺の手を取る。
彼女の手は温かく確かにそこに存在してたが、少しだけ身体が赤い影の様にぼやけて見えた。
「…ははっ、お姫様にそんな事を言われてしまったら受け入れないわけには行かないじゃないですか」
俺は恥ずかしさで目を背けながらそう言い放つ。
我ながら卑屈でずるい言い方だと思う。それでもフラタニアは満足そうに微笑んだ。
目を背けていた俺は見ていなかったが、その笑みはとても優しく可憐なものだった。
「…何人前でいちゃついてるのよ。そんなことよりお客さんみたいよ」
ジト目を向けられて俺とフラタニアは咄嗟に腕を背中に回す。
全くもって気恥ずかしいったらない。
「やっと神社に着いたと思ったらいちゃつく様子を見せられてまったくもって妬ましいわ…」
「……なんで旧地獄の奴が地上の、それも私に会いに来るのかしら?」
「なんで自分の客だと決めつけるのかしら、人気者だから?その通りだけど妬ましいにも程が有るわ」
やってきた霊夢への客人は随分理不尽な文句を漏らしていた。
その姿は茶の和装に金髪緑眼という一見地味で人里で見かけそうな出で立ちの少女だった。
たった一つエルフのように尖った耳を除けば。
「…地底である異変が起きたわ。それを解決するために妬ましいけれど博霊の巫女の助力が欲しいから呼んできて欲しいと
緑眼の少女は始めこそふてぶてしく振る舞ってたが、最後の方は切実といった風に頭を下げて言った。
「萃香が苦戦するなんて相当ね。私以外には誰に声をかけてるの?」
「それは考えていない。私は地上の住人と交流が無いから…」
霊夢はそれを聞くと腕くんでブツブツと唸り始めた。どうやら旧地獄と言う場所へ向かうようだが、人手が足りないのだろう。そんな時、フラタニアが名乗りを上げた。
「霊夢。妾を連れて行ってもらえないだろうか?」
「言っておくけど、鬼が苦戦してるってことは遊びじゃすまないのよ?」
「元々武術にはちいとばかし自身がある。それに今の妾は樹木子としての力も使える。それなりに戦力になると思うぞ。それと、出来たら主様にも来て欲しい」
突然名指しされて戸惑う。
「俺か!?いや、まぁ日頃から霊夢には世話になってるから手伝えるなら手伝いたいけど、そもそも俺は飛ぶことも出来ないんだぞ?足手まといになっちゃうって。と、言うか俺の『設定』上で言えばフラタニアも飛べないだろ!?」
「妾は、半妖になった影響なのか飛べるようになったんじゃ。それと、主様は自分の能力を忘れておるだけで飛べるはずじゃ」
自分の能力。『自己の空想を操る程度の能力』のことをなぜフラタニアが知っているかは知らないが、フラタニアは能力を使えば飛べると言う。
「鈴はともかく、好杏と昴は飛べる『設定』があるじゃろう。その力を借りるのじゃ。ほれ試しに好杏みたいに風を操ってみい」
好杏は風を操る事で自分を浮かす。つまり真似しろってことだろう。俺は半信半疑のまま目を閉じて風を纏うイメージをしてみた。
すると、不意にふわっと地面から脚が離れる感覚がして目を開ける。
「……へぇ?良かったじゃない。貴方、前から飛んで見たいって言ってたし念願叶ったわね」
俺の身体は神社の屋根よりも高く飛んでいて、霊夢やフラタニア達も俺に並ぶように飛んでいた。
正直驚きっぱなしで疲れた位だが、霊夢は行くわよと言うとさっさか飛んでいってしまった為慌ててクロールの様に身体を動かして追いかける。
風で飛んでいるのだから身体を動かす必要は無いと気づいたのは旧地獄への入り口にたどり着いてからだった。
***
「鈴も強くなったね!めーりんと修行してるだけあるかも!」
「そうかなぁ…。まだフランに一発も弾幕当てられて無いんだけど?」
「今回は私も当たりそうなところがいくつか合ったし、この世界にきて間もない鈴にしたら凄い早い成長だと思うけどなー」
フランはベッドに背中からボスンと飛び込む様に腰掛けた。その姿は傷一つ無い綺麗な肌と汚れのないきらびやかな赤い洋服で、一方の鈴は床に寝そべって息を切らしていて、しかも服が部分的に裂けたり焦げたりと怪我が無いのが不思議な位ボロボロだった。
これは鈴に与えられた門番以外の仕事の性である。
あまり外に出ることを許されない館の主レミリア・スカーレットの妹、フランドール・スカーレットと遊ぶこと、もっと言えば破壊の仕方や加減を教える事が仕事の内容だ。
と言っても鈴自身は仕事とは思っていなかった。
気が触れている性で外に出してもらえないと言う話らしいが、近年は外から来た。つまりあたしみたいな外来人や魔理沙と言った人たちを触れ合ってきた為か気性も穏やかになり、力もこうしてあたしが怪我しない程度に手加減してくれている。
とは言え、狂気の少女と言う噂が簡単に消えるはずもなく外出は時々しか出来無いというわけだ。
そもそも495年間もこんな地下の薄暗い部屋に閉じこもっていただなんて想像もできないな。
レミリアが言うにはまだ二人共幼かった頃にフランが加減を知らずに人を殺しまくってしまった性で、フランは自分の力を怖がって部屋から出なくなり、またレミリア自身もまた出てきて同じようなことが起こる事を恐れてフランを出さないようにしていたらしい。
「ふふ、また妹様にしてやられたのかしら?」
いつの間にかに部屋の入口に立っていたメイド長の
「その通りだ…。そろそろ一発くらい当てたいもんなんだけど」
「こないだは魔理沙にも負けてたものね」
一昨日の事、弾幕ごっこも知らないあたしが偶然にも勝ってしまった魔法使い、霧雨魔理沙が先日リベンジに訪れて、華麗にそのリベンジを果たしていったのだ。
弾幕を出せるようにはなったけど、飛ぶことの出来ないあたしに弾幕ごっこは不利でしか無い。
飛べる好杏や昴が羨ましい。おそらく能力的に
あたしは『設定』的に特定の能力を使うことで飛べる可能性があるだけマシかも知れないが、その能力はマスターが居ないと使えないし、実際に能力を使ったことがない以上飛べると確定してるわけでもない。
「服の替えを用意しておくからシャワーでも浴びてきなさい」
「あ、私も入るー。汗かいちゃったし…、咲夜ー私の着替えも用意しておいて!」
膝に手をおきながらゆっくり立ち上がるとフランが背中に飛びついてくる。
いくら体が小さいとは言え、飛びかかられたあたしは少しよろけてしまう。
「一緒に入ろ?」
「はいはい。そういえば前から気になっていたんだが、フランは吸血鬼なんだよな?水、流水が苦手じゃないのか?」
「全然苦手じゃないし、お風呂は大好きかなー」
シャワーで喜ぶ吸血鬼と言うのも珍しいかもしれない。
いや、吸血鬼なんてスカーレット姉妹以外に会ったこと無いから一概にそうとは言い切れないけど。
そう言われれば、紅魔館には大きな浴場があるが、館に居る大半を占める妖精メイドが利用してるのを見たことはない。
案外、吸血鬼はお風呂好きなのかもしれないな。
実際、後で聞いたのだが、紅魔館の浴場はレミリアが旧地獄の温泉に言った際に風呂を気に入って作らせたものだった。
フランにせがまれて、頭を洗ってやっているとフランがあたしの二の腕をぷにぷにと揉んできた。
「…どうしたんだ?」
「細い」
「まあな。自分で言うのも何だけど
「鈴って人間なのよね?こんな細腕で自分の胴ほど大きい…なんて言うんだっけ?」
おそらく、あたしが勝負で使用している
「そう、そのましんがんとれっと?を振り回せるなんて可笑しくない?」
「あー……」
あの機構化篭手はマスターの意向が色々凝らされている物で、あたしの生体と強く結びついている武器であたし以外にはただの重い鉄塊にしかならない。
「どういうこと?」
「つまり、あたしがあの機構化篭手を持つ分にはほとんど重さを感じないんだよ」
「あはは、なにそのチート」
あたしもそう思うが、あたしが産まれたのはマスターが厨二真っ盛りな時期だったから仕方ないと割り切っている。
「…ほら、シャンプー流すから耳を塞ぎな」
ごまかすようにシャワーを手に取りフランの頭に当てる。やっぱ両耳に手を当てて目をキューっと閉じてるフランは可愛いと思うし、とても狂気の少女と呼ばれていた風には思えない。
風呂から上がり、フランと一緒におやつを食べる。
真っ赤なケーキには人の血が使われていると言うのだからそこは吸血鬼らしいと思うけど、命の連鎖で人は吸血鬼の糧になっているだけだと考えれば嫌悪感はない。
異変はその日の午後唐突に起こった。地下の部屋でフランと遊んでいたはずの美鈴が怪我を追った身体でフランを抱えてレミリアの元へ逃げてきたのだ。
あたしは門番として門の前に立っていたので、咲夜にいきなり連れ戻されて館に戻った。
そしてその光景に驚き、目を見開く。
「「「アハハ、楽しいねー♪」」」
大勢のフランが美鈴を襲っていた。
それを見るやいなや咲夜はスペルを発動させ、美鈴を襲うフランを吹き飛ばす。
「説明してる暇は無いわ。今はとにかくお嬢様方を全力でお守りしなさい!」
よく見ると美鈴の後方にはレミリアと、怯えてるフランの姿があった。状況はさっぱりわからないまま戦線に投入され、フランの分身体と戦うはめになった。
咲夜に吹き飛ばされたフランの分身はすでに消えていて、いくつかの血だまりが見えるだけ、その事に少し違和感を覚えたが考える余裕はなく、
「構えなさい鈴!」
レミリアの叫びが聞こえ、思考を遮断される。
言われるがまま機構化篭手を構えると、直後腕に強い衝撃が走る。
どうやら弾幕を受け止めたようだが、威力がいつも受けている弾幕の比ではない。
飛ばしてきたであろうフランの分身に鈴も弾幕を飛ばすが、分身は避けようともせずに弾幕を食らった。
「やったか!?」
そんな言葉とは裏腹に弾幕の当たった分身は血となり弾け、新たな分身体を産みだした。
美鈴も傷だらけの痛々しい姿で、咲夜もスカートが裂けていたりと苦戦しているようだった。
あたしもなんとか応戦するが、分身体の人海戦術になすすべもなく押される。
この分身体の暴走という分身体を生み出したフランは怯え、美鈴も何が起きたのかは解らないと言う。
ここにいる誰もがこの状況を理解する事なくただ迫り来る脅威に自らの力を振るっていた。
「「「アハハ、流石のお姉さまたちも疲れてきてるねー。そんな状態でこれが受けられるかな??」」」
楽しげな分身体の声が館に響き、次の瞬間には絶望的な光景が目の前に広がった。
「「「禁弾:スターボウブレイク♪」」」
分身体が一斉に発動させたスペルはもはや避けるとか相殺するとかの次元を遥かに超えた量の弾幕を生み出し、自らの分身を巻き込みながら、通路まるごとあたし達を飲み込もうとしていた。
「全員伏せろ!」
そんな時、レミリアより更に後ろから声が響いた。
あたし達はその言葉通りに伏せる。いや、ある意味崩れ落ちただけかもしれない。
そんなあたし達のあたまをかすめるように見覚えのある一本の光線が迸り弾幕の波とフランの分身を一気に消し去った。
「なんだか状況は解らないけど、さっすが私!主人公らしくピンチに駆けつけたぜ!」
声の主を目で追うと箒に跨がり八卦炉を構えた魔理沙がそこに居た。そしてその箒にはもう一人搭乗者がいた。
「レミィ。助けに来たわ」
「パチェ…。助かったわ」
「今、傷を癒やすわ。そのままじっとしていて」
大図書館の主、パチュリー・ノーレッジがぶつぶつと何かを唱えると黄金に輝く雨が振り始め、その雨が傷元に当たると淡く光り、傷を塞いで行く。
「魔法による応急処置だから無茶をしたらまた開くかもしれないけど、とりあえずはなんとかなるはずよ」
「パチュリー様。助かりました…」
「それで、これはどういう状況なんだ?」
箒を降りた魔理沙が訪ねてくる。誰も答えられないまま静寂が訪れ、それから最初に口を開いたのはフランだった。
「あれは…、少し前までの私なの……」
「どういうことなんだぜ?」
魔理沙が食い気味にフランに尋ねようとするが、レミリアがそれを制し、そのままゆっくりとした優しい口調でフランに問いかける。
「……あの分身はフランでも壊せないの?」
「うん、あの私には『目』がないの……。それに、私を狂気に染めようとしてきて怖い…」
それを聞くとレミリアは深い溜息をついた。
どうやら何かに気づいたようだ。
「これは、厄介な事になったわね……」
「どういうこと?レミィ説明してちょうだい」
レミリアはあたし達の顔を見渡すとゆっくり溜めてから言い放った。
「あのフランの分身体は“畏怖される吸血鬼そのもの”よ」
To Be Continued
次回「地上と地底の動き」
〜おまけん〜
6話を上げた後に書いてます。
東方キャラについての補足①
—博麗 霊夢—
所謂貧乏巫女ではなく(実はこれ原作設定)、性格も一泊ものを考えるようになっています。
そのため「いつも勝手」と言うほど勝手ではなく、この作品においてはかなりの常識人となっています。
一応、他は原作を基準とし、一部二次創作設定などが加えられています。
—森近 霖之助—
恭也の居候先、香霖堂の主人で重要そうなポジションの割に出番はあまり無い。
性格は原作を基準にしていて、褌とかコーリンとか言うことはないが
、一応強さ的にはかなりのものとしています。
だって無縁塚に一人で行けるんだもの。
—霧雨 魔理沙—
特筆すべきことは特になく、出番も多くはない。(勿論、理由がある)
性格は原作よりも竹を割ったような風で、聞き分けも悪くない。
恭也にとっては気の良い男友達と言った印象の立ち位置だが、時折女の子が出てくる。
口調はあまり「ZE☆」にならないようにしてるけど、読み返してると割と言ってる。