魔法少女リリカルなのは Broken beast 作:やまあざらし
なのはが公園の方向に異変を感じ、駆けつけた途端に強大な魔力の波と圧力が身体を突き抜けた。
その圧力は大気を撹拌させ、打ち砕き、波濤となってなのはの小さな体を呑みこみ、吹き飛ばそうとする。それを必死で踏ん張り、身体を打ちつける空気の圧力にどうにか耐えることができた。
その衝撃は空の上からやって来ていた。巻き起こった砂塵に目を霞めながらも、なのはは上空を仰ぐ。
そして、目に入ったものは信じられない……、いや、信じたくない光景だった。
灰色の空では二人の少年が快哉をあげ、お互いともが獣のように狂喜に顔を歪ませながら刃を斬り結んでいた。
所々裂けているバリアジャケットの隙間から、血が飛沫となって地面に降り落ちる。だというのに、二人は流れる血よりも、今という時を惜しんでいるかのように愉悦に浸っていた。
その光景に、なのはの脳裏にベヌウの言葉が過る。
__彼が壊れてしまうこともなかった。
そう、理性もなく天上で血を流すあの二人は、まるで壊れたケダモノだ。
余りの出来事に、身体だけでなく心までも強張らせている。と、頬に空気の流れの変化が触れた。
反射的に、ハッと視線をやると、そこにはジュエルシードを取り込んだ暴走体。巨大な樹の化け物が樹冠の葉からガサガサとざらついた音を立てながら、地面に根を這わせゆっくりとした足取りで小さな影に近づいている。
__フェイトちゃん!?
視線の先にあった人影の正体はフェイトだった。そのすぐ傍らでは、燈色の狼が押し出すような声で必死にフェイトに叫び続けているにもかかわらず、二日前に対峙したばかりの少女は、暴走体に立ち向かうことも、逃げようとすることもせず、ただ空を仰いでいる。
このままでは危険だ。
なのはの身体は、咄嗟に動いた。
「フェイトちゃん!!」
焦りと戸惑いで心が乱れる中、冷静にレイジングハートを起動する動作に移れるようになったのは、皮肉にも今日まで起きてきた出来事のおかげだ。
赤い紅玉は眩く光り、白いバリアジャケットと杖に変貌する。なのははその杖の切っ先を暴走体に向け、魔力の弾丸を放つ。
強固に凝縮された弾丸は空気を貫き、暴走体の即頭部に直撃した。その衝撃に暴走体はたたらを踏み、弾丸の直撃で焦げ燻ぶる煙を緩やかに動かしながら、なのはを見た。
洞の双眸の奥に潜む敵意。標的は自分に変わった。そう確信した。
だが、なのはは恐怖を感じなかった。冷静にレイジングハートのリアサイトに視線を合わせ、撃鉄の音が線になるまで魔力を装填し続ける。突き抜ける嵐のような光弾は、一瞬の間に暴走体の枝を撃ち貫き、葉を散らし、樹皮を削り樹幹を抉っていく。暴走体は桃色の爆炎に呑みこまれ、土煙を引き連り倒れ込む頃には砂嵐に巻き込まれた旅人のように無残な姿へと変わり果てていた。
そして、その暴走体の原動力となっていたジュエルシードは内包されていた樹木から吐き出され、硬質な音を立てながら地面を転がる。
なのはから撃ち出された魔力弾の衝撃で、暴走が沈静化したのだ。
だが、なのはの目にジュエルシードは入っていなかった。駆け早にジュエルシードの横を通り過ぎると、フェイトに近づいた。
「フェイトちゃん……」
なのはの呼びかけに、フェイトは反応を示さない。代わりに、アルフが敵意に満ちた牙を剥き出しながら、なのはの前に立ちはだかる。
「なにしに来たんだい?」
低い声で言うアルフの峻厳な視線に、思わず一歩引き下がってしまう。
だが、怯えを理性で押し殺しながらなのはは微かに震える唇を気丈に動かした。
「いったい……、ここでなにが起きたの? どして一葉くんと、フェイトちゃんのお兄さんが戦ってるの?」
「そんなこと、私が教えて欲しいぐらいだよ。 あのガキ、フェイトごとアゼルに向けて非殺傷設定の魔法を撃ちこんできやがったんだ。 私はあのガキと何回かしか会ったことがないけどね、少なくともそんなことをやらかすような奴じゃなかったはずだ。 私たちが会わなかったこの数日の間に、あのガキにいったいなにがあったんだい?」
アルフの言葉に、喉が締め上げられるような気がした。
心が苦しいとか、身体が痛いとかそんなんじゃない。ただ、一葉が人を殺そうとした。そのことに驚きもせず、どこかで納得してしまっていたことに胸の奥が軋んだ。
一葉がここ数日の間に纏っていた雰囲気を、なのはは敏感に感じ取っていた。
それは、停滞だ。
静謐な伽藍である石造りの棺の中で心臓を休ませているかのような、まるで目覚めたまま死を迎える準備を整えているかのように思えるほどに、そこに生き生きとした意思は感じられなかった。
一葉はきっとそこで自分たちが見ることのできない、一葉にしか見ることのできない景色を見遥かにして、自分だけの幸福を見つけ出そうとしているのだ。
それはきっと、一人でいる幸福。孤独であるという、幸福だ。だが、なのはにはどうしても、それが苦しい、苦しい幸福であるとしか思えなかった。
耳朶を打つ剣戟の音になのはは再び空を仰ぐ。二人の戦いは自分が知っている、ユーノから教えて貰った魔導師の戦い方ではない。
魔法の発動は刃の一閃の繋ぎに過ぎず、相手の心臓を鉄の刃で抉り出そうとする二人の姿はまるで何世紀も昔の戦士の決闘を眺めているようだった。
一匹の獲物を奪い合う飢えた虎のような勢いで刃を閃きかせる一葉の姿に、なのはは哀しみの錘が心に投げかけられた。
だが、その錘に掴ったままなにもせずに哀しみの海に沈むわけにはいかない。このまま、自分の無力を悲観して、またなにもできなかったとしゃがみ込んでしまうわけにはいかなかった。
冬はやってくることがわかっていても止められない。真昼は過ぎ去って行ってしまうとわかっていても見送ることしかできない。
だけど、一葉は違う。ほんの少し勇気を出して手を伸ばせば掴みとれる、そんな距離に居るのだ。
「私にも……、わからない。 私も一葉くんに置いてきぼりにされちゃったから……。 でも、置いてきぼりにされちゃったんだったら追いかければいい。 一葉くんがどこかに行こうとしているんだったら、無理にでも連れ戻しちゃえばいい。 私は……、一葉くんとこんな形でお別れになっちゃうのは嫌だ」
なのはの中にあったのは、静かな決意だった。
もう一葉がなんと言おうと、一葉になにをされようとそんなこと関係あるものか。
傷つけられてもいい、拒絶されてもいい。それでも、なのはが今日まで胸にため込んできた一葉との思い出の日々が色褪せることは決してない。
古い順から過去になって行ってしまう思い出を、このまま懐かしむだけのものになんてしたくなかった。
「フェイトちゃん……、お願い。 一緒に一葉くんを止めて。 それでもう一度、今度はきちんとお話しして、それで仲直りしよう?」
フェイトは見上げていた不安に揺れる儚げな瞳でなのはを見た。肌は氷のように青く透き通っている。あまりにも悲しくて、絶望して、その虚ろな表情には戸惑いと哀しみがごっちゃになった黒い影が落ちていた。
「お願いフェイトちゃん。 力を貸して」
なのははフェイトに手を差し出す。だが、フェイトはその手を疲れ切った眼差しで見て、掠れる声で囁いた。
「だめ……、だよ……。 だって……、私はもう一葉に……」
拒絶された。なのはにどうにか届く小さな声で、フェイトはそう呟いた。
もし再び一葉に手を伸ばして、その時にまた拒絶されたら心が氷のように粉々に砕けてしまう。
そうしたら、きっともう立ち直れない。
「フェイトちゃん……」
そんなフェイトを見て、なのはもまた哀しそうに顔を歪ませた。
大切な人を失ってしまう黒い霧に包まれるような苦しみも、今までの関係が壊れて二度と元には戻らないのではないかという、足元が崩れ世界が崩壊してしまうのではないかと思うほどの恐怖もなのはは知っている
そして、その後に訪れる胸を刺すように鋭く、深い絶望もなのはは知っているのだ。
その絶望を、なのははフェイトにまで味あわせたくなかった。
なのははどうにかフェイトを説得しようと言葉を重ねようとする。だが、どうしても言葉が頭に思い浮かばない。
そうだ。自分もまだ、絶望がから這い出ていない。自分は一歩踏み出そうとしているだけで、まだフェイトと同じ哀しみの海の底にいるのだ。
声が喉に絡んで、うまく話せない。フェイトが再び空を仰ごうとしたその時、穏やかな声が風と共に降りてきた。
「もし貴女たち二人が一葉を止めるというのならば、私も協力しましょう」
大きな翼で緩やかな風を起こしながら地面に降り立ってきたのはベヌウだった。緑の双眸でなのはとフェイトを見据えながら、悠揚たる態度で翼を折りたたむ。
「どういうつもりなんだ? 今さら協力するなんて……」
突然現れたベヌウに、一番最初に言葉を発したのはなのはの足元に居たユーノだった。敵意ともとれるような猜疑を孕ませた鋭い視線でベヌウを見上げる。だが、当のベヌウはユーノを一瞥するだけで直ぐになのは達に視線を戻した。
「他意はありませんよ。 ただ私にとってこの道筋も、それが至る結末も望むものではないということです。 私の声は一葉に届くことはありませんでした。 しかし、もしかしたら貴女たちの声ならば届くかもしれない。 ほんの僅かでも可能性があるのならば、私はそれに縋りたいだけです」
なのはは初めてこの時になって知った。ベヌウもまた、一葉を止めようとしていたことを。ベヌウの言葉はなにもできなかった自分自身を咎めるような厳しい声で言うベヌウの眼差しには憂いが帯びていて、それなのにいつも通りの気丈な姿を振舞う姿を見ていると、胸が苦しくなった。
「おそらく、もう時間はあまり残されてはいません。 一葉は戦えば戦うほどに自分が壊れていくと言っていました。 このままでは、本当に一葉が戻ることは二度となくなってしまう」
自然に険しくなるベヌウの声に、なのはは頭の中が熱くなった。そして、ベヌウの言葉を聞いてなお、動く気配を見せないフェイトにたまらない苛立ちを感じ、アルフを押しのけフェイトの肩を乱暴に掴んだ。
「……っ! フェイトちゃんはそれでもいいの!? もう一葉くんと会えなくなっちゃうんだよ!? フェイトちゃんは……! フェイトちゃんだって一葉くんの友達なんじゃないの!?」
強張るフェイトの身体。後ろからアルフがなにか叫んでいるが、そんなことなのはには関係なかった。
「とも……だち? 私と、一葉が?」
子ウサギのように青ざめ怯えるフェイトを、なのははさらに糾弾するかのように声を上げる。芯の通った堅い声がフェイトを打ち、胸を貫く。
「そうだよ! だって、そうじゃなかったら私たちが初めて会った時にフェイトちゃんを庇ったりなんてしないでしょ!? ジュエルシードもあげたりなんかしなかった! 全部、一葉くんはフェイトちゃんのことを友達だと思ってたからしたことなんだよ!?」
必死に叫ぶなのはの目尻には涙がたまっていた。そして、それはフェイトの瞳にも。
茫然と見開くだけだったフェイトの瞳に、初めて熱がこもった気がした。
そして、なのはの言葉に揺さぶられフェイトは思い出す。
初めて一葉に会った時、月の光が湖を湛える夜の森、一葉はとても優しかった。
その優しさに触れて、自分も優しい気持ちになれた。
優しさも、槍を振るう時の厳しさと美しさも、寂しさも全部含めて、自分はあの後ろ姿が好きだったのだ、と。
なぜ忘れてしまっていたのだろうか。
なぜ、見失ってしまいそのままでいたのだろうか。
もう一度……、もう一度あの時の一葉に会いたい。会って、話しがしたい。
「だから……、だからお願いフェイトちゃん。 二人で一葉くんを……、私たちの友達を連れ戻そう」
貫くようななのはの叫びは、懇願するような震える声になっていく。だけど、その一言一言が熱を持ち、フェイトの胸に深く響いていった。
もう怖くない、と言えば嘘になる。だがこの少女となら、自分を一葉の友達だと言ってくれたこの少女と一緒ならば、自分が好きだった一葉にもう一度会えるかもしれない。
フェイトがなのはの手をとり頷こうとした時、凛然とした声がフェイトを制止した。
「申し訳ありませんが、あの二人の戦いを止めることは私が許しません」
リニスだ。音もなく歩くリニスは距離を置いてなのはとベヌウを冷たい眼差しで見据える。
その表情は硝子のように冷ややかだというのに、重く暗い空気がなのはとフェイトに圧し掛かった。
なのははこめかみに汗が吹き出て、息が苦しくなる。涼やかなはずのリニスの眼差しは透明で、見えない剣を心臓に突きたてられているような気がした。
これは穏やかなる殺意だ。躊躇いも、逡巡も見せないリニスの表情に、なのはは背筋に微かな電流が駆け足元が痺れ竦む気がした。
「この戦いはなくてはならないものです。 アゼルからはそこの白い少女に危害は加えなくともよいと言われていますが、そちらが戦闘に介入しいてくるというのなら話しは別です」
「ならば力で押し通しましょう。 そういえば、貴女にはまだ私の翼を地に墜としたお礼をしていませんでしたね」
土を擦り一歩踏み出すベヌウは、リニスを厳しい視線で睨みつける。そういえば、この二匹は一度だけ戦ったことがあることをなのはは脳裏に思い出した。
その際、ベヌウは空から墜とされていた。鳥として生まれてきたベヌウにとって、それは耐え難い屈辱だったのだろう。平坦な声の下には、憎々しい感情が見え隠れしていた。
だが、リニスはそんなベヌウの言葉に鼻で笑って答える。
「次はその達者な嘴を地面にめり込ませて差し上げましょうか? もっとも、今さら貴女たちが足掻いたところであの少年は手遅れですよ。 見ればわかるでしょう? 彼はもう、貴女たちの知っている少年ではない。 緋山一葉という皮をかぶっただけの、まったく別の存在です」
そして、今度はリニスの言葉にベヌウが挑発気に鼻を鳴らす。
「それは貴女の主と同じように、ですか?」
ベヌウの言葉に、リニスは一瞬だけ顔を強張らせた。
「なるほど……。 貴女はある程度のことまでは知っているようですね。 だとしたら、ここで消えて貰った方が都合がいいかもしれません」
瞬間、リニスの周りにターコイズブルーのスフィアが展開される。その数は八十其。鮮やかな青い魔力を静かに湛えるその矛先は、なのはとベヌウに向けられていた。
「リニス! 待って!」
フェイトがリニスとの間に割って入る。だが、リニスは淡々とした表情でフェイトを窘めるように口を開いた。
「待ちません。 そもそも、フェイト。 貴女はプレシアに命じられていた緋山一葉の捕獲を忘れていませんか? 私たちがそこの少女を足止めし、彼はアゼルに任せるのが最も堅実で合理的な方法です」
リニスの言葉に、フェイトは瞳に影を落とし端正な顔を歪めた。そしてなのはも、聞き流すことのできないリニスの言葉に、不安が射した。
「一葉くんの……、捕獲ってなに? フェイトちゃん、どういうこと?」
「それ……は……」
黒々とした疑問がなのはの中に滾々と湧き出てくる。その疑問は、なのはの胸を不安に締めつけた。
そうだ。なぜフェイトはここに居たのだろう?
最初から一葉と会う約束をしていた?兄を連れて?
だったらなぜ、フェイトの兄が一葉と殺し合いとも言えるような戦いをしているのだろうか。
偶然にしては都合が良すぎる。 ベヌウは先ほど、戦えば戦うほどに一葉が壊れて行くと言っていた。だったら、一葉を連れていきやすくする為に最初からアゼルと戦わせるつもりでフェイトが一葉を呼びだしたと考えることが普通ではないか?
気まずそうに視線を落として言葉を詰まらせるフェイトに、なのはが今まで見落としてきた疑問の欠片が、少しずつ集まり一つになっていく。例えそれが歪んだ形であっても、なのはがそれに気がつく術はない。
そんななのは達を置いてベヌウとリニスとの間にある緊張感はより鋭いものになっていく。
「既にこの世に存在しない主に仕えようなど、私の目には滑稽にしか映りません。 主が死んだ時点で使い魔は生命活動を停止させる。 貴女も、貴女の主もただの亡霊にしか過ぎないというのに……、その亡霊がいったいなにをしようというのですか?」
「亡霊……、ですか。 言い得て妙ですね。 確かに私たちは亡霊です。 この世に確かに存在するのに、決して生きてはいない存在。 触れることのできない霞みとなんら変わりはありません」
リニスはまるで自分を自嘲するかのように儚げに微笑む。
「しかし、霞とて夢は見るのです。 それが例え胡蝶の夢だったとしても、一度奪われた夢を再び見させてやりたいという夢をね」
瞬間、リニスが展開した球状だったスフィアは硬質な音を立てながら鋭い突起の付いた剛直な銛へと形質を変質させていく。
魔力弾を打ち出す砲台としてではなく、そのままぶつけてくるつもりだ。
一触即発の空気に、ベヌウも翼に炎を揺らめかせ炎の矢を展開する。緩やかな風に飛沫を回せる屋の本数は、その数百二十。
その切っ先は全てリニスではなく、リニスが展開しているスフィアの銛に向けられている。
「その夢は、なにもかもを犠牲にしてまでも実現させる価値はあるのですか? 貴女たちの事情までは知りませんが、私の目には貴女たちはあえて破滅の道を歩んでいるようにしか見えません」
「……アゼルのデバイスの名はイカロスというのですよ。 あれは私が作ったものです。 イカロスというのは蝋で固めた翼で空を飛び、太陽の怒りを買って地に墜とされた愚かな男の名前です。 なぜ私がデバイスに、そのような名をつけたかわかりますか?」
リニスの聡明な瞳が、哀しみに揺らぐ。
「鳥として……、空を飛ぶ者として生まれてきた貴女にはきっと永遠にわからないでしょうね。 翼を焼かれ、地に墜ちたイカロスの気持ちなど……。 なにもかもを犠牲にしてまでも太陽に手を伸ばすことさえ許されなかった、イカロスの悲しみなどね……」
リニスの声は、川面に立つ波紋のように広がる。そして宙に浮く魔力が凝縮され、雷鳴が彼方で轟くような緊張感が瞬間的に増幅し、弾け飛びそうになった時……。
「ストップだ!!」
空から突き刺すような叫びが空気を貫き、その場に居た全員が反射的に身体を硬直させた。誰もが見上げる視線の先には、アゼルと一葉の間に割って入る黒衣の魔導師の姿があった。
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