魔法少女リリカルなのは Broken beast   作:やまあざらし

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43!

  「お前が……ッ! お前があぁぁぁあぁぁ!!」

 

 燃え盛る列火のような感情を露にしたなのはの一撃は、アゼルの右腕を消し炭にした。

 肘から先を吹き飛ばし、残った箇所も赤黒く焼け爛れ、燻る煙には肉の焦げる匂いが混じる。さらに躊躇いなど微塵も感じさせない追撃の魔法は容赦なくアゼルに襲いかかる。

 取り囲む無数の桃色の誘導弾は、一つ一つは蛍火のように小さく脆弱な光しか持たないが、見た目には似つかわしくない破壊力を秘めていた。

 限界の密度まで凝縮された魔力の塊が弾けた時の威力は、魔導師の平均値であるCランクでも手榴弾程はある。

 なのは程の魔力を持つ人間が、非殺傷設定を解除した時の威力は論じるまでもない。人間一人塵も残さずこの世から消し去ることなど蟻を踏み潰すよりも容易い。

 

 しかしアゼルは怯えるどころか表情筋一つ動かすことなく淡々とした口調で口を開いた。

 

 「僕が? 僕がなんだって言うんだ? 僕が彼を殺したとでも言いたいのか? 言っておくがそれは違うよ」

 

 「うるさい!!」

 

 顔を紅潮させ涙も鼻水も拭いもせずに、なのはは咎を糾弾する被害者のような苦しみの声で叫ぶ。

 アゼルが一言、言葉を発する度、心が狂おしくざわめいた。

 もはや自分の中で暴れ狂う破滅的な衝動を抑えることもできず、アゼルの顔も心臓も、何もかもを切り裂いてやりたいと震えるほど願う。

 

だが、アゼルはその憎しみに満ちた眼差しに貫かれても、表情にも声にも脅えの色を微塵も出すこともなく、尚且つなのはを挑発する言葉を続けた。

 

 「彼を殺したのは君だ。 本当はわかっているんだろう? 君の存在が彼を追い詰め、そして死に追いやった。 君さえこの場にいなければ結末はもっと違うものになっていたはずだ」

 

 「うるさいッ! うるさいうるさいうるさいうるさい!! 殺してやる……ッ、殺してやる! 殺してやるッ!!」

 

 アゼルを取り囲む誘導弾の群れが膨張の予兆を見せ始める。誘導弾に圧縮された魔力の塊が凝縮する殻を突き破る為にエネルギーを昂ぶらせ、それは耳鳴りのような高い音の時雨となって周囲に響き渡る。

 それは死刑執行までのカウントダウンだ。

 辺りに展開された誘導弾の数は優に二〇〇を超える。その一つが弾け飛べば、全ての誘導弾が誘爆を引き起こし、ここにいる人間はなのはも含めただでは済まない。

 

 だが、それこそなのはにとってどうでもよかった。

 生まれて初めて感じる、眩暈がするほどの憎悪と殺意はなのはの感情を支配し、目の前にいる人間を殺すという明確な目的の遂行以外の思考を排除し、命を顧みることなど他の全てのことに対して盲目にさせていた。

 

 限界まで昂ぶりが達した誘導弾の爆発のタイミングは、もはやなのはの任意下にある。最後の引き金を引けば、辺りは一瞬にして焦土と化すだろう。

 そしてなのはは、その引き金を引くことに躊躇いを持つ冷静を失っていた。。

 

 「え……?」

 

 襲ったのは首の圧迫感だった。

 そして、目の前には血化粧をしたアゼルの顔。無表情な瞳の奥には、小さな苛立ちと怒りが揺らいでいた。

 

 一瞬、何が起きたのかわからなかった。いや、その無意識に視界に入る光景としては頭では理解できていた。

 アゼルを囲うように展開していた二〇〇を超える誘導弾が全て消滅し、三〇メートルは離れた場所にいたはずのアゼルが左手でなのはの襟首を締め上げ、吹き飛ばしたはずの右腕がアゼルの身体から伸びていた。

 

 “一瞬”という言葉さえ相応しくないほど、一瞬の出来事だった。まるで瞼を一回瞬かせた瞬間に、世界そのものが変わってしまったかのような感覚になのははアゼルの腕から逃れることも思いつかず、ただ戸惑いの声を漏らすことしかできない。

 

 「これからは命を大事にしろ、小娘。 彼の命は君が百回死んでも釣りの来るものだった。 こんな自分の命を投げ出すような真似二度とするな」

 

 苛立ちを孕んだ固いアゼルの声がなのはの耳に届くと同時に、アゼルは右腕を振りぬいた。

 ゴン、と重たい衝撃が頬骨に響き、痛烈な痛みが鼻先を貫く。

 

 「ぷぁ……ッ!」

 

 唇から空気が抜けるような間の抜けた声が吐き出されると同時に、口内と鼻から血が噴き出て鉄の味がなのはの中に広がった。

 バリアジャケットを纏っているとはいえ、なのははバリアジャケットの防御力のほとんどをアゼルを殺すための攻撃エネルギーに転換してしまっていた。

 殴打された頬の痛みは熱を伴い、ジンジンと広がっていく。

 

 痛い……、痛い……、痛い……。

 

 なのはは生まれて初めて顔面を殴られた。

 初めて知る激痛に、今にも泣き出してしまいそうになる。しかし……

 

 「スターライト……」

 

 一葉はもう、痛みを感じることさえできないのだ。

 

 Star right breaker.

レイジングハートにインストールされた、最強の砲撃魔法。怒り、憎しみ、殺意、その全てを起動させ、走査させ、レイジングハートの穂先へ集中させる。

 

 このまま吹き飛ばしてやる。

 絶対外すことのない零距離射撃。レイジングハートに走る魔力が勢いと密度が上昇させる。

 魔力によって軋みをあげる大気。穂先から収まりきらない魔力が滲み迸る。

 その魔力を自分の足元で爆発させようとした瞬間。

 

 「なん……で……?」

 

 まただ。

 装填した魔力を放出する寸前だったはずのレイジングハートが、確かに自分が持っていたはずのレイジングハートがアゼルの右腕にあった。

 まるでそれは映画のワンシーンが飛んでしまうかのような、時間が自分を取り残して進んでしまっているかのようであった。

 

 「口で言ってもわからない。 殴ってもわからない。 本物の愚か者だな君は」

 

 バチリ、という紫電の衝撃とともになのはの身体が弾ける。

 

 「アガ……」

 

 「しばらくは動けない。 拾った命を無暗やたらに粗末にしようとするな。 それは君のために死んだ彼への冒涜だ」

 

 駆け巡る電気の痺れに筋肉が弛緩して力が入らない。光の残滓が視界に張り付いて目が眩む。

もはや飛行魔法を維持することもできずアゼルの左腕一本に中にぶら下げられている状態になったなのはとレイジングハートを、アゼルはゴミを捨てるかのように放り投げた。

 

 「見逃すのはこれが最後だ。 二度と僕の前に姿を見せるな」

 

 電気による痛みは少なかった。心は荒ぶっているのに、身体は力を抜かれるような嫌な虚脱感に支配されただ落下していく。

 一葉は血の煌きで空に尾を引いたが、なのはは敗北の涙を空に煌かせた。

 

 ◆◆◇

 

 「アゼル……」

 

 一人空に残ったアゼルの横に、リニスが現れる。

 

 「……使い魔の方は?」

 

 簡潔な問いかけに、リニスは軽く首を頷かせ答えた。

 

 「バインドで簀巻きにしています。 アゼルの放った狂雷のおかげで隙を突くことができました」

 

 「あっそ」

 

 アゼルは冷淡な面持ちで下を見下ろすと、確かに視線の先にはリニスのバインドによって拘束され身動きが取れなくなったベヌウが地面に縫いつけられていた。

 新緑の双眸は忌々しげに濃密な殺意で貫き、アゼルを睨みつける。主を目の前で奪われた臣下の憎しみは、世界が闇に沈むかのような殺意となって喉元に絡みついてきた。

 

 「今さらだけどさ……、あれって本当に使い魔なのかね?」

 

 それは、アゼルが以前から抱いていた疑問だった。

 思い返すと、使い魔として扱うには腑に落ちない点が多すぎる。契約の時点で素体となった動物の体毛が変色することは決して珍しくなく、実際にリニスもアルフもそうだったから黒い羽毛は特筆すべきところではないが、ベヌウが単体として持つ魔力は術者である一葉を遙かに凌いでいる。

 それは使い魔を使役する上の魔法の性質上あり得ないことだ。他にも、頑なに素体の姿を維持し人間の形態にならないことや、魔法を発動する際に魔力を術者に依存しないことなど不可解な点が見受けられる。

 

 「それこそ今さらですよ。 あれが仮に使い魔でなくとも魔法生命体には変わりありません。 術者が死んだ以上、もう永くはないでしょう。 それよりも、アゼル。 結界の外から何者かが干渉を始めています。 おそらくは時空管理局の増援だと思いますが、このままここにいては面倒になります。 早く離脱しましょう」

 

 「ああ……、そうだね……。 それにしても参ったな。 母さんになんて言い訳をしよう

 

 

 口で言うほど、アゼルは辟易はしていなかった。

 アゼルの胸中を占めていたのは失望と落胆だ。

 だが、一葉を殺すということは過程であり目的ではない。アゼルは一葉の脅威という障害がなくなってしまった目的の遂行を淡々とこなすだけだ。

 

 リニスは足元に魔方陣を走らせる。

 迸る青い光の中で、アゼルは下にいる人間たちを一瞥すると、その光に溶けて消えていった。

 

 

 ◆◆◇

 

 

 「うぇっ……、うあぁぁぁぁっ……!」

 

 目の前に広がるのは悪夢のような光景だった。

 血の池に横たわる少年と、泣き叫ぶボロボロの少女。

 髪は乱れ、嗚咽に喉を鳴らし、血の混じる涙も鼻水も涎も拭いもしないで物言わぬ死体に縋りつく。

 鳴り止まない苦しみの咆哮はユーノの胸の奥に響いては、心臓を素手で鷲掴みにされてしまったかのような背徳が背筋にまで木霊した。

 

 「やだぁ……っ! こんなの……やだよぉ……っ!」

 

 血を吐き出すようななのはの叫びにも、一葉は反応しない。

 胸に突き刺さったままのアルデバランはまるで墓標のように、さながら緋山一葉という一人の人間の死を象徴しているかのようであった。

 

 「なのは……」

 

 ユーノは血溜まりに浸った少女を見て、近づくこともできずに茫然とその名前を零す。

 この惨状を作り上げたのは自分だった。少年を死に追いやったのは自分で、少女を悲しみに沈ませたのは自分だという絶望に耳鳴りがして、身体が焼けるように熱くなり、足が震えただ立っていることさえも困難になる。

 ただ、あの少年に危惧を抱いたということだけで自らの中にある道徳を鉄柵の中に閉じ込め、戦場の中で四肢の動きを封じるという恐るべき手段を取ってしまった。

抑えきれない悔恨と、このまま消えてしまいたいという虚しい祈りが胸の中でせめぎ合い、ただ草の上に尻を突きながら茫然と竦むことしかできなかった。

 

 「君たち……、少しいいか?」

 

 重たい空気に割り込んできたのは、クロノの憔悴した声だった。

 落下した時に打撲したのか、右腕を抱えながら足を引きずっている。バリアジャケットも所々が煤焦げて、微かに揺らめく煙をくすぶらせ砂塵に汚れていた。

 

 「あ……、あの……」

 

 ユーノは喉に声が絡んでうまく言葉にすることができない。泣きたいのか、喚きたいの、自分がいったい何をしたいのかすらわからずに戸惑っている様子を見て、クロノは申し訳なさそうに目を伏せた。

 

 「すまない……。 こういう時にどう声をかけたらいいかわからないんだ。 とりあえず、場所を移して落ち着けることころで話がしたい。 この結界を解除してくれないか? 彼の遺体……、DOA(搬送時遺体)も運ばなければならない……」

 

 「この結界を維持しているのは彼ではなく、私ですよ……。 執務官」

 

 ふと、クロノとユーノに影が差した。視線をやると、その先には翼を畳んだ黒鳥が透明な眼差しを二人に向けている。

 動きを封じていたバインドは、リニスが戦線を離脱したことによって解除されたのだ。

 

 「君は……」

 

 「私は……、どうしたらいいのでしょうか?」

 

 何かを問いかけようとするクロノの声に、ベヌウは言葉を重ねた。

 

 「わからないのです……。 数千年生きてきて、私は多くの主に使えてきました。 中には勿論、私の目の前で命を散らしていった者も少なくはありません。 それこそ……、仲間の裏切りによって命を落とした者もいます」

 

 裏切り、とういう言葉にユーノはビクリと身を震わせる。それでもお構いなしに、ベヌウは言葉を続けた。

 

 「人の命など、花の如くに儚いものです。 だからこそ命を臆病に守らず、むしろ風に身を任せ散って行く花のように自らの死を誇りとする者さえいました。 緋山一葉もまた、そういう人間だったことを私は解っていたはずなのに……。 なぜでしょうか……。 私は、貴方達二人が憎くてしょうがないのです……」

 

 瞬間、ベヌウの視線に圧が増した。

 黒い身体に炯炯と浮かぶ緑の双眸には殺意も、敵意も、憎しみさえもない。湧水のように滾々と湧き出る黒い感情をどうしたらいいのか分からない戸惑いだけが浮かんでいる。

 こんなことは、ベヌウにとって初めてだった。

 戦場に身を置く以上、主との死別は日常と言っても過言ではない。数十年寄り添った者もいれば、僅か三日で死別した者もいる。

 むしろ、天寿を全うした者の方が珍しかった。

 死によって主と引き裂かれることには慣れているはずだった。それでも一葉の死を嘆き、苦しんでいる自分がいる。

 それは、あの若さで命を落とした憐憫からくるものなのか、それとも破滅の道を歩み続けた結果として、悲劇に命の幕を下ろさなければならなかった同情からくるものなのか……、それさえもわからない。

 

 ベヌウの不穏な気配に、クロノはデバイスを静かに構えた。

 

 「もっとも罪深いのは私であると認識しています。 仮とはいえ一葉と契約を交わしておきながら、いざという時に無様に地に縛り付けられていたのですから。 しかし、一葉が死に至らしめた全ての原因を抹殺してやりたいという衝動が……、どうしても抑えきることができません。 アゼル・テスタロッサも、その使い魔であるあの女も……。 そして……、貴方方お二人も……」

 

 ベヌウが言葉を終えると同時に、暴風が吹き荒れる。

 

 「……ぐっ!?」

 

ベヌウが吐き出す魔力によって気流が乱れ、衝撃を伴う空気の塊がクロノを突き抜け小さなユーノの身体を吹き飛ばした。

 突風に足を踏ん張らせ、たたらを踏むクロノは反射的に瞼を閉じる。

 一瞬だけ閉ざされる光。そして、瞼を開いた時に目に入った光景にクロノは背筋の震えを禁じ得なかった。

 

 ベヌウの身体が燃えていた。

 翼も嘴も、身体そのものを黒い灼熱に揺らめかす炎の魔鳥。ベヌウが黒い炎を吐き出しているのではなく、炎そのものがベヌウであると錯覚させてしまうかのようでいて、その姿はあまりに威圧的であり神秘的でもあった。

 

 その光景に、ようやくクロノはベヌウが使い魔ではないと確信する。

 術者の少年が惜しげもなく駆使した、失われた時代の魔法。術者を凌駕する魔力と術者が死亡したにもかかわらず停止しない生命活動。そして、黒い炎を纏った異形の姿を目の当たりにして散りばめられていた疑問のかけらがようやく一つの解として形を為した。

 

 「護国……四聖獣……?」

 

 遥か太古、伝承でしか残らない歴史の中で聖王と共に古代べルカ王国の象徴として君臨したとされる最強のデバイス。

 数多の英譚や伝説に語り継がれる、失われた三機の内の一機。黒鳥のユニゾンデバイス、月の踊り子だ。

 

 「私の行いが貴方達にとって理不尽であるとは承知しています。 しかし、このまま何もせず良しとするのは私の誇りが許さないのです」

 

 一言、言葉を発するたびに嚇風が突き抜けるというのに、全身が見えない刃を突き付けられているかのように背筋が凍る。

 理性は伝説という知識に克服され、恐怖によって征服され、クロノは束の間に死を覚悟する。

 まさか、拾ったばかりの命をこんなにも早く落としてしまうことになるとは思いもしなかった。

 クロノは諦観と恐怖の震えにデバイスを手から滑り落してしまいそうになった瞬間、

 

 「一旦、鉾を収めていただけないかしら?」

 

凛裂とした声が辺りに響いた。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 現れたのは若い女だった。歳は二〇半ばから三〇前半……、しかし見た目通りの年齢ではないだろう。

 魔導師の源たるリンカー・コアは、その宿主が一定の年齢に達すると細胞の老化を食い止める特性を持っている。

 常に魔法を最善の状態で発動させるために、宿主の肉体を最善期に留めておこうとするからだ。

 ベヌウの前に姿を見せた女性は、その見た目にはそぐわない厳しい雰囲気を纏っていた。

 

 「貴方は……?」

 

 「申し遅れました。 私の名前はリンディ・ハラオウン。 役職は時空管理局提督補佐、次元艦の艦長を務めています」

 

 高い鼻梁と精悍な顔立ち。凛々しい美貌の顔を持つ女は厳格な面持ちでベヌウに名乗る。

 

 「次元艦の艦長……。 なるほど、そこの少年の上官ですか」

 

 「ええ。 できれば冷静に話し合いがしたいのだけれど……」

 

 「冷静、ですか。 困ったことに私は今非常に冷静なのですよ。 自分でも戸惑うほどにね」

 

 「ならば私たちに敵意がないことは解っているはずです。 私たちも、貴方達がジュエルシードに関与した経緯を把握しています。 ここで諍いを起こしても、どちらの得にもならないわ」

 

 「確かに私は冷静ですが、今の私が損得利害を勘定して動くとでも思いますか?」

 

 「動かない……、でしょうね。 私も身内を目の前で殺されたらきっとそうなるわ」

 

 大気が緊張に張り詰める。

そしてお互いが放つ無言の闘気が凄烈な魔力の渦となってぶつかり合った。

 

リンディはベヌウに勝利する気はなかった。

 ただ、一瞬。僅かでも隙を見出すことができればクロノを連れて直ぐにでも離脱するつもりだ。

 もし、この鳥がクロノの懸念する通り護国四聖獣の月の踊り子であれば、殺された少年の胸に刺さっているのは付属デバイスアルデバランだろう。

 二つのデバイスを確保できれば聖王教会には大きな貸しを作ることができるし、何よりも管理局として歴史的な大手柄となりクロノの出世の足掛かりにもなる。

 だが、それはリスクが大きすぎるどころの話ではない。

 肌にピリピリと伝播する魔力に乗るベヌウの殺意は、それがまったく別のものであると誤認してしまうほどに混沌としていて、深い奈落を覗き込んだ時のように背筋が凍った。

 こんな怪物を一人で相手にするのは、怒り狂った巨竜に素手で立ち向かうことに等しい。

 無言の意思が魔法となってぶつかり合おうとした、その時だった。

 

 空気の弾ける音が辺りに響いた。

 

 「なに……、これ……?」

 

 続くのは泣き枯れたなのはの困惑する声。

 その間にも空気が弾ける音が連続して続く。そして、その音が弾けるたびに一葉の身体は電流を流された時のように弾け浮く。

 

 ベヌウもリンディも、そしてクロノもその光景を息を飲んで見つめていた。

 その音の正体は、薬莢の吐き出される音だった。

 アルデバランに内蔵されたカートリッジ、一葉が使いどころが良く分からないと手つかずだった三十八発の魔力が込められた弾丸が次々に一葉の身体に撃ち込まれていく。

 

 それは、あり得ない出来事だった。

 アルデバランはストレージデバイスに分類される。術者の意思を介さずに作動することは設計思想としても構造上としてもあってはならないことに加え、月の踊り子の付属デバイスであるアルデバランがこのような動きを見せたのは途方もないほどの永い時間を共に過ごしたベヌウにとっても初めて目の当たりにすることで、誰もが視線を縫いつけられたかのように目を離すことができなくなっていた。

 

 最後の薬莢が撃ち出される。瞬刻の間を置いて、槍の形状を為していたアルデバランの柄に亀裂が入りガラスのように砕け散った。

 

 不意に、地面に魔法陣が浮かび上がる。それは古代ベルカ式の魔法陣。鮮血のようなピジョン・ブラッドの燐光が息絶えた一葉の下に紋様を描いていく。

 そして、空気が動き出す。

 砕けたアルデバランの破片が氷霧のような残滓を宙に引かせて、一葉の心臓の上に風を湧かせ、最初は微風にしかすぎなかったそれは、見る見るうちに旋風となって吹き荒れる。

 その激しい気流は、閉ざされた結界の中に居た魔力を持つすべての者に異常を与えた。

 

 最初は一葉に最も近かったなのはだ。

 桃色の光が身体から吸い取られ、バリアジャケットが強制的に解除された。そしてクロノ、リンディ、ベヌウでさえ纏っていた炎を旋風に攫われていく。

 

 「これは……」

 

 「一体、なにが……?」

 

 あからさまな異常にクロノもリンディも狼狽する。

 前触れもなく身体に圧し掛かる虚脱感。これは魔力が底を尽きた時に訪れる特有の倦怠感だ。バリアジャケットが維持できず、強制解除され丸腰となった二人の視線は、自らの魔力の行方へと向けられた。

 リンディの翡翠色とクロノのネイビーブルー、そしてベヌウの黒い魔力は激しい気流の流れに奪い取られ、その気流を根源たる何かに吸い取られていったのだ。

 それだけでは飽き足らず、その気流は大気に残っていた一葉自身の鋼色や、アゼルの金色の魔力まで回収し、底なしの沼のように貪欲に吸収していく。

 

 その魔力は彷徨するアルデバランの欠片とぶつかり合い、絡み合い、溶け合う。荒ぶる旋風の轟音は旋律となり、その中でピジョン・ブラッドの魔法陣が燦然と輝きを放つ。

 

 想像力とは知識と体験と常識を積み重ねて、冷めきった頭で処理する時に初めて生まれる。

 もはやこの場に居る誰もが知識と、体験と、常識に置いてきぼりにされて、この後になにが起こることすら想像することができなかった。

 

 一瞬の閃光。

 鳩の血のように赤い光が突き刺し、誰もが固く瞼を閉じる。

 そして目を開けて視界に入った光景を、誰が想像し得たであろうか。

 

 滔々と溢れる赤い魔力の残滓の中で、高町なのはに抱かれていた緋山一葉が穏やかな呼吸で眠っていた。

 

 「一葉くん……、息してる……」

 

 脱魂した声色で、なのはは呟いた。

 その言葉にクロノもリンディも、ベヌウも信じられない面持ちで一葉に駆け寄る。

 穴が開いていたはずの胸は生々しい傷跡が残っているが塞がっており、腹も微かにだが上下運動が行われていた。

 それでも呼吸は浅く、顔は血色の失った土気色をしていて身体も冷たいままだ。おそらく、失われた血は戻っていないのだろう。

 どの道、このままでは危険な状態だ。

 

 僅かに弛緩した空気の中で、なのは越しに一葉をのぞき見るリンディが口を開いた。

 

 「一旦休戦にしましょう。 人命が最優先だわ」

 

 

 ◆◇◆

 

 

 空が暗い。それは夜の帳が下りたせいではなく、月が太陽を隠したせいだ。

 藍墨色で彩られた空に浮かぶ金環の光を翠屋のテラスから見上げる二人がいた。

 

 高町桃子と、緋山亜希子だ。

 皆既日食を望む為に多くの人が海也海浜公園に足を運んでしまったため、翠屋が閑散としたタイミングを見計らったかのように亜希子がぶらりとやってきたのだ。

 

 見上げる空は、街を張り巡る電線がやや目につくが十分に広い。翠屋は商店街を抜けた静観な住宅地に立っているため、周囲には高い建物がないためだ。

 贅沢を望まなければ、日食の観測はここからでも満足に行える。甘いものが苦手な亜希子は滅多なことでは翠屋にまで顔を出さないが、案外ミーハーなところのある亜希子は金環日食を狙って翠屋に来たのかもしれないが、きっとそれだけではないだろう。

桃子が亜希子の横顔を覗くと、亜希子は丁度口から煙草の紫煙を吐き出していた。

 

 「相変わらずいい吸いっぷりね」

 

 桃子が手にしていたコーヒーで唇を濡らしながら言うと、亜希子は空から視線を外さないまま僅かに口角を釣り上げた。

 

 「もはや迫害されても信仰を貫いた殉教者の気分なのよね。 値上がりの波濤にも私は負けないよ」

 

 「それは結構だけど、翠屋は禁煙よ。 今すぐ火を消しなさい」

 

 桃子の言葉に、亜希子は一瞬だけぎょっとして表情を強張らせる。

 

 「……テラスって喫煙可じゃなかったけ?」

 

 「いったい何年前の話をしてるのよ? 翠屋はなのはが生まれた時に全面禁煙になりました」

 

 「くっ……、嫌煙家の侵略がこんなところにも……。 あんたらは私たちを苛めてなんか楽しいのか……?」

 

 忌々しげに苦言を吐きながら、亜希子はポケットに入れていた携帯灰皿を取り出して加えていた煙草を押し込んだ。

 その様子を見て、桃子は呆れたように息を吐きながら言葉を続ける。

 

 「そろそろ煙草やめなさい。 百害あって一利あるものでもないし、一葉君が遊びに来る時も制服に染みついた煙草の匂いが目立つのよ。 それに……、今日は病院に行ってきたんでしょう?」

 

 「ん……、んん。 まあ、頃合いを見て……ね?」

 

 桃子の指摘に亜希子は言葉を濁す。

 桃子は亜希子と十年来の知り合いで、お互いが子供を持っても本音で話せる貴重な友人でもあるがどうしても亜希子の喫煙嗜好だけは許容できなかった。

 亜希子が煙草を吸うとき最大限の気を使っていることは理解しているし、今だってわざわざ風上から風下に移動してから火をつけのだがやはりどうしても匂いが気になってしまうのだ。

 それを差し置いても、亜希子はつい先週から大学病院への通院が始まったばかりだ。亜希子の身体を心配せずにはいられないのだが、この様子だとしばらくは喫煙を続けそうな感じだった。

 

 「まったく……、珍しく翠屋まで来たと思ったら……。 で、なにか話があるんでしょう?」

 

 「お、流石。 察しが良いね」

 

桃子の尋ねに、亜希子はどこか嬉しそうに朗らかな笑みを刻む。

 一児の母となっても少女らしい垢ぬけない所がある亜希子だが、このようないつも通りの変わらない様子のままとんでもない爆弾を放ってくることが多々あった。

 長い付き合いの中で、桃子は多少の耐性がついてはいたが、亜希子から話しを持ちかけられるときはそれでもどこか身構えてしまう部分もある。

 それが亜希子の魅力の一つと言ってしまえばそうなのだが、桃子は軽く溜息を吐いた。

 

 「恭也君ってさ、近いうちに忍ちゃんと結婚するんだよね?」

 

 「ええ、大学を卒業したらね。 話しって結納のこと? まだ2年近く先のことよ」

 

 「んー……、あのさ。 未来のお母さんから忍ちゃんに家の子にちょっかい出すの止めるように言って欲しんだよね」

 

 「ごめんなさい。 全く話が見えないんだけど」

 

 亜希子の言葉に対して、桃子は狼狽や困惑を通り越して本当に訳が分からず拍子抜けた。忍が一葉にちょっかいを出す理由に心当たりがないし、忍はまだ若いが相当の人格者だ。

 子供に手を出す姿がどうしても想像できなかった。

 

 「いやさね、最近さ……」

 

 「お、ちゃんと綺麗な日食になってるね」

 

 亜希子の言葉に声を被せながら、士朗が店の中から出てきた。

 ディナーの仕込みが終わったのだろう。手にはコーヒーとクッキーなどを載せたお茶受けを持っていた。

 

 「丁度いいや。 士朗さんも座って。 というか、士朗さんも一枚噛んでんでしょ?」

 

 「えっと……、何の話しをしてたんだい?」

 

 着席を促す亜希子に従いながら、士朗は空いているテラスを椅子を引っぱって来て腰を下ろす。その表情には穏やかな笑みを張り付けているが目が笑っておらず、桃子は士朗と亜希子の間に不穏な気配を感じた。

 

 「最近忍ちゃんのお仲間がうちの周りをうろちょろしてるって話し。 この間もさ、なんか怪しいことやってたから全員簀巻きにして海に放り投げてきたんだけど、そん時士朗さん遠くから様子見てたよね?」

 

 亜希子の指摘に、士朗は表情は崩さなかったが内心ではぎくりとした。

 士朗は一葉が夜の一族について気が付いたということを忍から既に連絡を受けて知っていた。そして、夜の一族側……、主にさくらを中心として動く連中が一葉の身柄を確保することを主な目的として動いている。

 それが決行されたのは二日前。結果として失敗に終わったが、その原因は全て亜希子の手によるものだった。

 

 二日前、夜の闇に乗じて一葉の捕獲を試みようと夜の一族の中でも隠密活動に長けた人狼族の精鋭16名、その全員が亜希子一人の手によって再起不能に陥った。

 全員が四肢の骨を粉々に砕かれていて、戦士としての復帰は絶望的だそうだ。

 

 息子の婚約者の家、娘の親友の母親という板挟みの立場におり傍観者に徹さなければならなかったが、士朗は500メートルも離れていたビルの屋上から双眼鏡越しに見ていた姿に戦慄した。亜希子はそんな士朗の存在に気が付いていたのだ。

 

 士朗が亜希子と初めて出会ったのは十年前のことだ。

 幼馴染の親友が、ある日突然連れてきて婚約者として紹介された。当時、亜希子は15歳で一葉を既に身籠っていた。

 その時、士朗は腹を膨らませた身重の少女に対して、薄々と堅気でない雰囲気を感じ取っていたのだが、歳月を経てその直感が正しかったと証明された。

 

 言葉に詰まる士朗の代わりに、桃子は自分の頭に浮かんだ疑問を桃子に投げかける。

 

 「待って待って待って。 話しの脈絡がおかしいことになってる。 どうして、その怪しい連中がいきなり忍ちゃんの仲間になってるのかしら」

 

 「だってそいつら、忍ちゃんと同じで人間じゃなかったもの」

 

 亜希子は表情一つ変えずに、さらりと爆弾を投下した。言葉の爆発の衝撃に、桃子も士朗も表情を青白く凍りつかせる。

 

 「多分、一葉がそのことに気が付いたから忍ちゃんがどうにかしようとしてるんじゃないの? あの子、嘘はうまいけど誤魔化すことに関しては私も不安になるぐらい下手糞だからね」

 

 「人間じゃないって……。 亜希子さん、それはいくらなんでも忍ちゃんに失礼じゃないかな。 それに、亜希子さんは二日前? 僕が見ていたっていうけど、僕にはそんな記憶はないんだけど」

 

 「下手な誤魔化しは男を下げるよ、士朗さん。 私だって何も考えないで喋ってるわけじゃない。 士朗さんと桃子を信用してるからこそ、こうしてお願いしに来てるんだ。 あの子には色々あるし、もしかしたら今はあの子にとって大事な時期なのかもしれない。 だから、しばらくは放っておいてほしいんだ」

 

 言葉の最後の方こそ要領を得ないものだったが、士朗は嘘や誤魔化しが通じる相手ではないと改めて悟る。

 亜希子は普段は雲のように奔放で掴み所がなく、振る舞いは軽薄に思えるが、その裏腹ではいつだって思慮深く物事の真贋を見極めたうえで常に打算的に動いている節があった。

 今回だってそうだ。

 口にした“信用”という言葉はあながち嘘ではない。亜希子は今その信用を利用しているだけなのだ。

 

 亜希子は士朗に苦痛をちらつかせている。

 人間は時間と空間の条件の内で、はっきりと苦痛を意識させられる。それは例えどんな苦痛にしろ、与えられた側は自らに非がないとしても自らの罪業の結果として悔い改めようとするものだ。

 若い頃から傭兵職を生業としてきた士朗にとって、それは特に顕著だった。

 

 苦痛を通して罪を意識し、その過ちを正すことによって苦痛を回避しようとした。そして過ちを正せば正すほど手にする苦痛は少なくなり、代わりに幸福が多くなった。

 士朗にとっての幸福とは今の生活であり、家族であり、桃子だ。

 その桃子を目の前にして、亜希子は今後の士朗の行動によって苦痛を与えようとしている。二日前の晩、士朗の存在に気が付きながらも必要以上の暴力を見せつけたのも、その苦痛に帰結するものだろう。

 

 「私も一葉も、忍ちゃんたちのことを何かするつもりも言い触らすつもりもないよ。 私は忍ちゃんのこと好きだし、すずかちゃんのことだって好きだから今の関係を壊したくはないんだけどね……、今後一昨日のようなことが続くようだったらこっちも付き合い方を考えないってことを二人から伝えてもらった方が角が立たないと思うから協力してくれない?」

 

 亜希子の表情も声の起伏も変わらない。変わらないからこそ不気味だった。まるで恥辱に表情を歪ませながらも喜劇の化粧で面を偽り誤魔化す道化のように、十年来の親友を引き出しに息子の身の安全を謀ろうとする心理は、きっと心の内では恐ろしいほどの感情が複雑に錯綜しているに違いないというのにその表情からなにも察することも汲み取ることもできない。

 それはまるで意識と肉体が切り離されているかのようで、理性を意識し、理解し、故意に剥離することによって自我の理性の法則を自在に制御することのできる人間なのだと感じた。

 きっと亜希子は足を自切する昆虫のように、取捨の選択を躊躇わない。それは外聞や概念にとらわれず、時間が積み重ねた友愛や思慕も例外ではないのだろう。

 

 桃子はそのことに気が付いていない。むしろ、事の経緯は一葉よりも忍側に非がある分、詳細を聞いたら道徳と倫理を徹する桃子のことだ。間違いなく一葉の側に付き庇護するだろう。

 これはもはや脅迫だ。威圧や暴力で脅しにかかるヤクザよりも性質が悪いかもしれない。

 

 士朗が言葉に窮していると、突然亜希子のジーンズから明るいポップ調の音楽が流れた。

 英語の歌詞のそれは亜希子の携帯電話の着信音だ。

 

 「ごめん、電源切るの忘れてた。 ちょっと出てもいい?」

 

 「え? ええ」

 

 亜希子は携帯電話を取り出しながら桃子に了承を取ると、ディスプレイを見て眉を寄せた。

 表示している番号は登録されていない、見たこともないものだった。

 

 「もしもし、緋山亜希子の携帯ですが」

 

 通話ボタンを押し携帯電話を耳に当てる。すると、聞き覚えのない若い女性の声が受話器を通して聞こえてきた。

 

 『突然のお電話申し訳ございません。 私は海鳴警察署少年係の竹下と申します。 そちらは緋山一葉君のお母さまでよろしいでしょうか?』

 

 「そうだけど、警察がなんのよう?」

 

 『落ち着いて聞いてください。 お子様が事件に巻き込まれて重傷を負い病院に搬送されました。 大至急保護者の方にお見えになってもらいたいのですが……』

 

 耳を打つのは、本来ならば取り乱し声を震わせるべき案件なのだろう。

 だが亜希子は臆する様子もなく、冷静に納得した。

 

 「そういう連絡は警察からしないよ。 あんた管理局の人間でしょ?」

 

 『……ッ!?』

 

 受話器越しからでも、無言の動揺が伝わってきた。言葉に窮する女性に、亜希子はさらに言葉を続ける。

 

 「動揺しすぎだよ。 オペレーターとしてはまだまだ半人前だね。 それよりも家の息子の身柄預かってんでしょ? 迎えに行くから場所指示してちょうだい」

 

 『……わかりました。 30分後に海鳴海浜公園の広場でどうでしょうか?』

 

 「了解。 今から向うわ」

 

 困惑や疑念を押し殺した震える声で提示した案に、亜希子は二つ返事で了承した。

 亜希子は通話を切り、携帯電話を再びジーンズのポケットに戻すと申し訳なさそうな表情で軽く頭を下げた。

 

 「ごめん、こっちからこんな話し振っといてあれなんだけど急用が入っちゃった。 続きはまた今度ってことで、それまでに桃子は士朗さんから詳しい話しの経緯を聞いておいて」

 

 「わかったけど……、警察署から電話って……。 もしかして一葉君に何かあったの?」

 

 一葉の身を案じる心配そうな声色で尋ねる桃子に、亜希子は席を立ちながら肩を軽くすくませて困ったような笑みを浮かべた。

 

 「警察を騙ってただけだよ。 ただ、ちょいと昔の知り合いでね。 切れたと思ってた縁ってのは思わない所で繋がってるから本当に性質が悪いよ」

 

 桃子にではなく、まるで諦観の独り言を吐き出す。

 去り際の亜希子の眼には痛みのような、決意のような、切ない光が浮かんでいた。

 

 桃子は海鳴海浜公園へと向かい小さくなっていく亜希子の背中を見送りながら、隣に座る士朗に不穏な声色で声をかけた。

 

 「で、士朗さん。 勿論詳し~いお話しを聞かせてもらえるのよね?」

 

 思春期の少女のように見惚れる笑みを浮かべる長年連れ添ってきた妻に、士朗は戦慄を禁じ得なかった。

 

 

 ◆◇◆

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