異能者の日常~知人のキャラを添えて~   作:黄昏翠玉

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第10話 くすんだ白と機人教官

「ガンカイザー!」

「む。ようやく気付いたか」

 

学校終わりに緋炉騎を訪ねてきたのは唯一とイチ、アキ、紅陽、優の5人だった。

唯一の事情を知っているのはイチとアキだけのはずだが、と思いつつも、学校が始まってはや2週間、コミュニケーションが得意なイチの傍に居り、尚且つ紅陽と優もコミュニケーションが得意なことを考えると、仲良くなるのは早かったかとも考えられた。

 

(いや、そもそもあいつらの場合は晃とも仲が良かったか)

 

ふとそんなことを考えて、緋炉騎は振り返った。

後ろについてきた5人のうち、4人は困惑している。当然であろう。紅陽と優は緋炉騎の事情を、イチとアキはおそらく唯一の事情を知っている。だがここに何らかのかかわりがあるとはあまり考えつかなかったはずだ。

 

「ガンカイザー、どこかで話しましょう」

「いいだろう、射天唯一。日和に寄る。来い」

 

日和。

晃の家である。

 

「晃さんの家、ってことは」

「あー、もしかして射天も教官と同類なのかな? マスター神性あったよね?」

「ああ。そーいうことだろうな。飛ぼうぜ」

「おっけ」

 

優と紅陽の会話を聞けば、どうやら日和に連れて行ってくれる気らしいことが窺えた。

 

「そんなことできるんです?」

「こいつ基本は軍隊戦に向いてるからなぁ」

「ちょっと紅陽、勝手に俺の異能言いふらすのやめてよ」

「言いふらされたって問題ねーくせによく言うぜー」

 

唯一は首を傾げつつ、イチが手を取って緋炉騎も手招く。6人で固まれば、一瞬で日和の前に飛んだ。

 

「……は?」

「ついたぞー」

「え、一瞬ですね。テレポートじゃなくて、今のは輸送ですか?」

「うん。大体500人くらいなら送れるよ。入ろうか」

 

優と紅陽は慣れたもので、日和のドアノブを回した。

からんころんとベルが鳴る。中には金髪の男が居り、カウンターに4人座っていた。

 

「おや、いらっしゃい」

「おや、ダリット。久しぶりだね」

「父上、いくら何でもダリットと呼ぶのはよろしくありません。この国に不可触民などいないのですから」

「しかしアルジュナ、事実奴に固定の名はない。一貫した呼び名があっても構わないと俺は思うが」

「気にすんなってことだろ」

 

それぞれ、マスター、黒髪の男、アルジュナと呼ばれた少年、晃、誠の台詞である。

 

「あれ、イチとアキじゃないか。ついてきたのか?」

「はい、誠姉さん。唯一が、音風教官と話したいと言ったので」

「知り合いなんだろうなとは思ってたんだけどね」

「「ここなら気兼ねなく話せるでしょ(う)?」」

 

緋炉騎がこの2人からもうすら寒いものを感じたのは言うまでもない。

勘がいいのかこの世界の人間は。

 

「……ガンカイザー、もしかしてマスターさんたちは知っているのか……?」

「ああ。彼らは全部知っている。特にマスター殿たちはな」

 

カウンター近くのテーブルにイチとアキが移動する。誠と晃がそちらへ移動した。

緋炉騎と唯一はカウンターの席に着く。紅陽と優は2人掛けの席へ向かった。

 

 

 

 

「――つまり、2人には面識があり、音風教官は完全にこの世界の部外者である、と」

「はい」

「ああ」

 

ざっくりと唯一と緋炉騎は自分たちの軌跡を語った。

唯一はかつて強大な力を手にしていたこと。そこでの家族もいたこと。力を得た経緯の詳細は省こうとしたが語っていなかったことを誠につつかれたせいで話す羽目になった。

 

元の家族を皆殺されてその復讐に走ったこと。復讐を終えても何も得られなかったこと。家族は戻ってこなかった。その先で一緒にいてくれた義姉たちや相棒のこと。そして自分がこの形でいるのなら、最後の瞬間人災であろう事故に巻き込まれて死んでしまった皆もこちらに来ているのではないかと考えているということ。

 

緋炉騎の方はうまいこと躱しつつ事実だけを淡々と述べた。もともと機械生命体であったこと。その特性故に放浪しやすくしょっちゅう異世界へ渡ること。軍人だったこと。故に殺しに慣れていたこと。紅陽のせいで余計なことまで語ってしまったが、本人に悪気が無くて怒るに怒れなかった。

 

「父よ、ここまで知っていたのか」

「ああ、まあな。カルナよ、何も伝えなかった父を許しておくれ」

「俺が父を許すなど。俺は構わない」

 

晃は小さく頷いて、マスターを見る。すべてを見通す父を尊敬しているからこそであろう。

誠はしかし、と呟く。

 

「緋炉騎先生が唯一と知人じゃねえかっては思っていたが。まさかマスターたちと組んでたとはな! 道理で情報が入ってこないわけだ!」

「ほう、探っていたのはお前か、城山誠」

「だっておかしいだろ、試験運転にしてももう5年。アンタをプロトタイプで通すのはちょっと無理があると思っていたところでね。雷華も何も言ってこねえし」

 

そこに疑問を持ったのか、と黒髪の男が呟く。

なるほど、盲点であった、と。

 

「あと、自我のあるAIなんてのがいたらそれこそやばい代物だ、緋炉騎先生捕まっちまうぞ。ここの中枢はスーパーコンピュータに処理を任せているからな、どっかのAIが入っただけで一発終了レベル、よってそれが軍事慣れしているとバレたら解体要求が起きるだろうな」

「カモフラージュが必要だな。こいつ単騎ではハッキングできないとか、そこら辺の理由付けが必要だ」

 

男は納得したようにいろいろと考えをメモに書き込み始めた。

晃が口を開く。

 

「ふむ。ところでバレた場合は戦争になりそうな勢いで話をしているがどうなる?」

「戦争に決まってんだろ。しかも最初に出るのはジャッジメントだ。俺たち確実に緋炉騎先生と戦う羽目になるぞ」

「それは困る。緋炉騎師には教えを受けた恩がある」

「言うと思ったぜ! だが俺とイチとアキは逃げられん。日向と欠月もだめだ。身分保障がジャッジメント経由だし、俺はもともとマークされてるからな。――つーわけで、何かカモフラージュの案を出してくれ。強さはよく知ってるだろ」

 

まったく厄介なやつだとマスターは愚痴りつつ、皆がいつも注文するジュースかコーヒーを出した。

 

「戦いたくなければ案を出せ、か。神殺しがある以上我々も戦いたくはない。誓約のこともあるが、しかし俺達では人間の考えは分からぬ。ヴィシュヌめがつい3000年ほど前に痛い目を見ていたのでな」

「……さっきから気になってましたけど、あなた人間じゃないんですか?」

 

唯一が問う。マスターがどこか人間離れしているのは知っていたが、この男も同類だろうか。

 

「ふははは。吾が人間とな。戯言を。だがまあ、ここまで隠し果せたのはなかなかというべきではないか、()()()()

「そうだな、()()()()。お前の出力にしてはよくここまで保ったと思うぞ。我ではどうしても光輪を隠すこと叶わぬ。カルナとて然り、ここは日輪への信仰が残る土地であるが故」

 

話し方が少し変わったな、と緋炉騎は思った。

 

「え、神様? しかもインドの」

「なんじゃ、我らも日本には来ておるわ」

「帝釈天くらいならば聞いたこともあるであろう? 日天は知らんがな」

「このクソ爺貴様!」

「「「えええええええええっ!?」」」

 

複数の声がした。

目を見開いているのは優、誠、唯一である。

 

「なんだ、誠は分からなかったのか?」

「神様仏様なんざ信じてねえよ……あー、カルナ、カルナね。晃はガチモンのカルナで鳴神さんはアルジュナか? 道理で核戦争レベルになるわけだ俺の異能効くんだやっべえな自分が化け物に思えてきたわ!!」

「吾が一番驚いたからね? 思いっきり暴れられる環境を作れる方がいらっしゃるのですとかアルジュナが宣った時の吾の気持ちわかる? パーシュパタって寄越したのシヴァだよ? 何発も撃てるっておかしくない? 砂場が爆散とか聞いてですよねってなったのに訓練室一個壊さずすっきりした顔でただいまって言ったアルジュナ見た時の吾の気持ちわかる?」

 

ということは、とマスターことスーリヤが緋炉騎を見る。

 

「チェイもやはり神性持ちか?」

「異能の方にだけ、な。世界形成に必要なものなのだろう、俺に彼女は傷つけられなかったぞ」

「ならばよい。あれは権能の範疇を越えたもの。おそらく我とインドラの住居の中央付近にあるため影響が色濃く出て昇華されてしまったものだろう。あれの兄の異能もかなり強力だったしな」

「……これ以上神性を付与して回ってくれるな……!」

 

緋炉騎の悲痛な叫び。

頼むからこの辺で静かにくらしててくれ。

 

「……で、代案の件だが、なんかあるか」

「はーい、僕の案は、今年の夏休みにバージョンアップと称して音風先生が学校から消える。2学期の初めに戻って来る」

「時間稼ぎできそうだな」

「はい、俺の案は、架空の研究所なら潰れたことにする、実在してるなら研究費を打ち切られたことにする、です。これで次の機体が出てこない理由になるのでは?」

「いいな、それ。他には」

「はい、私の案は、製作者が研究所を抜けたことにするというものです。現在はそちらの学校の校医がメンテナンスを行っているそうではありませんか。その方が制作者であるということにしてしまうか、その方の親が作った機体であるということにしてしまえば余計な詮索はされないのではないでしょうか?」

「えええええガンカイザーのメンテ誰がやってんだあああああ」

「校医の儚巻(はかまき)(メイ)

「いろいろとボロボロですけど!」

「こちらにある物資でやりくりするしかないのだから仕方あるまい! これ以上ボロを出すわけにはいかんのだ!」

 

こちらの世界にガンダリウム合金はない!

 

この日、彼らは一応意見をまとめ、緋炉騎について報告をしていた紅陽に後を任せて解散となった。

 




ガンダムは知ってるがスパロボは知らぬ(´・ω・`)
楽しいけど。かっこいいけどぉおぉおおお!
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