異能者の日常~知人のキャラを添えて~   作:黄昏翠玉

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お久しぶりでーす。誰も読んでいない前提であえて言おう。伏線とはどう敷くものだったかな。


第11話 くすんだ白と魔法使い

「無事に書類を提出してくれたようで何よりだ、日向紅陽」

「いえいえー、俺もうちの親戚の研究所出してたんで。それに事業縮小で機人からは手を引いてますし、マジ丁度良かったんすよ」

 

紅陽と緋炉騎がそんな言葉を交わし合い、それぞれ行くべき方へと足を踏み出した。

 

 

 

 

唯一は目の前で組み手をしているイチと紅陽を見ていた。

イチは唯一たちの中でも強い部類に入っており、尚且つ自身の力を非常によく理解していた。一定以上の能力を見せないことを心掛けていると言っていた。狙われたくないからね、と唯一に言っていた。その結果、唯一もイチが何を隠しているのかはよくわかっていない。

 

紅陽の方はとにかくぶっ壊れ能力だというのが分かった。

自分でステータスの振り分けができる換装体を纏う能力。

敵に合わせ放題である。

 

その有用性が分からない唯一ではなかった。

 

何せ()()()()()()()()()()()()のだ。

その能力はそうそう生まれるものではないのだろうと思った唯一だったが、案外ありふれていると聞いて驚いたものである。

 

おそらくではあるが、完成形が紅陽なのであろう。通常は単純に肉体への効果付与型と換装型がおり、これらの複合相乗型が紅陽であるらしかった。

 

ランクが低いのはありふれているから。

個人の強さを測る星の色は黒である。

 

「星の色っていくつあるんだ?」

「10段階だよ。上から、金、銀、銅、青、赤、緑、紫、黄、黒、白」

「日向って詐欺でしょ?」

「うん、詐欺だよ。大会に出ないように逃げ回ってるからね! おかげで俺も白のまんまさ!」

 

黒星、白星はジャッジメントの強制命令以外に従う必要が無いんだ。戦闘経験がないってことの証でもあるからね。

 

優の答えに唯一は納得する。

隣にいるアキに問いかけた。

 

「誠さんって何色?」

「誠姉は銀だよ? ちなみに晃さんは金ね」

「トップクラス……」

「その分ジャッジメントから最初に仕事が回って行っちゃうけどね」

 

アキの答えにまた納得する。

実力者を最初から向かわせる、実に合理的である。

 

「その分誠姉たちの休日はあってないようなものだけどね」

「誠さんの休日を奪う問題を起こすとは……許さん」

「いや、誠姉が断れないやつ半分くらいお前の乱闘騒ぎだからね?」

「なぬ!?」

 

唯一とアキの掛け合いにくすくすと優と紅陽が笑った。イチが少しばかり面白くなさそうにふん、と鼻を鳴らした。

 

 

 

 

イチと唯一がともに買い物に出かけた。

普段はなんだかんだあまりしゃべらない2人なのだが、こと夕食に関してはかなり盛り上がる。

 

「もうだいぶ暑くなってきましたし、冷やしうどんにでもしますか?」

「そうですねー。卵はあったので、海苔を刻もうかな」

「おつゆも少なめでしたね。買っていきましょうか。アイスも買いましょう」

「そうだな」

 

他にもあーだこーだと言い合いながら買い物を始めた2人は、うーん、とカートに乗せたカゴの中の荷物を見て、改めて誠の存在の便利さを感じたのだった。

 

「誠さんって買い物にものすごく便利な力ですよねー……」

「同感ですけど、貴方似たようなことはできないのですか?」

「できますけど、ものすごく大量に魔力を使います。ええ、やったことあるんですよ。すごいですよ、体積を小さくして尚且つ重さを比例させて軽減するでしょう? 俺の場合元素の数をそのままにして元素の大きさを更に小さくしてしまうので調整を間違うと物が消失します本当にそれは勘弁してください」

「た、大変なんだな……」

 

思わずと言ったふうに唯一はイチに言葉を返した。

 

「……え、それじゃもしかして誠さんってものすごく規格外なんですか?」

「銀星になってるのに何を今更。あの人はグループとしてはBランクですけど、あの能力規模はSランクなんですよ? すごいじゃすまされない人なんです」

「えー……誠さんいつも『買い物に便利』しか言ってないぞ……?」

「それ以外なんて晃さんと白斗さん止めるときくらいですよ」

 

日用品も買い足して、唯一がふとSNSを開けば家族グループのところに『今日は早めに帰れそうだ。晩飯と風呂よろしく』と誠から送られてきていた。『わかりました』と唯一が返すと、晃から『今晩は父が出るらしい。一度そちらへ戻る』とメッセージが送られてくる。

 

「晃さん戻って来るそうですよ」

「マスターどこか行くんですね」

「そうみたいです」

 

2人は結局晃の分まで買っていたので問題はない。さっさとマイバッグに荷物を詰め込んだ。

 

「軽量化はできるんですけどねー」

「消費魔力が多いって言ってますけど、どれくらいなんですか?」

「そうですね、全力疾走でフルマラソン走ったくらいじゃないですか? 身体能力強化とか一切なしで」

「うわ……」

 

荷物を詰め切って、軽くイチが指先を振れば、2人が手分けして持った荷物は軽く感じられるようになる。

 

「便利だよな……」

「実際に筋肉は使わないといけないですから、強化ばっかり使わせてますがね。あなたの場合しっかり鍛えてないと死にますからね。鍛えてないホムさんほど脆いものはないので心していてくださいよ」

「わかってる」

 

何だかんだでこの居候先の弟となっている少年が優しいことを唯一は知っている。

苗字を同じにしない理由は特にないと聞いている。たぶん何かあるが、それはまあ、気を許してこちらに言ってくれる日がくればいいやくらいに思っているだけだ。

 

帰りましょう、と言って、2人はゆっくりと帰路についたのだった。

 

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