異能者の日常~知人のキャラを添えて~   作:黄昏翠玉

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第6話 くすんだ白と白銀

高校生活の開始と同時に、唯一はその身の上を調べられていたと知った。

まず、周りの生徒達がかなり気を遣ってくる。

むしろハブられないだけマシですよとはイチの言葉である。

 

「それ持てる? 大丈夫?」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

たとえば、女子に気を遣われるとかなり気まずい。

特に、荷物持ちに関して。

 

ホムンクルスは能力培養のための強化がなされていることが多く、肉体自体の強度はほぼ皆無に等しい。故に筋力も無くひょろりとしていて、エネルギー源も魔法系統の能力者頼り。そんな事実を突きつけられた時は一時間ほど畳の上を転げ回った。

 

元々唯一の力はこんなモノじゃなかった。

生まれは普通だったがトラブルに巻き込まれてなんだかんだといろいろやっているうちに力を持ち寿命も失い友人たちを得てまた喪い。

そしてループまでした。我ながらよくわからないものである。

 

ともかく、今現在の彼は非常にパワーダウンしている。もうどうすることもできない。

ホムンクルスにしては出力があると誠は言ったが、それでもせいぜいシールドバッシュとパイルバンカーの扱いには問題がない程度であり、あまり武装すると法に触れると言われてしまえば武装を解くしかなく。

 

生きにくい世界だなあと呟けば、戦争でもするの? とアキから問われてしまった。

要するに、普通の生活から離れすぎていて、本当に普通の生活に戻ってきた途端、おかしな人判定を食らった気分なのである。

 

つらつらとそんなことを考えながら席を立つ。

放課後になるのが早いのは、案外普通の世界の生活が楽しいからだろう。

ほぼ同時に銀髪の少年が教室を出る。

 

このクラスメイトは欠月(しづき)(スグル)といい、武器が鎌という珍しい点で唯一と接点がある生徒である。

体育の名目で能力系統や武器適性を見られたのだが、白い髪、鎌を使う、などで彼は目立っていた。

 

鎌はレンジがそこまで広くないのであまり使うなと言われていた唯一としては、それでも使うやついるんだなあという感想を抱いたが。

 

「あれ、今日こっち?」

「ん?」

 

はた、と唯一は気が付いた。

家の方向は逆だ。

校門を出て左に曲がらねばならないところを、右に曲がった模様。

 

優は青い瞳で唯一を振り返って見ていた。

ぼんやりしていたら前を歩いていた優の後を追いかけてきてしまったらしい。

 

「あっちゃあ、ごめん、逆だ! ボーっとしてたからついてきてしまったようだ!」

「あはは、意外と君、抜けてるよねえ」

 

唯一が踵を返そうとした時、優が少し辺りを見渡して、肩に手を置いた。

 

「ちょっとそこのコンビニまで行かない?」

「……構わないけど」

「じゃあ、行こう」

 

優は、そこのコンビニは焼き鳥がおいしいのだ、と話を振ってくる。あまり話したこともない相手ではあるが、武器が同じような適性があったことで組まされたので、大体他の全く接点のない生徒よりは彼のことを知っている。

 

――あまり、悟らせてはくれないタイプだが。

 

それでも話していて悪い相手ではない。

彼の能力は名を聞いただけではよくわからないものでもある。

 

コンビニに足を向けた2人はゆっくりと自動ドアをくぐる。いらっしゃいませとアルバイトらしき若い女の声が掛かってきた。

2人で飲み物コーナーに足を向けて、人がいないことを確認する。

 

「……で? 途中で私も気付いたけど、つけられてた?」

「うん、君の核に寄って来たんじゃないかな。はぐれだよ。こっちには結構いるんだ」

 

何の話をしているのかというと、ホムンクルスの話である。

 

ホムンクルスは魔法系統の異能者が作る結晶によってその身体を保っている。ホムンクルスはすべてこの核を3つ持っており、どんなホムンクルスもそれは変わらない。たとえどんな非合法下で作られたとしても核を3連結にしているのは、今のところ一番うまくエネルギー供給ができているためであろう。

 

「てことは、私狙い?」

「うん。それに、ずいぶん核を換えてないでしょう? 劣化して魔力が漏れてるんじゃないかな」

「そんなことまでわかるんだな」

「あ、皆には言わないでね。血統主義に巻き込まれたら面倒」

 

全く、彼の異能もチートというべきであろう。

何で自分のスペックはこんなに落ちてるんだよと唯一は独り言ちる。最近特にそう感じているのでどうしようもない。唯一の周りにはハイスペックが多い。

 

「というか、核って換えるのだな」

「知らないホムンクルスは多いよ。だって逃げられちゃうからね」

 

スポーツドリンクを2本手に取って、優は迷わず菓子コーナーへ足を運んだ。

 

「機人も狙われるから、教官も大変だろうね」

「機人の教官って、プロトタイプ? って言われてるみたいだな」

「あれは……そう、だな。たぶんあれはそんな可愛いものじゃないと思うけどね」

 

優は適当にいくつか菓子を取ってレジへ向かう。

精算を終えて商品を受け取った優は「行こう」と唯一に声を掛けた。

 

「あ」

 

コンビニを出れば、駐車場にきちんと形を保っていないホムンクルスが這い寄って来ていた。白っぽいふよふよとした何か。

 

「本当に来てる」

「この子はもう核を入れ替えても助からないけどね」

「そんなのあんの!?」

「気を付けた方がいいよ。3つある核を使い切ると死んじゃうからね? ホムンクルスの細胞は強制的に魔力で繋いでるんだから、無茶しちゃだめだよー」

 

足元まで辿り着いたホムンクルスは、そのままふわりと金色の粒子を放ち始め、何も残さず消えていった。

 

「……今のが?」

「うん。この辺はこんな感じだよ」

 

優はそう言ってふと、スマホを取り出し、あ、と小さく声を上げた。

 

「?」

「……マジかー……」

 

優は息を吐いて、事情が変わっちゃった、と笑った。

 

「ごめん、一緒に行かせて?」

「え、どうした」

「俺今友達の家に下宿させてもらってるんだけどね、そこの人皆ジャッジメントとか公安とかの人なの。今日皆出動してるみたいだから、どっか泊まらせてもらえって」

「そう、なのか」

 

あてはあるのか、と問おうとして、唯一は止めた。

なぜなら、今の唯一の住んでいる場所はそもそも家主が女性である。

いくら男ばかり住んでいるとはいえ、家主が女性であるのに無関係の男子を連れて行くのは恐らくアウト。

 

「どの辺に行く気なんだ?」

「んー、知り合いというか、まあ、先輩の家がカフェのはずなんだよね。そこに行こうかなと」

「……その人、まさか髪白くて目が青い」

「あ、知ってるの? 日和先輩」

「……」

 

今一緒に住んでます、は、言っていいのだろうか。

 

「まあ、ほら、あそこのマスター、基本的に来る者拒まず去る者追わずのタイプだし。問題ないよ」

「そうか。まあ、頑張れ」

 

ホムンクルスがこれ以上寄ってくる前に立ち去ろうということになり、2人はもと来た道を戻っていった。

 

ちなみにだが、この日、晃は「ならば俺は一度戻ろう」と言ってカフェ日和に戻っていった。着替え等の荷物を忘れて行ったが特に誰も追いかけなかったので、翌日大学で随分ぶかぶかな父親のパーカーを着ている彼を拝めたのだが、それについては脇に置いておく。

 




思い付きのキャラと設定がいろいろあるキャラとフェイトのクロスオーバーみたいな状態になりつつあるこの話……。
フェイト好きやもん仕方ないもん←
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