ハヤト「はい!セイヤッ!ドラァ!!」
中庭にサンドバッグの叩かれる音と彼の叫び声が響き渡る。トレーディングというより、どこか八つ当たりのような荒々しい打撃だった。
アキオ「討魔降臨!」
突然魔力の塊がハヤトに襲いかかってきた。それに気づいたハヤトは紙一重でその魔力をかわした。行き場を失くした魔力は校舎に向かうが、それをミラが打ち消す。
ハヤト「随分と荒々しい挨拶だな。流石姉さんってところだな。」
アキオ「お前も相変わらずいい反応してるな!アタイの奇襲を交わすなんてな」
ミラ「体毛をレーダーに変性させたのですね。だからあのような交わし方が出来たのでしょう。」
ハヤト「バレてたか」
そう言うと3人は微笑をした。
ハヤト「オレを説得に来たんだろ?何を言っても無駄だぞ?」
ミラ「まだあの件を引きずっているのですか?だから学園長の誘いを断ったのでしょう?」
それを聞かれ、ハヤトは突然沈黙した。そして暫くして口を開いた
ハヤト「忘れる訳ねぇだろ!あの…アイツらのオレにやったことを。リリス先生を見てると疼くんだよ、この左肩の傷が…」
~学食にて~
食事を囲みながらリリス、リーゼ、アリン、ユイそしてレヴィがハヤトについて話をしていた。
リーゼ「ねぇさっきの話の続きなんだけど、彼は一体何をしたの?」
リリス「…」
レヴィ「ここも自分が説明するするっす。彼、才河ハヤトのアーカイブは「強欲」テーマは「変化」、魔術は「変性術」っす」
ユイ「私と同じだー!でも変性術って初めて聴いたかも」
リリス「変性術は使い手の少ない魔術ですからね。体、物質を別の性質、性能へと変化させる術ですが、その威力の弱さから使い手がほとんどいないのです。」
レヴィ「ハヤトさんは、アラタさんが来る3か月前に突然学園の前に現れたらしいんすよ。その当時は自分の過去が無かったようで、それを見た学園長が保護をしたんす。そしたら彼にも魔道の才能があると見て編入させたんすよ」
アリン「彼は真面目だったわ。授業も真剣に受けて、私やレヴィ、アキオ先輩とミラ先輩、リリス先生にも自分から魔道のレクチャーを受けに来たわ。」
レヴィ「でもそれが全てアラタさんが来たことですべて変わったんす。自分で言うのもアレっすが自分たちはアラタさんに付きっきりになり、彼の相手をすることがほとんど無くなったんすよ。いわゆる嫉妬っす。
そして、アリンさんの起こした魔王因子の暴走、その時に沢山の生徒が消えたのを覚えてるっすか?あの時彼は無事だったんすが、その時に記憶の一部が蘇ったみたいなんす。」
~中庭にて~
ヤハト「オレは目の前の同級生が消えていくのを見て何かが頭の中に浮かんだんだ。オレは以前、この光景を見た…何も出来ない自分の無力さを実感したんだ。そして、あの崩壊の根源が春日アラタだと聞いて無性に腹が立ったんだ。」
ミら「初めて私とアキオがアラタさんにあった日ですね。あの時は私も彼に腹が立ちました。あのような不浄な魔力、この学園に残すわけにはいかないと…」
アキオ「あの時は本当に惜しかったなぁ。後一歩で一発食らわせられたのにユイの妨害で透かしてしまったんだよなぁ。でその事件と、アラタが来て以降の件が重なったアレをやらかしたんだったな。」
~学食にて~
ずっと黙っていたリリスが重い口を開いた。
リリス「そして模擬戦の授業の際、それは起きました。アラタとハヤトさんの対戦の際、彼はアラタに術式の展開の間を与えることなく奇襲をかけ、鋼鉄に変性した拳で何度も何度も殴りつけました。周りの教師も止めに入りましたが、今度は髪の毛をミサイルに変性させ近づく事すら出来ませんでした。そして私が…彼を止めるために彼を撃ったのです。威力を弱めたのですが…それが彼の左鎖骨の下に当たり、大量出血を起こして瀕死の重傷を負ったのです」
レヴィ「左鎖骨下静脈、そこは人間の大きな血管の一つ。そこに傷が入れば大量出血は免れないっす。最悪即死も有り得るっす」
ユイ「あの時お兄さんもかなり大変な怪我をしたんだよ…私の重唱術ですぐには良くなったけど。私はハヤトくんを許せなかったから彼には何もしなかったの。」
リリス「幸い一命を取り留めましたが、学園長から言い渡されたのは「無期限停学」でした。それを学園長室で言い渡された彼は、私の声掛けも無視して学園を去りました…」
リリスの顔は今にも後悔で押し潰されそうな顔をしていた。
アラタ「んなの、オレは気にしてもいないんだけどなぁ」
リーゼ「あっ、ダーリン!来たのね」
アラタ「話は少し聞いたぜ。アイツ帰ってきたのか。ま、オレはアイツに憎まれても仕方なかったし、オレは別に気にはしていないさ。」
アリン「…難しいのね」
レヴィ「相変わらずの懐の大きさっすねアラタさん。」
~中庭にて~
アキオ「でもハヤトが学園をし出た理由は修行の為だろ?だからあの街でアタイらと偶然会って、前とは見違えるくらいの力を出した。違うか?」
ハヤト「それを言ったところでオレはお前達から許してもらえるとは思っていなかった。そして春日とリリス先生も許す事は出来なかった。自分の蒔いた種とはいえ、認められなかった。自分の愚かさ、無力さ、変わらなさ。だからこそ一人で「変化」を探求したいと思ったんだ。」
ミラ「その旅の中であの師匠に出会ったのですね。それが今の貴方の強さの一つとなり、変性術の弱点を補うことになった。」
アキオ「なら今がいいチャンスじゃないか!」
ハヤト「チャンス?」
首を傾げた
アキオ「アタイと大将はお前を認めている。他のトリニティセブン、リリス先生とアラタを見返すためのチャンスが今回だって言うんだよ!だから、お前の実力をリリス先生の横で、見ているアラタの前で見せ付けて驚かせりゃ向こうも考えを変えるだろう!」
ハヤト「…」
ミラ「それに、貴方は魔道研究発表大祭で出現した終焉魔獣を一人で何体も倒した程の実力ですよ?自信を持ってください。」
そして暫く黙っていたハヤト。突然中庭を抜け出し学園長室へと向かう。
アキオ「決心がついたようだな。こりゃ特訓に付き合わねぇとな。な、大将」
ミラ「ええ。」
そして学園長室の扉を勢いよく開いて入る
学園長「来ると思っていたよ、ハヤトくん」
ハヤト「学園長オレ出てやるよ、そのトーナメントに!そしてオレは自分がどこまで変われたのかを確かめてやる!」
学園長「その言葉を待っていたよ。よし、決まりだ!今回の代表は浅見リリスと才河ハヤトとする!」
こうして埋まることが難しい溝を持った二人が頂点を目指す戦いが始まろうとしていた。
~リベル学園にて~
マスターリベル「どうやらビブリアの方では代表が決まったようだな。二人とも、勝つ自信はあるか?」
ルーグ「当機は3番目に強いので」
ツトム「自分、そんなの気にする程緊張しないので」
~アカーシャ学園にて~
アナスタシア「今回は君とチームを組もうと思っているんだけど、出てくれるよね?」
リュート「お前が望むなら、オレはお前の望むままにする」
そして、同時にそれぞれの学園、無所属の魔道士も動き出し始めたのだった
続く
今回ハヤトの魔道、過去について触れました。書庫とテーマについては原作の設定とは外れているかも知れませんがそこは…欲がないから変わらないという解釈でお願いします。
そして別の学園で出てきた新キャラ「工藤ツトム」と「月代リュート」それの活躍も今後期待して頂きたいです!
次回は、リリスとハヤトの特訓スタート!