トリニティセブン〈混沌と強欲の特異点〉   作:porion

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師匠の言葉とハヤトの真意

リリス「もういい加減スタンドプレーはやめてください!」

リリスはいつになく荒々しい声でハヤトに言った。

今日の2回戦もまた、ハヤトのスタンドプレーによりリリスは何も出来ず勝ち進むことになった。

 

ハヤト「勝ったんだからそれでいいだろ!オレはオレのしたいようにしているだけだ!お前につべこべ言われる筋合いは無ぇ!」

両手におにぎりを持ちながら反論をする。

流石にハヤトの態度に堪忍袋の緒が切れてか更に声を荒らげた

 

リリス「何で分からないのですか!この大会の意味、チームの意味を」

 

ハヤト「分かってねぇのはお前の方だろうが!」

突然声を荒らげて机を蹴飛ばす。その声は怒りと同時に悲しみすら感じる声だった。流石のリリスもそれに感づいてか言葉を失う。

 

リリス「ハヤトさん…」

ハヤト「もういい。お前と話しても無駄のようだな」

そう言ってハヤトは控え室を出ていった。リリスはただその場で立ちすくむことしか出来なかった。

 

~廊下にて~

???「よう、順調に勝ち進んでいるようだな」

初老の男がハヤトに声をかけた

 

ハヤト「アンタは…師匠か!久しぶりだな。」

師匠、そう彼こそがハヤトに格闘術を指南した師匠だ。ハヤトは学園を出た後に彼の元で修行をしていた。だがその素性は謎に包まれており、ハヤト自信も名前すら知らない。

 

師匠「お前また腕を上げたようだな。だが、あまりにも乱暴で単独戦闘にしか目を向けていない。あの娘にも言われたろ、この大会はチームプレーも見られると」

 

ハヤト「あぁ、それは分かっている…分かっているさ…でも…」

師匠「相変わらずお前は素直ではないようだな。まぁ、それがお前の良い部分でもあり、悪い部分でもあるからな。仕方ない」

 

ハヤト「で、オレにそんな話をする為に来たんじゃねぇんだろ?」

何かを悟ったように師匠を見つめて壁にもたれかかる。

 

師匠「おっと、そうだったな。ハヤト、どうやらこの大会には何か裏があるぞ。それも、只の陰謀ではない。」

 

ハヤト「陰謀?なんだそれは」

師匠「それはオレにもまだ詳しくは分からない。だが、ただ事ではないのは確かだ。ハヤト、力は蓄えておけ。」

ハヤト「あぁ。忠告ありがとな。」

 

師匠「では、明日の試合も楽しみにしているぞ。」

そう言って師匠は観客席の方へと向かって行った。

 

ハヤト「陰謀…それだと尚更オレはアイツに無理はさせられねぇじゃねぇか。」

 

~大会3日目~

第3回戦が始まっていた。

今日もまたハヤトは1人で2人を相手に戦っていた。彼の動きは俊敏で常に相手の正面を取る動きの為、リリスは無闇に手出しができなかった。そう、下手すればまたハヤトを傷つけるかもしれないからだ。

 

C「チッ!またコイツか!邪魔だな!失せやがれ!」

捕縛術式を展開した。だがその捕縛すらハヤトは巧みに交わして間合いを詰めて殴りかかる。しかし連日繰り広げられたハヤトのワンマンショー、彼の動きは対戦相手たちにはもう読まれていた。それでもハヤトは1人で挑みかかる。荷重をかけた拳、そして補助の為に使う変性術、師匠から学んだ格闘術。それが彼の最大の武器であり、勝ち筋であった。だが、そのスタンドプレーには必ず綻びが出てくる。

D「そこだ!」

強大な魔力が放たれた。それはハヤトではなくリリスの方へと向かう。

 

ハヤト「リリス!」

リリスの名を叫び、足をジェットエンジンに変性させリリスの前へと立った。そして硬化を全身にかけて、リリスに向かってきた魔力を全て受け止める。

 

リリス「ハヤトさん!」

リリスの掛け声も虚しく、ハヤトは圧力に耐えられずに壁へと吹き飛ばされる。そして壁に日々が入り、大量の砂埃とハヤトの血が舞った。

だが、砂埃が突然CとDの方へと向かって行く。ハヤトは自分の血と砂埃をS極の磁力を持ったものへと変性させていた。そして、その砂埃は2人を包み込み、中心へと追い込んだ。

 

ハヤト「オラァ!!」

雄叫びをあげながら体にN極の強力な磁力を纏わせ、一気に砂埃の中にいる2人の方へと向かう。

 

C「なんも見えねぇ!どこにいやがる…はっ!」

Cが見たものは、火を纏った両腕を伸ばし迫り来るハヤト。強力な磁力が引き合う力は強力であり、彼らに回避、術式の展開をする余裕すら与えなかった。

 

ハヤト「炸裂腕斧(エクスプロード・ラリアット)!」

ハヤトの両腕はCとDの喉を捉えた。そして、周りには大量の粉塵がある。そう炸裂腕斧とは、炎を纏った腕でラリアットを食らわせ、更に粉塵爆発を起こして相手を焼き尽くす捨て身のオーバーキル的な大技だった。

この爆発とラリアットを喉仏に受けた2人は声も出せずにそのまま倒れた。そこに立っていたのは、咄嗟に硬化をかけて爆発のダメージを和らげたハヤトだけ。

 

審判「両者戦闘不能!勝者、ビブリア学園!」

 

その審判の掛け声の後に会場が歓声に包まれた。そう、ハヤトはここに来て初めて術式にて勝負を決めたため、観客のボルテージは上がった。

その歓声の中、突然ハヤトは呻きながら倒れる

 

ハヤト「ウグッ…グゥワァァ!!」

リリス「ハヤトさん!しっかりしてください!誰か担架を!」

 

~医務室~

 

ユイ「あちゃ…これは呪術の1つのようだね。」

リリス「何とかなりませんか?」

ユイ「ここはユイにおっ任せー!」

 

そう言うとユイがバイオリンを演奏し始めた。ユイのバイオリンの音色には解呪の作用があり、次第にハヤトの表情も楽になってきた。

 

アリン「それにしても、何故突然彼はリリス先生を庇ったのかしら。」

リーゼ「そう、不思議よねー。いつもは1人で突っ走ってリリス先生のことなんかそっちのけなのに」

アリン「難しいのにも程があるわ」

 

リリス「しかし、何故なのでしょうか。私にも理解が出来ません。彼のお陰て私は無事で済みました。しかしどうして私なんかを…」

 

ユイは演奏をしながら不敵な笑みを浮かべた。

 

ユイ「なら、ハヤトくんの夢の中を覗いてみよー!強欲の書庫に接続!テーマを実行するよー!」

メイガスモードに姿を変えたユイはその場にいるリリスとリーゼ、アリンをハヤトの夢の世界へと誘った。

 

 

~夢の世界~

 

ここはハヤトが見ている夢、そして過去の記憶が投影される場所。

リリス「これは…全てハヤトさんの記憶なのですか。」

そこにはハヤトの辿ってきた過去、そして彼の心が映画のように映し出されていた。学園の前に現われた時から今までのが…そこに

 

「なんでオレは素直じゃねぇんだ…オレはリリスに怨みなんか持ってねぇのに…オレはただ…どうケジメをつければいいか分からねぇ、それだけなのによ…」

 

ハヤトの大会前の記憶が投影された。そこには意外な一言があった

 

リーゼ「ケジメ?もしかして彼はリリス先生に迷惑をかけたことに対してどう償えばいいか考えていたの?ならちゃんとリリス先生の言う通りにすればよかったのに」

 

アリン「待って、続きがあるわ」

 

そう言うとまた別のシーンが流れる

 

「今のリリスは万全とは言えない。なら、オレがアイツの調子が戻るまでやるしかねぇ。オレはこれ以上アイツに無理はさせたくない。まぁ、今のオレがそんな事言っても信じてはもらえねぇけどな…」

 

彼は分かっていたのだ。リリスはまだ全力を出せる程の魔力が戻っていないことを。確かに代表に選出される程の魔力はある、だが優勝出来るかと言われれば保証は出来ない。勝つ為にはリリスの力が必要、ならば自分がボロボロになってでもリリスをフォローすると覚悟を決めていたのだ。それが償いになると信じて…

 

リリス「ハヤトさん…アナタは私の事を気遣ってスタンドプレーを、そしてこんなにもボロボロになって…それじゃあ意味がないじゃないですか…私は確かにまだ万全ではありません。どうして私は気付こうとせずにあんなに言ってしまったのでしょう…でもこんな私はでもアナタの助けにはなれたはずです。」

 

ユイ「へぇー、ハヤトくんって本当に素直じゃないんだねぇ。もしかしてリリス先生の事が大好きなんじゃないのかなぁ〜。」

 

アリン「旦那様とは真逆。男心って難しいのね」

 

リーゼ「もしかして先輩達はこの事を知っててあえて言わなかったのかしら?先輩達は先輩達で意地悪よねぇ」

 

そして、最後のシーンにて

 

「師匠の言っていた陰謀…一体何なんだろうな。」

 

…………………………………………………………………

 

一方その頃、会場では奇怪な事件が起きていた。出場魔道士が魔力を吸い取られ次々と意識不明になるという。

そこには魔力の痕跡が残っておらず、誰が犯人かも特定が出来ないようだった。

 

大会組織委員「会長、4回戦出場予定のチームが4つも棄権をせざるを得ない状況になりました。どう致しましょう?」

 

そこには会長と呼ばれる机に肘をかけて座っている男がいた。彼がこの大会を主催した人物であり、大会組織委員の最高責任者である。彼の表情は何の揺らぎも無くごく自然であった。

 

???「そうか。これでは大会が成立しないな…仕方ない。残ったチームで大会を続行するしかない。次がひと足早いが準決勝になる、各チームに連絡をしてくれたまえ。」

 

 

大会組織委員「はい、すぐに連絡をします。」

 

組織委員が会長室を出ていった。すると主催者は突然立ち上がり窓ガラスの前に立つ。

 

???「計画は順調のようだな。魔力もまだ充分とは言えないが、儀式の準備が終わるのも時間の問題だ。後は何の障害もなければ全て終わる…そう、全ては計画通り!ハッハッハ!」

不気味な笑い声が室内に響く。

 

~医務室~

 

ユイによるハヤトの夢の投影は終わり、ハヤト以外全員が目を覚ました。そこに

 

組織委員「ビブリア学園チームへと通達があります。突然ながら次の試合が準決勝となります。」

 

リリス「なんですって?!どういう事ですか?」

 

組織委員「事情は申し訳ありませんが説明は出来ません。ただ、これは決定事項につき変更は出来ません。」

 

リリス「それで、次の対戦相手は?」

 

組織委員「リベル学園チームです」

 

その場の空気は一瞬にして凍り付いた。これは最悪の通達だった。今ハヤトは重傷を負っている状態、その中で強敵との対決。これには全員が敗北を悟ったようだ。

 

リリス「そんな…まさか次がリベル学園なんて…」

 

ハヤト「何今更弱気になっているんだ!」

 

通達を聞いてかハヤトが突然目を覚まし声を上げた。

 

ハヤト「まさか、棄権するなんて言わないよな?負けるなんて考えてねぇよな?」

リリス「正直勝算は圧倒的に低いです。今のアナタでは…」

 

ハヤト「馬鹿にすんじゃねぇ!オレはやる。絶対に優勝してやる!だから負けるなんて言うんじゃねぇ!」

 

ハヤトは拳を壁に当てながら叫んだ。その言葉の一つ一つには勝つことへの覚悟が篭っていた。

 

リーゼ「…彼は本気みたいよ。流石に何も言い返せないわ」

 

リリス「そうですね…分かりました。私はアナタを信じます、ハヤトさん」

 

意外な言葉にハヤトは動揺した。突然顔を赤くして目を逸らした。そしてまた布団の中に入る。

 

ハヤト「飯、持ってきてくれ。(こうなったら奥の手を次に使うしかないようだな)」

 

ユイ「(もしかして次はアレを使うのかなぁ?楽しみだなー)」

 

 

~リベル学園控え室~

 

ルーグ「当機は次は余裕で勝てると思います。才河ハヤトは満身創痍。スタンドプレーすら出来ないでしょう。」

 

ツトム「まぁな。確かに自分達なら今のアイツらを倒すのは簡単だ。だが、簡単に殺られるようでは面白くない。まぁとりあえず楽しむとしようぜ、ノリノリでな!」

 

ルーグ「ノリノリ…では当機も容赦なく本気でかかるとします。」

 

ツトム「(さーてハヤトッチ、どう楽しませてくれるかな。)」

 

波乱の中大会3日目は幕を下ろし、4日目の準決勝へと時は進む

 

 

続く

 




ハヤトはツンデレでした!みたいなw
まぁ、薄々感づいていた人はいたでしょう。
次はまさかの準決勝、そして何かしらが動き始めて、彼の師匠も出てきて…今回はかなり忙しい回になりましたね。

次回はついに準決勝です!ツトムもバリバリ魔術を使うので是非ともそこも楽しみにしてください!
それでは!
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