グレムリン「マスター・レグルス。何故貴方がここに」
レグルス「久しいなグレムリン。まだお前…いやお前達は懲りていないようだな。」
ハヤト「師匠、アンタ何を話しているんだ?コイツは知り合いなのか?!」
レグルス「ちょっとした因縁だ。」
この2人は初対面では無かったようだ。レグルスは鋭い目付きでグレムリンを見据えていた。
学園長「煉獄の獅子、まさか彼が動いていたとはね」
マスター・リベル「煉獄の獅子…お主まさか」
学園長「そう、そのまさかだよ」
アナスタシア「煉獄の獅子、マスター・レグルス。彼がハヤトくんの師匠だったとはね。これは面白いね!」
リュート「…煉獄の獅子?なんだそれは」
リュートは力が抜けた体を何とか起こしながらアナスタシアに聞いた。
アナスタシア「マスター・レグルス。風間レヴィとルーグを含めた世界で五本の指に入る近接格闘の実力者だよ。彼は圧倒的な炎とその拳であらゆる魔道士、魔物を圧倒してきた最強クラスの魔道士の1人さ。噂では十二魔将の1人を後一歩まで追い詰めたと聞くよ」
煉獄の獅子。その名を聞いて彼を思い浮かべない魔道士は居ないと言われる程の存在。彼は幾つもの街、人の命を己の拳と操火術〈パイロコンダクト〉のみで救った、いわゆるヒーロー的な人物だった。
その名前に意識を失いかけていたリリスたちも反応した。
リリス「マスター・レグルス。貴方がハヤトを鍛えていたのですか。それならハヤトの戦闘能力の向上は納得できますね。あの短期間でここまでの成長を実現するには、それに見合った師が必要ですからね…」
アキオ「こりゃ驚いたわ…ハヤト、お前の師匠はこんなにもヤバいヤツだったのか?」
ハヤト「師匠…まさかアンタがこんなにも有名な人だったとはな…正直驚いたぜ。てっきり弟子を置き去りにする最低野郎だと思っていたぜ」
レグルス「お前の成長、その為に必要な選択だった。許せとは言わぬ。でだグレムリン。貴様は混沌図書館を目覚めさせて何をしようってんだ?」
グレムリン「無論、我らの計画の実現です。貴方もよく知っているでしょう」
レグルス「あぁ、知ってるとも。だからお前に焼きを入れてやろうって事だ。」
レグルスは強く拳を握り締め、いつでもお前をぶん殴ってやれると言わんばかりの闘志を燃やしていた。
その闘志はハヤトを含めたその場の全員にも伝わっていた。
グレムリン「面白い。では計画の前座として貴方を抹殺するとしましょうか。行きなさい、竜の眷属よ!」
グレムリンの一声と共に2体のリザードマンがレグルスに襲いかかった。だがレグルスは動こうとはしなかった。
ハヤト「師匠!何やってるんだ!逃げろよ!」
レグルス「逃げる?お前は誰に言っているんだ?」
その一言を残してレグルスは瞳を閉じた。そしてリザードマン達が振り上げた剣が当たろうとした刹那、レグルスは瞳を開いた。その瞬間、レグルスの体から膨大な熱気が放たれる。その熱気はリザードマン達を後ろへと後退させ、同時にその皮膚を焼き尽くす炎を起こした。
もがき苦しむリザードマン。その炎を消さんと身体中を掻き毟る。
グレムリン「流石というべきでしょうか。ここまで強化したリザードマンを覇気だけで焼くとは。ですが、これ位で倒せるとでも?」
グレムリンは再びリザードマン達に手をかざして、リリス達から奪い続けている魔力を送り込む。するとどうだろうか。リザードマン達はもがくのをやめて再び方向をし、その筋肉量を増やした。
そして、急激な魔力消費で苦しむリリス達
リリス「キャァァァ!!また…力が…」
ハヤト「おい!しっかりしろ!…テメェ!」
グレムリン「ハハッ!素晴らしい!これがトリニティセブンの魔力ですか!貧弱だったリザードマン達がここまで強化されるとは!」
レグルス「お前、トカゲらを回復させたのか。しかもまた強くなりおって…キリがない」
ハヤト「師匠、アイツはリリス達から変な刻印を通して魔力を奪って、それをこいつらに与えているんだ!まずそれを何とかしないと…」
ハヤトの叫ぶような一言を聞きながらレグルスは少し余裕そうな笑を浮かべていた。
レグルス「そうか、刻印か。カラクリが分かったのなら話は早い。オレの弟子が世話になっている礼だ。一瞬熱いが少し我慢してくれ」
余裕の笑みを浮べながらレグルスは昨日のハヤト同様左手を上に上げて指を鳴らした。
ミラ「…?!何ですかこの熱は…」
アキオ「熱っ!!刻印の部分が…」
リーゼ「…これが燃えるような熱さという訳ね」
~アリーナの外~
ジュデッカを振り敵を倒しながらながらアリン達の異変に気づく。
アリン「熱いわ…」
アラタ「っておい!お前達大丈夫か?!手が燃えてるぞ!」
聖「この炎は…火を操る力〈操火術〉の炎。それもただの炎ではありませんね…」
外でも同じ異変が起きていた。刻印の打たれた手が突然発火した。そしてその炎の中で刻印が少しずつ薄れていき、ついにはその跡すらも残さず消え去った。
レヴィ「いやぁ~、これは予想外っすねぇ」
ユイ「ヤッター!変なのか消えたよー!!」
~アリーナにて~
リリス「炎が刻印を消した…そんな力見たことがありません…」
レグルス「無事に消えたようだな。」
マスター・リベル「本物を見るのは初めてじゃの、煉獄の炎を」
グレムリンは悔しそうな表情を浮かべていた。
グレムリン「クッ…よくもわたしの刻印を!小癪な煉獄の炎め!」
煉獄の炎。それは罪と悪を焼き尽くす裁きの炎。天国と地獄、その中間に位置すると言われる断罪の世界「煉獄」、その炎を操るのは容易ではないはず。だがレグルスの放った炎はまさにその煉獄の炎であった。そうでなければこの奇跡は起こせないだろう。
ハヤト「アンタ…やはりヤバい魔道士だったんじゃねぇか。サンキューな!」
レグルス「礼は必要ない。だがここまで強化されてはオレ一人で裁くのは難しいかもしれんな」
煉獄の炎を操るには相当の魔力が必要だったようだ。レグルスは実力、魔力共に大魔公クラスではあったが魔力消費量はその魔力貯蔵量ですらガス欠寸前まで追い込む程。つまり最後の切り札レベルだった。
少し疲れたように見えるレグルスを見て、ハヤトは再び体を起こし立ち上がる。
ハヤト「1人って、オレを勝手に省くんじゃねぇよ。オレはまだやれる。Start my engine!」
ハヤトは立ち上がるや否や、糖質駆動を発動させ、全身の治癒力と筋力と魔力を高めた。
レグルス「ほぉ、糖質を魔力に転換する術か。オレの教えたカーボローディングを上手く応用したじゃないか。」
ハヤト「オレが大会当日まで何もしてないとでも思っていたのか師匠?とにかく、こいつらをぶっ倒してあの男を止めるんだろ?」
レグルス「言われなくても分かっている。お前の成長した姿、横でしっかりと見せてもらうぞ!」
ハヤト「期待に添えるかは分からないが…行くぜ!」
ハヤトの掛け声と共に2人は拳を前に突き出した同じ構えをした。レグルスの教えた魔道拳法の基本の構えにして、攻防一体の構えだ。
2人が構えるのを見てリザードマンも右手の斧を高く構えて2人に走りかかる。ハヤトとレグルスもまた、リザードマンへと向かって走る。
互いの間合いが詰まってきたその刹那、先に仕掛けたのはハヤト。リザードマンが斧を振り下ろす直前に跳躍し、強烈な飛び膝蹴りを放つ。リザードマンもそれに反応して上体を左へと傾けて交わす。交わされても尚ハヤトの攻撃は止まらない。左回転を付けたローキックで強襲、そしてバランスを崩したリザードマンは地面に手をつく。そこへ更にニードロップを叩き込むが、リザードマンの外皮は硬くそれ如きでは怯む様子はなかった。逆にハヤトの膝に衝撃が走った。
ハヤト「チッ、流石に硬いな。」
その一方、レグルスもまた戦闘に入っていた。肘、正拳、掌底、膝、後ろ回し蹴り、連続正拳を一瞬の無駄もなくリザードマンの溝落に正確に叩き込んでいく。流石のリザードマンもこの無駄の無い連続攻撃に耐えることは難しかったよう、声を上げる間も無く押されていく。
レグルス「教えただろ!トカゲ類の弱点は腹、すなわち…」
ハヤト「正中線で言う溝落、金的、喉仏、下顎!そして鼻!」
レグルス「分かっているならさっさと片付けろ!」
拳に炎を纏わせ、その拳をリザードマンの溝落へと更に叩き込んだ。
そして体勢を整えたリザードマンがハヤトに切り掛る。腕を前に構えてリザードマンの腕の軌道を妨害し、 振り下ろされた斧はピタリとハヤトの頭目前で止まる。
その隙にハヤトの震動の特性に変化させた拳で下顎に重い一撃を叩き込む。その拳の上昇するエネルギーを使いまた跳躍し後回転を行い、今度は溝落への二段蹴りをハヤトは繰り出す。思わず口を開くリザードマン。
そう、幾ら肉体を強化したリザードマンであっても急所がある事には変わらない。つまり魔道拳法の極意とは、魔的な干渉と強化を使いつつ、確実に相手の急所を刺すこと。この技術は例え威力の弱い魔術であっても、人を殺すことも生かすことも出来るものなのだ。
レグルスとハヤトの華麗なる技は次第にリザードマン達を追い詰める。
だがリザードマン達も狡猾だった。2人はリザードマンに攻撃を仕掛ける中で、次第に挟み込まれていた。
背中合せになる2人。
ハヤト「この状況、アンタが教えた戦闘ケースのひとつにあったな。」
レグルス「うぬ。ならやることは決まってるであろう」
頷く2人。そしてそれぞれリザードマンへと接近し、両手をそれぞれ掴みそのまま後ろに上体を逸らす。そう、巴投だ。挟み撃ちに会ったのならそれを利用すればいい。それが彼らの考えだ。突然の事に驚いた2体は受け身をとる事も間に合わずそのまま投げられ、互いの背中が激突する。互いの背鰭が互いを傷つけ合い、2体は出血をし藻掻く。
体勢を整えたレグルスは足に超高熱の炎を纏い、ハヤトは足に発火・貫通の性質を与えてリザードマンへと蹴りかかる!
レグルス「炎紅の鋭脚!(スカーレット・ストライク)」
ハヤト「バーニング・ドライブ!」
炎を纏った足はリザードマン達に直撃をし、体を貫いた。体の内側から燃え始めた2体は力無くその場で倒れ込み、灰となって消滅をした。
そして、互いを讃え合うように静かに拳をぶつけ合った。
アナスタシア「面白いわ。これが師弟の連携プレーっていうことね。」
リリス「全く、こういうのは最初から私ともして欲しかったですよ!」
ハヤト「余計なことは言うな!今は少し休んでいろ」
レグルス「やっと片付いたな。どうやらオレの方が先にヤツを倒したようだな」
ハヤト「あぁ?オレの方が先だろうが!」
レグルス「いや、オレの方が先だ!」
何故か2人はいい争いを始めた。目の前に敵がいるというのにも関わらず。流石の全員もその光景に呆れ返っていた。
グレムリン「…流石マスター・レグルスとその弟子という所ですね。しかし、私の計画はもう完成間近になりました。」
リザードマンを倒されても尚グレムリンは余裕の表情を見せていた。むしろ、自分の勝利を確信しているようだった。
その言葉に反応してかどうかは分からないが、ハヤトはグレムリンの方を見据えていた。
ハヤト「おい、グレムリン。次はお前の番だ。」
グレムリン「ほぉ、今度は私に戦いを挑むというのですね。」
レグルス「よせハヤト。ヤツはお前では倒せない実力者だ。」
ハヤトの腕を掴み制止する。しかしその制止も聞かず、その腕を振り払った。
ハヤト「今のオレは、マジで頭にきている。大事な決勝戦を台無しにされて…オレの仲間を傷つけられたからな!!アイツに一発、いや無限に食らわせねぇと治まらねぇ!!」
唇を噛みしめ、拳をさっきよりも強く握りしめた。
アキオ「初めて見たな。ハヤトが本気で怒った所を」
ミラ「そうですね。しかし、不浄な怒りではありません。」
リーゼ「あらぁ、仲間だなんでゾクゾクさせること言ってくれるじゃない」
リリス「ハヤト…」
レグルス「…そうか。お前の覚悟は伝わった。なら存分にその怒りをぶつけてこい!」
ハヤトの背中を強く押した。そしてハヤトがグレムリンに向かおうとした途端
リュート「頭に来ているのはお前だけじゃない。オレも決勝を、アビスの血族を殺す機会を台無しにされたんで、少々頭に来ている」
ハヤト「お前、この期に及んでまだそんな事を言うのかよ…まぁいい、こうなったら一時休戦であの野郎を叩きのめすぞ」
リュート「いいだろう。その話に乗ってやる。」
ツトム「オレも混ぜてくれよー」
そこに突然ツトムも現れた
ハヤト「ツトム?!お前怪我は」
ツトム「それ所じゃないだろ?まぁ、まだ万全ではないけどな」
リュート「リベル学園の負け犬か。一緒に行くのは勝手だが、足で纏いになるなよ?」
ツトム「おっと、こりゃ厳しいなぁ。」
3人はその場に並び、グレムリンの前に立つ。
グレムリン「ほぉ、3人がかり。それも今大会のダークホースが揃って。いいでしょう、では少し遊んであげましょうか。憤怒の書庫に接続、テーマを実行しましょう!」
ついに現したグレムリンのメイガスモード。それは漆黒のマントに身を包み、脚部と腕部が禍々しい棘に覆われた不気味な姿であった。そして、3人も続いて
ツトム「暴食の書庫に接続、テーマ、Let's begin!」
リュート「傲慢の書庫に接続、テーマを実行せん!」
ハヤト「強欲の書庫に接続、テーマ…実行!」
メイガスモードへと変わった3人は、グレムリンへと向かって行く…
続く
師弟共闘、これ書いてみたかったんですよ!しかし、バトル描写は難しいですねぇ。次のアップまでに時間がかかってしまいました
そして、マスター・レグルスがまさかの有名人だったとはって感じですね。モチーフは…多分察しがつくでしょう(笑)
次回はグレムリンとの対決。互いに敵対し合う3人がどういう戦いを見せるのか?!
次回も急展開で頑張りますのでお楽しみに!
では!