トリニティセブン〈混沌と強欲の特異点〉   作:porion

9 / 9
眷竜の魔力と受け継ぐ炎

リュート「竜皇天舞!」

 

リュートの翼から巨大な竜巻が発生し、グレムリンへと迫っていた。だが、グレムリンは涼しい顔を浮べながら竜巻の中へと入り、その途端に竜巻は消え去った。

その消えた竜巻の間からハヤトの放った魔力の弾丸が迫る。だが、それもまたグレムリンに触れた瞬間に消え去る。

 

ハヤト「ちっ、これもダメか」

 

グレムリン「無駄です。」

 

ツトム「それはどうかなー?ストーム・ブラスト!」

 

リュートの放った竜巻の微量な残滓を奪い、グレムリンの背後から放った。

 

ツトム「前からダメなら後からはどうだ?」

 

しかし、その竜巻もまたグレムリンに触れた瞬間に消え去る。

 

グレムリン「だから無駄だと言ったはずです。」

 

グレムリンは3人を嘲笑うかのように言う。ハヤト達はグレムリンの聖刻術は触れた相手、もしくは目に映る相手に刻印を打ち付けることが出来ると予測し、極力グレムリンの視界に入らず、手で触れられぬように遠距離からの攻撃に徹していた。だがその遠距離攻撃は全てグレムリンに触れた途端に消え去り、ダメージすら入らない。

そう、今の3人には攻撃の選択肢がほぼ無いと言っていい状態だった。

 

リュート「なんだコイツは。遠くからの攻撃も全く効かず、迂闊に近づけない。」

 

ハヤト「こりゃ無敵っていう奴だな。どんなカラクリをしているんだ…」

 

ツトム「いや、必ず弱点はあるはずだ。ハヤトっち、目を貸してくれ」

 

ハヤト「目?」

 

ツトム「そう目だ。なんかこう…何でも見えるような目だ」

 

ハヤト「目か…いいぜ!変性!」

 

ツトムはハヤトに真言を打ち込み、変性の性質を奪った。

 

グレムリン「ほぉ、なにをしようってのですか?」

 

無駄な抵抗だ、と言わんばかりに笑顔を浮かべていた。

そして、リュートにハヤトは目で合図を送る。そしてリュート、ハヤトは2手に分かれてグレムリンへと迫る。

そしてリュートは息を思いっきり吸い込み

 

リュート「竜炎!」

 

膨大な量の青い炎がグレムリンを覆い尽くす。だが結果はさっきと同じだった。またもや炎がグレムリンに触れた瞬間に消え去る。

そして炎の切れ目からハヤトが迫り、拳を振り上げていた。すると、グレムリンの顔の前に何か光るものが…

 

ツトム「ハヤトっち!かわせ!」

 

ハヤトはその言葉にすぐに反応をした。体を空中で回転させ、拳を地面に叩きつける勢いで後退をした。

 

ハヤト「何か見えたのか?」

 

ツトム「あぁ、しっかり見えた。アイツの遠距離からの刻印のカラクリ…アイツは目からミクロレベルの魔力の針を飛ばしていたんだ。」

 

リュート「つまり、その針を打ち込むことで遠距離から刻印を打っていたというわけか。なかなか厄介だな…」

 

グレムリン「ほぉ、私の術を見破ったのですね?流石準決勝まで残った3人と言うべきでしょう。」

 

ツトム「そんなお粗末な手、簡単に見破れるっての!アンタはオレと同じく、近距離型の魔術を遠距離で使えるようにしたタイプの魔道士だ!そんなカラクリ簡単に見破れるっての!まぁ、ハヤトっちの「望遠」の性質変化が無ければ無理だったけどな。」

 

グレムリン「なるほど…しかし無駄です。たかがこの術を見破ったところで、私に魔術が通じない限り貴方達に勝ち目はありません」

 

グレムリンは両手を3人へと向けた。すると、突然3人の首元に激痛が走る

 

ハヤト「なんだ…まさか刻印を…」

 

グレムリン「死の砂時計〈デッドリー・カウンター〉これは貴方達の強さへの敬意であり、死の宣告です。この刻印を撃たれた者は5分後に魂が無に帰り、つまり死にます。」

 

絶対不可避の死の宣告。これが彼の切り札であろう。それも手をかざしただけでこれだけの術を…魂の消滅、それは人が輪廻の輪から外れる意味も表す。すなわち、これにより死んだ者は生き返ることは無い。それをアナスタシアが一番よく知っていた。

 

アナスタシア「魂への干渉…これは色欲の真髄の筈…何故彼が…」

 

ハヤト「まさか針を出さなくても刻印を打ち込めるとはな…しかも絶対に死ぬって…」

 

リュート「つまり、その5分の間にお前を殺せばいいってことだな」

 

ツトム「殺せればだがな…残念ながらオレ達の攻撃はほとんど無意味…つまり積みということかもな…」

 

回避の出来ない死の宣告に絶望する全員。リュートとツトムは死を覚悟していた。

 

グレムリン「貴方達を殺したら、次はトリニティセブン達の番です。」

 

プツン…何かが切れる音がした。

 

ハヤト「…テメェ、今なんて言った?ふざけるな!」

 

怒りに任せてハヤトは近くに落ちていた壁の残骸をグレムリンに投げつける。その時グレムリンは以外にもその残骸を回避した。

 

ハヤト「交わしただと…いつもは動かずに受けきっていたのに…ならば!」

 

ハヤトは地面に触れて、帯電の性質を体に付与し、その電流をグレムリンへと走らせた。

 

グレムリン「だから無駄だと…ウッ!」

 

グレムリンの体に電流が走った。攻撃を全て打ち消していたグレムリンがついに技を食らったのだった。

 

ハヤト「そうか、分かったぞ!お前さっき魔術は効かないって言ったよな?まさにその通りのようだな。」

 

ツトム「…そうか!アイツには魔術は効かない。リューちゃんの放つ竜巻も炎も魔力により発生させたもの。だがハヤトっちの術は性質を変化させた物体での物理攻撃。つまり、アイツは自分の体に魔力を打ち消す刻印をしていたという訳だな!」

 

リュート「…なるほど、それならさっきまでの無敵状態は納得いく。つまり、現状ヤツを倒せるのはハヤトだけか…悔しいな」

 

ハヤト「ここからはオレ一人でやれってことだな。いいぜ!やってやるよ!」

 

ハヤトは再びグレムリンに向けて走り出す。そして地面を槍のように変性させた手に持ち、グレムリンに切りかかる。だがグレムリンも抵抗をした。槍に崩壊の刻印を打ち込み、槍を崩壊させた。そして魔力をハヤトに放出する。そこに反応して右回転で交わし、ローキックをグレムリンに叩き込む。だが、それもまた決定打にはならなかった。

 

グレムリン「残念ですが、私のメイガスモードは貴方の術如きでは簡単に崩れません」

 

ハヤト「ならば何発も叩き込むだけだ!」

 

ハヤトは必死に変性と近距離・遠距離攻撃を使い分けながら攻撃を続ける。だが、ハヤトの糖質駆動も限界が近づいていた。次第に疲労が見えてくる。

 

グレムリン「疲れてきましたか。ならここで、トドメと行きましょうか!邪龍刻印!さぁ、この地に眠る眷竜よ!我の力となれ!」

 

グレムリンは地面に手を当て、大地から黒い邪悪な魔力を吸収した。するとその姿が次第に竜に近い禍々しいものとなり、先程のとは姿も違うリザードマンへと変身した。

 

ハヤト「お前、その姿は…」

 

ハヤトの声が少し震えた。グレムリンはその力の強さに歓喜していた。

 

グレムリン「…素晴らしい!これが眷竜の力ですか!では貴方にさらなる絶望を!」

 

リザードマンとなったグレムリンの爪ががハヤトに襲いかかる。その威力は先程のリザードマンよりも強力で、その一振りが真空の刃を生み出す。ハヤトも回避をするがその真空の刃により腕に深い傷を負う

 

ハヤト「グワァァァ!」

 

グレムリン「いい声です!さあ、その声をもっと聞かせなさい!」

 

グレムリンの容赦ない攻撃がハヤトを次々と傷つけていく。ハヤトも抵抗するのがやっとで深い傷がドンドン増えていく。

 

その姿をレグルスは悔しそうに見ていた。

レグルス「これが…眷竜の力か…クソッ!オレがもっと早く復活を止められれば…?!」

 

ハヤトの戦いを見ていたレグルスの胸に剣が刺さる。

 

???「マスター・レグルス。お前はここで終わりだ。」

 

ハヤト「師匠!グワッ!」

 

グレムリンの一撃で吹っ飛ぶハヤト。その目に映った光景は後から黒いローブを纏った男がレグルスに剣を突き立てる光景だった。レグルスに気配を悟られずに動くとは、彼もまたかなりの実力を持っているのだろう。

剣がささり、レグルスは地面に膝をついた。先程の煉獄の炎によって消耗をしたレグルスには回避する程の体力は残っていたかった…が

 

レグルス「うぉぉぉぉ!!」

 

突然レグルスは大声を放ち、強い熱気を放出した。そして黒いローブの男は熱気に焼かれ、その場から突然姿を消す。

レグルスの体は炎の様に掠れ燃えていた。

 

そして倒れ込むハヤトに近づいていく

 

ハヤト「おい、その体…」

 

レグルス「どうやら…もう刻限のようだな…」

 

ハヤト「おい、それはどういう意味だ!」

 

レグルス「オレは既に体が滅びていた身…この姿は煉獄の炎が投影した残影に過ぎない…」

 

 

マスター・リベル「やはりな…ヤツはもう既に死んでいたのか。ヤツの生命を司る星は既に消えていた、じゃからこの場にいるのはおかしいと思っていたのだが…そういうことだったのか」

 

学園長「煉獄の獅子、その炎を極めた故にこのような事が出来たということだね。だけどよくここまで持ったと思うよ」

 

2人は既に知っていたようだった。レグルスは既に死んでいたことを

 

ハヤト「おい、死んでいたっていつから…」

 

レグルス「お前と別れてからだな…少し無茶をし過ぎてな…すまなかった…お前に最後まで師匠らしいことをしてやれなくて…」

 

ハヤトはレグルスの姿と言葉を聞いて悲しみを覚えた。自分が強くなれたのはこの人のお陰。こうしてこの場で戦えるのもレグルスのお陰。彼はハヤトにとって父親の様な存在だった。それ故にこの残酷な事実を突きつけられて抑えていた何かが溢れ出したのだろう

 

レグルス「だから、お前に最後にしてやれることはこれだけだ」

 

レグルスは傷付いたハヤトの体に手を当てた。そこからはかつて無いほどの強い熱を感じる。ハヤトはその熱さに少し動揺しながら腕を掴む

 

ハヤト「最後っておい…ふざけるなよ!」

 

レグルス「黙っていろ!オレはもう消える身、ならばその炎、魂を全てお前に託す!」

 

ハヤト「託すって…」

 

レグルス「お前に残された時間も少ない…ならば!その身の全てを炎に変えてヤツを倒せ!!」

 

レグルスの体が炎となりハヤトへと流れ込んでいく。同時にハヤトも赤く光り始める。

 

レグルス「ハヤト…お前の勝利を煉獄の底で見届けるぞ…」

 

ハヤト「師匠ー!!」

 

その叫びと共にハヤトは更に赤く、炎の如く燃え上がる!

 

グレムリン「レグルスめ…何をしたのです!」

 

ハヤトはフラリと立ち上がり、右腕を前に構えた。そして叫ぶ!

 

ハヤト「強欲の書庫に再接続!!!テーマ!!…実行!!!」

 

強い叫びとともにその体が更に強く燃え上がり、周囲を焼き尽くす熱気を放った!

 

リリス「なんですかこの熱気は!」

 

その熱気にアキオとリーゼ、ミラ、アナスタシア、リュートとツトムも目を背けた。

 

そしてその熱気はアリーナの外にいたアラタ達にも伝わる

 

アラタ「強い熱気を感じる…一体中で何が起きているんだ?!」

 

アリン「外にいる私たちまで熱いわ…」

 

レヴィ「この力強い魔力…もしかして」

 

ユイ「ハヤトくん、また新しい力に目覚めたのね」

 

 

燃え盛る紅い炎の中、紅蓮の炎のような色のライダージャケットを身に纏ったハヤトが立っていた…

 

 

 

続く




ついに眷竜の力というものが出てきました!そしてまさかのレグルスの真実。急過ぎてすみません!しかし反省はしていない

次回、ハヤトの新フォームと眷竜の力を宿したグレムリンの激突!

お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。