うたわれるもの その後   作:雪安

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 取り敢えず書いてみましたが、面白くなければお気に入りから外してください


トゥスクル建国の秘密1

トゥスクル建国の秘密1

 

 クオン達と結婚してから、年に数回ヤマトに来訪する事になった。

 

 で、今自分は帝都の聖廟内で身内と記憶持ちだけで宴会をしているのだが、アンジュがふいに言った言葉が今回の話の始まりだった。

 

アンジュ

「そう言えば、クオンに聴きたい事があったんじゃった。」

 

クオン

「うん?何かな聞きたい事って?」

 

アンジュ

「そなたの国であるトゥスクル建国の話なのじゃが…お父上も調べたようなのじゃが、分からなかったと言うのじゃ」

 

 クオンが兄貴を見た。

 

兄貴

「うむ、十数年前にあった戦の際にマスターキーの反応を感知してから、調べていたのじゃが、トゥスクル建国の話は、いくら調べても分からなかった。」

 

アンジュ

「じゃかだ、クオンに聞けば解ると思ったのじゃが」

 

クオン

「うーん、そう言われても」

 

アンジュ

「やはり、話せぬか?」

 

クオン

「そうじゃなくって、私も知らないの」

 

アンジュ

「?皇女であるお主が知らぬとは妙な話じゃな」

 

エントゥア

「いえ、その程度の話ではありません」

 

 エントゥアの発言に全員がエントゥアを見た。

 

オウギ

「それはどういう事ですか、エントゥアさん?」

 

エントゥア

「私は現在トゥスクル城でハク専属の女官をしているので、城内の資料庫にある昔の報告書などを見れるのですが、トゥスクル建国に関する資料だけ無いのです。」

 

キウル

「それは、トゥスクル建国、以前の国に関する資料もですか」

 

エントゥア

「いいえ、トゥスクルが建国される前の国の資料はしっかりとあるのです。」

 

ヤクトワルト

「益々妙な話じゃない?」

 

ノスリ

「ああ、建国前の国の資料が合って、国の建国に関する資料が無いなど、普通有り得ないよな」

 

 ノスリの言葉に全員が首を傾げた。

 

クオン

「…あ、そうだ、ハクなら知ってるんじゃないかな」

 

 クオンの声で全員が自分を見てきた。

 

アンジュ

「どうなのじゃ、ハク」

 

ハク

「…まぁ、知っていると言えば、知っているが」

 

キウル

「しかし何故ハクさんが知っているのですか?」

 

ハク

「ハクオロを神の座から降ろす時に、力を回収したんだがその時に記憶が付いてきた。」

 

アンジュ

「ならば、ハクよトゥスクル建国の話を聞かせよ」

 

ハク

「うーん、流石に話していいものかね」

 

クオン

「私にも話せないの」

 

ハク

「いや、クオンはハクオロの娘だから、知る義務があるからいいのだが、流石に他国の主導者に話していいものかね」

 

アンジュ

「む、権利ではなく義務なのか?」

 

アトゥイ

「そんなに複雑な話なん?」

 

ハク

「うーん、複雑と言うよりは恥だからな…まぁ、オボロが聞いたら怒ると思うが」

 

クオン

「え、恥てどういう事?」

 

ハク

「…、話してもいいが、他言無用で頼むぞ」

 

 自分は皆にそう言うと現在居る部屋に結界を張った。

 

クオン

「…随分と念入りだね」

 

ノスリ

「なんだ?ハクが何かしたのか?」

 

ネコネ

「結界なのです。」

 

クオン

「ハクの特製でね、中の音が外に聴こえないようになるの」

 

オウギ

「成程、姉上の部屋から夫婦の営みが聴こえないのわ、その為ですか」

 

ノスリ

「な、オウギお前、聞き耳を立てていたのか!」

 

 オウギの発言に顔を赤くするノスリ

 

兄貴

「ここまで念入りにするほどの話なのか?ハクよ」

 

ハク

「トゥスクルの事をよく思っていない連中にとっては、いいネタだからな」

 

クオン

「そんなに酷い話なの?」

 

ハク

「…聞く人によると思うがな、トゥスクルの建国は復讐から始まった。」

 

 自分の言葉に全員が驚いた顔をした。

 

クオン

「お父様達が復讐」

 

エントゥア

「ハクオロ様やオボロ殿がそのような事をする方には思えないのですが」

 

ハク

「まぁ、きっかけが復讐って、だけだからな」

 

クオン

「でも、いったい誰の?」

 

ハク

「…国名のトゥスクルだが、実は元々ヒトの名前なんだ」

 

兄貴

「そうか!思い出したぞ、薬師トゥスクルか!」

 

ハク

「ああ、そうだよ兄貴」

 

アンジュ

「お父上、薬師トゥスクルとは何者なのですか」

 

兄貴

「以前、宮廷薬師をして居った者の師の名がトゥスクルと言うと生前話しておった。」

 

クオン

「へぇーそんな凄いヒトがいたんだ」

 

ハク

「あー、クオン、一応お前その薬師の孫弟子に当たるんだが」

 

クオン

「…え」

 

ハク

「トゥスクル氏の最後の弟子がエルルゥさんだからな」

 

ルルティエ

「ひょっとしてエルルゥ様はそちらが本業なのですか」

 

ハク

「ああ、薬師の方が本業だな」

 

アンジュ

「しかし、その話がどう復讐に繋がるのじゃ?」

 

ハク

「…当時トゥスクル氏は孫娘であるエルルゥさんとアルルゥの三人で山奥の集落で暮らしていた。集落の名はヤマユラと言う」

 

クオン

「…!ハクそれ本当」

 

アトゥイ

「クオンはん、どないしたん」

 

ノスリ

「その村の事知っているのか」

 

クオン

「知ってるも何も、私が幼少期を過ごした村かな」

 

 クオンの発言に皆驚いた顔をした。

 

ハク

「…で、そのヤマユラがある地域を統治していた圀の皇が問題だ」

 

エントゥア

「…ケナシコウルペ國の皇インカラですね」

 

 エントゥアが嫌そうな顔をしながら言った。

 

クオン

「エントゥア、どうしてそんなに嫌そうな顔をするの?」

 

ハク

「まぁ、資料を見たなら分からんでもないな」

 

 自分の発言に全員、首を傾げた。

 

ハク

「インカラ皇は、皇である事をいい事に、住民からの税を自身が贅沢する為に使用した。」

 

アンジュ

「な!圀を統治する統治者が民が納めた金を、贅沢する為に使ったと言うのか!」

 

 自分の話にアンジュをはじめ統治者達が不愉快な顔をした。

 

ちぃ

「でも、それがどう建国の話に繋がるの」

 

 ちぃちゃんの指摘に皆頷いた。

 

ハク

「…そのダメ皇には弟が居てな、兄と同じくダメな男でな…で、このダメな弟に兄が圀を東西に分けて、その半分の大領主に任命した。で、このダメ兄弟の共通点の一つに権力にもの言わせて領内で美しい娘を見つけると本人や周りの意思を無視して無理やり自身の物にして弄んだ」

 

 自分の発言に、女性陣が不愉快な顔をした。

 

ノスリ

「…権力にものを言わせて、罪のない女性を弄ぶとな許せん!」

 

 ノスリの発言に全員が頷いた。

 

ハク

「…問題はその弄んだ娘が子を身ごもると、その娘を捨てると言う事を平然とやらかした。」

 

 自分がそう言うと、女性陣が更に顔を顰めた。

 

ハク

「で、その捨てられた子の一人がヤマユラで暮らしていた。名はヌワンギと言うがこいつのせいで、復讐に繋がる」

 

キウル

「その男がどう復讐に繋がるのですか」

 

ハク

「この男はエルルゥさんの幼馴染で、エルルゥさんに恋心を抱いていたのだが、父親であるダメ弟がいきなりこいつを後継者にすると言って、本人の意思を無視して領主の館に連れていった。で、そこでの生活でこの男は堕落した。今まで真面目に働いていたものが馬鹿らしく思える贅沢な日々でな…で、歪んだこいつはエルルゥさんを妻にしようと度々ヤマユラに来るが、エルルゥさんは裕福な生活よりも村のヒト達との生活がいいと再三断ったのだが、そこに記憶を失い怪我をしたハクオロがエルルゥさんのもとに現れて、ダメ男は村に圧力をかけてエルルゥさんに自分の妻になると言わせようとしたが、トゥスクル氏に見つかると逃げた。」

 

 自分がダメ男の話をすると、全員が怒りを通り越して呆れた顔をした。

 

クオン

「でも、なんでトゥスクルさんを見て逃げるの」

 

ハク

「ダメ男の母親は非力で、自身の子を抱く事もままならない程でな、だから、トゥスクル氏が代わりに世話をしていた。だから、トゥスクル氏には頭があがらない…所がダメ男は父親の兵を連れてハクオロを痛めつけてエルルゥさんを自分のものにしようとしたが、トゥスクル氏に見つかったから何時ものように撤退しようとしたが、連れてきた兵がトゥスクル氏にも手を出そうとしたが、その兵にアルルゥが石を投げてな怒った兵が剣を抜いてアルルゥを斬りかかったが、それをトゥスクル氏がかばってその傷でトゥスクル氏は息を引き取った。」

 

アンジュ

「…酷い話じゃな、皇族の軽率な行動で、何の罪も無い老人が命を落とすとは」

 

 皆アンジュと同じ思いだしく、その場で黙禱を捧げた。

 

クオン

「でも、それでハクオロお父様が復讐に走るとは思えないのだけど?」

 

ハク

「ああ、実際はオボロが突っ走った。…そもそも、オボロの一族は別地方の一豪族で、勢力の覇権争いに負けって落ち延びてきたのを、トゥスクル氏が手を差し伸べた。オボロにとってトゥスクル氏は親も同然だった。だから、トゥスクル氏を殺した兵とその兵を連れてきた馬鹿男の事がどうしても許せず、オボロは配下を皆ハクオロに預けると単身領主の館に殴り込みに行った。ただその話を影から聴いて居たヤマユラの住人達がハクオロに号令をと頼んだ」

 

クオン

「?なぜ、お父様に号令を頼むの?」

 

ハク

「トゥスクル氏の息子さんが村長をしていてな、その息子夫婦がエルルゥさんとアルルゥを残して他界してしまったから、トゥスクル氏が代わりに村長をしていたが、そのトゥスクル氏が息を引き取る前にハクオロに二人の事を頼むと言って、それを聞いた村人達はハクオロを新たな村長と考えた。だからこそ、皆はハクオロに号令を望んだ、そもそも村人達は今まで大人しくしていたのは、トゥスクル氏の人徳だった。だが、自分達が愛したヒトを失った事で、もう村人達は我慢の限界を超えてしまった。そして、そんな村人達を本来なら抑えないといけないが、ハクオロはその思いに応えて号令を出した。「蔵を開けろ」とそして、その夜にハクオロ達は領主の館に夜襲を仕掛けて、愚かな弟を打ち取ったが莫迦男はまんまと逃げた。」

 

ヤクトワルト

「一番の元凶が、まんまと逃げおおせたてか」

 

ハク

「その後、ハクオロは時期に朝廷軍が動き出すと考えて同士を集めた。実際近隣の集落はヤマユラの事情を聴くとヤマユラ陣営に参加した。」

 

アンジュ

「…まぁ、理由はどうあれ大領主を殺害しただけでも、朝廷軍が動くには申し分ない…ましてやそれが、現皇の弟となれば尚更じゃな」

 

ハク

「ああ、ただやはり交流の無い村などは、返答を渋った。なので、ハクオロは自らが村まで赴いて共に闘ってくれと頼んで回った。」

 

オウギ

「旗印自らが頼みに回ったのですか」

 

ハク

「…だが、一つ村を朝廷軍が焼き払った。」

 

 自分がそう言うと、皆息を飲んだ

 

オウギ

「…見せしめですか、確かに歯向かう者達に対して有効な手段ですね」

 

ハク

「…問題はその村がまだ、どちらにも付いていない中立の村だった事だ」

 

 中立の村を朝廷軍が焼き払ったと聴いて皆困惑した。

 

ハク

「…中立の村が朝廷軍に焼かれた事で、国民達は最後の砦であった朝廷軍を見限った。そして、明日は自分達と考えた者達はハクオロの下に殺到した。…だが、朝廷軍とやり合うには圧倒的に資材が不足していた。…元々ダメ大領主が皇から与えられた領地は作物の育ち難い瘦せた土地で、反乱を起こしてもすぐに食材不足になる事を皇は最初から織り込んでいた。」

 

オウギ

「成程、弟が謀反を起こす事を考慮していた訳ですか」

 

ハク

「…だからこそ、圀を東西に分ける大関所を破壊して首都方面の者達との合流が責務だった。そこでハクオロは大々的に部隊を展開した。朝廷軍の目を関所から逸らす為にな、結果ハクオロ達は少数精鋭で関所を落とした。だが、そこに逃げた馬鹿男が新たな侍大将として、全朝廷軍でハクオロの拠点に侵攻したが、その闘いは戦術どころか陣形さえない素人の数にものを言わせたゴリ押しだった。そんなものが大きくなったハクオロ陣営に通用する訳がなく朝廷軍は崩壊して、一連の闘いの原因である馬鹿男はハクオロに捕まったが、エルルゥさんがそいつ許した。」

 

 自分がそう言うと、皆驚いた顔をした。

 

クオン

「いくら優しいエルルゥお母様でも、許せないと思うのだけど」

 

ハク

「兵がトゥスクル氏を斬った時、馬鹿男はトゥスクル氏を何時もの「ばあちゃん」と呼び、斬った兵を殴った。その事を知っていたエルルゥさんはずっと、馬鹿男に恨んでいないと言いたかった。…そして、馬鹿男の失態で朝廷軍は首都を守る僅かな守備隊しかおらずハクオロ達に敗北した。こうしてハクオロは新たな圀の皇となり自分達の闘いの始まりであるトゥスクル氏の名を皆が忘れない様にと圀の名にした。」




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