トゥスクル建国の秘密2
トゥスクル建国の話をした事で、宴会場の空気が重くなった。
アンジュ
「すまぬな、余が聞きたいなどと言ったせいで、楽しい宴を台無しにしてしまった。」
クオン
「別にアンジュは悪くないかな…でも、トゥスクル建国にそんな事情が有ったなんて思いもしなかったかな」
アンジュとクオンの会話で、重くなった空気が多少緩和された。
アンジュ
「のうハク、そのトゥスクル氏の墓は何処にあるのじゃ?今度トゥスクルに行った時に手を合わせたいのじゃが」
ハク
「トゥスクル氏の墓なら、ヤマユラにあるぞ」
クオン
「じゃぁ、今度皆が来た時に私が案内してあげるかな…せっかくだしその時に村の皆にトゥスクルさんの話とか聴いてみよう」
クオンの言葉に全員が頷くが、自分とエントゥアは頷けなかった。
オウギ
「…?どうかしましたか、ハクさんにエントゥアさん、二人共複雑な顔をしていますが?」
オウギが自分達に気付いて声をかけた事で、皆が自分達を見てきた。
クオン
「どうかしたの?エントゥア…ハク?」
エントゥア
「えっとですね、その…」
エントゥアが縋る様な目で見てくる、仕方がないので自分が言う事にした。
ハク
「残念だが、それは無理だぞ」
自分の言葉にクオン達が首を傾げた。
クオン
「ハク、無理てどういう事?」
ハク
「クオンが幼少期を過ごした、ヤマユラとエルルゥさんとアルルゥの故郷のヤマユラは別ものだからな」
クオン
「有り得ないかな!だって私エルルゥお母様を探して、トゥスクル中を旅したけどヤマユラて名前の村は一つしかなかったもん」
自分の言葉をクオンが否定した。
ノスリ
「クオン落ち着け…ハク何か理由があるんだろう?」
ノスリのお陰でクオンは落ち着いたが、部屋には再び聴きたいと言う空気が流れた。
ハク
「…話してもいいが、先程の話より重い話になるぞ」
アンジュ
「構わん、この際じゃここで重い話を全部話してしまえ」
自分の言葉にアンジュがそう言ってきた。
ハク
「うんじゃ、話すかね…その前に、先程の話で何か疑問に思う事は無かったか?」
兄貴
「…そうじゃな、なぜインカラは他国に援軍要請をしなかったのじゃ?周辺に幾つか圀が有ったじゃろうに」
流石兄貴、伊達に数百年帝をやってないな
ハク
「要請をしなかったんじゃない、出来なかったんだ…何せインカラは他国との交易を一切していなかった。」
ネコネ
「交易を一切しないって、馬鹿なのですか…あ、そう言えば馬鹿でしたね」
ハク
「ああ、莫迦も莫迦、大莫迦だ何せオンカミヤムカイの使節団の入国さえ拒んだからな」
クオン
「そうか、先の話に何か違和感を感じたのは、オンカミヤムカイが仲裁しなかったから」
アトゥイ
「クオンはん、それってどういう事?」
クオン
「オンカミヤムカイは、古来から自分達を調停者と言い、各国に使節団を派遣してそこに社を建てるの、だから、内乱なんかが起きれそれを仲裁するはずなの」
ハク
「で、ハクオロ達がトゥスクルを建国すると、直ぐにオンカミヤムカイの使節団が来た。でその使節団の代表が当時まだ、家督を継ぐ前のウルトリィさんだった。」
ルルティエ
「え、ウルトリィ様が」
兄貴
「妙な話じゃな、家督継ぐ前とわ言え出来たばかりの圀に跡取りを向かわせるものか」
ハク
「理由としては、国名で察しが付いたんだろうな、何せウルトリィさんは一時期医学士を目指していた時期があった。」
クオン
「え、ウルお母様が!」
ハク
「ああ、しかもトゥスクルさんから指導を受けた弟子でもある、つまりエルルゥさんの姉弟子に当たる…で余談だが、この使節団にカミュがこっそりと付いて来た。」
クオン
「…カミュ姉さまのお転婆てその頃からなの?」
ハク
「そうだな、因みにその時アルルゥと”ユズハさん”と出会ってあだ名を呼び合う友になった。」
クオン
「!そうなんだ」
アトゥイ
「?なぁ、ユズハて誰?」
ハク
「…オボロの妹で、クオンの生みの親でもあったお方だ」
キウル
「そうなんですか、では今度トゥスクルに行った時にご挨拶しないと…」
ドン・ドン・ドン!
キウルの近くに居た。ノスリ、アトゥイ、ムネチカの三人がキウルを殴った。
キウル
「…ど、どうしぃて」
シノノン
「…本当にキウルはダメダメだな」
キウルの空気の読めなささにシノノンもため息をついた。
アンジュ
「…お主は空気が読めないのは知って居ったが、ここまで読めないとはな」
ネコネ
「…あったと過去形で言っているのですよ!」
キウルはネコネに指摘されて漸く自身の失言に気が付いたようだな
キウル
「す、すみませんクオンさん!」
クオン
「大丈夫かな、それに私が物心付く前に他界してしまって、顔も見たこが無いから」
ノスリ
「何か重い病でも患っていたのか?」
ハク
「…体内の神々が自分の加護を与えようとして互いに争い合ってしまうと言う、不治の病だ」
アンジュ
「な!その様な恐ろしい病が存在するのか」
ハク
「ああ、しかもこの病を一時的に抑える薬が有るには有るが材料に”
ノスリ
「な!紫琥珀だと!」
オウギ
「…確か、小指の爪程の欠片で庶民なら一生遊んで暮らせる程貴重な物でしたか」
オウギの言葉で全員が黙った。
ちぃ
「…ねぇ、おじちゃんその話がどうヤマユラの話に繋がるの?」
ちぃちゃんが空気を読んで、話しを振ってくれたので、話しの続きをする事にした。
ハク
「…問題はオンカミヤムカイの使節団が帰った後に、トゥスクルに接触して来た圀だ…圀の名はシケリペチム、トゥスクル建国当時あの島の中で三大強国の一角と謳われた圀だ、因みにもしこの圀が統一していた場合確実にヤマトに戦争を仕掛けて来ていたな」
兄貴
「ほう、ヤマトに真っ向から勝負を挑むか」
ハク
「ああ、で多分ヴライ以外が討伐に向かった場合ヒトが沢山死ぬ事になったらどうな」
ムネチカ
「ハク殿、それはどういう事であどうか?」
ハク
「シケリペチム皇は戦闘狂でな、多分ヤマトに戦争を仕掛ける理由は
アンジュ
「な、統治者でありながら、その様な事の為に戦を起こすと言うのか!」
アンジュの叫びに統治者達も同じように不愉快て顔をした。
ハク
「シケリペチム皇ニウェにとって圀とは自身がより強き
アトゥイ
「そんな凄い皇がなんで、出来たばっかりの圀に接触してくるん?」
ハク
「来たのは、皇の代理の大使ではなく将軍でな、訪問内容はシケリペチムへの件降伏勧告だった。」
ノスリ
「はぁ!なんだそれは」
全員が訳が分からないと首を傾げた。
兄貴
「出来たばかりの圀に一方的に降伏しろと言うとは何を考えているのだ」
ハク
「まぁ、ハクオロは早々に各国に草を放って情報収集をしていたから、余り慌てて無かったがな、むしろその将軍を盛大に持成しって帰した。時間を稼ぐ為にな…だが、シケリペチム皇ニウェはハクオロのその対応にハクオロが未だかつてない程の大物と確信してトゥスクルに侵攻した。ハクオロの予想よりは若干早い侵攻開始だったが、予想通りの経度で侵攻して来たので、国境の二つの砦を敢えて無傷で渡した。」
キウル
「ええ、国境の砦を二つも無傷で渡したですか!」
キウルは驚いたが、他はそれ程驚かなかった。
ネコネ
「敢えて、敵に安全と思える砦を渡した訳ですか」
ハク
「その通り、流石はネコネよく気が付いたな…先遣隊は侵攻の前線基地を創る為に通常以上の物資を運んで来るだから、敢えて砦を無傷で渡す事で相手の大将はトゥスクルを腰抜けしかいない弱小軍と考え、意気揚々と砦に兵と物資を搬入した。」
ネコネ
「はぁー、莫迦なのです。いくら腰抜けでも、自分達が不利になる砦を無傷で渡したりなんかしないのです。」
ハク
「ああ…で、ハクオロはオボロ達に命じて、物資が運び込まれた倉庫を爆発した。」
ノスリ
「ちょっと待って!爆発てどうやってだ」
ハク
「…クオン、薬師の口伝には幾つか決してしてはならない調合が有るよな」
クオン
「…!まさか、お父様それをやったの」
ハク
「ああ、ただしエルルゥさんには頼まなかったがな」
兄貴
「…大切な家族が残した大切な業にヒトを
ノスリ
「しかし、どうやればその様な事が出来るのだ?」
ハク
「何それ程難しい事じゃない、調合で二つ薬を創るだけだ…それぞれ単体ではただの薬なのだが、混ざると爆発を起こす物でな…それを片方は瓶に入れ入口を乾いた布で塞いで逆さまに置いてから、もう片方を盃に満たして置く…後は布が吸いきれなくなった薬が垂れて盃に落ちるまでに蔵に潜入した隠密は安全な場所に避難出来ると言う訳だ」
兄貴
「ふむ、原子的でわあるが、今の文化力ならではの戦法じゃな」
ハク
「ただ、所詮はその場しのぎだがなシケリペチムは国土、兵力、食料、物資全てにおいて建国したばかりのトゥスクルの倍以上の量がある、しかもヌワンギのせいで、軍自体が再編しないといけない状態だ、おまけにインカラ皇統治時代に私腹を肥やしていた連中がハクオロに高官の地位から降ろされた事を逆恨みして、野盗になって国内で悪さを働きそれの対応もせんといかん状態だった。」
オウギ
「…前途多難過ぎますね」
全員が思ったであろう事をオウギが言った。
ハク
「唯一幸いなのは、トゥスクルは天然城塞と言う事だな、何せ国境付近は険しい山岳や樹海に沼地が点在していて、攻めるよりも守りの闘いの方に有利な地形をしている…しかし、それも相手が油断や慢心をしていればの話だ、先も言った通り兵力と物資の量はトゥスクルの倍以上だ、シケリペチムが本腰を入れて侵攻を開始すれば五日と持たない…そこにウルトリィさんが正式にトゥスクルのオンカミヤムカイの社の司祭として就任したので、ハクオロはウルトリィさんに周辺の圀と同盟を結ぶ為の架け橋をして欲しいと頼んだ…で、同盟の長義がウルトリィさん名の下に執り行われたんだが、調印中にヤマユラの民が城に駆け込んで来た。…その者の話だと、突然何処の所属解らない部隊が侵攻して来たと、そいつらがもう直ぐ城にまで攻めて来ると、それを聞いたハクオロは即座に部隊を展開して迎撃した。」
ノスリ
「まさか、ニウェの部隊が!」
ハク
「いや、攻めて来たのはクッチャ・ケッチャと言うシケリペチムとは正反対の方向にある圀だ…で、その部隊にはクッチャ・ケッチャの皇オリカカンが居て、ハクオロを咎人ラクシャインと呼んだ」
クオン
「咎人てどういう事?」
ハク
「オリカカン皇には妹が居て、その妹と結婚した者の名前がラクシャインと言うのだが、突然妻と子そして多くの民を殺したので、オリカカンの手で討伐された。」
ルルティエ
「その咎人がハクオロ様だと言うのですか」
ハク
「ああ、そしてそれにより軍全体がこのまま、ハクオロについて行っていいのかと迷いが生じ、更には民意まで揺らいだ」
クオン
「ちょっとまって、それだけで民意が揺らぐなんておかしいかな」
ハク
「民意が揺らいだのはオリカカン皇の傍に”エヴェンクルガ”が居たからだ」
クオン
「!そんな、エヴェンクルガが傍に居るだなんて…」
アンジュ
「?のうそのエヴェンクルガが傍に居るのがなんじゃっと言うのじゃ?」
ハク
「あの島では、”儀はエヴェンクルガにあり”と言う言葉がある程に善き統治者にしか仕えない種族でな、その証拠に過去に善皇と称された皇の傍には必ずエヴェンクルガが居たと言われている程だ。そして、オリカカン皇は咎人が皇をつとめる圀の民も皆咎人と言った。結果ヤマユラは民はエルルゥさんとアルルゥの二人を残して皆命を落とした。」
ルルティエ
「そんな酷い」
アトゥイ
「ちょうまって、お城に知らせに来た人はどうなたん?」
ハク
「ハクオロ達がオリカカン皇とやり合っていた時に、城の文官が手当しようと声を掛けたがもうこと切れていた。」
ノスリ
「しかし、何故ハクオロは違うとハッキリ言わないのだ?」
ハク
「…理由はハクオロがエルルゥさんに発見された時大怪我をして居た事とそれより前の記憶を思い出せない事から、ハクオロは本当に自分は妻と子を手にかけた咎人でわないのかと疑心暗鬼になってしまうが、エルルゥさんのお陰で取り敢えずは持ち直したので、どうにかしてオリカカン皇と話し合いで解決出来ないかと考えたが難航した。」
アンジュ
「まぁ、皇として罪人と思っている相手の話に耳など貸さぬか」
ハク
「それもあるが、オリカカンの部族は元々遊牧民族で常に国内を移動していて足取りが全く掴めない状態でな、精々見つかるのが二、三日前の焚火の後だけでわな…かと言って相手の部隊を追撃しても途中で圀を地形的に東西に分離する崖で巻かれるかエヴェンクルガに邪魔されて見失うかだったんだが、アルルゥがムックルの鼻を使って相手が崖を渡る為に掛けた吊橋を見付けてそこで、件のエヴェンクルガを捕縛する事に成功してオリカカン皇との決戦でオリカカン皇との一騎打ちの状態の時にオリカカン皇がハクオロを咎人でわないと言った。漸く和解出来ると思ったハクオロだが、後方から飛んで来た矢がオリカカン皇の喉を貫いた。」
全員が息を飲んだ音が響いた。
ハク
「ハクオロは矢が飛んで来た方を見るとそこには、ウマに跨り弓を持つニウェの姿とその傍で同じくウマに跨り控えるオンカミヤリューの姿だった。」
オウギ
「…まさか、オリカカン皇の侵攻は最初からニウェによって仕組まれた物だったのですか?」
ハク
「…そのまさかだ、ニウェの傍居たオンカミヤリューの術でオリカカン皇達はハクオロを咎人であると思い込まされた。」
オリカカン皇を悪く考えていたであろう全員が口を閉じた。
クオン
「それにしても、あのエヴェンクルガまで惑わせるなんて」
オウギ
「ですね、大昔に袂を分けたとわ言えエヴェンクルガは術への対抗力が高いのは僕達がよくしている事ですしね」
ノスリ
「…そうだ、その愚か者の事をトウカ殿に聴いてみよう」
ハク
「あー、止めてやれ本人今でも気にしているはずだからな」
クオン
「ちょっとまってハク!本人て、ヤマユラを滅ぼしたエヴェンクルガってまさかトウカお母様なの⁉」
ハク
「ああ、そうだ…で、オリカカン皇の死でクッチャ・ケッチャとの戦争は終焉したので、トウカさんに事の真相を話して謁見の間での会話で、トウカさんは処刑を望んだ…理由はどうあれ罪無き民とそれを守ろうとした大勢の兵を殺めてしまい本題ならば身を挺して主君であるオリカカン皇を守らねばならぬ時に傍に居なかった事を悔いてな…だがハクオロ取り上げていたトウカさんの刀を返した。それを見て罰して貰えないのならばと刀を抜いて自害しようとしたが、ハクオロが鉄扇でそれを止めた。」
ノスリ
「…なぜハクオロ殿そのような事をしたのだ」
クオン
「ノスリ」
オウギ
「いえ、姉上の言う通りです。主君と決めた相手を守れず無様に生き恥を晒す位ならば死して主君の下に行きたいと思います。」
ハク
「…ハクオロがトウカさんの自害を止めたのはまだやる事があるからだ…助けることの出来なかったオリカカン皇の遺体と戦場で命を落とした兵と捕らえた者達を故郷の地であるクッチャ・ケッチャの地に連れてもらう為にな…クッチャ・ケッチャとの戦争は終わったがまだ、シケリペチムとの戦争は続いていたし、幻術で惑わされたとは言え敵対していた者達を受け入れる事は難しいだから、トウカさんに彼等の事を託した。」
兄貴
「成程の確かに道理じゃな」
ハク
「まぁ、その対応がトウカさんの嬉腺に触れただしくオリカカン皇の遺体をクッチャ・ケッチャに届けた後、ハクオロこそが自分の
ノスリ
「しかしこれで、邪魔された同盟の儀を再開出来る訳だな」
ハク
「残念ながらそうは行かなかった。」
ノスリ
「何故だ?全てはニウェによって仕組まれた物ではないか?」
ハク
「所が各国はその話を疑った。本当はトゥスクルの自作自演ではないのか?とな…そもそも、同盟に入りたいのならばそちらから出向いて頭を下げるのが礼儀だろう?それをオンカミヤムカイを介して参加してだけでも、不愉快な状態で調印の儀まで態々トゥスクルまで足を運ばさせられた挙句に儀が妨害された。おまけにオンカミヤムカイの姫君が出来て間もない圀の社の司祭に就任するなどと言う前例のない事態に各国はトゥスクルに対して不満が募ってしまい、ウルトリィさんの呼びかけでも良い返事が返って来なかった。」
兄貴
「まぁ、確かに出来たばかりの圀に古来から続く圀がその様に肩入れをすれば長年御機嫌取りをして来た者達かたしてみれば面白くないわな」
ハク
「で、シケリペチムが本腰を入れてトゥスクルに侵攻を開始したので、ハクオロは多少の犠牲を覚悟に侵攻部隊に夜襲からの強襲をかけた。でその先鋒を自分に任せてほしいとトウカさんが願い出た。」
アンジュ
「仕えた主君と民の無念を晴らすためか」
ハク
「…夜襲からの強襲でシケリペチムの兵を押し返すとそのままシケリペチムは内部分裂した。で、ハクオロとニウェの一騎打ちでハクオロの内に眠るウィツァルネミテアが目覚めてニウェを討伐した。これによって三大強国の一つと言われたシケリペチムは崩壊した。」
書いておいてなんだが、別にタイトルの「秘密2」とか必要無かったかな?