夏休みも終盤に差し掛かり、楽しかったお休みも終わりそうなある日。
「ねぇねぇキャット。」
「む?呼んだか!ご主人!」
「キャットさ…ゲーム内に戻れないの?」
夏休みの実験の開始である…!
「ゲーム…とな…?」
「うん。今さ、ずっとこの世界にいるじゃない?」
突然こっちの世界に召喚されたあの日からずっとキャットは俺と一緒に住んでいる。
ご飯作ってくれたり、掃除してくれたり俺はすごく助かっているのだが…
やっぱり一人の時間もすこしは欲しい。
年頃の男の子だし…ね?
「やっぱりさ、画面の中のキャットも可愛かったから久々に見てみたいな~…なんて…」
「ふむ…キャットはご主人と離れたくないのだが…」
「っ!」
な…なんて破壊力だ!あの!あのキャットが!ちょっとしょんぼりした顔で『離れたくない』だと!?
キャットはお世辞を言ったり、何かを考えて発言することはほとんどない。
つまり…今の言葉は本心!?
「俺も!俺も離れたくな…」
「ご主人がいないとニンジンが食べられないではないか!」
ですよね!なんとなく予想は出来てたけど!
「で?できそう?」
「我に不可能があると思うか!ご主人よ!」
「ないね!」
誰もいないマイルームを表示して机の上に置く。
その前にキャットが立ち、準備は万端だ。
「ではちょっと戻ってくるのだ!」
「うん。いってらっしゃい。」
しばらくキャットとはお別れだ。
また召喚出来るのかな…なんて心配は不要だろう。
だってキャットだぜ?きっとまた来てくれるよね!
「………」
「………」
数分後…
「………」
「………」
さらに数分後…
「………」
「あの…キャット?」
まったく動きのないキャットについ声をかけてしまう。
「なんだ?ご主人よ。」
ちょっと不安な俺に対して自信満々なキャット。
「もう戻ってもいいんだけど…?」
「ふむ…」
少し下を向いて考え込む。
きっ!と顔を上げこちらを向いて
「戻り方がさっぱりなのだな!」
「でーすよねぇー!知ってた!」
キャットに期待できるわけないね!
安定のキャットクオリティ!
「うーん…やっぱり無理なのかなぁ…」
「ご飯か。少し待っていろご主人!」
キッチンに走るキャットを見ながら少し考えてみる。
どうすれば一旦戻らせることが出来るのか…
こっちに呼べたんだから戻すことも出来ると思うんだけど…あ!
キャットもサーヴァントってことは…!
「出来たぞ!ご主人よ!」
戻ってきたキャットが料理を机に置いたタイミングで言葉を発する。
「令呪を持って命ずる!キャット!ゲームに戻れ!」
「ほ?」
ふっ…とキャットが消えた。
後に残ったのはキャットが作った料理だけ。
「あ、あれ?キャット?え?成功しちゃったの…?」
呼んでも出てこない。どこを探しても姿は見当たらない。
いや、いた。机の上に置かれたスマホに表示されているマイルームに。
つついてみると聞きなれたあのボイスが。
どうやら本当に成功してしまったらしい。
え…と…あ、あれ?こんなに部屋広かったっけ…?
声を発しても返事がない。こんなに寂しかったっけ…?
そうだ。彼女がいないからだ。
もう…彼女なしの生活なんて耐えられるか!
「令呪を持って命ずる!」
もう一度!彼女に会いたい!
「来て!キャットォォォ!!!」
魔方陣は…出なかった。
彼女の姿も見えない。どこにも…
「あ…あれ?」
マイルームはもぬけの殻だ。彼女の姿はない。
「呼んだか!ご主人よ!」
真後ろからあの声が。
いつも近くにいたあの声が。
「キャット!!!」
振り向くと裸エプロンのキャットの姿が!
たまらず抱きつく。
「ごめん!ごめんね!キャット!」
「おぉ…珍しくご主人が積極的なのだ。キャットは嬉しいのだな!」
「もう絶対帰らないでね!ずっといてね!令呪使うからね!」
改めてキャットの大切さを知った。可愛い…絶対に離さないからね…
とりあえず…まずは一言。
「キャット!服着て!」
こうして日常が戻った。同時にもう二度と戻れとは言わない。そう心に誓ったマスターだった。
夏休みの実験 [結果]
キャットは俺の嫁!異論は認めん!二度と離すか!
先生に殴られました。 解せぬ…