キャットと過ごす日常   作:高崎瑞希

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夏といえば…

ある日のことだった。

 

プルプルプルプル…

 

「もしもし」

『お。翔夜か?俺だ。おれおれ』

「あー…お金はないんですよ。すいません」

『は?ちょっ…』

 

ぶつっ!

 

はぁ…詐欺はダメ。絶対。

 

「ご主人?どうしたのか?」

「ん?いや、何でもないよ。」

「そうか。では朝食なのだ!今日はニンジンなのだな!」

「今日も、だよね。なんで飽きないのか不思議だn…」

 

プルプルプルプル…

 

「もしも…」

『なんで切るんだよ!話があるからかけてんだぞ!』

「だからお金は…」

『その流れはもういいから!』

 

まったく…おれおれ言ってるからだ。

 

「で?なに?」

『おう。高一の夏は今しかないだろ?』

「明日もあるぞ。」

『うるせぇ。話を聞けや。』

「………」

 

 

 

 

『肝試しやろうぜ!』

「………」

『あれ?聞こえなかったか?肝試しを…』

「聞こえてるわバカやろう。キャットを驚かせるとか正気かこのやろうめ。」

『ああ。きっと可愛い声を…ぐふっ…』

 

こいつ…わかっていないのか?

ビックリした時のキャットは怖いんだぞ!

喉元にツメたててくるんだぞ!

 

「なむあみ…安らかに眠れ…」

『は?可愛死ぬのか?』

 

可愛いよ。今なんか飯を目の前に『待て』くらった犬みたいだよ。

『早くして欲しいのだ。ご主人よ!』と言いたそうな目でこっちをみている。

あ、やばい。だんだんと目が…獲物を目の前にした猟犬みたいに…

 

「うん。考えとくわ。じゃあな。」

『今日の夜だからな!学校の前に集合な!』

「はいはい。」

 

電話を切る。そしてうずうずしているキャットの頭を撫でて

 

「朝ごはんにしよっか。」

「うむ!やっとか!やっとかご主人よ!もっと撫でるがよいぞ!」

「食べようね。」

 

頭から手を離し、はしを持って食べ始める。

 

「ねぇ。一応聞いてみるけどさ。キャットは肝試ししたい?」

「む?肝か?美味しいのだな!」

「あぁ…いや…うん。美味しいね。」

 

肝試しとかめんどくさいし…キャットとのんびりしたい。

なにより…ニンジンうまっ!

肝試しは行かない。今日はキャットを愛でるのだ!

 

 

 

 

なんてうまくいくはずもなく…

 

「なにしに来たんだよ…」

「肝試し!行こうぜ!」

 

家にまで訪ねてきやがった。

しかも大荷物を抱えて。そんな荷物もってなにするの?

 

「行くのか?ご主人。キャットとのお昼寝はどうなるのだ?」

「んー…ちょっと…残念…だね…」

 

そして俺たちは強制連行された。

お前…キャットを驚かせたらどうなるか…

一回くらってみろよ。マジで…

こいつなら喜びそうだな…

 

 

 

 

 

「で…どうしてこうなった…」

「うまい!うまいのだな!ご主人!」

「うん…そっ…ってそれ!驚かすようだから!食べちゃダメ!」

「んぐんぐ…む?ご主人も食べるか?」

「食べません。あーもう!ヒモかじってるから!ストップ!」

 

なぜか驚かす方に回ってしまった。

じゃんけんに負けたんだから仕方ないんだけど…

あいつにキャットの恐ろしさを教えてやろうと思ったんだけどな。まぁ仕方ない。適当に驚かせて帰ろう。

 

驚かせる道具(こんにゃく)無くなったけど…

 

「キャットさんや」

「まだくれるのか?だがキャットはニンジンを所望するぞ!」

「家帰ってからね。それはそうと…」

 

キャットと簡単な打ち合わせ。

 

「俺が合図したら…」

「昼寝だな。」

「しません。大きな声を出しながら飛び出してね。」

「ご主人も一緒にお昼寝か?」

「キャットが頑張ったら考えよう。」

 

よし。打ち合わせ終了。後は人を待つだけ…お!数メートル先に人影を確認。

 

「キャットキャット。来たよ。準備を…」

「ほ?よしきた!任せるのだな!にゃあああ!!!」

「なっ!ちょっと待って…」

 

あぁ…飛び出していってしまった…

そんなんじゃ驚かれない…

 

「きゃぁぁぁ!!!」

 

お!?驚いて…

 

「ビックリしたよ!さすがはキャットちゃん!今日も可愛いね!」

「ふむ?これで良いのか?ご主人よ。」

 

歩いてきたお客さんを喜ばせてから戻ってきたキャット。

 

「いや…まぁいいか…お疲れ。キャット。」

「撫でろ!」

 

すごい自然に膝に乗ってくるよね、君ね。

拒む暇がないほどナチュラルだよ。

 

「頑張ったねー」

「んんー…」

 

目を細めて膝の上で丸くなるキャット。

落とさないように地べたにお父さん座りをしている俺。

ズボンが汚れていくけど、心は洗われていくよ…

あぁー…可愛い。俺の足の隙間にすっぽりはまっているキャットを撫でていると次の客が…お。家まで押し掛けてきたあいつだ…

 

「………」

 

今度はもっと近づいてから声をかけよう。

あいつは絶対に驚かせてやる…!

 

 

 

もうすぐだ…3、2、1…

 

 

 

「キャット。GO!」

「んぅー…ご主人…そこはダメなのだ…」

 

足の上から動かない。おーい…キャットさんやーい…

 

「何して…寝てる?寝てるの?起きて!あ!過ぎていく…ちょ…キャット!?起きてぇぇ!!」

「おかわりか?ではキャットスペシャルをくらうがよいぞ!」

「起ーきーろ!!」

「うぉっ!ビックリした…なにしてんだ翔夜…」

 

なんでお前が反応するんだよ!

 

「うるさい!ちょっと待ってろ!キャット!ねぇキャット!」

「いや…俺は先に進…」

「ステイ!待ってろ!おい!起きて!お願いしま…」

 

やった!目が開いた!じゃああいつを…

 

「うわっ!」

 

いきなりキャットは飛び起き、俺を押し倒してお腹の上に馬乗り。

そしてツメを俺の喉先へ…

 

「我の昼寝をじゃまする者は誰であろうと許さ…む?ご主人ではないか。どうしたのだ?」

 

無言であいつを見ると、あいつもこっちを見ていた。

視線がぶつかる。二人で頷く。

 

(な?ビックリさせると怖いだろ?)

(あぁ。俺が悪かった。)

 

声に出さなくてもお互いの考えていることがわかる。

これが恋!?なーんて…

 

「じゃあキャットお眠だし帰るわ。」

「おぅ。じゃあな。」

 

そのまま眠りそうなキャットを抱えて家に帰った。

 

 

 

その後、俺たちの間では肝試しやお化け屋敷などは禁止になった。

もしもキャットを驚かせたいやつがいたら俺に声をかけてくれ。

命の保証は…できないけどね…






最近キャットが何なのかわからなくなってきた。
犬?猫?いや、玉藻から分裂したアルターエゴだし、狐かな?
僕のイメージとしては忠犬みたいな感じだったんだけど…
あら?ジャッカルだったっけ?どっかでそんなこと言ってたような…
んー…よし。
キャットは『キャット』という種類の生き物だ!これだな!
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