Central・Continent   作:ハンドボーラー

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 最近尊死しそうな限界オタク系のキャラに尊死しそうになっている。
 なんならとあるボカロ曲にも尊死しそう。
 ぎゃあああああああかわいいよおおおおおおお!!!!!(尊死)


和蘭芹

 ゴールラインを通過すると同時に魔力が枯渇し、推力を失ったナユカの体は地面に墜落した。勢いよくもんどりうち、本部の建物の壁に顔面を強打する。最悪なことに、これで本日二度目だ。打った鼻からは鼻血が出そうなほど痛い。

 それでも、ナユカにはそんなことはどうでもよかった。

 ルネアは? ルネアはどうなっている? 大丈夫なの? それらだけが頭の中を巡っていた。何度も、何度もルネアの名前を気づかずに呟いていた。

 ルネアがいなくなりそうで、とても怖い。考えたくもないはずなのに、最悪の結末を想像してしまう。考えるたびに恐怖心が増幅していく。

魔力が枯渇して力が入りにくいせいで、ふらつきながら立ち上がる。それでも何とか二足で地を踏みしめると、一目散にルネアのもとへ駆け寄る。

 ルネアはゴールラインを超えて少し先のところで、力尽きて倒れていた。身体を覆っていた虚無は既に消滅しているものの、口からは血を吐き出し、傷だらけの重体だ。

 

「……っ! ルネア!!」

 

 どうすればいいのだろうか。ルネアの治療をさせたくても、魔力が切れてるせいで回復魔法が使えない。回復魔法さえ使えれば、いますぐにルネアを治療するのに。

 歯噛みし、血を流し続けるルネアの手を握る。

 

「はーい暗い顔しなーい」

 

 顔を上げて涙でぼやける視界で、その声の主とその隣の女性を見つめる。涙のせいでその人たちの姿がはっきりしなかった。それでも、助けてくれる人だということは理解できた。

 

「大丈夫、私たちが来たからには絶対この子は助けるからね」

 

 お願いします、としか言えなかった。嗚咽を漏らしながら、ルネアが助かるようにと必死に祈り続ける。家族のような存在であるルネアが死にかけているのは、とても耐えられなかった。

 

「ナユカ! と……リリアお姉さま?」

 

 遅れてゴールしたシャルネルは、己も倒れそうなほど頬の血色を悪くしながらも、真っ先に駆け寄ってきた。

 リリア。その名前に聞き覚えがある。そう、確かアルケミストの人だ。しかも、回復魔法を最も得意とするエキスパートの。

 

「大丈夫ですわ。リリアお姉さまなら、死にかけていても助けてくれますもの」

 

 無理だ。

 こんな重傷、治すのは不可能に近いほど困難なはずだ。いくら回復魔法のエキスパートでも、これほどのものは治せるはずがない。

 そう思ってしまっているナユカと反対に、シャルネルはリリアの力量を信じているようだ。不安でたまらないナユカの手を包み、震える手を抑えてくれる。

 それでも完全に信じる気にはなれない。

 半信半疑のナユカの前で、治療を始めるリリア。

 柔らかなラベンダー色の魔力の光がルネアを包み、目に見える傷はゆっくりとだが塞がっていく。しかし、おそらくもっと重傷なのは内臓のはずだ。内臓はどれほど治癒しているのか、治っていないのではないか、という不安が収まらない。

 五大神に――特に命を司るルミネリア様に願う。救済してくださいますように、と。

 ――すると。

 ルネアの弱々しい呼吸が少しずつ、力強さを取り戻していった。閉ざされた瞼が持ち上げられ、ルネアの焦点が合わない瞳は涙を流すナユカをぼんやり見つめる。

 力のない笑みを浮かべてたった一言だけ、血で汚れた唇から言葉を紡ぎだした。

 

「おめでとう、ナユカ……」

 

 今回の勝負に勝ったのは――ナユカだ。

 それでも、そんな勝ち負けはどうでもよかった。

 ルネアが生きてくれる。その事実にどれだけ心が救われてしまったのだろうか。

 

「まだ完全には治せてないけど、ひとまず命に別条はない程度には回復できたよ」

 

 汗だくになって魔力を大量に消費したはずなのに、疲れた様子を表に出さずにリリアは安心させてくれる笑顔を向けてくれる。

 

「んん~~~~ルネア~~!」

 

 重体の人に対してすべきハグとは思えないほど強い力で、それでも壊さない程度に抱きしめる。腕の中で、苦し気なもがき声が聞こえた。

 窒息していそうなルネアの声を聴いて、ようやくナユカには日常がまだある、と実感できた。

 日常が壊れずに済んだと、安心することができた。

 

「よかった……よかったあ~……ルネアぁ」

 

 涙と鼻水と汗でぐしょぐしょになり、さらに砂と泥で薄汚れたひどい顔をルネアの顔に押し付け、その存在を確かめるように頬擦りする。

 当然というべきだが、生還を喜ぶ親友にかけた言葉は――

 

「汚い。離れて。顔洗ってこい」

 

 辛辣な三言だった。

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