俺は結界に包まれ奇妙な色となった夜空を目標へと向かい飛んでいた。
「目標との距離は」
《距離800だ。少し落ち着け、綺人》
「俺は平静だ」
それは全くの嘘だ。
頭の中では様々な考えがしっちゃかめっちゃかと駆け、考えれば考えるほど頭が混乱していくという状態だった。
何もこんなときに現れなくてもよいのではと頭の中でジュエルシードに愚痴をこぼす。
《しかし、綺人の焦りはもっともか、奴らめロストロギアを強制発動させるなど正気とは思えんな》
「フェイト達もそれだけ必死なのだろう、それと俺は焦ってなどいない」
《分かった分かった》
俺が焦っている理由はエメスが今、言ったことにあった。
今までもジュエルシードは突如として出現していたが今回のは今までとは状況が違っていた。
本来、ジュエルシードの発動は周辺生物の願いを膨大な魔力によって現実のものとするのだが、今回の発動はフェイト達がジュエルシードがあると思われる場所に魔力を打ち込むことにより、ジュエルシードを強制的に発動させたものだった。
確かにこの方法ならすぐにジュエルシードを見つけることできる。
だが、願いを叶える対象がない状態で発動されたジュエルシードはどうなるだろうか?
その行き場を失った膨大な魔力はどうなる?
何が起こるかは予想はつかないが今までの事件から良いことが起こるとは考えられなかった。
《目標への距離、残り200》
「よし、このまま速度を落とさず…」
《待て!前方から急激な魔力の収束を確認、砲撃くるぞ!》
「砲撃…セラか!」
それは前方を確認するのとほぼ同時であった、回避こそ成功したもののそれ自体を回避というかビルへ突撃をかましたかったのか分からない程に想定よりも大きくそれた。
《今のは危なかった、本当に危なかった》
「ビルに当たらなかったのは運が良かったとしか言いようがない」
《次のがくるぞ》
「撃つ前に…斬る!」
鞘に収めていた刀に魔力を集中し、雷を帯びた刀を引き抜く。
「雷翔!!」
抜いた刀から雷が一本の刃となり先ほどの砲撃を辿るように一直線に翔る。
雷が地上へとぶつかり四散する様子が見えた。
《1700メートル先で魔力が乱れたのを確認、どうやら当たったようだ》
「斬り込め!!」
俺は一気に速度を上げた。
エメスの言った距離が正しければ今すぐに距離を積めなくてはフェイトにジュエルシードを封印されてしまう、そう考えるよりも速く翔る。
1000…800…700と距離がどんどんつまっていく。
「そう簡単には行かせるか!!」
だが残り500メートルかという所でセラが立ちはだかる。
「たああぁ!!」
セラの義手の手のひらから複数の光弾が放たれる。
「ふんっ!」
俺は光弾の中で直撃するものだけを切り落とし、それ以外はシールドで防いぎながら突き進んだ。
光弾のせいで速度が少し落ちたがまだ間に合うであろう速度を保ち、セラの攻撃を防ぎきれていた。
だが防がれることはセラも最初から分かっており、俺にもセラがそれを理解していることを分かっていた。
(厄介な方は出てくるなよ、まあ朝のめざ○しの占いでは一位だったから大丈夫だろうが)
そう思ったのと同時にアルフが下から現れ、突撃してきた。
(よし、やはり占いは信じるべきだな)
「この前の借りはきっちり返させてもらうよ!!」
「それは今度にしてくれ」
「なっ」
死角を狙おうと下から来ることはだいたい予想がついており、手足に現れた光の鎖がアルフを簡単に拘束する。
「バインド…!?せこい手を使いやがって!」
拘束されジタバタしていたアルフの上を通り過ぎる直前にアルフの服を掴み引っ張り上げる。
引っ張り上げられたアルフの腰へと手を回し俺の下へ寄せられ、俺に抱っこされる形となった。
「なななな何すんだ!この変態!」
「うるさい!耳元で叫ぶな!」
「あ、あたしをどどうするつもりだい!?」
《盾にするつもりじゃが?》
「は?ってセラ!」
セラの方を見ると攻撃を止めていた。
「くそっ…この卑怯者め」
《一対多数で仕掛けておる貴様等には言われたくはないがな》
「うっ」
まあ、卑怯なことはやってなんぼだと俺は思うがな。
「さて、そろそろ離そうと思うのだが」
「さっさと離せ!」
「そうだな」
アルフの要求に答えるべく俺はアルフの頭を掴む。
「え、え、え?」
俺はアルフをセラに向かって力一杯投げた。
「えええええぇぇぇ~!?」
アルフはまさか投げられて解放されるとは思ってなかったのだろう、マヌケな叫びを上げてセラに激突していった。
その隙に俺はセラ達の横を通り過ぎていく。
「フェイトの下へ行けるか?」
《無理じゃ》
「俺達はフェイトに先にジュエルシードを封印されるのか?」
《否、それはありえぬ。なんのために今までためていた?》
「…確かに封印を阻止できるが、被害は?ジュエルシードに当たった場合の被害は相当なものになるはずだが」
《当てなければよい》
「それにあれは…」
《加減して撃て》
「無茶な」
《だがそれしかあるまい?》
…確かにそうだ。
成功の確率は低く、リスクが大きい。
だが何を狙っているか分からないフェイトの母親にジュエルシードを渡すよりも大きなリスクはないだろう。
「誘導の補助をしろ」
《御意、目標400メートル先に確認》
俺はフェイトの下へ行くのを諦めて上空で止まった。
「ドラゴンモード・竜殺しの弓矢限定解除」
《解除承認》
エメスの承認と共に右手に巨大な弓、左手に弓に見合った大きさの矢が一本現れる。
その現れた弓を俺は静かに構え、矢を弓の弦に合わせる。
そして弓を構え呼吸を整える。
「すうぅぅ」
空気を大きく吸いながら重い弦を力強く引き、息を止める。
ジュエルシードに当てるわけにはいかず時間はなく急いで狙いを定める。
落ち着け…焦るな、焦れば焦る程、時間が掛かるんだ。
「エメスっ!!」
《竜獄・雷電滅矢》
「ハアァッ!!!」
「くぅっ」
《大丈夫ですか?》
電撃を浴びたような痛みに耐えている私をバルディッシュが心配そうに話しかけてくる。
「私は平気だよ、バルディッシュこそ大丈夫?」
《平気です。マスターは少し休むべきでは?》
私は笑顔を作ってバルディッシュに言葉を返した。
予想はしていたのだが封印は難航していた。
その原因は私達の打ち込んだ魔力に反応したジュエルシードが半分くらい目覚めてしまい、封印を拒むように鋭い魔力が放出され、その痛みで封印が思うように進まなかった。
「うん、休むよ。でも今は休む時じゃないから」
《そうですね、今なら前方の彼がたどり着いたとしてもその時には封印は終わっています》
「綺人には悪い気がするけど、母さんの為だもん」
《此方に向かっていた魔力反応の動きが止まりました》
「えっ?」
バルディッシュの言葉通り、此方に向かっていた綺人の魔力は動いていなかった。
「諦めた…のかな?」
《それなら嬉しいかぎりです》
「バルディッシュ、綺人を警戒し」
《前方の魔力反応、急激に上昇!》
「えっ!?」
突然、動きを止めた綺人の魔力が急に上昇したのだ。
「一撃に賭ける気だね」
《そのようです》
「なら、バルディッシュが封印の補助をして私が同じく迎え撃てば」
《無理です。回避を推奨します》
「でも今ここで回避をして離れれば封印する前に綺人と戦うことになる」
《この攻撃が当たれば軽い怪我では済みません》
「そんなことは分かってるよ」
《あなたが怪我をすれば悲しむ人がいます》
「…分かってるよ、セラ達やアルフ、悲しむ人がいるのは分かってるよ。でも今はその中に母さんはいないんだ…いないんだっ!」
ある日、突然性格が変わったように私に暴力を振るうようになった母さん。
それは愛ゆえの厳しさなどからくるものではなく、ただの暴力だというのは知っていた。
でも、何故そうなってしまったのか、私は知らなかった。
私が何か取り返しのつかないことをしたわけでもなく、私が嫌いになるようなこともしてはいない。でも母さんを見ると、理由がなく怒鳴りつけたり、殴ったりしている訳ではないように見えた。
でも、私にはなんの心当たりもなく…ただ、ただ、暴力に耐えるしかなかった。
そして何も分からないまま、何も知らされず、よく分からないジュエルシードを集めさせられて泣いていた。
分かることがあるとすれば、それは今の母さんは私を愛していないことだけだ。
《…了解しました》
「バルディッシュ?」
《私はあなたのデバイスで、あなたは私の主人です。私はあなたからの指示ならどんな指示にも従います》
「ごめんね、バルディッシュ」
《謝らないでください。それよりも今は身構えてください》
「うん!」
涙は拭い、前方から来るであろう一撃を迎え撃つよう体制を整える。
《ジュエルシードの封印で私の力は80%も引き出せません》
「でも私が耐えればジュエルシードの封印が出来るんだよね?」
《その通りです》
「それならその位で充分だよ」
《頼もしいかぎりです…来ます》
バルディッシュを前に突き出すように構える。
「…」
《…》
構えてから前を睨むように見る。
私とバルディッシュはこの一秒に一言も発しない。
次の一秒には間違いなく来るのだから。
そう思ったのだ。
「?」
しかし、次の一秒に綺人の攻撃は来ることはなかった。
その代わりにセラから念話が入った。
《逃げろ!フェイト!管理局の局員がそっちにいるぞっ!!》
「いやぁ~、こうも早く来れて良かったわぁ」
《上空に敵です!》
その念話と同時に入るバルディッシュの警戒を発する言葉と私を拘束する黒い輪。
「くっ、バインド!?」
「わりぃな、空気を読まず入ってきた挙げ句、バインドで拘束なんて」
「あなたが管理局の魔導師」
「おう、俺は外道畜生の時空管理局様で一等空尉をやってるローグってもんだ。これから長い間、宜しくなフェイト・テスタロッサちゃん」
とりあえず読んでくれている諸君
自転車に乗る際は左側を走ろうか
真面目に走ってる連中が怪我して、そういうのが学生のせいにされるんだから。
まあいい。
というかお久しぶりです。
今回のお話は不完全燃焼もいいところだな。
今回のお話はガチでスンマセンでした
語ることがあるならば管理局が原作よりも早く来たことでしょうか、
これに関してはちゃんと意味がありますからお楽しみに
今回はここらで
次回に期待するなよ