魔法少女リリカルなのはGhost   作:musi

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第十三話「それは唐突に」

「ーーという訳でして、刀牙さん。あなたのお子さんひいてはあなたにも協力をしていただければ私たち管理局としてはありがたい限りなのですが」

 

ローグと名乗った男は申しわけなさそうに答えた。

 

「それはそうでしょうね。確かにそちらが仰っられたようにこの世界にロストロギアが存在することはとても危険ですから」

「ではあなた方は」

 

答えを急ぐようなローグの言葉を遮るように苦笑してからエメスと綺人が寝ている部屋の方を向いた。

 

「僕は協力してもいいんですが、綺人とエメスはどうだか。その~…二人は管理局が嫌いなので。すいません本当」

「いえいえ、慣れてますからどうか気にせず。そうなると今回は日を改めた方が良さそうだ」

「綺人自身に決めさせるべきかと思うので助かります」

「それがいいんでしょうね。それでは決まりましたら一報を」

「そうさせてもらいます」

 

では、と言ってから帰りの挨拶のつもりか敬礼するように手を頭の上にのせてからローグは帰っていった。

玄関を閉めた音が響いてから静寂の色が強くなった家のリビングで僕は空のカップにココアを注いでから椅子に座り、ふぅーと大きく息を吐いた。

 

「やっと出て行ったか」

「エメス?起きてたのかい」

「まあの。お主は協力するつもりか」

「そのつもりだよ。彼らが此処に長いしてもらうのは良くはないしね。君はどうする?」

「お前に従うまでだ」

「そっか…そういえば今回の騒ぎ、状況が状況といえ綺人が協力をしたのには驚いたよ。あの子は管理局が嫌いだと思ってたから」

「まだ協力するかは分からんぞ」

 

そう言ってエメスは睨んで迫力のある顔を僕に寄せてくる。

 

「き、君が管理局の悪口を言ってるから綺人もあんまりいい気はしてないだろうけど、でも綺人は賢い子だから今起きていることはすぐにでも終わらせるべきだって分かっているだろうし」

「うむぅ…たしかに綺人は頭も良く自制心のある子だからそういった自身の感情を優先し解決の道を遠ざけることはせんだろうな。というか何を我が綺人を洗脳したみたいに言っておる!」

「えっ、いやだって君が綺人にいつも管理局の悪口を言ってるじゃないか」

「あれは悪口などではなく正しい教育じゃ!奴らはいつも我らの邪魔ばかりをして!」

「いやまあ確かに邪魔はされてたけどもそれって昔のことだし、第一それは僕達が管理局が出るようなことしてたからだし」

「黙れ黙れ黙れえぇーーえ!!腑抜けをって!今日という今日は腑抜けた貴様を徹底的に叩き直してやるわっ!!」

「えぇ!?いやもう夜中の」

「正座!」

「はいぃい!」

 

それからエメスの説教は朝になって綺人が起きてくるまで続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

「綺人くん!おはよう~!」

「おう」

 

学校に着くなり開口一番に屈託のない笑顔を向けたなのはの挨拶。それに対し俺は何時も通りに何気ない感じで返してから、あ、これはまたアリサに突っかかられるわと面倒くさいと思いながら一様は身構える。

しかし、アリサのバカうるさい声は待てど一向に来る気配がなかった。

むむむ、おかしい…

いや俺は別にそういう罵倒プリーズな変態ではないのだが、毎日のようにやっていたから日課のようになっていたのだろう。

ほら人って日課を突然欠くと何かこう…調子がでなくなるだろう?

とりあえず謎の弁明はおいといて、席に着いてからアリサの方をチラッと見た。

 

(何故そんな呆気にとられた顔を俺に向けている)

 

見たところ調子は悪いという様ではなく安心したがその顔が不安になるんだが。

そしてなのはさんは場の空気に気づいていないようで笑顔のままで理由を聞けそうにない。

そんな顔をされる理由を考えても一向に思いつかないでいると状況を察したすずかが近寄ってきて耳打ちする。

 

「最近の綺人くんとなのはちゃんの仲があまりいい雰囲気じゃなかったでしょ?」

「そういえばそうだった」

「そのことをアリサちゃんはずっと心配してたの」

「なる程、それであれか」

 

すずかの分かりやすい説明でアリサが呆気にとられている理由を理解した。

まあ、つい昨日まで仲が悪かった二人がいきなり仲良くなっていれば呆気にもとられるか。

 

「そういえばすずかは心配してなかったのか?」

「え、だって綺人くんとなのはちゃんのことだからすぐに仲直りするかなって思ったから心配する必要はないかなって」

「お、おおそうか」

 

さて状況は理解できた。

俺が悪いようなんで何とかしよう。呆気にとられたアリサの顔は面白くはあるがあのままにしておく訳にはいかないだろ。

 

「おい、アリサ」

「あ、あんたら」

「お猿さんが人付き合いをいくら考えても無駄だと思うぞ?」

「…は?」

「あとお前から元気を取ったら何も残らないからさっさと元気だせ。アホ」

「…ふざ」 

「だいたい誰が心配しろなんて言ったよ?お前そうやって一人で勝手に思い込んで勝手にむつけたりするとこ会った時から全然かわ」

「ふっざけんなあぁぁー!!」

「どわっ!?」

 

アリサから突然放たれた鉄拳をぎりぎり避ける。

 

「普通いきなり殴るかよっ!?当たるとこだったぞ!」

「うるさい!こっちは当てるつもりでやってんのよ!ていうか猿って何よ!猿って!」

「分かったじゃあゴリラだ」

「ゴリ…殺してやるううぅ!!」

「にゃはは、綺人くんとアリサちゃんは相変わらず仲がいいね~」

「そうだね」

 

ぶんぶんと拳を振るうアリサ。それを必死に避ける俺。そんな俺たちを楽しそうに見ているすずかとなのは。

こうして俺は久しぶりに仲が良い四人組の日常を満喫していた。

 

 

 

 

 

 

 

「やっほ~!」

 

下校時、笠原雪奈が校門の前で俺に向かって陽気に手をヒラヒラと振っていた。

俺はその姿を確認し何事もなかったように横を通り過ぎていく。

 

「無視ぃ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

通り過ぎようとしたところすぐに服を引っ張られて止められてしまう。

 

「…何だよ。話なら昨日刀牙が」

「あぁ、それとは別で君自身に用があるのよ」

「俺に?悪いけど俺は管理局に入る気はないからな」

「それはちょっと残念だけど今日はそんなじゃないから」

 

正直言うと俺には話す気すら毛頭なかった。

なんせ俺が管理局について知っているのはエメスから聞かされている悪口ぐらいだった。

だからこいつともできる限り話したくはなかった。

 

「あれあれぇ~?私に協力してくれって泣きついてきたのは誰だったかしら?」

「泣きついてない」

「でも協力はするって頼んだのは事実よね」

 

俺は確かにジュエルシードを獲るために笠原雪奈に協力すると言ってしまった。

 

「約束を反故にするのは男として非道いんじゃない?」

「…分かった」

「素直で宜しい。それじゃあここで話すのもなんだし場所を変えましょっか。綺人くん」

 

俺には悪戯そうな笑みを浮かべる笠原雪奈の後を渋々ついて行くしかなかった。

街中にあるカフェの前で笠原雪奈が立ち止まり、ここでいい?と聞いてきた。

どうやらここで話すようだ。

店員に席にまで案内され笠原雪奈に向かい合うように座ろうとする。

 

「綺人くんはあたしの隣じゃなきゃダァ~メ」

 

そう言って嫌がる俺の隣に無理やり座ってくる。

俺の座った位置が壁際だった為に移動できなかった。

 

「こんなところをなのはやアリサに見られたら何て言えばいいんだよ」

「コ・イ・ビ・ト」

「冗談なんかに付き合ってる暇はないんだ。さっさと話を始めろよ。あとココアを一つ」

「も~お!綺人くんは非道いなぁ。まあ綺人くんの言ったことも一利あるし話しを始めましょうか」

 

笠原雪奈は店員に注文してから話をやっと始める気になった。

 

「さあ聞きたいことがあるなら何でも聞いてよ。お姉さんが答えられる範囲内なら答えるから」

「おいちょっと待てよ。俺はあんたが話があるって言うから来たんだぞ」

「もう意外と面倒くさいな綺人くんは。綺人くんさぁ。私に聞きたいことがあるでしょ?」

「まあ…あるけど」

「私だけ聞くのは良くないじゃない?だから私は聞いてあげようと思ったのよ。ギブ&テイクよ!ギブ&テイク!!」

 

どうやら親切心で聞いてほしいと言っているようでそれなら聞くに越したことはないだろう。

 

「それじゃあ。あんたらは」

「そんなあんた何て呼ばずに雪奈って呼びなさいよ。言い辛いなら雪奈ちゃんでも良いわよ」

「笠h」

「雪奈」

「…ハァ、雪奈たちはジュエルシードの確保に来たんだよな?」

「うんうんそうよ」

 

俺が名前を呼んだことにご満悦そうに答える。

 

「でも対応が早すぎないか?」

「それは別件で此処に来たら見つけちゃったってだけだからよ」

「別件?」

「あれ?聞いてないの?ん~確か綺人くんのお父さんに話したってローグが言ってた筈なんだけど」

「刀牙に?」

 

あのバカはまた大事なことを…後でおぼえてろよ。

 

「う~ん、それなら説明しておいた方がいいかな」

「まあ俺も聞いておきたいかな」

「私たちは各地に散らばっている次元犯罪者の追跡ならび捕縛を目的として設立された部隊なのよ」

「それって管理局自体の仕事じゃないのか?」

「ん、確かに綺人くんの言うとおりで管理局全体の仕事なんだけど…ねぇ綺人くん。通常の魔導士がSランク魔導士と戦ったらどうなる?」

「そんなの通常の魔導士がボロ負けするだろ」

「そうね。ならその通常の魔導士は管理局員でSランク魔導士の方は次元犯罪者と仮定してそんな状態で管理局員は次元犯罪者を捕まえられる?」

「無理だ」

「それが現状なのよ。管理局員のみんながみんな強い訳じゃない。そのくせ凶悪な連中は増え続けている」

「そんな連中に対抗するために管理局は精鋭を集めたってことか」

「そんな感じかな」

 

雪奈が自分の部隊について明かした瞬間、それと同時に俺の中に存在する疑問を解く。

 

「別件ってまさか」

「そのまさか」

 

その答えを導き出すことは雪奈の部隊の目的を考えればすぐに可能である。

ただその答えは現在の状況に良い結果を生むものではなかった。

 

「私たちの任務はこの世界に潜伏している奴の捕縛よ」

「なっ」

「ま、潜伏と言っても此処にずっと留まっている訳じゃないみたいなんだけどね」

「ど、どういうことだよ。それ」

「そいつはどうしてか此処とどっかの世界を行き来しているようなのよねぇ」

 

心当たりはあった。

雪奈の言葉を聞いた俺の頭の中に真っ先に思い浮かんだのはフェイトの母親だった。

フェイトは確か母親のためにジュエルシードを集めていた。

何故集めるのか彼女は知らないとも言っていた。

そして彼女の身体にあった虐待を受けたかのような痣。

それらがどうしても彼女の母親を疑わす。

 

「名前、そいつの名前は!」

「東条 暁(とうじょう あかつき)…良かったわね~?フェイトちゃんの母親じゃなくって」

「あ、ああ。でその暁って奴は何者なんだ」

「転生者」

「は?」

 

即答で返ってきた言葉の意味が理解できなかった。

転生ということの意味はぼんやりしたものだが分かる。

俺が理解できなかったのはそれをさも当然のことであるかのように言ったこいつだ。

こいつの頭が正常かを疑うぞ。

そんなことを考えていると雪奈からため息が漏れる。

 

「綺人くん。今、私の頭が大丈夫だろうか?とか考えたでしょ」

 

先ほどの俺の反応を観察していたのだろう。雪奈に見事に考えを見破られてしまった。

 

「そりゃ、あんな事を言われたら誰だってそう思うのが普通だろ」

 

彼女には可哀想だが包み隠さずに思ったことを言った。

これは嘘をついても見破られているからどうせ意味がなかったし、彼女の将来を考えればこうするのが一番だ。

 

「あっそ、綺人くんは女の子に対してそんな風に思うことが普通なんだ~?」

「いっ、いや女の子だけとは」

「女の子をそんな風に思ってる綺人くんには暁のことなんて教えてあーげない」

「えっ!?」

 

俺の真実の言葉は状況を好転させるどころか雪奈の機嫌を損なわせる結果となった。

雪奈は私は拗ねましたと顔に書いてあるくらい分かり易く頬を膨らましてぶーたれていた。

これは地雷を踏んだかもしれない。

いや踏んだろ。

 

「…俺が悪かったよ。だからその暁について教えてくれ」

 

俺は雪奈に対し頭を下げた。

雪奈が意味不明な言葉を言ったが俺も酷いことを言ってしまった。

だからここは素直に頭を下げることが正しい。

すると雪奈が困った顔に変わる。

 

「え…そ、そんな謝んないでよ。ちょっとだけ綺人くんを苛めようとしただけなのにぃ」

「でも俺が酷いことを言ったのは事実だから」

「ううぅ」

「それで謝らないのは悪いことで」

「あぁ~ん!もう限界ぃ!綺人くんったらかわい~い!!」

「うわっ!」

 

雪奈が俺の頭を両手で押さえつけるように抱く。

唐突に引っ張られた俺は雪奈の小さい見た目からは想像つかないほどの強い腕力に抵抗する間もなく捕まってしまう。

 

「お~よしよ~し」

「や、やめ」

「すりすり~」

 

必至に抗うがいったいどこからそんな力が出てくるのか、全く外れる気配がない。

というか頬に小さめだがほにほにした気持ちの良い感触が…イカン

 

「離せ!」

「ああん」

 

あんまりやりたくはなかったのだが雪奈があんまりにも遠慮なしに身体を引っ付けるためやむなく雪奈を押し飛ばした。

 

「もう、そんなに恥ずかしがることないのに」

「恥ずかしがってない」

「強がる綺人くんも可愛い。じゃあそんな可愛いとこを見せてくれた綺人くんには東条暁の情報を教えてあげる。私ってやっさしーい」

 

自分で言うのはどうかと思う、そう口から出かけた言葉を飲み込み雪奈の情報を待った。

 

「東条暁はこの世界のある一定の期間の記憶を持っている何処にでもいるような転生者ね。それだけ」

「それだけ?」

「うん。それだけ」

「…本当に?」

「本当にそれだけ。それで私からも特に聞きたいこともないみたいだし帰るわ」

「待て!お前はそれをどこで知ったんだよ!」

「それ?」

「暁が転生者だって話だよ!」

「本人から直接聞いたのよ」

「聞いたって…お前そんな馬鹿げた話を信じたっていうのかよ」

「そりゃそうよ、だって信じるも何もあたしも転生者だし」

「な」

「あ、お代はここに置くわよ。それじゃあまたね綺人くん」

 

その後、雪奈は本当に帰ってしまった。

唐突に来て、唐突に話し、唐突に聞き、唐突にむつけ、唐突に抱き、唐突に帰る。

しかも謎を残して

 

「ダメだ…疲れた」

 

理解しきれない情報を一気に渡された結果、それが疲れとなって身体に広がっていく。

とりあえず考えるのは明日にして今日は家に帰って寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

「そうねぇ、綺人くんは本当に転生者のことを知らないみたいだし。あの天使が言ってたイレギュラーで間違いないんじゃない?」

 

綺人と別れた雪奈は携帯電話に向かって話していた。

 

「何ですぐに分からなかったのか?むちゃくちゃ言わないでよ!私たちには暁みたないな原作知識とかいうチートはないんだから仕方がないでしょ!!そんなことを言うならあんたが来なさいよ!あんたが!」

『~~』

「ハァ、そりゃあ私だってあんたが上手く立ち回ってるから私たちが自由に動けるのは百も承知よ。でもあんたが出れば面倒事を抱え込む前に終わるじゃない」

『~~~!』 

「笑ってんじゃない!あ~もういいです。私たちで何とかしますからあんたは資料の束を処理して上のバカ共に媚びでも売ってろ!!」

 

ピッ

雪奈はそう言ってから通話を切った。

そして一呼吸おいてから口を開く。

 

「んん~!さぁーて忙しくなるなぁー」

 

雪奈は楽しそうに両腕を上へ伸び伸びと伸ばした。




皆さんお久しぶりこんにちはごめんなさい。
musiです。

また投稿が長引きました。
前回の後書きで今回は早くに投稿出来るかなとかほざきましたが、
すみません。何時も通りにだいぶ間が空いての投稿になってしまいました。
そして話も大して進んでないとかバカじゃん俺。

んで今回遅れた原因は忙しいとかではなく単純に文章が思いつきませんでした。
更に言うとこれを書いてる途中に何かここの文章は次の話に回してもいいんじゃねとかやってったらすげー時間がかかってました。
なので次の話は半分は出来上がっており普通の方ならすぐに投稿できる状態になっています。
普通ならね

まあ、頑張ってみたいと思います。
あと一人、二人のお気に入り登録が増えて嬉しっす。
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