魔法少女リリカルなのはGhost   作:musi

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第十五話「刺客」

「へ、へ…うえっくしょん!ぶぅえくしょん!!」

 

突然、背中に寒気を覚えたかと思ったら次には鼻がむずむずしてきて盛大なくしゃみしていた。

 

「…誰か僕の噂でもしているのかなぁ?絶対にろくでもないことだな。間違いなく」

 

因みに綺人たちはジュエルシードの反応があったとかでいないのです。

なので家には僕こと刀牙が一人でお留守番中です。

僕はこれでも綺人のお父さんであり一家の大黒柱なので綺人たちがいなくても全然淋しくありません。

綺人たちがいない今は唯一、家にいる僕が家を守らなくてはいけない以上は淋しがっている暇などないのです!

だから全然本当に淋しくないのです!

一人で飲むココアが心に染み込むとかないのです!!

そう、だからマジで淋しくなんか…

 

「うわぁーん!!淋しいよお~!」

 

ぶっちゃけ淋しくて死にそうです。

 

「なんなんだよぉ~!ジュエルシードも空気を読めよおおおぉ!!今日は日曜日なんだぞおぉ!?」

 

綺人とエメスと楽しく過ごそうと思っていた日曜日は無慈悲なジュエルシードの反応により唐突に中断されてしまった。

 

「第一、綺人がジュエルシードに関わってから僕と綺人の一緒にいる時間が減ったり、高町さんとこのなのはちゃんが魔導士になっちゃってて、おまけにレオーラにも遭うなんて」

 

ジュエルシードに関わってから本当に色々なことがおきた。

綺人をあの実験室から連れ出したのは少しずつでも魔法から遠ざけてアレ等のことを忘れてもらいたかったからだ。

綺人自身は魔法を学びたいようだったがこの世界では魔法が必要ないことが何時か分かるだろう、そう思っていたのだが、現実とは中々理想通りにはいかないものだと今は強く思っていた。

なのに綺人それどころかなのはちゃんまで魔法に関わってしまった。

 

「ジュエルシード、願いを叶える石かぁ…フェイトちゃんだっけか?あんなに良い女の子の母親がそんなモノ使っていったい何をしようとしてるのやら」

 

フェイトちゃんは母親を心から愛しているのは必死さを見れば分かった。それは母親も同時に愛していなければなせないものだった。

そんな母親がどうすれば愛娘にあれほどまでの無理をさせられるのか?

それほどまでの願いが何なのか僕には見当もつかない。

ただそれだけ必死なのは何をしてきてもおかしくはない危険な状態であった。

今更ながら不安になるなんて、それなら僕は何で綺人に任せたんだか。

 

「綺人、大丈夫かな…あ、雨」

 

ポツリ、ポツリと降る雨を見て僕の心の中で一抹の不安が過ぎった。

 

 

 

 

 

 

《綺人になのはよ、ここだ。ここにジュエルシードがある筈じゃ》

「そうみたいだな」

 

エメスに言われる前にジュエルシードを見つけた。

厳密に言えばジュエルシードを取り込んで狂暴化した猫だが。

 

「ユーノは何時でもバックアップに回れるように後ろで待機していてくれ」

「分かった」

「また猫さんだね」

「またってすずかの家の猫のことか?」

「うん。そうだよ」

「アレと同じと言うなんて」

「流石、なのはだな」

「だって猫さんは猫さんだよ?」

「まあそうなんだけど…」

 

俺とユーノはなのはの言動にちょっとあきれ気味になる。

なのはの言うとおり、アレは猫である。

ただし、今目の前で闘争心剥き出しで此方を睨み付ける2メートル越えの虎のようなアレをすずかの家の猫と同じというのはちょっと厳しいだろう。

 

《そんなことを言っている場合ではないぞ》

 

エメスの言葉に猫の方へ目を向ける。

それと同時か、身構えていた猫が跳躍し、その勢いのまま俺目掛けて突進してくる。

 

「っ!?」

《ぬっ!》

 

猫の突進の速度はこちらの予想以上のもので寸前で身体を横に仰け反らせ何とか回避できた。

だがそれで終わりではなかった。

 

《まだだぞ!!綺人!》

「ぐあっ!?」

 

回避した筈だった。

しかし次の瞬間には俺は背中に突進をくらっていた。

 

「ぐ…いったい何だって」

《またくるぞ!》

「!!」

 

突進により大きくバランスを崩した隙を見逃しせず猫は追撃に移る。

 

「させない!」

 

俺にロケットよろしくな突進をしてくる猫になのはの砲撃が放たれる。

しかし砲撃が当たる寸前に猫は空中を蹴って後方へと飛び退いて砲撃を回避した。

 

《あの猫め、魔法を多少なり理解しておるようじゃな》

「え?」

《なんじゃ、気付かなかったのか高町よ》

 

先ほどの猫の回避は決して空を蹴ったものではない。

なのはの砲撃に気付いた瞬間、猫は足下へと物理的な魔法陣を生み出し、それを足場として蹴ることによって後方へ逃れたのだ。

 

《物理的に魔法陣を展開できる者ならば誰でも可能だろうな》

「とはいえ」

 

それを魔法に初めて触れた者が瞬時に、しかも猫にそんなことが可能だろうか?

…いや、今はそんなことを考えている場合ではないだろう。

無意識かは知らないがあの猫は実際にそれをやっているのだ、そんなことは後で考えればいい。

その事実だけを納得し猫へと集中を戻す。

 

《あの突進は厄介じゃな》

「うん、あのおっきい身体であの速さはちょっと反則かも」

「攻撃が厄介ならあっちが仕掛ける前にこっちから仕掛けるさ」

 

俺は猫に向かって駆けだす。

それを見た猫も少し遅れてから駆ける。

別に俺は速さに自信があるわけではない、実際遅れて出た筈の猫の方が俺よりも距離を積めている。

しかし、これは予想の範疇寧ろ考えの通りにことが進んでいた。

俺と猫との距離が瞬く間に積まってゆき、遂には一秒後には接触してしまう程の距離となった。

 

《今じゃ!》

「AR起動ッ」

 

いくら猫が速くとも全てが遅く見える俺の中では猫の動きは手に取るように分かった。そんな中でただ驚異的なスピードの突進など回避することはおろか側面を取ることすら容易であった。

猫の顔が横を過ぎた瞬間、左側面を完全に取ったと確信、とともに抜刀。

 

「雷翔!」

 

抜かれた刀は猫の腹部に捉える。

魔法によって硬質化された毛に刀の威力は軽減されたが纏われていた雷が猫の身体を貫く。

貫かれた猫は悲痛な叫びを上げる。

 

「ごめんね猫さん!ディバインバスター!」

 

痺れて動けなくなっていた猫にノーマークであったなのはの砲撃を回避する術はなかった。

一度謝ってから放たれた砲撃に直撃するまでの間、猫には驚く暇もなかっただろう。

 

「なのは!封印を!」

「リリカル・マジカル・ジュエルシード!封印!」

 

地面にぐったりと倒れている猫の身体からジュエルシードが抜け落ちる。

猫から抜け落ちたジュエルシードはレイジングハートの中へ回収されていく、と同時に巨大だった猫の身体が縮んでいきそのうち普通の猫となった。

猫が縮みきったところでなのはが心配そうに駆け寄っていく。

 

「猫は大丈夫そうか?」

「うん。酷い怪我もないみたいだし大丈夫みたいだよ」

「そうかそれは」

 

猫が無事なことにそう安堵の言葉を漏らしかけた。

 

「残念だ」

 

突如、俺たちの後ろから女の声が発せられた。

その声は表面上は凛とした印象を与えたがその奥底に凶暴さを溜めん込んだような恐ろしさを持ち合わせていた。

ただその声はどこか薄い印象もあり、それのおがけか恐怖が削がれ振り向くことが出来た。

 

「ッお!?」

 

振り向いた先に待っていたのは白刃。

首を切り落とそうと迫る白刃を咄嗟に刀で受け止める。

刃を防ぐのにあと数秒でも遅れていれば今頃俺の頭と胴は離れていただろう。

実際、刃が止まったのは首筋ぎりぎりのところだった。

 

「へぇ、速いね」

 

その白刃の剣の後ろから覗いた白い美女は楽しそうに言った。

白い美女、そう思わせる姿を彼女はしていた。

それはへそを出した露出の高い服、髪飾り、靴、長い髪、剣、真っ赤な眼以外の彼女の身につけているものから肌に至る様々なものが真っ白で彼女を美しく見せていた。

正直、先ほどの凶暴さを備えた声の主が彼女であるとはとても信じ難い。

 

「綺人くん!?」

「来るな!」

「そうだね、彼の言うとおりにしておいた方がいいよ。でないとその可愛い顔をちょんぎっちゃうから」

「ッ!?」

「首をちょんぎるなんて…そんなのはったりだ!だって僕たちの魔法には殺傷ダメージを防ぐために」

「イタチくん、君が言っているのは非殺傷設定とかいうオマケのことかな?」

「そうだ。それとイタチじゃない」

「…君はバカか?あんな不必要なモノは取り除くに決まってるだろう」

「なっ、そんなことをすれば人を殺すことに」

「そうだね。というかそんなことは赤の他人である君に言われなくても分かってるよ。いや君は動物だから他人というのは間違いかな?他動物?いやいやそれは言葉として…」

 

突然、物騒な事を言ったかと思うと今度は一人ブツブツと喋り出す女に俺たちは呆気にとられるばかりだった。

しかし、気を抜くわけにはいかないだろう。

今は話しかけてきてはいるが俺は先ほど首を斬られかけたのだから。

 

「お前も魔導士だろ?」

「ああ、名前は東条暁だ」

「お前が東条暁!?」

 

こいつが雪奈が言っていた奴かよ。

昨日聞いたばかりだっていうのにこんなにも早くに会うことになるなんて。

 

「ん、君は私の名前を知っているようだが…まあどうでもいいか、時間が惜しい。さっさと始めようか」

 

始めよう。そう呟いた瞬間、周囲の空気が一気に張り詰めたのが肌から伝わってきた。

危険なのは分かっていたがこれほど強い気配の持ち主とは、相手は管理局が追跡している危険な次元犯罪者を前にしても俺はなのはを守りながら戦えるのか?

…いや、最初からこんな弱気じゃ駄目だ。

なのはは辛いことが待っていることを分かっていて魔法へ関わっていくと決めたんだ。

なのはが魔法に関わってしまったのは俺が甘かったのからだ。俺の責任なんだ。

だから俺はなのはを守ってみせる。

こいつからも、この先に何があろうとも。




なんだ…この終わり方…?
書いてて思ったんだが、これって連載打ち切りとかの終わらせ方じゃないか
いちよう言っておくが終わらんからな

と、とりあえずお久しぶりmusiです。
と言っても特に書くことがないんだが、
とりあえず次回は暁VS綺人&なのはです。
一回で決着つけたいけど長くなるようなら二話にします。
投稿の期間が今回より空くかもしれません。
少しでもお気に入りとか読者が増えてるのをみると楽しいです。

それでは次回までさいなら。
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