魔法少女リリカルなのはGhost   作:musi

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第十六話「闘争本能 前」

今にも戦いを始めようとする三人の魔導士の姿がモニターには映し出されていた。

 

「あーあ、もうこれ始まっちゃうわよぉー?」

「そうみたいだな」

「あぁ~!クソっ!暁のヤローが目の前にいるってのによぉ…なんで手が出せないんだよ!?」

「おいおいさっきから何度も説明しただろう、上の命令で綺人くんと暁の戦闘には手を出すなと」

「んなもん無視しちまえばいいじゃねぇかよ!」

「そいつは構わないが命令を出したのは彼だぞ?」

「ぐおおぉ~お!ちっきしょおぅがよおおぉー!!?」

 

当てどころのない怒りに悶えている電堂を無視して俺と雪奈はモニターを見ながら話を続けてゆく。

 

「でも今回はこのお馬鹿さんが言ってることに一理あるんじゃない?」

「だが彼の命令だぞ」

「あんたらは雇ってもらって恩を感じてるみたいだけど私は別に雇ってもらう必要なんてなかったから、まあ安定してお金が入るから多少は感謝してるけど」

「お前さんはそうだろうな…だが俺と暁は違うんでね。それに綺人くんは強いから彼の思惑は何であれ無謀な賭けではないだろう」

 

俺たちをこの魔法の世界に送った連中曰わく、綺人くんは生まれてはならなかったイレギュラーということらしい、いったいそれが何なのかは知らないがあの綺人くんは力を隠している可能性があった。

そうしてこれはそれを見定める為の実験ようものなのだろう。

そのことは言葉にはせず言い聞かせるように雪奈に語った。

しかし、雪奈はそれを一笑に伏してから答える。

 

「ハッ、あんた何の気なしに暁を追ってたの?確かに綺人くんは強いし素質もある、でも今の強さは一般の魔導士が束でかかっても勝てないという話。暁の場合は綺人くんみたいな魔導士が束になってきても全員を殺すような奴よ。そんなのと本気で戦わせる気なの?」

「…まあな、それに今から行ったところで間に合わないさ」

 

綺人と暁が斬り合う姿をローグは見つめていた。

 

 

 

 

 

 

最初に動いたのはなのはだった。

暁が放つ空気を張り詰めさせる気に耐えられなかったのだろう。

なのはが放った魔力弾三発を暁は瞬時に切り落とす。その勢いのままなのはとの距離をつめて攻撃を仕掛けようとしていた。

暁の攻撃を防ぐ為に距離を積めようとする暁となのはの間へと割り込む。

俺が割り込んできたことなど関係ないと言うように暁は俺の構えている刀へ白刃を振り下ろす。

 

「っ!?」

 

その華奢な腕から放たれた一撃は予想していた威力の数倍もの威力を感じさせる程に強力であった。

そんな身体のどこから出ているかはわからない白刃の威力に若干面食らいながらも何とか攻撃を防いだことに安堵し、そして今から刃を交えるであろう相手が予想以上の強さを持った相手であることに警戒心を強める。

 

「女の子を庇うなんて君は随分と紳士的だな」

「そうかよ」

「ああ、そういう奴は嫌いじゃない。でもまぁ」

「!」

 

先ほどまで拮抗してた筈が暁の持つ白刃に俺は徐々に押され始める。

 

「敵なら好き嫌いせずに平等に斬らなきゃな」

「ぐっ…ぐぐ…」

『このままではまずい!一旦距離をとるんじゃ!』

『駄目だ!』

『な、馬鹿もの!力では奴に』

『それは分かってる。だけど俺が避ければなのはが危険になる』

『っ…そうか』

 

暁は最初になのはを狙っていた。

それがなのはを厄介な相手と見てのことか、それともすぐに潰せる相手と見てなのか、それは分からない。だがどちらにせよなのはをさっさと潰してしまおうと考えていることだけは分かった。

 

「そんなことは絶対にさせるかっ!」

「!」

 

俺は身体を一気に後ろへと引く、押し切ろうとし重心を俺へとあずけていた暁は支えの一部を失った形となり身体のバランスを崩す。

そして無防備になった暁の蹴り飛ばした。

 

「いっきに決めるぞ!雷針!」

「ちっ」

 

六つの方向から雷が暁を貫くべく一直線に向かってゆく。

しかし、蹴り飛ばされたにもかかわらず暁は迫る六つの雷を回避、再度こちらへと向かってくる。

 

「やらせない!」

「あぶっ」

 

迫ろうとする暁をなのはの砲撃が足止めする。

 

「今だよ。ユーノくん!」

「くらえ!」

「バインド!?追撃の上に更に伏兵って」

「僕は最初からいたよ!」

 

砲撃に足止めをうけた暁にすかさずユーノがバインドをかけて動きを封じる。

ユーノとなのはの突然とった連携の鮮やかさに絶句する中、なのはの言葉が飛ぶ。

 

「綺人くん!」

「えっ」

「今がチャンスだよ!」

「早くしてくれ!綺人!バインドが保たない」

「っ!雷刃剣!」

 

自分の予想とはだいぶ違う形で、しかもこうもあっさりと暁を追い込んだことに違和感のようなものを感じたが、そんなことよりも今は決めるべき時だと違和感を流す。

 

「瞬光斬」

 

雷を纏った刃が爆発するように強い光を放つ、そして光が収まった次の瞬間には強力な一太刀が暁の腹部を捉えていた。

 

〈半減はさせるが覚悟を決めておけよ、綺人〉

「分かってる…いくぞっ!雷刃爆破っ!!」

 

腹部を捉えている刃から雷が一気に放出され俺と暁を包み込んだ。

刃に纏わせ溜め込んでいた雷を一気に放出し、溜め込んだ量次第では対象を一瞬にして黒コゲにするほどの威力の雷を直接身体へと流すこともできる雷刃爆破は強力な技であった。

だがこの技は強力な一撃を放てる反面で欠点もかかえてい。

雷刃爆破は範囲内にいるもの全てに強力な電撃を放つ。

そう欠点とはその範囲内にいれば俺自身も巻き込んでしまうということである。

 

 

 

 

 

 

「ぐっあああぁー!!?」

 

僕のバインドで動けなくなった暁に綺人が一撃をくらわせた瞬間、綺人の刀から大量の雷が放出され、渦を巻きながら綺人たちを包み込んだ。

その雷はどうやら綺人にもダメージを与えており雷の渦の中から綺人の叫びが聞こえてきた。

 

「っ!」

「ダメだなのは!」

 

雷の渦の中から聞こえる綺人の苦痛に自然に身体を雷の渦へと向かわせるなのはをバインドにて止める

 

「今、綺人のところに行けば巻き込まれるんだよ!?」

「でもこのままじゃ綺人くんが!!」

「綺人だって馬鹿じゃない。自分が助かる見込みがなきゃあんな無茶はしたりはしない筈だ」

「うぅ」

「だから今は綺人を信じて雷が収まるまで待とう」

「綺人くん…」

 

とりあえずなのはを落ち着かせることが出来た。

でも不安は取り除けていない。

僕は綺人が意味の無い賭けをするほど馬鹿だとは微塵も思ってはいない。だからさっきなのはに言ったことは決して嘘じゃないし信じてもいる。

でもあの雷をまともに受けて無傷で済まないのは間違いなかった。

 

(本当に信じて待ってていいのか?綺人。今からでも僕が飛び込まなくていいのか)

「ユーノくん!雷が」

「あ」

 

考えごとの最中にかけられまなのはの声でいつの間にか雷が収まっていたことに気付いた。

 

「ユーノくん早く!」

「ご、ごめん」

 

雷は収まっていたが煙により綺人たちがどうなったのか分からなかった。

なのはと共に警戒しながら少しずつ煙へと近づいてゆく。

すぐにでも駆け寄りたいのだろう、なのはは自身の震える手をぎゅっと抑えていた。

僕もその気持ちはあるがなのははその日ではない。本当によく堪えられてると思う。

 

「!」

 

煙との距離が10メートルあるかないかのところで煙の中に人影を見つけた。

なのはも同時に人影を見つける。

そしてそれがなのはにとって我慢の限界だったのだろう。

 

「綺人くんっ!?」

 

僕が人影に気を取られたているうちになのはは煙の中の人影の方へと向かって行った。

なのはの声に対する返事はなかった。

綺人ならなのはが自分を心配するなら無理をしてでも応えるような奴だ。それに返事がないということは

 

「なのは!そいつは」

 

しかし、時すでに遅し。なのはと人影が接触し人影の姿が露わになった。

 

「…良かった」

 

煙の中から現れた人影は綺人だった。

鎧が焦げかけており負傷はしていたがなのはの言葉に身体が反応しているところを見ると何とか大丈夫なのかもしれない。

だが放っておくのは危険だ。一刻も早く刀牙さんの下に連れて行かなくちゃいけない。

 

「キャ!」

 

後ろから蹴り飛ばされた綺人になのはがぶつかり転んでしまう。

 

「イレギュラーがどんなもんか期待してたのにな、まさかこの程度だったなんて正直ガッカリだよ」

 

綺人を蹴り飛ばし現れたのは無傷の暁だった。

あれだけ凄まじい雷の渦の中で無傷に済ますにはそれ相当高い防御力を備えたバリアジャケットもしくはバリアが必要だ。

しかし、その戦闘方法とバリアジャケットを見た限りではスピードを重視し、防御力を削いで軽量化を計ったものであり、無傷で済むはずがない。

だからと言って強固なバリアを張ったのもあの一瞬では無理がある。

ならどうやって?

 

「お前…どうして無傷なんだ?」

 

不可解な謎を前に僕は自分を馬鹿だと思いつつもそれを聞いていた。

敵に対して自身の力が何なのかを明かすなんてするわけがない、ましてや相手は管理局がマークしているようなやり手なのだから答えが返ってくるわけがない。

 

「ん、ああこれな。私のレアスキル」

「…は?」

「超再生能力らしいんだけど、何かありふれてそうな能力だけど結構凄いんだよ。これが」

 

なんて簡単に自分の手の内を説明してしまったのか。

彼女は本当に管理局が手配中の次元犯罪者なのか?途轍もなく浅はかな考えの持ち主としか思えない。

 

「何で教えたのか分からないって面だな。今から殺されるお前らになら別に教えても私の今後には関係ないしな」

「あなたなんかに…殺されたりしない!」

 

なのはは立ち上がると共に暁へと一直線の砲撃を放つ。

砲撃はいとも簡単に避けられるがなのはは続けざまに砲撃を放ち続ける。

 

「おほっ、やっぱガキのくせにやるわ」

「くっ」

 

連続で放たれる砲撃を暁は遊ぶかのようにヒラリヒラリと避けていく。一方のなのはは当たらぬ砲撃に苛立ち、狙いが大雑把になり、ただ魔力を消費していくだけであった。

 

「全然…当たらない」

「ほらほら、まだ一発も当たってないよ。お嬢ちゃん」

「なめないで!」

 

暁の挑発に焦ったなのはは強力な砲撃を放つ。

しかし、挑発した側の暁がその攻撃を避けられない筈もなかった。

結果、なのはの強力な砲撃は大きな隙を作ることとなった。

 

「ぐっ!!」

「あぁ?」

「ユーノくん!?」

 

なのはに振り下ろされる剣をぎりぎりだったが防ぐことができた。

ただ、当たった衝撃でもうすでにバリアにひびが入っていて、次の一撃を防げそうになかった。

 

「なのは!すぐにこの場所から逃げるんだ!」

「でもそれじゃあユーノくんがやられちゃうよ!」

「ダメだ!なのはは逃げて刀牙さんと管理局の人達を」

「雑魚は引っ込んでろっ!!」

「ぐっ…アアァ!」

 

バリアが割られた衝撃に耐えきれず地面に叩きつけられる。

暁が僕を踏み越えてなのはへと近づいてゆく。

 

「…ユーノくん?」

「やっぱりローグ達も来てたか。それなら介入される前にさっさと終わらせるか…ということだからお嬢ちゃん」

「い、イヤっ、来ないで!」

「大丈夫だよ、お嬢ちゃんをこれから先のとっても辛いことから解放するだけだから。君がやる筈だったことは私が代わりにやってあげる。だから…」

 

地面にへたれこむなのはの首に白刃が置かれる。

何とかしなくちゃ、何でもいいからあいつを止めなくちゃ、止めなくちゃ。

動け…動けよ…何で動かないんだよ…今この場で動けるのは僕だけなんだぞ…頼むから動いてくれよ…!

 

「安心して」

 

駄目だ、駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!

 

「死んで」

 

間に…合わ…な…い?

なのはの首を白刃が切り落とそうとした刹那。突如、暁の姿が消えた。

なのはは助かったことは良かった。

だがいったい何が起こったんだ?

訳が分からないこの状況を知るために、痛む身体に無理をして何とか顔だけでも上げようとする。

そうして顔を上げた先に見たものに僕は更に困惑することなった。

そこにいたのは動けないほどの傷を負っていた筈の綺人が暁に相対する姿だった。




皆さん、お久しぶりです。作者のmusiです。
前回の後書きにて、一話で戦闘を終わらせられればいいな〜、と言いました。

終わりませんでした。
ですが次にはこの戦闘は終わらせてみせます。
まあ、メドがたっただけなんすけど

因みスマホからiPhoneに変えました。
iPhoneによる投稿なんですが何か不便はありますでしょうか?
もし不便がありましたら教えてください。
直せるなら直すので

しっかし、本当に綺人くんはやられっぱなしだな。
主人公なのにこの連敗はまずいかな?
と思いつつも、自分の中では今後の戦いでも負けさせる気は満々である。

綺人「お前…後で覚えとけよ」

!?…そ、それでは何かさっさと書いて綺人くんの勝利する姿を書かなきゃヤバい気がするので今回はこのへんで。
次回もお楽しみに
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