俺は切り伏せた化け物が行動不能になった事を確認してからフェレットに念話で話しかける。
『そこのお前』
『ぼ、僕ですか?』
『お前はいったい何を考えている』
『え?あのそれは』
『…』
フェレットは自分が何を聞かれているのか分からないといった反応を見せた。
自分が彼女に何をしたか未だに理解出来ていないのだろう。
『…場所を移す。話はそれからだ』
『あ、あのその前にジュエルシードの封印をしないと』
「ジュエルシード?」
フェレットの口から出た聞いたことのない単語が口から出てしまう。
『はい、ジュエルシードについては移動した後に説明します。ですので今は封印を』
『エメス』
《少し待て、今、解析している…ッ、これは…!》
『どうした、エメス?』
化け物を解析していたエメスが何かに驚いた。
《そこの貴様、なぜこんなものがここにあるのだ。これはロストロギアではないか!》
『ロストロギアだと!?』
突然、私の前に現れて、私を助けてくれた騎士は怪物を切ってからユーノくんの事をじぃーっと見つめていた。
動物が好きなのかな?
《どうやら彼らは念話をしています。マスター、あの魔導師が聞き取れないようにして内容が分かりませんか》
レイジングハートの声が頭に響いた。
「念話って?」
《口には出さずに会話を脳内で行う会話方法です》
「脳内で通信するってこと?」
《その通りです。マスター、念話は頭の中で言葉を思い描くようにするのがコツです》
『こ、こんな感じかな』
《上出来ですよ、マスター》
『えへへ~』
「ジュエルシード?」
レイジングハートに褒められて照れているときだった。
恐らく、念話で話していたのであろう騎士が何かを呟いた。
『あれ、今の声って…』
《どうしたんですか?マスター》
『ふぇ!?き、聞こえてたの?』
《はい、ばっちりと》
『浮かれてたかも』
《落ち込まないでください。マスター、貴方はまだ初心者のようなものですから、お気になさらず》
『うん、そうだね。これから練習していけば大丈夫だよね』
《はい、ところでマスター、あの騎士の声に聞き覚えがあるのですか?》
『う~ん、思い当たった人がいるけれど…似てただけだよきっと』
《それは倒れていたユーノ・スクライアを助けた方ではないでしょうか?》
『…』
レイジングハートは私と同じか、はたまたそれ以上に考えていたのだろうか分からなかったが、私と同じように綺人くんのことが浮かんだようだ。
《彼の魔力量はこの世界の人間とは思えないものでした。ですので、その可能性は大いにあります》
『…うん』
《聞いてみたらどうでしょうか?》
やっぱりそれしかないのかな?
でも言わなかったってことは聞かれたくないことだから、下手に聞いたら嫌われるかも…
『なのは』
どうしようかと悩んでいるとユーノくんから念話が入った。
俺はエメスの口から出てきたとんでもない言葉に先程のエメスと同様に驚くしかなかった。
ロストロギア…それは様々な世界の古代文明が造りだした物の総称で、現存の技術では到達できないほどの高度な技術で造られており、その使い方を間違えば世界の一つや二つを消すことは造作も無いほどの危険物すら存在する。
それがこの地球に、この海鳴市にある、それも危険な方がである。
冗談はやめてもらいたいものだ。
更に冗談を加えるならばそれになのはが関ってしまっていることだろう、頭が痛む。
だがそれは冗談などではなく現実である。
《笑えんな》
『まったくだ、エメス』
あの化け物がロストロギアであることを聞いた後、ユーノと名乗ったフェレットに封印を頼まれた。
ユーノが俺に頼んだのは危機的状況から抜け出したことで自身が何をしたのか気づいたのだろう。
手遅れにも程があるが…
封印の後、場所を公園へと移し、ユーノが何があったかを話した。
勿論、なのはに聴かせないように念話のみで
ユーノの話によれば自身の部族で発掘したあのジュエルシードという宝石(封印した時に化け物の姿から宝石に変わったのは正直、驚いた)が輸送中の事故でこの地球に落ちたということらしく、ユーノの目的はそのジュエルシードの回収だ。
俺達はそれが本題であると思っていたのだがユーノが足してきたジュエルシードの力を説明を受けた時、そちらが本題であることを理解した。
《願いを叶えるだと?》
『はい、と言ってもジュエルシードの魔力に見合った付近の生物の願いですが』
《危険極まりないことを随分、簡単に言うではないか?まあ、ここは貴様が住んでいる世界ではないから、どうでもよいのだろうが》
『そ、そんなこと』
『やめろ、エメス』
《フンッ》
『とりあえず、ジュエルシードの危険性は理解した。それで一つ聞くが、そのジュエルシード全てを今のお前だけで回収は可能なのか?』
『それは』
俺の問いにユーノが黙ってしまう。
答えは簡単で無理だ。
そう考え、俺がある一つ提案をユーノにしようとした時だった。
「あの~、私がてつだっちゃ、ダメですか?」
「!」
突然、黙ってユーノと俺を見ていたなのはがとんでもない提案してきた。
いや、それ以前になのはは念話を聴いていたのか。
《私があなた方の念話の内容を聴き、マスターに教えていたんです》
《なっ、ば、バカな…我のジャミングを破ったのか》
《と言っても一部のみしか聞き取れませんでしたが、先ほどの戦闘から考えて状況を出しました》
《恐ろしいデバイスだな》
《あなたも中々》
そういうことなら少しは安心できる。
などと言ってはいるが別に問題が解決したわけではない。
「私が協力すればユーノくんの助けにもなる筈ですし、第一、誰かが協力すれば早く解決できます」
「で、でも」
「ユーノくんは早く解決したくないの?」
「…僕だってすぐにでも解決したいけど」
『なのはのデバイス』
《何でしょうか?》
なのはのやや強引な説得におされているユーノがあてにならないと判断し、俺はなのはのデバイスに通信を飛ばした。
『俺の言葉をなのはに伝えろ』
《何故です?》
『察しろ』
《分かりました》
なかなかに優秀なデバイスのようだ。
《マスター、少しいいでしょうか?》
「ふぇ?いいけど」
《あちらの方が意見があるようなので私がお伝えします》
「あ、ありがとう。でも何でレイジングハートが?」
《少々、難しいことなので分かり易くするためです》
「ふーん」
少々、疑っていたがなのはのデバイス『レイジングハート』がうまくごまかしてくれた。
《話はこうです。こちらはあなたが協力することは反対です》
「ッ!」
《あなたは魔法のない世界の住人てある、そういったモノが魔法のような大きな力を持ってしまった者の末路は自分自身が生まれ育った世界から離れ、捨て去ってしまうでしょう》
「そんなことしないよッ!」
《そうかもしれない。しかし、可能性がある以上はそんなことをさせたくない…私は貴方にこの世界を、貴方の家族や友人がいる世界を離れてもらいたくありません。だから》
「貴方が…綺人くんが言いたいことは分かったよ」
「なっ…!」
なのはが気づいていた
その事実にエメスと俺は驚くことしか出来なかった。
「お、俺はそんな奴じゃ」
「その声、やっぱり綺人くんだ」
「あ」
しまった…ついうっかり喋ってしまった。
まずい、非常にまずい。こうなってしまっては誤魔化しようがないぞ。
「な、何で分かったんだ?」
「その竜の兜から見える目が優しかったから…かな?」
「聞き返すな」
「アハハ」
《綺人よ、完全に高町のペースだ》
『ぐっ、分かっている』
「綺人くん」
「…なんだ?」
「私はこの世界を捨てたりしないよ」
なのはは俺を見ていた。
なのはの何者よりも強い意志が俺を見ていた。
こうなったら俺程度が幾ら説得しても無駄だ、なのはの意志は絶対に変わらない。
「…分かった」
「え、分かったって」
「お前がユーノに協力することをだ」
「本当ッ!」
「ただし条件がある」
喜びで今にもスキップをしそうななのはに釘を差す。
「無理はせず、俺がそのデバイスに言わせたことを決して忘れないこと。それが条件だ」
「…うん!」
なのはは一瞬、キョトンとしてから屈託のない笑顔で答えた。
「本当に良かったのか、綺人?」
なのはを家まで送ってから帰る途中、人の姿に戻ったエメスが話しかけてきた。
「仕方が無いだろ、ああなっては」
「確かにあれは正体がばれていないからこそ言えた事だからな」
「ああ」
なのはに言ったことは、彼女からすれば俺にも該当することになるだろう。
そうなればこの世界を捨てていない俺が言ったところで説得力に欠ける。
「いっその事、自分はこの世界の住人ではなく、そういった事例をいくつか知っているとでも言ったらどうだ?」
「言ってどうする?説得力は少しはマシになるだろうが、それでなのはを説得できるとはとても思えない。それに信頼を失うかもしれない」
「高町はそんなことで綺人からは離れたりはせん」
「それは予想にすぎないだろ、現実は何が起こるかはわからない」
「だが」
「エメス、少し静かにしていてくれ、家に帰るまででいいから」
「…」
その後エメスは俺の言うとおり一言も喋らなかった。
一言も喋らなかったが、エメスは何かを察し、家に着くまで俺の手を握っていてくれた。
サブタイトルが面倒だのぉ
最後のくだりは余計だったかもしれん、それに高町さんの雰囲気だけで正体に気づくなど普通ならばありえん事であろうしな。
いくら大人びいていて悟っていても小学生だしな高町さん、
やはりありえんはなぁ
書いてしまったから仕方が無いか
それとこの後書きだが、恐らくこの先もずーっとこんな感じを続けるぞ。
本当の性格とのギャップを作りたいのでな
もののついでと言ってはなんだが、質問があれば私に答えられることなら答えよう。
私に答えられればな、ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!