「今度、連休だが特にやることがないな…そうだ温泉に行こう!」
ソファーの上に堂々と立ちながら刀牙、なんら脈絡のない宣言した。
「話が掴めないんだけど」
「我も同じく」
「だからそのまんまの意味だよ」
「温泉に行くのか?」
「そう」
「本当にか?」
「僕、嘘つっかなーい」
「嘘だったらそれが分かった日にはココアは抜きだが」
「嘘ジャアーリマセーン」
ココア抜きにも動じないところを見ると、どうやら本当のようだ。
ということは
「久々の家族旅行か」
「フム、そうだな」
エメスと俺は昔のことを思い出していた。
二年ほど前まではよく旅行や遠出をしていたが、この一年ほどは全くそういう機会が全くなかった。
その為、俺としても楽しみである。
それにここ最近は休むタイミングが掴めなかったから、とてもありがたい話だ。
待てよ、それならなのはを誘ってみるのも良いかもしれん。
「それならなのはも誘いたいんだけど」
「お、綺人もとうとう色気づいたのかな?」
「違う、ジュエルシード集めで忙しいだろうから気分転換が必要だと思っただけだ」
「うん、知ってる」
こいつ…義父ながら腹立つな。
頭にパンチしたら良くなるのではないだろうか?もういっそ渾身の一撃をくらわせてみた方がよいかもしれない。
「でもその必要はないかな」
「は?」
必要ない?パンチのことなら必要だろう。
もうこいつは手遅れなのかもしれない。
ちゃんとした判断が出来てないなコレは、判断出来てたとしたら俺は即、こいつを殴り飛ばすが?
「だって来るし」
やっぱりこいつは頭がおかしいらしい。
この温泉に行こうとか言うのは、エメスが知らないところを見る限り、今日、決まったことなのだろう。
となればこいつの性格からしてすぐに誘ったとは考えにくい。
やっぱり頭がおかしいのか。
「誘ったの高町さんだし」
「「は?」」
「月村さんとアリサちゃんも来るよ」
「「はぁ!?」」
とりあえずそれをすぐに言わなかったことで刀牙は今日一日のココアが抜きになった。
だが、なのは達と温泉か…これは何時もの旅行よりも賑やかになるな。
俺は今度の連休の事を考えると自然と笑みがこぼれていた。
それは連休に入る前日のことだった。
その日は旅行の間、街から少し離れて、現場へとすぐに急行できるか分からないため、出来る限りジュエルシードの捜索に専念しようと早めに家に帰った。
そのため、何時もとは違い、なのは達とは学校で別れた。
なのはが残念そうな顔をしていたが何か話したいことでもあったのだろうか?と考えたがそれならメールや念話で後で話せばいいだろう。
そうして家の前に着いたころだった。
家の前でこの辺りでは見かけない金髪の少女が周りを見ながらおろおろしていた。
そのあわてている姿から俺は直感的に閃いた。
(迷子か)
この辺りで見かけないということは引っ越してきたばかりなのだろう、確かに少々だがこの周辺はいりくんだ道があるからな、仕方があるまい。
とりあえず話しかけてみるか。
「すみません」
「え」
「あ…」
俺が声をかけると少女は振り返った。
振り返った少女の顔を見て俺は息を呑んだ。
少女はとても綺麗で美しかった。
身長から少女は俺と同い年くらいなのだろうが、少女の容貌がそう思わせなかった。
白く透きとおった肌、太陽の光に照らされ輝く金色の髪、凛とした顔つき、それら全てが美しかった。
「あの…私に何か?」
「…あ、す、すみません。あまりにも美しく見惚れてしまいました」
「ッ~!そ、そんな美しいだなんて…」
「いえ、世辞などではなく、本当にお美しいですよ」
確かに少女は美しかった。
美しかったのだが、少女にはそれを削ぐ欠点があった。
(どこか…表情が暗い気が)
少女は笑顔で振り向いたがなにか無理をしているような気がした。
特に気になったのは目であった。
大抵の人は目には光があり生気が宿っていることが確認できるのだが、この少女の目にはその光が薄かった。
それは今にも消えそうなほどに薄かった。
そして少女の欠点はそれ以外にもあった。
(首筋のあれは火傷の痕か?あんなところにか?)
服に隠れてすぐには気づかなかったが首筋には火傷の痕が見えた。
その火傷がある場所は普通に火傷をしたとは考えにくい場所であった。
(まさかと思うが…虐待か?)
「そ、それで用件は何でしょうか?」
「用件?」
少女に言われて俺は本来の目的を思い出した。
「話がずれてしました。単刀直入に聞きます」
「は、はい」
「貴方は迷子ですか?」
「え、違いますが」
迷子じゃなかった。
「でも半分は当たりですね、探している人がいるんですが…その人が」
「迷子だと」
「はい」
そこまで予想はしていなかったな。
まあ、それでも
「俺も一緒に探しましょうか?」
「ほ、本当ですか!助かります!」
提案を聞いた少女の顔が少しだけ明るくなった。
俺としてもジュエルシードもついでに探せるため決して得れるものが無いわけではなかった。
「あの探しているのは私と同い年の男の子なんですが、身長は私より高くて、ちょうど貴方と同じくらいです」
「同じくらい、それで他の特徴は」
「銀色の髪で、他の特徴は…多分、見たら分かると思います」
「?」
少女は言い辛そうにしていた。
「助けてもらっているのにすみません、あんまり言いたくないんです。彼も言われたくないでしょうし」
「別に構いませんよ。言い辛いことを無理に聞き出すことは良くないですし」
「本当にすみません」
「大丈夫です。それよりも日が暮れる前に早く探しましょう」
「はい!」
その後、少女からどこを探してないか聞いたところ公園がまだだと分かり幾つかの公園を手分けをして探すことにした。
そうして少女と落ち合うことになっている最後の公園に着いたときだった。
その公園は周囲の家々が日を遮っており、少し近づきがたい雰囲気をかもし出し、進んでこの公園に来ようとするものはいなかった。
その公園の奥のベンチに銀髪の俺と同じくらいの身長の少年が座っていた。
(ああ、あいつか)
一目見てそいつが少女の探している少年だと分かった。
(見たら分かるか、確かにな)
少女の言っていたことが少年の腕を見てすぐに理解できた。
少年の両腕は義手だった。
これは確かに言い辛いことだ、そう思った時だった。
少年と目が合った。
どうやら俺の視線に気づいたのだろう、少年はベンチから立ち上がるとこちらに歩み寄ってきた。
「何か?」
少年はあからさまに敵意のある視線を俺へと向けてきた。
「…君の知り合いに金髪の女の子がいるだろう?」
「ええ、いますが」
「その子が君を探している」
「そうですか。それでお前は何者だ?」
話すごとに敵意が増大していっている気がするんだが、気のせいじゃないよなこれは
「その子が俺の家の前で君を探しているのに出くわして手伝っている」
「そうだったんですか、それはご迷惑をおかけしました」
少年はやっと敵意を抑えてくれたようで、淡々とお礼を言った。
よく分からない誤解が解け、ホッとしているとあの少女がやってきた。
「あ!セラ!!」
こちらを発見した少女が走ってきた。
「一緒に町を見てたら、いつの間にかいなくなっちゃってて連絡もとれないし、私もアルフもすごく心配したんだよ?」
「突然、いなくなって悪かった」
「本当だよ、でも何事もなくて良かった」
少女が安心したのが肩をなで下ろす。
「あの、セラを見つけてくれて本当にありがとうございました。ほら、セラもお礼を言って」
「俺はもう言った」
「ダメだよ、ちゃんと言わなきゃ」
「いえ、気にしないでください。彼はちゃんとお礼を言ってくれましたので」
「でも」
「それに俺は用事もついでに済ませていましたから」
「用事があったんですか!?」
「はい、ですが町の探索のようなものですから、本当に気にしなくて結構です」
「そうだったんですか…そうだ」
少女は何かを思いついたらしく、ポケットからメモとペンを出した。
「今度、お礼をしたいのでこれにお名前と電話番号を書いてくれませんか」
「いや、お礼なんて」
「私がお礼をしたいんです。今はちょっと家の方がゴタゴタしていて無理ですが、それが終われば大丈夫ですので、ですからお願いします」
そう言って少女は頭を下げた。
こうまでされてしまっては断る方が失礼だろう。
「そのペンとメモを借ります」
そう言って俺は少女の手からメモとペンを取り、自分の名前と携帯電話の番号を書いてから渡した。
「一条…き、ひとさん?」
「綺人だキ・リ、それとさんはいらない、綺人でいい」
「じゃあ綺人、あ、そういえば私、まだ名前を教えてなかったね。私はフェイト・テスタロッサ、フェイトでいいから、それで隣の」
「セラ・ヴァシュタロンだ、じゃあな」
「セラ!」
セラは名前を名乗ると公園を出て行った。
「あ、あの」
「行って構わないよ。電話番号も知ってるんだからまた会えるさ、その時に話そう」
「ありがとう」
礼を言いフェイトはセラを追いかけて行った。
俺はフェイトの背を見つめていた。
彼女との再会を願って
温泉回にすぐにいくと思うたか?
残念、今回は金髪の子が綺人に会うお話だぁ!
だから後書きでお話に触れなくいいだろう
金髪の子だし
それと今更ながら言わなくてはならないことがある。
警告タグ『オリ主』を付け忘れていました。
大変申し訳ない。
そしてタグがタグとして機能してないこと、
すまんがこればっかりは私の頭でタグが浮かばんし、
我はアンチとか知らぬのだ!