魔法少女リリカルなのはGhost   作:musi

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第八話「思いは伝わらずに離れる」

「すみませんでした」

 

綺人くんが先生に謝っていた。

原因は授業を聞いていなかった為である。

それだけならば別に大したことではない、でも、それが数日間も続けば問題となる。

 

「先生も綺人が真面目なのは知っているからいいんだけれど、もし悩みとかがあるなら先生が相談にのるわよ?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか…それじゃあ席に戻っていいわよ」

「はい」

 

綺人くんは先生の言葉に従って、席に戻って行く。

その後、綺人くんは教科書に目を移すがその意識は教科書を捉えず、意識をどこか遠くの世界へ巡らせているようだった。

こうなってしまったのはフェイトちゃんと戦ったあの日からだ。

では原因はなんだろうか?

一番に思いついたのがレオーラ・ヴァシュタロンに敗北したことだった。

確かに私達はレオーラさんに手も足も出なかった。

でも、綺人くんが一度の敗北でこうなるとは思えない、綺人くんはむしろ自分の敗北の原因を考えて改善するために様々なことにより一層、真面目になるはずだ。

だからそれは関係ない。

 

それなら何を考えているのか?

実のところ心当たりはあった。

多分だけど私も同じことを考えている。

だから綺人くんとちゃんと話さないといけない、そう決心して私は綺人くんに念話で話しかけた。

 

『綺人くん、放課後に二人っきりで話したいことがあるの』

 

 

 

 

放課後になのはが二人だけで話したいことがあるというので俺は人気が少ない体育館の裏へと向かっていた。

話とはなんだろうか?

恐らくはフェイト達の事か、あるいはここ最近の俺の気の抜けように関してだろう。

だが俺には別にどちらでも構わなかった。

それは俺もなのはに話…というよりも提案があり、その提案は先ほどの二つの予想の内、一つをなのはが考えなくてもすむからだ。

俺の最近の気の抜けようもこれを言うべきか言わぬべきかということで迷っていたからだ。

しかし、今回のなのは申し出で俺は言う決心がついた。

幾ら周りの人間が良くなったと言おうが当の本人が辛い思いをしては意味がないのだ。

だから俺は言わねばならない。

 

「ごめんね、綺人くん。いきなり二人で話したいなんて言って」

「構わない、俺もなのはに話しがあったしな」

「話し?それなら綺人くんから話していいよ」

「いや、先にお前から話してくれ」

「そう?それならなのはから話すけど」

「頼む」

 

なのはを目の前にして言おうとする決心が揺らぐ、どうやら俺の決心はまだあまかったようだ。

みっともないことだが先になのはに話させることにした。

 

「温泉から帰ってきてから綺人くん、すごく抜けてるよね」

「俺も自覚しているつもりだ」

「フェイトちゃん達のこと?」

「まあ…な」

 

歯切れ悪い感じで答える。

嘘は言っていない、フェイト達のことも一様は悩みのタネではある。

最もな悩みは彼女らではないのだが。

 

「たしか…フェイトちゃんはお母さんのためにジュエルシードを集めているって言ってたんだよね」

「ああ、それと母親が悪いことをするはずがないともな」

「信じていいのかな?」

「分からない、俺は信じていたいがな、なのははどう思っている?」

「私も綺人くんと同じで信じたい」

(とは言え、そう楽観視出来ない要素が幾つかあるが)

 

家の前でフェイトに会った時のことを思い出す。あの時、フェイトの首すじには傷や火傷の痕があった。

 

(あれが虐待による傷の可能性は場所的に考えて極めて高い、だがあくまでこれは可能性の話しであって、そうであるとは限らない)

「綺人くん、何か考えがあるならフェイトちゃんに直接聞いた方がいいんじゃないかな?」

 

いつの間にか考えに耽っていた俺に気づいたなのはから意見とも注意とも取れる言葉を受ける。

 

「たしかにそうだな」

「それで悩んでたの?」

「…いや、それだけではないんだ」

「?」

「俺が悩んでいるのはお前に関してだ」

「私?まさか話したいことってそのこと?」

「ああ」

 

決心は固まったかは理解はしていなかったが、言うべきチャンスは今だと直感する。

俺は言うのだ。

言わなければならないのだ。

なのはを守る為だ。

そう、先ほど言ったこと同じようなことだが決心などついているか定かでないのだ。

そうやって自分自身に言い聞かせ、俺は口を開く。

 

「なのは、もうジュエルシードに関わるな」

「…え?」

 

なのはの顔から笑顔がすぅーっと消え、受け入れがたい事実からか無表情に近い顔になる。

でもそれは一瞬で訳が分からないと言った表情に変わった。

 

「な、何で?」

「…」

「フェイトちゃん達との戦いで私が何も出来なかったから?」

「違う」

 

なのはのサポートがあったからフェイト達との戦いに余裕を持てた。

 

「魔法を使い切れていないから?」

「違う」

 

なのはは驚くべき早さで覚えていっている。

 

「私が嫌いなの?」

「違う」

 

俺がなのはを嫌いな訳あるか。

 

「じゃあ何で!」

「先ほど、なのははここ最近の俺は気が抜けていると言った。だがそれは俺だけか?」

「それは…」

「だが今のお前は見るに耐えられない」

「それは綺人くんも同じでしょ!」

「そうだ。だが俺とお前は違う!元々、お前は魔法とは何の関係も無かったんだ!!」

「そんなの関係ないもんっ!」

「いい加減にしろ!!!」

「ッっ!!?」

「すずかの家で怪我をした時の恭也さんやアリサ達はどんな顔をしていた?もしもお前があの時以上の大怪我をすればどれだけ悲しむと思っているんだ?」

 

なのはの心を抉るつもりで言った言葉はなのはに涙を流させる。

これを言えばなのはを傷付けることになると分かっていた。この事はなのはが最も気にしていることで出来ることならば言いたくはなかった。

だが、なのはを説得するにはこれしかなかった。

 

「すまない、これは俺の責任だ。俺が最初からこの決断を下していれば俺達はこうも苦しみ思い悩むことはなかったんだ」

「…」

「これからは俺とユーノでやっていく、だからレイジングハートを俺に渡せ」

 

俺はなのはの目から流れる涙を指で拭いながら、レイジングハートを出すように促す。

俺にレイジングハートは必要ないがユーノに一様は持たせておけば少しはマシになる筈だ。

 

「いや…」

「なのは、これはお前の」

「いやっ!!」

「なっ、待て!なの、くっ…」

 

なのはは俺の手を弾いて走った。

追いかけようとする気持ちがいっぱいで足下への注意を怠っていた俺は振り向いた拍子に盛大に転んでしまった。

すぐに起き上がりなのはを追いかけたが、なのはを見つけることは出来なかった。

 

 

 

 

私は綺人くんから逃げた。

そうして逃げて、逃げて、逃げて、疲れて立ち止まった時には周りはすでに暗くなっていた。

私は落ち着く為に近くの公園のベンチに座る。

 

「ふぅー」

 

ベンチに座った私は大きく息を吐いた。

それを幾らか繰り返してから先ほど(時間がだいぶ経っているが)の事を思い返す。

 

綺人くんは私が嫌いだからあんな事を言った訳ではないことは分かっている。

自分の責任だと言っていたのも本心だ。

あれは綺人くんは私のために言ってくれたんだ。

でも…それを分かっていながら私はそれを拒んだ。

私は綺人くんの優しさを踏みにじった。

そう思うと心がズキズキと痛む。

 

「私…最低だよ」

「なのは」 

「?」

 

不意に名前を呼ばれバッと顔を上げ、声が聞こえた方に視線を向ける。

そこには見たことがない民族衣装を着た、女の子のような顔の男の子が立っていた。

この子が私を呼んだのだろうか?

でも幾ら記憶を思い返してもこの子には全く見覚えがない。

しかし、周りを見渡しても声をかけてくるような知り合いは誰もいないから、やっぱりこの子が話しかけてきたのかな?

 

「もぉ、綺人に突然、なのはを探してって頼まれて人に聞いたり、なのはっぽい子が走っていったのを見たら追いかけたりして凄く大変だったんだよ」

 

綺人くんのことを知っているということは綺人くんの友達だろうか?

でも話を聞いていてなんとなくだが私のことも知っている感じであった。

 

「あの~、綺人くんのお知り合いでしょうか?」

「え?あ、あの、なのは…大丈夫?」

 

初対面の子に頭の心配された…

そのことにショックを受ける反面、この馴れ馴れしさに少し腹が立ってきた。

 

「いくら綺人くんの知り合いでも初対面の人に対してそんなこと言うなんて失礼だよ」

「しょ、初対面!?ちょっと待ってなのは!僕だよ、ユーノだよ!」

「はぇ?ユーノくん…?」

「うん」

「えええぇぇーー!!!」

「何でそんなに驚くの!?」

「だ、だ、だってユーノくんってフェレットで」

「え…あのまさかとは思うけど僕、なのはにレイジングハートを貸した時にこの姿じゃなかった…なーんてことはないよね?」

「ずっとフェレットの姿だったんだよ!」

「な、なんだってぇー!!」

 

なんか集中線が周りに出てるメガネのお兄さんがいて、ユーノくん(人型)の顔が別人に見えた気がしたが別にそんなことはなかったので話を進める。

 

「さっきの話だとユーノくんは私のことを探してたってことになるの?」

「うん」

「ユーノくん、迷惑かけちゃってごめんね」

「それは僕じゃなくて綺人に言った方がいいんじゃないかなぁ?綺人、だいぶ必死だったし」

「うん…」

「こういうことはあんまり聞きたくはないんだけど、綺人と何があったの?」 

 

ユーノくんがベンチに腰をかけてから私は放課後にあったことを全てを話す。

綺人くんが私の為に魔法から離れてほしいとお願いしてきたこと、

それを拒否して逃げてしまったこと、

自分は今どうすべきか悩んでいることを

 

「ユーノくん、私はもう…関わらないほうがいいのかな?」

「そうかもね」

「ッっ…」

 

ああ、そうだよね、やっぱり綺人くんの言ったとおり、私は魔法を忘れて生きていた方がいいんだ。

 

「だけどそれは最終的にはなのはが決めることだよ」

「え、でもさっきは」

「意見を変えるわけじゃないよ、僕も綺人と同じようになのはがジュエルシードや魔法に関わらない方が良いと思ってる。でも僕と綺人のそれはあくまで意見だよ、自分自身のことは本人が決めないとね」

 

ユーノくんの言葉で私のくさっていた心に突き刺さる。

何で私はそんな簡単なことが分からなかったのだろうか、ユーノくんの言うとおり私が決めることなんだ。

だってこれは他でもない私の問題なんだから。

 

「ユーノくん、私」

 

突然、ゾワリと寒気のような感覚が背筋を走り抜ける。

この感覚を私は知っている。

私だけではなく隣にいるユーノくんも知っている。

そうこれは

 

『ジュエルシードっ!!』

 

ジュエルシードの発動を告げる反応だった。




テスト期間中にもちょっと小説を書いてた、musiです。
まあ、本当にちょっとだったからテストに支障はないがな

今回のお話は原作ではなのはとアリサが喧嘩するとこなんだが、それをなのはと綺人に変えたんだが

どうだったかのう?
まあ、ありあふれている気がしなくもないんだがこうしたわ。
アリサとなのはは喧嘩してはいないぞ、
理由は「ははーん、綺人が言ってたフェイトのことを考えて悩んでいるのね」てな感じだな。
アリサがこんな馬鹿とは到底思えんがな。

何か話の流れがワンパターンになっている気がするな
う~む、そろそろデバイスやら能力やらの設定をのせた方がいいのか?
そこはおいおい考えるとしてだ、今回はここまでだ。

次回はジュエルシードを強制発動させたフェイト達と綺人との勝負の予定だ。
ほんじゃあ、バイビー
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