ドラえもん のび太の新魔界大冒険~絆の戦士と7人の魔法使い~ 通常形式版 作:憲彦
そう言えばバトルシーン。前作と比べて大分変わってますね。何か容赦なくのび太を潰しに来てますね。ビーストやファウストが。
魔王の城は今、とんでもなく厳重な監視態勢をとっている。理由はスパイ衛星。これが見付かったことによって、のび太達がこの星で生きており、尚且つ既に侵入している事が明らかになったのだ。
「注意しろ!怪しい者は虫1匹見逃すな!!」
悪魔たちは現在、城の中を駆け巡り血眼になってのび太達を探していた。そしてその頃、のび太たちは盲点星を着けて侵入していた。階段の岩を外してゾロゾロと出てくる。
「フンッ!やぁ!あっ!ちょっと待て!!」
ジャイアンが岩を外してのび太を引き上げようとしていたのだが、悪魔が走ってきた為一旦中止。のび太が出てこようとしていた階段の岩を思いっきり踏んだ。
カァーン!!
「え?何?……まぁ良いや」
甲高い音がして、一瞬不審に思ったものの、特に気にせずにどこかへ行ってしまった。
「よし!今だ。せーの!」
悪魔が居なくなった瞬間に、もう一度岩を外してたん瘤の出来たのび太を引き上げた。見付からない為に先を急ぐのだが、少し進んだら目の前にとんでもなく長い階段が出てきた。
「えぇー。これを上るの?くたびれるな……」
「文句言うな。行くぞ」
文句を言うのび太を引っ張って、階段を進んでいく。数十分の間、ずっと階段を上ったり下がったりする。途中何回か悪魔に見つかりかけたが、星1つ悪魔だったので誤魔化せた。……何で気付かない星1つ悪魔。
「もう上ったり降りたりでヘトヘトだよ……」
それはそうだ。どう見ても悪魔だって疲れそうな壁だ。それを休まずに歩いているのだから、消耗する体力は相当なものだろう。一流のアスリートでも、恐らくバテてしまう可能性がある。
「満月牧師~」
「うるさいな~……」
「どこですか~」
「ん~。この上だ……」
「っ!?あ、ありがとう……」
「ん?」
満月牧師の事を呼びながら歩いていたら、寝ぼけた星1つ悪魔がおり、一瞬気付かれたかと手荒な真似に出ようとしたが、寝ぼけていた上にこの上だと言われた。そして悪魔は何かを疑問に思ったようだが、夢だと思ってまた眠りに着いてしまった。……仕事しろよ。
さっきの星1つ悪魔に言われた通りの階段を上ると、そこには大きな扉があった。終着点の様で、そこ以外に道はない。扉を開けて中に入ると、かなり広い空間になっていた。
「ねぇ。人を閉じ込める所にしては広すぎない?」
確かに、人を閉じ込めるにしてはやたらと広すぎる。何かが怪しい。全員がそう思ったその時だ。
「地球人の分際でここまで来るとはな。誉めてやろう……」
声が聞こえると、突然扉が閉まり、のび太達の背後に紫色の炎が現れた。その炎は徐々に人型になっていき、デマオンの姿へとなった。
「で、出たー!!!!」
「見えないはずなのにどうして!?」
そう。静香の言うように、のび太達は盲点星を着けている。本来なら姿は見えないはずだった。
「私に小細工は通用しない」
そう言って、手に持っている水晶玉を掲げると、そこにのび太達の姿が写し出された。それなら着けていても仕方無いと思い、全員盲点星を外してポケットにしまう。
「大魔王デマオン!地球侵略を諦めて、今すぐ引き返しなさい!!」
「それは出来ない。地球は我ら悪魔族が何千年もの昔から目を付けていた星。諦めるには実に惜しい」
「ならば覚悟!!」
悪魔側は地球侵略を諦めるつもりは無いようだ。全員銀のダーツを取り出して構えたが、デマオンは炎の状態になってのび太達を囲んでいく。そして、数が増えた。
「増えた!?」
「増えたのは幻よ!エィッ!!」
美夜子は真っ先に銀のダーツを投げるが、それは偽物だったようで、体を突き抜けていった。その後のび太以外全員デマオンに向けて銀のダーツを投げたが、全てが幻だった。
「「「「「「お前達の力はそんなものか?次は、こちらから行くぞ!!」」」」」」
ジリジリと間合いを詰められ、全員背中合わせにくっついてしまう所まで来た。が、その時スネ夫が気付いた。自分達が持っているもう1つの武器に。
「ハッ!これだ!!!」
攻撃を撃たれる直前に、ポケットから取り出した月光灯を増えたデマオンに向けて光らせた。
「「「グワァァァ!!」」」
「「アァァァ……!!!」」
「グオワァァ……何だ……この光は……!!?」
幻が次々に消滅していき、本体のデマオンだけが残った。大魔王と言えども、月の光には弱いのか大きなダメージを受けたように見える。
「今だ!!」
「「「「「「「エェイ!!」」」」」」」
「グワァァ!!あ、アァ……」
ドラえもんが叫ぶと、一斉にデマオンの心臓めがけてダーツを投げ込んだ。ダーツは狙い通り心臓に飛んでいき、仕留めたかと思った。だが、
「フ、フハハハハ!!ハハハハハ!!効かぬわ」
心臓に刺さったはずのダーツは抜け落ち、デマオンはダメージを全く受けていない。最悪としか言い様のない状況になってしまった。
「ッ!はぁ!!」
「美夜子さん!?」
「ハァァァア!!」
「フン」
剣を呼び出し、美夜子がデマオンに斬りかかった。切り口から緑色の炎が出てくるが、手を一振りするだけでそれは掻き消えてしまう。落ちてくる美夜子をドラえもんが受け止めた。
「虫ケラどもが!!」
デマオンは衝撃波でのび太達を消し飛ばそうとした。
「フン!!」
ウルトラマンに変身したのび太が、サークルシールドを展開して防いでくれた。だが、攻撃を防ぐとすぐに膝を着いてしまい、アンファンスの状態で変身した直後にも関わらず、エナジーコアが大きな音を立てて鳴り響いていたのだ。よく見るとサイズも小さい。いつもは50メートル近い大きさだが、今は10メートル程度しかない。ちょうどデマオンと同じくらいだ。
「やはり。限界が近かったようだな」
「誰だ!?」
突然聞こえてきた知らない声。全員声のした方向に目を向けると、そこには若い男が立っていた。しかも、
「に、人間……」
「な、何で……ここに地球人がいるの?」
そこには一目見ただけでも分かる地球人の姿があった。
「お前たちには一度会っているが、この姿で会うのは初めてだったな。俺は溝呂木信也。そして……」
溝呂木と名乗った男は、ロングコートの内ポケットからエボルトラスターに似た黒い道具を取り出した。それを両サイドに引き伸ばすと、闇に包まれ黒い巨人へと姿を変えていった。
「「「「「「っ!?」」」」」」
「ダーク、メフィスト……!!」
「その体でどこまで持つかな?なぁ、ウルトラマン。特別にお前と同じ大きさで戦ってやるよ」
右腕のメフィストクローを展開しながら詰め寄ってくる。何とか起き上がろうとするが、立つだけでやっとの状態だ。勝てる見込みも退ける見込みも無いだろう。
「ハァア!!」
「グワァ!!アァ……」
メフィストクローで切り上げられ、摩擦で生れたて火花を散らしながら吹っ飛ばされる。だが、メフィストの攻撃はこれだけで終わらない。右腕にエネルギーを溜めて作り出した光弾、ダークグレネードを放ったのだ。避けられるわけもなく、それを受けてエナジーコアもさっき以上に点滅している。
「ここまでの様だな……」
「グッ!……ハァ!!」
のび太はドラえもん達に手を伸ばすと、小さなサークルシールドで全員を包み、パーティクルフェザーで弾いて城の外まで飛ばした。
「ほう。この状況で仲間だけ助けるとは……殊勝な心がけだな。お前はどうするんだ?」
「グッ!……ハァ!!」
「しつこいな」
「ガハッ!ウワァ……」
拳を突き出すも、軽々と避けられ逆に胴体に攻撃を叩き込まれた。もはや立ち上がることも困難だろう。
「仲間なんか捨てて、自分だけ逃げれば良かったものを……」
「な、仲間は……守る。絶対に、助ける!それが、僕の約束なんだ……!!この力で、僕はみんなを守る!決めたんだ!この力を手に入れたときに!!」
「はぁ……だったら!そんな物の為に命を捨てるんだな!!力の意味を理解できない者が、俺に勝てる筈がない!!」
「グオッ!グワァァァ!!」
蹴り上げられると、足を捕まれて壁に叩き付けられた。何故変身を維持できているのかと言うレベルだ。
「力とは、他者を圧し支配するものだ。そんなことも理解できないのか。お前は!!」
「ウワアアアアアアア!!!!」
アームドメフィストを十字に組み合わせて撃たれた光線、ダークレイ・シュトローム。それを受け、のび太も城の外へと飛ばされてしまった。ただ、ドラえもん達と同じ方向に飛ばされたのは、不幸中の幸いだっただろう。
「……今後こそヤツらを1匹残らず捕まえろ!」
「ははぁ!!」
メフィストがのび太を吹っ飛ばした方向を見ながら、近くに来ていた星3つの悪魔に伝えた。すぐに部屋を出ていき、全悪魔に伝達するであろう。
「のび太くん!のび太くん!!」
「うっ……ハッ!ここは!?」
城から数キロ離れた場所の岩影。そこでにのび太が先に脱出させた仲間達がおり、傷だらけののび太を起こした。体の傷が粗方治っているのは、恐らく気絶しているときに出来杉が直してくれたのだろう。
「大丈夫?」
「大丈夫……とは言いづらいかな……」
相手があんなに強かったのだ。大丈夫と言えないのは当然だ。それでも戦ったのび太は立派と言えるだろう。
「皆、作戦を変えましょう。ここから東に向かうと、大きな森があるの。盲点星を着けたら、そこまで一気に走って」
「分かった!」
「了解!」
「森の入り口で落ち合いましょう」
全員盲点星を着けると、バラバラに走り出した。悪魔たちはすぐそこまで来ている。
「注意しろ!奴等はまた姿を消すぞ!!」
「うわぁ!不味い!!」
星3つ悪魔が全体に指示を出していた。それが聞こえる範囲にのび太が居たが、危ないと思いすぐにその場所を離れた。悪魔は自分が乗っているドラゴンに地面の匂いを嗅がせると、何かに反応しその方向に攻撃を放った。
「そこだ!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」
「ウオオオオオ!!」
ジャイアンとスネ夫の悲鳴だ。捕まえられたのだろう。
「ジャイアン!スネ夫!何で!見えないはずなのに!どうして!!」
困惑しながら走っていく。相手からは見えないはずなのに2人は捕まったのだ。困惑するのは当たり前だろう。
「ウワァァァァ!!」
1匹の悪魔がのび太の方向に走ってきた為、必死で走ったのだが、前を見ていなかったせいで坂から滑り落ちてしまった。その拍子に盲点星をどこかにぶつけてしまったのか、粉々になってしまった。
「盲点星が!?」
のび太の姿が見えてしまった。その瞬間、体が突然浮き上がり、何かに引っ張られる。そのまま岩穴に入ると、そこには美夜子と出来杉がいた。
「美夜子さん!出来杉!」
「し!」
のび太は感激するが、出来杉は静かにするように合図をする。
「近くにいるぞ!!」
指示を出していた星3つ悪魔の声が木霊する。囲まれたようだ。
「囲まれてる……」
「のび太さん。私たちの盲点星を使って」
「僕たちが奴等の気を気を引くから。その隙に早く」
「ちょ!ちょっと待って!いくら僕でも、君たちを見捨てることなんて出来ないよ!!」
当然のび太は反対した。エボルトラスターを握っていることから、無理矢理にでも戦うつもりだろう。
「……今の貴方に、戦う力がある!?ここにいる悪魔を倒すことができる!?私たちの足手まといにならずに戦えるの!?ここで皆捕まったら!誰が地球を守るのよ!!」
「それは……」
「……キツいこと言ってごめんなさい。私ね、のび太さんが居たから、皆が居たから、怖くなかった。のび太さんが慰めてくれたから、諦めずにここまで来れたの」
「のび太くん。君は僕たちの為に戦ってくれた。自分の体が傷付いても、僕たちの為に無理をして戦ってくれた。その姿は、僕の憧れだよ。だから、今までの借りくらい、ここで返させてくれ。ここで君を守らせて欲しい。僕たちは必ず、君が地球を救ってくれると信じているから」
今までののび太への感謝や思いを伝えると、2人はのび太に笑顔を見せて悪魔達へと飛びかかっていった。美夜子は剣を構え、出来杉はディバイトシューターを持っている。2人が悪魔達の気を引いている間に、のび太は岩穴から走り出していった。
(出来杉!美夜子さん!皆!待っててね!必ず、必ず皆を助けるから!!)
そう誓いながら、森の入り口まで走っていった。目的地に着くと、そこにはドラえもんがおり、それ以外は誰も居なかった。
「月が真っ赤だ……血のように真っ赤だ……」
ドラえもんが静かに呟いた。
「どうして!銀のダーツを心臓に撃ち込んだのに!!」
「魔界歴程のもう半分があれば、それも分かったかもしれない……」
嘆くのび太に、ドラえもんは自分なりの推測を言ってみた。確かに、デマオン本人も最も重要な部分はこちらに書かれてあると言っていた。それがあれば、本当にデマオンを倒すことが出来たのかもしれない。
「僕のせいだ!!僕が魔法の世界なんか作るから!こんなことに……!!」
自分の事を責めて泣いていた。全てが自分の責任だと。ただ楽しく魔法を使いたかっただけだった。最初はそれだけだったのに、仲間が次々に捕まり、出来杉と美夜子は自分の為に囮になった。無力な自分が許せなかったのだろう。
「泣くなよ。泣いたって取り返しが……取り返しが、着くかもしれない!!」
何かを閃いたようだ。全てを元に戻す秘策を。
「どうして!?もしもボックスはもう無いんだよ!?」
「タイムマシーンを使うんだよ!僕らがもしもボックスをつかうまえの時間に戻って、この事を伝えるんだ!」
「……そうか。その手があったか!!」
のび太も理解したようだ。ドラえもんは取り寄せバッグでのび太の部屋なら机を取り出す。そして、引き出しを開けて中に飛び込んだ。だが、その様子を見ている者がいた。
「残る2人を見付けた。追え!メジューサ!!今度こそヤツらを始末しろ!!」
「お任せを!!」
ドラえもんとのび太が入り込んだ机の引き出しに、メジューサも入って2人の後を追いかけた。
次回予告
のび太
「誰かいるよ?」
ドラえもん
「そんなバカな。時の流れの中を……」
ドラミ
「もしもボックスがあれば解決ね!!」
のび太
「戻ろう……ドラえもん。もう少しで忘れるところだった。誓ったんだ。皆を助けるって」
???
「君の探している人は地下にいる。早く行きな。君の仲間は僕が護衛するよ」
出来杉
「この距離なら!バリアは張れないな!!?」
出来杉
「次回 復活。何度折れても、何度倒れても、僕たちは前へと突き進む!!」
のび太/出来杉/ドラえもん
「次回もよろしくね!!」
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